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ハイスピードなロサンゼルス
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カレンのアメリカ、ロサンゼルス滞在は充実していた。
元々、ハリウッド映画やアメリカのテレビドラマをよく見ていて、憧れていた国というのもある。
そのハリウッド本場の地なこともあって、街中のレストランやホテルで有名な俳優や監督を見かけてカレンのテンションは上がった。
「ハリウッド見学行きたい、行きたいけど勉強どころじゃなくなりそう~っ!」
ミスター禅に紹介してもらった現地でできた友人だけでなく、語学学校で知り合った教師や生徒が良い人たちで、あちこち連れ回されるのがとにかく楽しかった。
「アメリカがパーティー社会っていうのは本当だったのねえ」
毎週末、市街のレストランや友人たちの誰かしらの家に集まってパーティーしている。
料理やお菓子の持ち寄り制のことが多く、カレンはまあまあ料理のできる女子だったので、現地の食材で具材多めの太巻きを作っていくとどこでも大変喜ばれた。
海苔が外にあるより、米飯が外側にあるタイプのほうが皆は好きらしい。海苔のちょっと湿った感触が最初にくるのが苦手だそうで。
「カリフォルニアロールがあるくらいだものね」
カレンの世話役のミスター禅がベジタリアンなので、集まる仲間もヴィーガンだったり、乳製品や卵は摂るが肉は避けていたりとヘルシーな食事を好む人が多かった。
オーガニック食品や植物性食品専門のスーパーもあり、豆乳原料のクリームチーズなどは牛乳原料の本物より味が良くてビックリしたぐらいだ。
当初予想していたような、如何にも『アメリカっぽい』ジャンクフードを食べる機会が案外ない。
もちろんファストフードの店は多いし現地のマクドナルド体験もしてみたが、テクスメクスなるアメリカナイズされたメキシコ料理の店に連れて行かれることのほうが多かった。
ジャンル的にはファストフードなのだろうが、どこの店に行っても野菜が新鮮でたくさん、チリを使った辛い料理も多いが口当たりがよく、料理の種類も豊富で飽きないのが良かった。
食べる量は周囲に合わせて増えていったが、外食多めのわりにカレンはロサンゼルスに来てから少し痩せた。活動的になって筋肉が付いたのもあるようだ。
「物事のスピードが速すぎるわ。目が回りそう」
東京で東銀座の会社に勤めていたとき、カレンは自分が流行りの先端近くにいる、“今どき”のアラサー女子の自負があった。
だがロサンゼルスの街中で暮らす刺激と比べたら、あれはスローライフと言っても過言ではなかった。
エンジェルの投資家の支援で生活費の心配もなく、パーティー参加用の服や靴も彼らの紹介で誂えてもらっているカレンはちょっとしたシンデレラ気分を味わっている。
色白の日本人で肌が綺麗なカレンは、顔立ちも童顔で可愛らしい。メイク映えするから、ドレスアップしてパーティーに出るといつも人気だ。
(人生のステージが変わったのかしら。でもなあ……)
そんな状態だったから、とにかく男性からの誘いを受けること受けること。中には女性もいたが、カレンは性的嗜好は異性愛のみなので普通に断っていた。
実際、恋愛目的での誘いにグラつくことも多かったが、日本に恋人がいるからと全部断ったし、ミスター禅の仲間内での集まり以外の場では飲酒もしないよう気をつけていた。
日本の恋人のセイジからもその辺りを心配するメッセージや電話がよく来る。
「そんな遊んでる女じゃないですよー、あたし」
そもそも留学中に火遊びを楽しむつもりなら、渡米前にセイジとは別れている。
いくら何でも結婚話の出ている恋人がいるのに、アバンチュールを楽しむようなサバサバ感はカレンにはなかった。
元々、ハリウッド映画やアメリカのテレビドラマをよく見ていて、憧れていた国というのもある。
そのハリウッド本場の地なこともあって、街中のレストランやホテルで有名な俳優や監督を見かけてカレンのテンションは上がった。
「ハリウッド見学行きたい、行きたいけど勉強どころじゃなくなりそう~っ!」
ミスター禅に紹介してもらった現地でできた友人だけでなく、語学学校で知り合った教師や生徒が良い人たちで、あちこち連れ回されるのがとにかく楽しかった。
「アメリカがパーティー社会っていうのは本当だったのねえ」
毎週末、市街のレストランや友人たちの誰かしらの家に集まってパーティーしている。
料理やお菓子の持ち寄り制のことが多く、カレンはまあまあ料理のできる女子だったので、現地の食材で具材多めの太巻きを作っていくとどこでも大変喜ばれた。
海苔が外にあるより、米飯が外側にあるタイプのほうが皆は好きらしい。海苔のちょっと湿った感触が最初にくるのが苦手だそうで。
「カリフォルニアロールがあるくらいだものね」
カレンの世話役のミスター禅がベジタリアンなので、集まる仲間もヴィーガンだったり、乳製品や卵は摂るが肉は避けていたりとヘルシーな食事を好む人が多かった。
オーガニック食品や植物性食品専門のスーパーもあり、豆乳原料のクリームチーズなどは牛乳原料の本物より味が良くてビックリしたぐらいだ。
当初予想していたような、如何にも『アメリカっぽい』ジャンクフードを食べる機会が案外ない。
もちろんファストフードの店は多いし現地のマクドナルド体験もしてみたが、テクスメクスなるアメリカナイズされたメキシコ料理の店に連れて行かれることのほうが多かった。
ジャンル的にはファストフードなのだろうが、どこの店に行っても野菜が新鮮でたくさん、チリを使った辛い料理も多いが口当たりがよく、料理の種類も豊富で飽きないのが良かった。
食べる量は周囲に合わせて増えていったが、外食多めのわりにカレンはロサンゼルスに来てから少し痩せた。活動的になって筋肉が付いたのもあるようだ。
「物事のスピードが速すぎるわ。目が回りそう」
東京で東銀座の会社に勤めていたとき、カレンは自分が流行りの先端近くにいる、“今どき”のアラサー女子の自負があった。
だがロサンゼルスの街中で暮らす刺激と比べたら、あれはスローライフと言っても過言ではなかった。
エンジェルの投資家の支援で生活費の心配もなく、パーティー参加用の服や靴も彼らの紹介で誂えてもらっているカレンはちょっとしたシンデレラ気分を味わっている。
色白の日本人で肌が綺麗なカレンは、顔立ちも童顔で可愛らしい。メイク映えするから、ドレスアップしてパーティーに出るといつも人気だ。
(人生のステージが変わったのかしら。でもなあ……)
そんな状態だったから、とにかく男性からの誘いを受けること受けること。中には女性もいたが、カレンは性的嗜好は異性愛のみなので普通に断っていた。
実際、恋愛目的での誘いにグラつくことも多かったが、日本に恋人がいるからと全部断ったし、ミスター禅の仲間内での集まり以外の場では飲酒もしないよう気をつけていた。
日本の恋人のセイジからもその辺りを心配するメッセージや電話がよく来る。
「そんな遊んでる女じゃないですよー、あたし」
そもそも留学中に火遊びを楽しむつもりなら、渡米前にセイジとは別れている。
いくら何でも結婚話の出ている恋人がいるのに、アバンチュールを楽しむようなサバサバ感はカレンにはなかった。
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