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海外ツアー決定しました
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海外サイトでオルゴナイトの検索をしていると、スピ系の情報に混ざって量子物理学の話がよく引っかかってきた。
「量子もつれとか、よくわからない。でも気になるのよね」
量子論といえばニュースで世界初の量子コンピューターが稼働したとか、ノーベル賞などの受賞テーマになったとか、カレンはその程度しか知らなかった。
たまたま、図書館に足を運んだとき、館内の特集スペースで小中学生向けの科学雑誌や書籍が並んでいたことがある。
ゆるキャラが量子論を解説する雑誌をパラ見してみたが、やっぱりよくわからないのである。
そんな話題を、以前成功したクラウドファンディングの支援者たちへの報告に使っていたTwitterにツイートしてみると、案外好意的な反応があった。
いいねは2000台、リツイートはもうちょっとだけ多め。
調子に乗ったカレンはnoteに、オルゴナイトと量子物理学をさもそれっぽく絡めた記事を投稿した。
そして自分のクラウドファンディングの紹介ページにリンクを貼った。
カレンは登録している求職サイトのプロフィールに、これらクラウドファンディングの成功実績やTwitter、note、Instagramなど SNSの情報をすべて載せている。
数日後、リクルートサイトからヘッドハンティングのオファーが3件来た。
カレンのnote記事を見たようで、採用担当者の興味を引いたらしい。
他にもオファーが出揃うまで更に一週間待っていたところ、今度はカレンが利用したクラウドファンディングの主催会社からの海外ツアー打診の連絡を受けた。
日本発のクラウドファンディングの成功者たち数名を連れて、アメリカと東アジアのビジネス展示会をハシゴする企画があるらしい。
期間は三週間。現地でスピーチと壇上での質疑応答に答えてくれるなら、旅行費用は現地での飲食費も含めてすべて企画の主催会社持ちだという。
「行くわ。やるしかない!」
しかしカレンは忘れていた。
自分が英会話などからっきしだということを。
「そういうのは企画会社の担当が通訳してくれるんじゃないかい?」
安請け合いしてしまった後で頭を抱えるカレンに、冷静に突っ込んでくれたのは小料理屋ひまらや店主のオヤジさんだった。
「そ、そうですよね? 明日、朝一で担当者の方に電話入れて確認してみます」
「そうそう。早めに聞いておいたほうがいいからね」
そして年輩の常連さんたちも興奮していた。
「カレンちゃんすごいな! 海外ツアーってロックスターみたいじゃん!」
「えへへ。でしょ? でしょおおお? 盛り上がりますよね!」
しかも旅行費用は主催会社持ち!
「でもそれだと再就職どうなるの? 後回し?」
「企画会社がいますごくHOTなクラウドファンディングの会社なので、経歴に箔をつけておこうかなって。実際、求職サイト経由のオファーはずっと来てますし、急ぐ必要もなさそうなんです」
ツアーは春、3月に実施だそうだ。
カレンの失業保険の給付は4月まで。ツアーから戻ってきてまた再就職に動いてギリギリといったところだ。
ただし、カレンは前職の退職金や慰謝料、クラウドファンディングの利益があるので、再就職を急がなくてもすぐ生活に困るような状況ではない。
(そうは言っても、無職期間中は年金は厚生年金から国民年金になっちゃうし、長引いたら将来貰える年金額が減っちゃうのよね)
「はあ~。カレンちゃん、去年ここに来始めた頃からものすごい流れ来てるよねえ」
「ははは……まあ上手くいってることばかりでもないんですけどね。アクセサリー作りはイマイチですし」
「いい男は捕まえたじゃん?」
「それ! それね!」
そこが一番大事です。
「量子もつれとか、よくわからない。でも気になるのよね」
量子論といえばニュースで世界初の量子コンピューターが稼働したとか、ノーベル賞などの受賞テーマになったとか、カレンはその程度しか知らなかった。
たまたま、図書館に足を運んだとき、館内の特集スペースで小中学生向けの科学雑誌や書籍が並んでいたことがある。
ゆるキャラが量子論を解説する雑誌をパラ見してみたが、やっぱりよくわからないのである。
そんな話題を、以前成功したクラウドファンディングの支援者たちへの報告に使っていたTwitterにツイートしてみると、案外好意的な反応があった。
いいねは2000台、リツイートはもうちょっとだけ多め。
調子に乗ったカレンはnoteに、オルゴナイトと量子物理学をさもそれっぽく絡めた記事を投稿した。
そして自分のクラウドファンディングの紹介ページにリンクを貼った。
カレンは登録している求職サイトのプロフィールに、これらクラウドファンディングの成功実績やTwitter、note、Instagramなど SNSの情報をすべて載せている。
数日後、リクルートサイトからヘッドハンティングのオファーが3件来た。
カレンのnote記事を見たようで、採用担当者の興味を引いたらしい。
他にもオファーが出揃うまで更に一週間待っていたところ、今度はカレンが利用したクラウドファンディングの主催会社からの海外ツアー打診の連絡を受けた。
日本発のクラウドファンディングの成功者たち数名を連れて、アメリカと東アジアのビジネス展示会をハシゴする企画があるらしい。
期間は三週間。現地でスピーチと壇上での質疑応答に答えてくれるなら、旅行費用は現地での飲食費も含めてすべて企画の主催会社持ちだという。
「行くわ。やるしかない!」
しかしカレンは忘れていた。
自分が英会話などからっきしだということを。
「そういうのは企画会社の担当が通訳してくれるんじゃないかい?」
安請け合いしてしまった後で頭を抱えるカレンに、冷静に突っ込んでくれたのは小料理屋ひまらや店主のオヤジさんだった。
「そ、そうですよね? 明日、朝一で担当者の方に電話入れて確認してみます」
「そうそう。早めに聞いておいたほうがいいからね」
そして年輩の常連さんたちも興奮していた。
「カレンちゃんすごいな! 海外ツアーってロックスターみたいじゃん!」
「えへへ。でしょ? でしょおおお? 盛り上がりますよね!」
しかも旅行費用は主催会社持ち!
「でもそれだと再就職どうなるの? 後回し?」
「企画会社がいますごくHOTなクラウドファンディングの会社なので、経歴に箔をつけておこうかなって。実際、求職サイト経由のオファーはずっと来てますし、急ぐ必要もなさそうなんです」
ツアーは春、3月に実施だそうだ。
カレンの失業保険の給付は4月まで。ツアーから戻ってきてまた再就職に動いてギリギリといったところだ。
ただし、カレンは前職の退職金や慰謝料、クラウドファンディングの利益があるので、再就職を急がなくてもすぐ生活に困るような状況ではない。
(そうは言っても、無職期間中は年金は厚生年金から国民年金になっちゃうし、長引いたら将来貰える年金額が減っちゃうのよね)
「はあ~。カレンちゃん、去年ここに来始めた頃からものすごい流れ来てるよねえ」
「ははは……まあ上手くいってることばかりでもないんですけどね。アクセサリー作りはイマイチですし」
「いい男は捕まえたじゃん?」
「それ! それね!」
そこが一番大事です。
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