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番外編 異世界板前ゲンジ、ルシウス君と再会す
ゲンジの変わり種お焼き
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卵を茹でている間にゲンジは生地を捏ね直して余計なガスを抜き、スケッパーで等分にした。
パニーニのようなパンでも良かったが、今回は中の具がこぼれにくい『お焼き』を作ることにした。
具材は、ヨシュア坊ちゃんが本家から持たせてもらった母御の実家の山採れのキノコ類。
醤油バターのソテーにして。
ナスをトロトロになるまで炒めて味噌と砂糖で味付けしたものは外せない。ゲンジの好物でもある。
この国に大根や野沢菜があれば、切干大根の煮物や野沢菜漬けでも作りたかったが、残念ながらない。
カボチャはあったので、軽く煮てこちらも醤油でほんのちょっとだけ風味付け。甘味はカボチャ自体が甘かったので足さなかった。
アケロニアでもよく食べられているラタトゥイユ風の野菜のトマト炒めは水分をできるだけ飛ばして煮詰め、チーズと一緒に。
あとはヨシュア坊ちゃんに殻剥きしてもらった茹で卵を潰してマヨネーズと和えて玉子サラダにして、これまたチーズと一緒に生地で包んで焼くことにする。
「あ、スモークサーモンもあったか」
少し考えて、スモークサーモンと玉子サラダ、チーズを入れたバージョンも作ることにする。
こちらには生パセリのみじん切りを加えて。
丸く薄く広げた生地で具を包み、平たい円盤状に整える。
大きさは、今回はヨシュア坊ちゃんの小さな手で持って食べやすい小さめに揃えた。
イーストの入った生地だがこの後さらに発酵させる必要はない。
あとは油を薄く弾いたフライパンでじっくり両面焼いていけばいい。
「わあ。いいにおい」
両親や祖父、そして叔父はサーモンパイなど料理する人たちだったが、さすがにまだ4歳のヨシュア坊ちゃんは本家の厨房に入れてもらえない。
その分、叔父のルシウスの子爵邸のような庶民の家に近い建物の、厨房と食堂が一体化した部屋ではよくルシウスが調理するところを楽しげに眺めていた。
今回も、コンロでお焼きを焼くゲンジの後ろ、椅子の上に立ってそーっと調理風景を覗き込んでいた。
「坊ちゃん。叔父ちゃんを呼んできてくれるかい?」
「はい!」
良い子のお返事で、ヨシュアがとてとてーっと2階へ走っていく。
その軽い足音を聴きながら、ゲンジは更に、朝から仕込んでいた豆と豚肉の煮込みと、お焼きに使った残りのカボチャを裏漉ししてポタージュを作った。
この煮込みは近所の評判の定食屋の人気メニューだ。ルシウスから「オヤジさんが作ったのも食べたいなあ~」とリクエストを貰ったら、そりゃあ作りますとも!
パニーニのようなパンでも良かったが、今回は中の具がこぼれにくい『お焼き』を作ることにした。
具材は、ヨシュア坊ちゃんが本家から持たせてもらった母御の実家の山採れのキノコ類。
醤油バターのソテーにして。
ナスをトロトロになるまで炒めて味噌と砂糖で味付けしたものは外せない。ゲンジの好物でもある。
この国に大根や野沢菜があれば、切干大根の煮物や野沢菜漬けでも作りたかったが、残念ながらない。
カボチャはあったので、軽く煮てこちらも醤油でほんのちょっとだけ風味付け。甘味はカボチャ自体が甘かったので足さなかった。
アケロニアでもよく食べられているラタトゥイユ風の野菜のトマト炒めは水分をできるだけ飛ばして煮詰め、チーズと一緒に。
あとはヨシュア坊ちゃんに殻剥きしてもらった茹で卵を潰してマヨネーズと和えて玉子サラダにして、これまたチーズと一緒に生地で包んで焼くことにする。
「あ、スモークサーモンもあったか」
少し考えて、スモークサーモンと玉子サラダ、チーズを入れたバージョンも作ることにする。
こちらには生パセリのみじん切りを加えて。
丸く薄く広げた生地で具を包み、平たい円盤状に整える。
大きさは、今回はヨシュア坊ちゃんの小さな手で持って食べやすい小さめに揃えた。
イーストの入った生地だがこの後さらに発酵させる必要はない。
あとは油を薄く弾いたフライパンでじっくり両面焼いていけばいい。
「わあ。いいにおい」
両親や祖父、そして叔父はサーモンパイなど料理する人たちだったが、さすがにまだ4歳のヨシュア坊ちゃんは本家の厨房に入れてもらえない。
その分、叔父のルシウスの子爵邸のような庶民の家に近い建物の、厨房と食堂が一体化した部屋ではよくルシウスが調理するところを楽しげに眺めていた。
今回も、コンロでお焼きを焼くゲンジの後ろ、椅子の上に立ってそーっと調理風景を覗き込んでいた。
「坊ちゃん。叔父ちゃんを呼んできてくれるかい?」
「はい!」
良い子のお返事で、ヨシュアがとてとてーっと2階へ走っていく。
その軽い足音を聴きながら、ゲンジは更に、朝から仕込んでいた豆と豚肉の煮込みと、お焼きに使った残りのカボチャを裏漉ししてポタージュを作った。
この煮込みは近所の評判の定食屋の人気メニューだ。ルシウスから「オヤジさんが作ったのも食べたいなあ~」とリクエストを貰ったら、そりゃあ作りますとも!
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