141 / 216
ルシウス君、称号ゲット!からのおうちに帰るまで
夢の中で仔竜と再会しました!
しおりを挟む
その日の晩、ルシウスは夢の中であの綿毛竜の仔竜と再会した。
『ピュイッピュイッ!』
(人間の子よ! この間はボクを助けてくれてありがとう!)
小さな仔竜は勢いよくルシウスの胸の中に飛び込んできた。
ぽふん、と白く柔らかな羽毛に覆われた仔竜を受け止めると、その背中には魔法樹脂の透明な翼がぱたぱたと動いていた。
その翼や小さなふわふわ羽毛の頭を優しく撫でてやりながら、
「新しい翼は大丈夫? 不具合があったらまた来てね。調整するから」
『ピュッ、ピュイッ』
(全然平気! クールでハイカラだねって仲間たちに褒められてるよ!)
ルシウスの腕の中で仔竜は自慢げに胸を張った。可愛い。
「そっかあ。……あのね、君の翼をあの後見つけたんだけど、薬師の人にポーションにしてもらって飲んじゃったんだ。ごめんね」
『ピューイッ!』
(問題ないよ! 君がボクの一部を取り込んでくれたお陰で、ボクはこうして君に会いに来れたんだもの)
「あ。加護をありがと。でもここ、夢の中でしょ。現実世界では会えないの?」
『ピュアア……』
(お母ちゃんがもっと大きくなるまでは群れの中から出たらダメだって)
魔法樹脂の透明な翼は目立つ。
少なくとも自衛できるぐらい大人になって、竜種らしい強さを身につけるまでは駄目と言われたそうだ。
「そっか。じゃあ再会できるのはお互い大人になってからだね。楽しみにしてる」
『ピュイッピュイッピュイッ!』
(ボクも! ボクもまた君に会いたい! 大人になったら君を乗せて空を飛びたいな!)
「お空! 楽しみ! 楽しみにしてる!」
『ピュイッピュイッ』
(楽しみ! 楽しみ!)
「! そうだ、忘れてた! ねえ君、君の翼をむしった相手のことを教えて!」
お別れする前に、聞いておかねばならないことを思い出せた。
『ピューピュイッ!』
(人間の男だよ。気持ち悪い魔力を持ってて、ボクは森で果物を食べてるときに捕まったんだ)
「森……」
ココ村海岸から内陸部、最寄り町とは反対方向に該当する地域がある。
そしてハッと気づいた。
「もしかして、あの飯マズ男、森林地帯に潜伏してるのかも」
これはあの男を調査しているサブギルマスのシルヴィスに報告せねばならない。
それから、仔竜を襲った男の特徴を確認すると、間違いない。
あの飯マズ男ケンの外見的特徴と一致した。
『ピューピュイッ』
(あの男、ボク以外にも魔物や動物を痛めつけてたみたいだ。君も気をつけて)
そうしてひとしきり、もふもふな綿毛竜の仔竜と戯れた後で。
仔竜はルシウスの腕の中からぴょんっと空中に飛び出した。
『ピュイッピュッ』
(そろそろ帰るね。ボクに翼を付けてくれたあの容赦のないお姉さんにもお礼を言ってくれるかい?)
「ロータスさんに? あ、そういえば僕もまだお礼言ってなかった」
あのときは仔竜の翼を魔法樹脂で修復するなりの母竜来襲でそれどころではなかったのだ。
『ピュイッピュイッ』
(あとね、ボクに君から名前を付けてほしいんだ。カッコイイやつ頼むよ!)
「えっ、名前!? ええと~」
目の前に浮いている仔竜を、ルシウスは湖面の水色の瞳でじっと見つめた。
「羽毛ふわふわ……フワン?」
安直すぎる。仔竜の反応は芳しくない。
「お腹ぷくぷくだねえ。プーちゃん?」
ギュルウ~と仔竜が鳴く。不満そうだ。
「お腹ぽんぽんもしてるから、ポンポン君とかポポン君とか」
グギャア~! と仔竜が低く唸った。
却下!
君、ネーミングセンスないね!
「仕方ないなあ。じゃあ羽毛が雪みたいだからユキノ君だ。ユキノ・リースト。今この瞬間から君は僕んちリースト伯爵家の一員だよ」
「ピュイッピュイッ♪」
これは大当たり!
かくして仔竜ユキノはルシウス少年に竜の加護を与え、今後それなりに長い付き合いとなるのである。
--
リアルで再会できるのは、おうちに帰った後ですね
AIのお絵描きばりぐっどくんで作成、綿毛竜のユキノくん。
大人になると前脚と後脚が発達してくるかな~
『ピュイッピュイッ!』
(人間の子よ! この間はボクを助けてくれてありがとう!)
小さな仔竜は勢いよくルシウスの胸の中に飛び込んできた。
ぽふん、と白く柔らかな羽毛に覆われた仔竜を受け止めると、その背中には魔法樹脂の透明な翼がぱたぱたと動いていた。
その翼や小さなふわふわ羽毛の頭を優しく撫でてやりながら、
「新しい翼は大丈夫? 不具合があったらまた来てね。調整するから」
『ピュッ、ピュイッ』
(全然平気! クールでハイカラだねって仲間たちに褒められてるよ!)
ルシウスの腕の中で仔竜は自慢げに胸を張った。可愛い。
「そっかあ。……あのね、君の翼をあの後見つけたんだけど、薬師の人にポーションにしてもらって飲んじゃったんだ。ごめんね」
『ピューイッ!』
(問題ないよ! 君がボクの一部を取り込んでくれたお陰で、ボクはこうして君に会いに来れたんだもの)
「あ。加護をありがと。でもここ、夢の中でしょ。現実世界では会えないの?」
『ピュアア……』
(お母ちゃんがもっと大きくなるまでは群れの中から出たらダメだって)
魔法樹脂の透明な翼は目立つ。
少なくとも自衛できるぐらい大人になって、竜種らしい強さを身につけるまでは駄目と言われたそうだ。
「そっか。じゃあ再会できるのはお互い大人になってからだね。楽しみにしてる」
『ピュイッピュイッピュイッ!』
(ボクも! ボクもまた君に会いたい! 大人になったら君を乗せて空を飛びたいな!)
「お空! 楽しみ! 楽しみにしてる!」
『ピュイッピュイッ』
(楽しみ! 楽しみ!)
「! そうだ、忘れてた! ねえ君、君の翼をむしった相手のことを教えて!」
お別れする前に、聞いておかねばならないことを思い出せた。
『ピューピュイッ!』
(人間の男だよ。気持ち悪い魔力を持ってて、ボクは森で果物を食べてるときに捕まったんだ)
「森……」
ココ村海岸から内陸部、最寄り町とは反対方向に該当する地域がある。
そしてハッと気づいた。
「もしかして、あの飯マズ男、森林地帯に潜伏してるのかも」
これはあの男を調査しているサブギルマスのシルヴィスに報告せねばならない。
それから、仔竜を襲った男の特徴を確認すると、間違いない。
あの飯マズ男ケンの外見的特徴と一致した。
『ピューピュイッ』
(あの男、ボク以外にも魔物や動物を痛めつけてたみたいだ。君も気をつけて)
そうしてひとしきり、もふもふな綿毛竜の仔竜と戯れた後で。
仔竜はルシウスの腕の中からぴょんっと空中に飛び出した。
『ピュイッピュッ』
(そろそろ帰るね。ボクに翼を付けてくれたあの容赦のないお姉さんにもお礼を言ってくれるかい?)
「ロータスさんに? あ、そういえば僕もまだお礼言ってなかった」
あのときは仔竜の翼を魔法樹脂で修復するなりの母竜来襲でそれどころではなかったのだ。
『ピュイッピュイッ』
(あとね、ボクに君から名前を付けてほしいんだ。カッコイイやつ頼むよ!)
「えっ、名前!? ええと~」
目の前に浮いている仔竜を、ルシウスは湖面の水色の瞳でじっと見つめた。
「羽毛ふわふわ……フワン?」
安直すぎる。仔竜の反応は芳しくない。
「お腹ぷくぷくだねえ。プーちゃん?」
ギュルウ~と仔竜が鳴く。不満そうだ。
「お腹ぽんぽんもしてるから、ポンポン君とかポポン君とか」
グギャア~! と仔竜が低く唸った。
却下!
君、ネーミングセンスないね!
「仕方ないなあ。じゃあ羽毛が雪みたいだからユキノ君だ。ユキノ・リースト。今この瞬間から君は僕んちリースト伯爵家の一員だよ」
「ピュイッピュイッ♪」
これは大当たり!
かくして仔竜ユキノはルシウス少年に竜の加護を与え、今後それなりに長い付き合いとなるのである。
--
リアルで再会できるのは、おうちに帰った後ですね
AIのお絵描きばりぐっどくんで作成、綿毛竜のユキノくん。
大人になると前脚と後脚が発達してくるかな~
12
お気に入りに追加
553
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~
桜井正宗
ファンタジー
Cランクの平凡な錬金術師・カイリは、宮廷錬金術師に憧れていた。
技術を磨くために大手ギルドに所属。
半年経つとギルドマスターから追放を言い渡された。
理由は、ポーションがまずくて回復力がないからだった。
孤独になったカイリは絶望の中で三毛猫・ヴァルハラと出会う。人語を話す不思議な猫だった。力を与えられ闇の錬金術師に生まれ変わった。
全種類のポーションが製造可能になってしまったのだ。
その力を活かしてお店を開くと、最高のポーションだと国中に広まった。ポーションは飛ぶように売れ、いつの間にかお金持ちに……!
その噂を聞きつけた元ギルドも、もう一度やり直さないかとやって来るが――もう遅かった。
カイリは様々なポーションを製造して成り上がっていくのだった。
三毛猫と共に人生の勝ち組へ...!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる