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ルシウス君、覚醒編
お金がないときもありました
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「料理するのはご当主や跡継ぎのお兄さん夫婦だけ?」
「ううん、サーモンパイは一族なら皆作れるように習うよ。美味しいもん」
ざくー
一匹めのサーモンパイはあっという間になくなった。中身がスモークサーモンだけのやつだ。
料理人のオヤジさんが二匹めを切り分けてくれる。
こちらは同じくスモークサーモン、炊いたピラフ、ブロッコリーやインゲン、ニンジンなどを柔らかく茹でたものに、ハーブのディル入りのクリームチーズが入ったものだった。
層になっていて、一匹めのものより分厚い。
「えっ。もしやルシウス君も料理男子ですか!?」
期待の眼差しで受付嬢クレアが見つめてくる。
「うん。サーモンパイと、簡単なものなら。うち、数年前にすごい貧乏になったことがあって。そのとき必要に迫られて覚えたんだよね」
「「「貧乏ってマジで!?」」」
これにはギルマスたちギルド職員や冒険者たちは皆驚いた。
そういえば、たまにそんなことを言っていた気がする。
ルシウス本人を見ていると、このお子さんがとても育ちの良いことがよくわかる。
家庭環境に恵まれていて、かつ与えられてきた教育の質が良いことも読み取れる。
それは即ち、それだけ教育費をかけられる裕福な家庭で育ったことを意味する。
それに、配送費の高額な飛竜便をアケロニア王国の王都と、ここココ村支部を繋ぐ路線として確保しているのが、ルシウスのパパ、リースト伯爵メガエリスだ。
飛竜便は、飛竜自身の自重と同じぐらいの重量の荷物までなら、腹部に括り付けるコンテナに入れて配送が可能。
配送費は、この距離なら通常、往復で大金貨一枚(約20万円)が軽く吹っ飛ぶ。
この飛竜便を使って、ルシウスはおうちの人と週に一度は手紙のやりとりをしている。
他にはルシウスが討伐して魔法樹脂に封入した食用可能なお魚さんモンスター(生)などを送るのにも使っていた。
「貧乏って、今はそんなことないんだよな……?」
髭面大男のギルマス、カラドンが恐る恐る尋ねてきた。
ルシウスのおうちリースト伯爵家というのは、魔法剣士の家であるだけでなく、魔法全般の大家だ。
領地では魔法薬のポーションなどを製造していて、ルシウスのパパはそれら魔法薬をルシウスがココ村支部に常駐している期間のみという条件付きで、市価の半値で卸してくれていた。
めちゃ助かっていた。
もしや、ものすごい負担をかけていたりするのだろうか?
「それは平気。とっくに持ち直してるから。でもあのときは大変だったなー。楽しかったんだけどねー」
などとルシウスが言うので気になること気になること。
楽しかったということは、例の大好きなお兄ちゃんネタに違いない。
美味しいサーモンパイを食べながら、大人たちはビールや赤ワインなどとともに、ルシウスの話を聞くことにした。
「ううん、サーモンパイは一族なら皆作れるように習うよ。美味しいもん」
ざくー
一匹めのサーモンパイはあっという間になくなった。中身がスモークサーモンだけのやつだ。
料理人のオヤジさんが二匹めを切り分けてくれる。
こちらは同じくスモークサーモン、炊いたピラフ、ブロッコリーやインゲン、ニンジンなどを柔らかく茹でたものに、ハーブのディル入りのクリームチーズが入ったものだった。
層になっていて、一匹めのものより分厚い。
「えっ。もしやルシウス君も料理男子ですか!?」
期待の眼差しで受付嬢クレアが見つめてくる。
「うん。サーモンパイと、簡単なものなら。うち、数年前にすごい貧乏になったことがあって。そのとき必要に迫られて覚えたんだよね」
「「「貧乏ってマジで!?」」」
これにはギルマスたちギルド職員や冒険者たちは皆驚いた。
そういえば、たまにそんなことを言っていた気がする。
ルシウス本人を見ていると、このお子さんがとても育ちの良いことがよくわかる。
家庭環境に恵まれていて、かつ与えられてきた教育の質が良いことも読み取れる。
それは即ち、それだけ教育費をかけられる裕福な家庭で育ったことを意味する。
それに、配送費の高額な飛竜便をアケロニア王国の王都と、ここココ村支部を繋ぐ路線として確保しているのが、ルシウスのパパ、リースト伯爵メガエリスだ。
飛竜便は、飛竜自身の自重と同じぐらいの重量の荷物までなら、腹部に括り付けるコンテナに入れて配送が可能。
配送費は、この距離なら通常、往復で大金貨一枚(約20万円)が軽く吹っ飛ぶ。
この飛竜便を使って、ルシウスはおうちの人と週に一度は手紙のやりとりをしている。
他にはルシウスが討伐して魔法樹脂に封入した食用可能なお魚さんモンスター(生)などを送るのにも使っていた。
「貧乏って、今はそんなことないんだよな……?」
髭面大男のギルマス、カラドンが恐る恐る尋ねてきた。
ルシウスのおうちリースト伯爵家というのは、魔法剣士の家であるだけでなく、魔法全般の大家だ。
領地では魔法薬のポーションなどを製造していて、ルシウスのパパはそれら魔法薬をルシウスがココ村支部に常駐している期間のみという条件付きで、市価の半値で卸してくれていた。
めちゃ助かっていた。
もしや、ものすごい負担をかけていたりするのだろうか?
「それは平気。とっくに持ち直してるから。でもあのときは大変だったなー。楽しかったんだけどねー」
などとルシウスが言うので気になること気になること。
楽しかったということは、例の大好きなお兄ちゃんネタに違いない。
美味しいサーモンパイを食べながら、大人たちはビールや赤ワインなどとともに、ルシウスの話を聞くことにした。
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