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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中

とりあえず鑑定

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「ねえヨシュアさん。じゃああなたは、呪詛で1に落ちていた幸運値がリンク覚醒で元々の3に戻ったってこと?」
「恐らくは」
「覚醒ハイが終了したらまた1に戻っちゃうのかしら」
「それは……」

 アイシャの疑問には神人ピアディが答えた。アイシャの手の中からテーブルを越えて再び鮭の人に戻り、彼の腕によじよじとよじ登って肩に登頂して満足げにぷぅっと息を吐いている。

「ぷぅ(しんぱいごむようなのだ。われの寵愛のあとおしで、もはや呪詛などおそるるにたらず)」
「だそうです」
「良かった。ピアディちゃん、今後もヨシュアさんを頼みましたよ?」
「ぷぅ(たのまれずともなのだー)」

 小さなウパルパ装備は今後も継続のようだ。

「となると、あとはカズンか」

 ユーグレンが難しい顔で腕を組んだ。

「カズンの魔力値は確かに低かった。アケロニア王族は魔法の才はないが、勇者の末裔ゆえ平均の5は必ず持って生まれると聞いている。……そうか、カズンの魔力値2は呪詛の……」
「あれ、ならさ、俺の飯マズと同じで聖剣持ったり聖なる魔力をかけて貰ったら一時的にでも解呪できたりしないかな?」
「!?」

 その手があったか、とトオンの指摘に皆が目を見張ったところに、厨房で皆の話に聞き耳を立てていたのだろうカズンが慌てて戻ってきた。
 手にはカーナ姫から授けられた聖剣魚切り包丁の入った革ホルダーを持っている。

「ユーグレン! トオン! お前たちの人物鑑定スキルで僕を見てくれ、この包丁効果で呪詛は解けてるか!?」
「お前なあ、カズン。自分だって中級持ちだろうに」
「カズン。自分でもわかってると思うけど、ダメ押ししてほしいならもちろん鑑定させてもらうよ……」

 トオンとユーグレンは顔を見合わせた後、一呼吸して自分たちの胸回りにリンクを出した。
 トオンは白いリンクに瞳と同じ蛍石の薄緑色の魔力が、ユーグレンは真紅の魔力を帯びている。

「す、ステータスオープン」

 カズンが震える声で自分のステータスを空中に表示させた。

「「人物鑑定スキル、発動」」

 カズンのステータスはなかなか癖が強い。
 本名はアルトレイ女大公令息カズン。アルトレイ女大公というのが彼の母になる。いずれは帰国して母親の後を継いだら彼が大公となって、国王に即位した後のユーグレンを支えるのだろう。

 称号や職業欄には、魔術師、バランサー、冒険者ランクBが並んでいる。
 そこにグレーで薄っすらと〝勇者〟とあるが、まだ潜在状態で顕在化まではしていない。

 保有スキルには人物鑑定スキル中級、防具作成(バックラー)、調理スキル中級(飯ウマ)、剣士初級がある。

 目当てのステータス値はその下だ。

体力 5
魔力 2
知力 6
人間性 7
人間関係 7
幸運 6

「む? おい、ちょっと包丁を離してみろ」

 人物鑑定の上級持ちのユーグレンに指示され、カズンは黙って革のショルダーごと魚切り包丁をテーブルに置いた。

「また持ってみろ」
「何なんだ? 何かあるのか?」

 怪訝そうな顔をしながら、魚切り包丁のショルダーを肩に掛けた。

「魔力値の欄に注意書きが増えたぞ」
「あ、本当だ。『(※元は10、呪詛により低下)』おおー」

 そんな男三人の様子を見守っていたアイシャは微笑んで、ブラウスの胸元を軽く叩いた。

「私の出番かしら?」







※ユーグレンの前世?が登場する最新作の「異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ」もよろしくお願いします😃
あっちにもふつーに出てきますw
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