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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中
聖女アイシャ、しごできの洗礼を受ける
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「リースト家の者たちの秘密はですね……」
鮭の人がまず語ってくれたのは、彼の祖父であり、ルシウスの父親にあたる人物の話だった。
「我が祖父はメガエリスといいまして、女嫌いのせいでものすごい晩婚だった方です。でも結婚後は妻を溺愛して、オレの父やルシウス叔父様、孫のオレもとても可愛がってくれました」
「典型的なマイホームパパだったんだ。ヨシュアの幼馴染みだった僕にも親切で、いろいろ世話になったものだ」
カズンが懐かしげな顔になっている。メガエリス卿との思い出があるようだ。
「祖父メガエリスは当時の先王、……ええ、カズン様のお父上ヴァシレウス大王の幼馴染みにして側近でもありました。加えて、魔道騎士団の団長、顧問を歴任する軍部のお偉いさんだったんです」
「すごいね。それアケロニア王国の相当の重鎮じゃないか」
「そう、今は侯爵家ですが当時はまだ一伯爵家に過ぎなかったにも関わらず、リースト家の当主の上、そういった社会的に重要な地位に就いていた人物でして。――必然的に毎日とても忙しい」
どうやらここからが本題らしい。
「でもオレは祖父の生前、毎日ほとんど必ず朝も夜も家で一緒に食事してました」
「え?」
「どういうこと?」
祖父と孫が同じ食卓を囲む。そこには何の不思議もないはずだ。
「オレが生まれた頃には現役を引退してましたけど、顧問としてそれなりに忙しかったはずなんです。でも父や叔父様に言わせると、現役時代から滅多に残業もしてなかったって」
「定時退勤ってことですか?」
「そうです。休日出勤の要請も多かったはずなのに、休みの日もきっちり確保してたそうで」
たまに自宅まで部下が訪ねてくることもあったそうだが、稀だったという。
「物事の優先順位が明確なんです。自分にとって大切なものが一番。そのために人を使うのが……というか人に仕事を振るのが上手いんですよね」
「ああ、だから仕事ができるってことなんだ。家族と過ごす時間を確保するために」
「そうそう。『家族が最優先』を実現するために、とにかく仕組み作りを頑張ったそうです。今のオレが余裕有りに見えるのは祖父の教えのお陰ですね」
と言って鮭の人は隣に座っていたカズンを見て麗しく微笑んだ。わかりやすい。
「聖女様。いえ、アイシャ様。想像してください。聖女たるあなたにはたくさんの人々の期待が寄せられ、義務も多いことでしょう」
「……ええ」
元々、聖女アイシャに休みはほとんどなかった。国を護り魔物と戦う以外の時間は、国内の慰問や視察といった公務続きだったためだ。
今でも旧王都の首都を中心に慰問は毎週続けているし、新設された聖竜騎士団の準備や訓練指導も少しずつ始めていた。
首脳部の主だった会議へも、要請を受ければほぼ参加している状態だ。
他にも、聖女への相談や説法の依頼は常にある。
ただし、まだ『聖女投稿事件』の頃のダメージから回復しきってないからと、以前の数割程度の負担に留めてはいたけれど。
外出頻度も週の半分以下だ。
実際、止まってしまったままの月経はまだ戻っていなかった。体調の悪い自覚がないだけで、コンディションはあまり良くないと薬師スキル持ちの料理人ゲンジからも指摘を受けている。
「何も疎かにはできません。でも、だからこそ効率的に義務や責務をこなし、余暇を確保すべきです。そうして得られた自由時間に」
と鮭の人は今日一緒に古書店まで連れてきて、テーブルの上で遊んでいた神人ピアディと、合わせて小型化していた子守りの綿毛竜ユキノをまとめて胸に抱き込んだ。
「可愛い癒したちと一緒に遊べますよ?」
「!?」
「はい、そうです」
衝撃を受けるアイシャに、鮭の人は厳かに頷いた。
「思う存分。ぷにっと、もふもふ」
「ぷぅ?」
「ピュイ?」
「………………」
不思議そうに鮭の人の胸元から小首を傾げる神人ピアディのウルトラマリンの大きな目と、ユキノ君のガーネットのこれまた大きな目がアイシャを見上げている。
きゅるんとした無邪気なお目々の何と……何と……
駄目だ、可愛い。可愛すぎる。
この誘惑には勝てない。
そ、っと鮭の人から可愛い二体を受け取った。
「それこそが、仕事ができる有能な者の特権。さあ、オレと一緒に目指しましょう、あなたも〝しごでき〟に!」
「イエス、しごでき!」
「しごでき!」
笑い合う鮭の人とアイシャに、突っ込む者などここにはいなかった。
「そうだよね。最初からそう考えて動くなら、普段は忙しくてもデートの時間確保とか余裕だもんね」
トオンもなるほどなるほどと頷いている。
もうすっかり、自分も同じような〝しごでき〟男を目指す顔になっている。
反面、鮭の人のご高説に微妙な顔になっているのは付き合いの長いカズンとユーグレンだ。
「裏を返せば、義務と責務以上のことはやらんぞ宣言でもあるわけだが……ははは」
「リースト家は今も昔も〝中の上〟レベルに家格と経済力を保つ一族と聞いていたが。なるほど、実態はこういうことだったか……」
元々、美しく賢く優秀だが、とても面倒くさい気質の一族だとアケロニア国内では知られている。
「放っておいたら間違いなく、ずっとカズンの側にいただろうに。こうなるとヨシュアを宰相に任じたピアディ殿は慧眼と言わざるを得んな」
あのルシウスや、神人ジューアすら身内扱いの鮭の人にとって、逆らいにくい上位者からの命令だ。
そして実際、カーナ神国の新宰相様として文句なしの働きを見せている。
「私も、頑張らなければ」
ぽつんとユーグレンが小さく呟いた。
今はまだ故郷の母女王から滞在許可を得ているが、いつ帰国命令が出るかわからない不安定な立場だった。
鮭の人がまず語ってくれたのは、彼の祖父であり、ルシウスの父親にあたる人物の話だった。
「我が祖父はメガエリスといいまして、女嫌いのせいでものすごい晩婚だった方です。でも結婚後は妻を溺愛して、オレの父やルシウス叔父様、孫のオレもとても可愛がってくれました」
「典型的なマイホームパパだったんだ。ヨシュアの幼馴染みだった僕にも親切で、いろいろ世話になったものだ」
カズンが懐かしげな顔になっている。メガエリス卿との思い出があるようだ。
「祖父メガエリスは当時の先王、……ええ、カズン様のお父上ヴァシレウス大王の幼馴染みにして側近でもありました。加えて、魔道騎士団の団長、顧問を歴任する軍部のお偉いさんだったんです」
「すごいね。それアケロニア王国の相当の重鎮じゃないか」
「そう、今は侯爵家ですが当時はまだ一伯爵家に過ぎなかったにも関わらず、リースト家の当主の上、そういった社会的に重要な地位に就いていた人物でして。――必然的に毎日とても忙しい」
どうやらここからが本題らしい。
「でもオレは祖父の生前、毎日ほとんど必ず朝も夜も家で一緒に食事してました」
「え?」
「どういうこと?」
祖父と孫が同じ食卓を囲む。そこには何の不思議もないはずだ。
「オレが生まれた頃には現役を引退してましたけど、顧問としてそれなりに忙しかったはずなんです。でも父や叔父様に言わせると、現役時代から滅多に残業もしてなかったって」
「定時退勤ってことですか?」
「そうです。休日出勤の要請も多かったはずなのに、休みの日もきっちり確保してたそうで」
たまに自宅まで部下が訪ねてくることもあったそうだが、稀だったという。
「物事の優先順位が明確なんです。自分にとって大切なものが一番。そのために人を使うのが……というか人に仕事を振るのが上手いんですよね」
「ああ、だから仕事ができるってことなんだ。家族と過ごす時間を確保するために」
「そうそう。『家族が最優先』を実現するために、とにかく仕組み作りを頑張ったそうです。今のオレが余裕有りに見えるのは祖父の教えのお陰ですね」
と言って鮭の人は隣に座っていたカズンを見て麗しく微笑んだ。わかりやすい。
「聖女様。いえ、アイシャ様。想像してください。聖女たるあなたにはたくさんの人々の期待が寄せられ、義務も多いことでしょう」
「……ええ」
元々、聖女アイシャに休みはほとんどなかった。国を護り魔物と戦う以外の時間は、国内の慰問や視察といった公務続きだったためだ。
今でも旧王都の首都を中心に慰問は毎週続けているし、新設された聖竜騎士団の準備や訓練指導も少しずつ始めていた。
首脳部の主だった会議へも、要請を受ければほぼ参加している状態だ。
他にも、聖女への相談や説法の依頼は常にある。
ただし、まだ『聖女投稿事件』の頃のダメージから回復しきってないからと、以前の数割程度の負担に留めてはいたけれど。
外出頻度も週の半分以下だ。
実際、止まってしまったままの月経はまだ戻っていなかった。体調の悪い自覚がないだけで、コンディションはあまり良くないと薬師スキル持ちの料理人ゲンジからも指摘を受けている。
「何も疎かにはできません。でも、だからこそ効率的に義務や責務をこなし、余暇を確保すべきです。そうして得られた自由時間に」
と鮭の人は今日一緒に古書店まで連れてきて、テーブルの上で遊んでいた神人ピアディと、合わせて小型化していた子守りの綿毛竜ユキノをまとめて胸に抱き込んだ。
「可愛い癒したちと一緒に遊べますよ?」
「!?」
「はい、そうです」
衝撃を受けるアイシャに、鮭の人は厳かに頷いた。
「思う存分。ぷにっと、もふもふ」
「ぷぅ?」
「ピュイ?」
「………………」
不思議そうに鮭の人の胸元から小首を傾げる神人ピアディのウルトラマリンの大きな目と、ユキノ君のガーネットのこれまた大きな目がアイシャを見上げている。
きゅるんとした無邪気なお目々の何と……何と……
駄目だ、可愛い。可愛すぎる。
この誘惑には勝てない。
そ、っと鮭の人から可愛い二体を受け取った。
「それこそが、仕事ができる有能な者の特権。さあ、オレと一緒に目指しましょう、あなたも〝しごでき〟に!」
「イエス、しごでき!」
「しごでき!」
笑い合う鮭の人とアイシャに、突っ込む者などここにはいなかった。
「そうだよね。最初からそう考えて動くなら、普段は忙しくてもデートの時間確保とか余裕だもんね」
トオンもなるほどなるほどと頷いている。
もうすっかり、自分も同じような〝しごでき〟男を目指す顔になっている。
反面、鮭の人のご高説に微妙な顔になっているのは付き合いの長いカズンとユーグレンだ。
「裏を返せば、義務と責務以上のことはやらんぞ宣言でもあるわけだが……ははは」
「リースト家は今も昔も〝中の上〟レベルに家格と経済力を保つ一族と聞いていたが。なるほど、実態はこういうことだったか……」
元々、美しく賢く優秀だが、とても面倒くさい気質の一族だとアケロニア国内では知られている。
「放っておいたら間違いなく、ずっとカズンの側にいただろうに。こうなるとヨシュアを宰相に任じたピアディ殿は慧眼と言わざるを得んな」
あのルシウスや、神人ジューアすら身内扱いの鮭の人にとって、逆らいにくい上位者からの命令だ。
そして実際、カーナ神国の新宰相様として文句なしの働きを見せている。
「私も、頑張らなければ」
ぽつんとユーグレンが小さく呟いた。
今はまだ故郷の母女王から滞在許可を得ているが、いつ帰国命令が出るかわからない不安定な立場だった。
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