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第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン
鮭の人無双
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鮭の人ことリースト侯爵ヨシュアは、新生カーナ神国で思う存分に手腕を発揮した。
恵まれた麗しの容貌はもちろん、教養ある高位貴族らしい恵まれた言語能力、豊富な話題、誰をも魅了するプレゼン能力。
癖の多い旧カーナ王国の面々、主に今は共和制実現会議のメンバーとなった人々の歓心を一気にさらうほど巧みな処世術に誰もが舌を巻いた。
そんなヨシュアは、公式にカーナ神国の象徴元首となったピアディの元で政務顧問へと就任し、国内外に告知された。
これは神人ピアディが彼を寵愛していることも大きな後押しとなっている。
「ゆくゆくは宰相位に就いていただくのが良いでしょうな」
これで自分も引退して肩の荷が下ろせる、と旧カーナ王国の宰相だったベルトラン侯爵が安堵した。
共和国の初代代表候補の筆頭だった彼の息子も、否やは無いそうだ。むしろヨシュアの補佐官に積極的に立候補していた。
「こうなってみると、この国に必要なのは腹芸ができる者だったということなのだな……」
しみじみとユーグレン王太子が呟いた。
彼もアイシャたちにたくさん助言をしてくれていたものの、蓋を開けてみればほとんどが鮭の人一人が存在することで済んでしまっている。
「ははは……まさかこんなに物事があっさり進むなんて」
「鮭の人はやっぱり偉大だわ」
トオンはアイシャと一緒になってヨシュアを拝む勢いだった。このようにして更に鮭の人信仰が強固になっていく。
ヨシュアは先日、地下ダンジョン内で満身創痍だった叔父の元にカズンと一緒に駆けつけ、その後神人ピアディの復活と〝さいあい〟認定を受けた後、速攻で母国アケロニア王国と連絡を取っている。
まずは臣下として仕える王家の女王に、カーナ神国での事情説明と、リースト侯爵家の当主の座と爵位を本家筋の後継者に継承することの申請を。
許可はすぐに出たが、ルシウスに続いてヨシュアまでカーナ神国に帰化する許可は降りなかった。一度はアケロニア王国に戻って、直接女王と交渉する必要があるそうだ。
「本当に大丈夫? ヨシュアさん。この国で私たちを助けてくれるのはありがたいけど、お国での立場が悪くなってしまうのでは?」
「ああ、まあ……うん、大丈夫。ここにはカズン様もいるしね」
それを聞いた者は察した。
それ、大丈夫じゃないのを大丈夫にするやつだ、と。
かといって、今ここでヨシュアがいなくなるとカーナ神国が回らなくなる。
彼自身の価値は、大魔道士に覚醒したことも大きかったが、強大なアケロニア王国の元侯爵で、魔法の大家の本家の元当主として経済的なバックボーンが強く太い。
事業や投資ノウハウを持っているのだ。これは今後の国の発展に大いに役立つ。
本人と叔父ルシウス両方の広い人脈を駆使できるのも強かった。大国の高位貴族の彼らは円環大陸全土に知己がいる。
その叔父ルシウスは比類なきハイヒューマンで聖剣の聖者であり、ついには神人にまで進化した。
ルシウス本人は現状、カーナ神国がテリトリーとなっていて、国外に出られない。甥のヨシュアはそんなルシウスのお世話係兼お目付け役でもある。
何よりルシウスは、既に『聖女アイシャの師匠』として国内で新聞や、以前は教会、教会が閉鎖された後は神殿主導の儀式行事のたびに人々に紹介されて顔も名前を知られている。
その甥ということで、ヨシュアも人々に紹介され、わりとすんなり国民に受け入れられた。
神人は永遠の国が種々の特権を定めている。
さすがの故郷の女王も、ルシウスのほうは国籍と爵位の返上と、カーナ神国への移住と帰化を却下はできなかったそうだ。
「多分、女王陛下が手放したくないのは叔父様のほうでしょうね。代わりにオレを通して手綱を着けておきたいのでしょう」
「それもあるだろうが、アケロニア王家とリースト家は仲が良いだろう? 心配してくださってるのではないか?」
「そうですかねえ?」
さすがにこの状態のカーナ神国その他を放置したまま、再び旅には出られない。
カズンもしばらくは留まってアイシャたちの手助けをしてくれるそうだ。
恵まれた麗しの容貌はもちろん、教養ある高位貴族らしい恵まれた言語能力、豊富な話題、誰をも魅了するプレゼン能力。
癖の多い旧カーナ王国の面々、主に今は共和制実現会議のメンバーとなった人々の歓心を一気にさらうほど巧みな処世術に誰もが舌を巻いた。
そんなヨシュアは、公式にカーナ神国の象徴元首となったピアディの元で政務顧問へと就任し、国内外に告知された。
これは神人ピアディが彼を寵愛していることも大きな後押しとなっている。
「ゆくゆくは宰相位に就いていただくのが良いでしょうな」
これで自分も引退して肩の荷が下ろせる、と旧カーナ王国の宰相だったベルトラン侯爵が安堵した。
共和国の初代代表候補の筆頭だった彼の息子も、否やは無いそうだ。むしろヨシュアの補佐官に積極的に立候補していた。
「こうなってみると、この国に必要なのは腹芸ができる者だったということなのだな……」
しみじみとユーグレン王太子が呟いた。
彼もアイシャたちにたくさん助言をしてくれていたものの、蓋を開けてみればほとんどが鮭の人一人が存在することで済んでしまっている。
「ははは……まさかこんなに物事があっさり進むなんて」
「鮭の人はやっぱり偉大だわ」
トオンはアイシャと一緒になってヨシュアを拝む勢いだった。このようにして更に鮭の人信仰が強固になっていく。
ヨシュアは先日、地下ダンジョン内で満身創痍だった叔父の元にカズンと一緒に駆けつけ、その後神人ピアディの復活と〝さいあい〟認定を受けた後、速攻で母国アケロニア王国と連絡を取っている。
まずは臣下として仕える王家の女王に、カーナ神国での事情説明と、リースト侯爵家の当主の座と爵位を本家筋の後継者に継承することの申請を。
許可はすぐに出たが、ルシウスに続いてヨシュアまでカーナ神国に帰化する許可は降りなかった。一度はアケロニア王国に戻って、直接女王と交渉する必要があるそうだ。
「本当に大丈夫? ヨシュアさん。この国で私たちを助けてくれるのはありがたいけど、お国での立場が悪くなってしまうのでは?」
「ああ、まあ……うん、大丈夫。ここにはカズン様もいるしね」
それを聞いた者は察した。
それ、大丈夫じゃないのを大丈夫にするやつだ、と。
かといって、今ここでヨシュアがいなくなるとカーナ神国が回らなくなる。
彼自身の価値は、大魔道士に覚醒したことも大きかったが、強大なアケロニア王国の元侯爵で、魔法の大家の本家の元当主として経済的なバックボーンが強く太い。
事業や投資ノウハウを持っているのだ。これは今後の国の発展に大いに役立つ。
本人と叔父ルシウス両方の広い人脈を駆使できるのも強かった。大国の高位貴族の彼らは円環大陸全土に知己がいる。
その叔父ルシウスは比類なきハイヒューマンで聖剣の聖者であり、ついには神人にまで進化した。
ルシウス本人は現状、カーナ神国がテリトリーとなっていて、国外に出られない。甥のヨシュアはそんなルシウスのお世話係兼お目付け役でもある。
何よりルシウスは、既に『聖女アイシャの師匠』として国内で新聞や、以前は教会、教会が閉鎖された後は神殿主導の儀式行事のたびに人々に紹介されて顔も名前を知られている。
その甥ということで、ヨシュアも人々に紹介され、わりとすんなり国民に受け入れられた。
神人は永遠の国が種々の特権を定めている。
さすがの故郷の女王も、ルシウスのほうは国籍と爵位の返上と、カーナ神国への移住と帰化を却下はできなかったそうだ。
「多分、女王陛下が手放したくないのは叔父様のほうでしょうね。代わりにオレを通して手綱を着けておきたいのでしょう」
「それもあるだろうが、アケロニア王家とリースト家は仲が良いだろう? 心配してくださってるのではないか?」
「そうですかねえ?」
さすがにこの状態のカーナ神国その他を放置したまま、再び旅には出られない。
カズンもしばらくは留まってアイシャたちの手助けをしてくれるそうだ。
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