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第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン
カーナ王国の正統後継者
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ダンジョン生成の際、内部に取り込まれてしまった邪悪な古代生物の化石だった本体は、黒髪の青年の亡骸だった。
今はルシウスが最初に魔法樹脂に封入した状態のまま、神殿に安置している。
ダンジョン踏破後、神殿の大神官アウロラの指示があった。
地下ダンジョンの、今は聖剣が突き刺さる最深部に亡骸を埋葬して、護摩を焚くという。
「今なら永遠の国から神人カーナ様を召喚できまする」
だがその準備を行おうと、アウロラを始めとした神官やアイシャたちがダンジョン内、深奥部に集まったところで異変が起きた。
新鮮な桃に似た甘やかな香りが漂うと同時に、突然、聞き覚えのない軽やかな男の声が聞こえた。
「その必要はない」
地下空間に虹色を帯びた真珠色の魔力が溢れて、一瞬だけ皆の視界を遮った。
と思った次の瞬間には、広い地下空間を覆うほど巨大な黄金の龍が高い天井一面を覆っていて、アイシャたちは度肝を抜かれた。
「り、龍ううっ!?」
気づくと、黒髪で琥珀の瞳を持つ、優美な顔立ちの青年が立っている。神官の装束に似た白い聖衣姿だ。
彼は祭壇前に安置された魔法樹脂の中の人物を見て、ぽつりと呟いた。
「……トオン」
「えっ?」
自分のことか? と自分を指差したトオンだが、神人カーナの琥珀色の瞳は魔法樹脂の亡骸に向けられたままだ。
「遅い、カーナ」
「ジューア」
神人ジューアが少し怒っている。
「ね、ねえアイシャ。この方がカーナ……姫?」
「ご本人がそう名乗ってるし、間違いない……と思う……わ?」
ひそひそ小声でアイシャとトオンが話していると、当の神人カーナはにっこり笑って二人の疑問に答えてくれた。
「私は竜人族と一角獣人族のハーフでね。蛇体を持つ龍になった後は、男性に。一角獣になった後は」
「「あっ!?」」
目の前で瞬時に仔馬サイズの白い一角獣に変わった優美な青年は、今度は十代後半ほどの少女の姿になった。
黒髪と琥珀の瞳、顔立ちは同じ。着ていた白い聖衣は女性用に装飾などが少し変化している。
「こうして女性になるわけだ」
「「な、なるほど……?」」
目の前で獣の姿に変わる存在は初めて見た。
「カーナの時代にはこういう体質の持ち主が他にもいたらしい。今では貴重な生態だな」
とは神人ジューアのお言葉だ。なお彼女は神人カーナの友人でもあるそうだ。
「姫と呼ばれていた私しか知らないなら、この国にいるときは女性の形でいよう。そのほうが話が早いだろうからね」
そう言う神人カーナ、いやカーナ姫は男性のときより少しだけ黒髪が伸びている。アイシャと同じオカッパに似たショートボブだ。
並んでいると年の近い姉妹に見えなくもない。
さて、カーナ姫はカーナ王家が倒れる日を待っていたと言った。
ようやく安全にカーナ王国に立ち入ることが可能となったことで、かつての息子に会いに来たそうだ。
実に数十万年振りの再会と聞いて、アイシャたちは悠久の年月に目眩がしそうになった。
「我が息子の名はトオン。君の名の元になった者の一人だ」
「は、はい」
アイシャやトオンのことも把握されている。
特にトオンの名前は、カーナ王国の初代国王と同じだ。ということは祖先もカーナ姫の息子の名前から取ったことになる。
実の息子だという魚人トオンの亡骸にカーナ姫が指先で触れた。
すると封入していた魔法樹脂は溶けて、魚人の亡骸からたくさんの、色も大小も様々な光の球体が飛び出してきた。
広いはずの地下ダンジョン最奥の間はあっという間に光の球で埋め尽くされる。
咄嗟にアイシャが前に出てトオンたちを背後に庇い、その光の球が及ばぬよう結界を張った。
だが危険はなさそうと判断して、すぐに解いた。
光の中にはそれぞれ半透明の魚が入っている。それらを見てカーナ姫が辛そうな、泣きそうな顔をしている。
「かつての魚人族の国の民たちだ。ようやく解放できた。……長かったよ」
「ぷぅ」
場にそぐわない、気の抜けた、鳴き声とも吐息ともいえない音がした。
見れば、その場にあった光の球体はすべて消えている。
床に、子供の頭くらいの透明なボールが半分に割れて転がっていた。何か魔導具のようだ。
そこから虹色の光を帯びた、半透明でベビーピンク色をしたサラマンダーの幼生がよちよちと覚束ない足取りで、集まる皆のところに歩いてきた。
サラマンダーは両生類のサンショウウオに似た魔物だ。
大きさは十五センチほど。アイシャの手より小さい。魔物とはいえ特に害意はなさそうだ。
サラマンダーはしばらく皆の見守る中、一同をそれぞれ見ては短い首を傾げることを数度繰り返した。
その後で、またよちよちと短い四肢で歩いてルシウスの前で止まった。
「?」
しばし見つめ合った後、ルシウスはサラマンダーをひょいっと掬い上げて手のひらに乗せた。
ルシウスに持ち上げられた瞬間、ぽんっと音を立ててサラマンダーは人間の幼児に変わった。
緩い癖毛の金髪で、海の色を切り取ったような鮮やかな青色の瞳を持っている。二歳半ぐらいの愛らしい子供だ。
「おとうたん」
「!?」
にぱっと無邪気な笑顔でルシウスをそう呼んだ。
「これ、創成の揺籠で間違いない? カーナ」
「ああ。息子が飲み込んだ腹の中で稼働してたみたいだな」
床に落ちて割れた球体を、魔導具師でもあるジューアが検証している。
アイシャたちにはよくわからない話だったが、詳しいことは後でも良いだろう。
「それでその、……この生き物はいったい?」
「魚人だった我が息子が飲み込んだ……古の魚人たちの魂に守られて、生き延びていた最後の魚人族」
「ということは」
「この地の正統継承者ではないか! お前、名前は?」
ジューアが訊ねたが、再びぽんっと音を立てて、幼児はサラマンダーの姿に戻った。人間の姿を保つ魔力が保たなかったようだ。
「ぷぅ」
「まだ生まれてなかった子だ。名前はない」
「そうですか。ならば新しく名付けるか」
ついでに、意思の疎通が図れるようにルシウスが言語翻訳のスキル付与を行った。
すると、何と。
「ぷぅ~」(フハハハハ、愚民どもめ! 我が偉大なる魚人族のしもべとして馬車馬の如く働くが良いぞ!)
「「「「「!????」」」」」
まさかの暴君系ハイヒューマンがきた!
ジューアがおもむろにサラマンダーのベビーピンクの身体をむんずと掴んだ。
「お前。あまり舐めた口を叩いていると串刺しにして焼いて食べてしまうぞ?」
「ぷぅ!?」(なんだと!? この野蛮な魔人族め!)
どうも二人の相性はいまいちのようだ。
「あの頃、創成の揺り籠の中にいた赤ん坊ならば夫の弟妹。私にとっても義理の弟妹になる」
「ぷぅ(カーナたん?)」
つぶらな瞳でサラマンダーがカーナ姫を見上げる。
「私のことは覚えているようだね。魚人族は家族や親しい者から名前を貰うことが多いんだ。君の兄はクレイス=トオンといった。両親の名前は覚えてる? 父君はソロモン、母君はピアディ」
「ぷぅ!」
「ならピアディ=カーナ。私の名も一緒に受け継いでおくれ」
※神人カーナは「夢見の女王」初出。
サラマンダーピアディはウーパールーパーみたいな見た目です。
今はルシウスが最初に魔法樹脂に封入した状態のまま、神殿に安置している。
ダンジョン踏破後、神殿の大神官アウロラの指示があった。
地下ダンジョンの、今は聖剣が突き刺さる最深部に亡骸を埋葬して、護摩を焚くという。
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だがその準備を行おうと、アウロラを始めとした神官やアイシャたちがダンジョン内、深奥部に集まったところで異変が起きた。
新鮮な桃に似た甘やかな香りが漂うと同時に、突然、聞き覚えのない軽やかな男の声が聞こえた。
「その必要はない」
地下空間に虹色を帯びた真珠色の魔力が溢れて、一瞬だけ皆の視界を遮った。
と思った次の瞬間には、広い地下空間を覆うほど巨大な黄金の龍が高い天井一面を覆っていて、アイシャたちは度肝を抜かれた。
「り、龍ううっ!?」
気づくと、黒髪で琥珀の瞳を持つ、優美な顔立ちの青年が立っている。神官の装束に似た白い聖衣姿だ。
彼は祭壇前に安置された魔法樹脂の中の人物を見て、ぽつりと呟いた。
「……トオン」
「えっ?」
自分のことか? と自分を指差したトオンだが、神人カーナの琥珀色の瞳は魔法樹脂の亡骸に向けられたままだ。
「遅い、カーナ」
「ジューア」
神人ジューアが少し怒っている。
「ね、ねえアイシャ。この方がカーナ……姫?」
「ご本人がそう名乗ってるし、間違いない……と思う……わ?」
ひそひそ小声でアイシャとトオンが話していると、当の神人カーナはにっこり笑って二人の疑問に答えてくれた。
「私は竜人族と一角獣人族のハーフでね。蛇体を持つ龍になった後は、男性に。一角獣になった後は」
「「あっ!?」」
目の前で瞬時に仔馬サイズの白い一角獣に変わった優美な青年は、今度は十代後半ほどの少女の姿になった。
黒髪と琥珀の瞳、顔立ちは同じ。着ていた白い聖衣は女性用に装飾などが少し変化している。
「こうして女性になるわけだ」
「「な、なるほど……?」」
目の前で獣の姿に変わる存在は初めて見た。
「カーナの時代にはこういう体質の持ち主が他にもいたらしい。今では貴重な生態だな」
とは神人ジューアのお言葉だ。なお彼女は神人カーナの友人でもあるそうだ。
「姫と呼ばれていた私しか知らないなら、この国にいるときは女性の形でいよう。そのほうが話が早いだろうからね」
そう言う神人カーナ、いやカーナ姫は男性のときより少しだけ黒髪が伸びている。アイシャと同じオカッパに似たショートボブだ。
並んでいると年の近い姉妹に見えなくもない。
さて、カーナ姫はカーナ王家が倒れる日を待っていたと言った。
ようやく安全にカーナ王国に立ち入ることが可能となったことで、かつての息子に会いに来たそうだ。
実に数十万年振りの再会と聞いて、アイシャたちは悠久の年月に目眩がしそうになった。
「我が息子の名はトオン。君の名の元になった者の一人だ」
「は、はい」
アイシャやトオンのことも把握されている。
特にトオンの名前は、カーナ王国の初代国王と同じだ。ということは祖先もカーナ姫の息子の名前から取ったことになる。
実の息子だという魚人トオンの亡骸にカーナ姫が指先で触れた。
すると封入していた魔法樹脂は溶けて、魚人の亡骸からたくさんの、色も大小も様々な光の球体が飛び出してきた。
広いはずの地下ダンジョン最奥の間はあっという間に光の球で埋め尽くされる。
咄嗟にアイシャが前に出てトオンたちを背後に庇い、その光の球が及ばぬよう結界を張った。
だが危険はなさそうと判断して、すぐに解いた。
光の中にはそれぞれ半透明の魚が入っている。それらを見てカーナ姫が辛そうな、泣きそうな顔をしている。
「かつての魚人族の国の民たちだ。ようやく解放できた。……長かったよ」
「ぷぅ」
場にそぐわない、気の抜けた、鳴き声とも吐息ともいえない音がした。
見れば、その場にあった光の球体はすべて消えている。
床に、子供の頭くらいの透明なボールが半分に割れて転がっていた。何か魔導具のようだ。
そこから虹色の光を帯びた、半透明でベビーピンク色をしたサラマンダーの幼生がよちよちと覚束ない足取りで、集まる皆のところに歩いてきた。
サラマンダーは両生類のサンショウウオに似た魔物だ。
大きさは十五センチほど。アイシャの手より小さい。魔物とはいえ特に害意はなさそうだ。
サラマンダーはしばらく皆の見守る中、一同をそれぞれ見ては短い首を傾げることを数度繰り返した。
その後で、またよちよちと短い四肢で歩いてルシウスの前で止まった。
「?」
しばし見つめ合った後、ルシウスはサラマンダーをひょいっと掬い上げて手のひらに乗せた。
ルシウスに持ち上げられた瞬間、ぽんっと音を立ててサラマンダーは人間の幼児に変わった。
緩い癖毛の金髪で、海の色を切り取ったような鮮やかな青色の瞳を持っている。二歳半ぐらいの愛らしい子供だ。
「おとうたん」
「!?」
にぱっと無邪気な笑顔でルシウスをそう呼んだ。
「これ、創成の揺籠で間違いない? カーナ」
「ああ。息子が飲み込んだ腹の中で稼働してたみたいだな」
床に落ちて割れた球体を、魔導具師でもあるジューアが検証している。
アイシャたちにはよくわからない話だったが、詳しいことは後でも良いだろう。
「それでその、……この生き物はいったい?」
「魚人だった我が息子が飲み込んだ……古の魚人たちの魂に守られて、生き延びていた最後の魚人族」
「ということは」
「この地の正統継承者ではないか! お前、名前は?」
ジューアが訊ねたが、再びぽんっと音を立てて、幼児はサラマンダーの姿に戻った。人間の姿を保つ魔力が保たなかったようだ。
「ぷぅ」
「まだ生まれてなかった子だ。名前はない」
「そうですか。ならば新しく名付けるか」
ついでに、意思の疎通が図れるようにルシウスが言語翻訳のスキル付与を行った。
すると、何と。
「ぷぅ~」(フハハハハ、愚民どもめ! 我が偉大なる魚人族のしもべとして馬車馬の如く働くが良いぞ!)
「「「「「!????」」」」」
まさかの暴君系ハイヒューマンがきた!
ジューアがおもむろにサラマンダーのベビーピンクの身体をむんずと掴んだ。
「お前。あまり舐めた口を叩いていると串刺しにして焼いて食べてしまうぞ?」
「ぷぅ!?」(なんだと!? この野蛮な魔人族め!)
どうも二人の相性はいまいちのようだ。
「あの頃、創成の揺り籠の中にいた赤ん坊ならば夫の弟妹。私にとっても義理の弟妹になる」
「ぷぅ(カーナたん?)」
つぶらな瞳でサラマンダーがカーナ姫を見上げる。
「私のことは覚えているようだね。魚人族は家族や親しい者から名前を貰うことが多いんだ。君の兄はクレイス=トオンといった。両親の名前は覚えてる? 父君はソロモン、母君はピアディ」
「ぷぅ!」
「ならピアディ=カーナ。私の名も一緒に受け継いでおくれ」
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