婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

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第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン

古書店の異変

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 まだ仕事のある秘書ユキレラ以外、全員で馬車に乗り、まずはトオンとユーグレンの南地区の古書店へ向かった。
 二人を送った後で残りの面々は北西地区のルシウス邸に戻るつもりでいた。

 魔導具の街頭に照らされた古書店の赤レンガの建物が見えてきたところで異変に気づいた。
 騎士たち数名が建物の前に立っている。

「あっ、聖女様、お帰りなさい!」
「皆さん、どうかしましたか」

 国軍所属の顔見知りの騎士たちだ。まだルシウス邸で世話になっていたアイシャだったが、ひとまずトオンやユーグレンと一緒に馬車を降りた。

「この近辺で不審者が目撃されておりまして。トオンさんの古書店を覗いていたと通報があったので駆けつけたところなのです」
「!」

 古書店には建物自体にトオンの今は亡き母親、初代聖女エイリーの結界や保存魔法がかけられている。
 防犯機能もあるから盗難などの恐れはなかったはずだが。

「何かイヤな感じがするな。ルシウス君」
「ええ。ビクトリノ、姉様をちょっと見ててもらえますか」

 眠ったままの姉ジューアをビクトリノに任せて、ルシウスも馬車を降りた。
 赤レンガの建物の前に立って、じっと二階建ての建物を見上げた。

「トオン、ユーグレン様。二人とも荷物をまとめるように。不審者が捕縛されるまでは私の屋敷へ」

 騎士たちにはアイシャだけでなく、トオンや他国の要人ユーグレン王太子もしばらくルシウス邸で預かると、騎士たちに軍と騎士団それぞれの責任者への伝言を託した。

「念のため、建物には保護魔法をかけておく」

 ルシウスは腰回りに光るリンクを出し、建物の赤レンガに触れた。
 ネオンブルーの聖なる魔力が建物全体を覆って発光させ、やがて光は建物に吸収され消えていった。ルシウス特有の松の樹木の聖なる芳香だけが残っている。

「ルシウスさん。荷物ってどこまでまとめればいい?」
「着替えや武器防具、貴重品すべてだ。自分のリンクのアイテムボックスに入れて、入りきらない分は私のアイテムボックスで預かる」

 元が旅人だったユーグレン王太子はカーナ王国に来たときの荷物と、ここに来てから買い足した下着類ぐらい。
 トオンは身の回りの雑貨と衣服、古書店の帳簿や小金庫、それに母親の形見の小物少々。
 アイシャはルシウス邸に泊まる際に自分の荷物はほとんど持ち運み済みなので特に必要なものはない。

 自分たちのリンク内のアイテムボックスに収まりきらない分は一階の食堂まで持ってきた。

「ルシウスさん?」

 残りの荷物をお願いしようとしたら、ルシウスとアイシャは古書店フロア側にいた。

「一般書は問題ないとして、やはり魔法書の類は持っていくべきだろうな。アイシャ、お前はどう思う?」
「私の直観も反応してるわ。この建物の結界強度からして問題ないはずなんだけど……」

 容量に問題はなくても、魔導具や魔法書などの類は魔力の塊を受け入れるようなものだ。負担が大きい。
 二人は分け合って、古書店にあった〝初代聖女エイリーの遺産〟の書物をアイテムボックス内に収納していった。

「そ、そんなに危険な状況なのですか!?」
「備えあれば憂いなし。私、ビクトリノ、アイシャの三人の危機センサーが反応しているのだ。予防し過ぎってこともあるまい」

 建物や家具はともかく、魔法書の類が破損や汚損でもしようものなら目も当てられない。

 厨房に残っていた食材などはアイシャが魔法樹脂に保存することにした。封入してしまえば時間経過もない。
 もっともここ最近はトオンとユーグレンしかおらず、ほとんど外食中心だったようでナマモノなどは冷蔵庫や保存庫にもほとんどなかった。



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