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第三章 カーナ王国の混迷
第三章 エピローグ
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その日の夜、ルシウスは夢を見た。
師匠の魔術師フリーダヤと聖女ロータスのファミリーが勢揃いの夢だ。
末席のほうには旅に出ているはずのカズンの姿も見える。
「ルシウス様、何やってるのですか……?」
呆れた顔をされてしまった。
一方、薄緑色の長い髪と瞳のローブ姿の優男、魔術師フリーダヤは大きく両手を広げて宣言した。
「さあ、皆。祝おう、新たなハイヒューマンが己の陣地を得た今日という日を!」
「は? テリトリーだって?」
「正確にはダンジョン主かな」
「!?」
まだ報告書は書きかけなのに。
なぜ知っているのか、などと考えても仕方がない。夢だから。
カズンが端正な顔で厳かに頷いている。
「ルシウス様。つまりあなたは、新たなダンジョンを生み出したわけで」
「………………」
「結果、ダンジョンのラスボスとなったわけです」
「まさか、そんな」
とそこへ、ぽんっと軽くルシウスの肩を叩いてくる者がいた。
青銀の髪と湖面の水色の瞳。ルシウスとほとんど同じ麗しの容貌の若い青年だ。
「名実ともに〝魔王〟になりましたね。叔父様」
「ヨシュア!? お前がここにいるということは」
会えたのか。ついに、カズンに。
「ふふふ。オレだってやればできたんです。ね、〝大魔王〟様?」
麗しく笑う最愛の甥っ子を、それでも抱き締めてカズンとの再会を喜ぼうとしたとき、意識が暗転した。
「……ハッ!?」
翌朝、自宅の自室で目を覚ましたルシウスは、じっとりと濡れた寝間着の感触に、眉間に皺を寄せた。
頭がぼんやりとしている。
何やら大量の魔力を使った後のような虚脱感まであるではないか。
「だ、大魔王とはいったい……だ、だが、何か術を使われた感じではないな。夢だ、ただの夢!」
なぜならカズンはまだ旅の途中だし、アイシャたちが〝鮭の人〟と呼んで崇め奉っている甥っ子はそのカズンに全然追いつけておらず、再会できたとの報告もない。
だが、その夢が正夢だったことはすぐ判明した。
ルシウスのミスで王城地下に発生したダンジョンは、至急冒険者ギルドが調査したところ、Sランクであることが判明した。
カーナ王国に三ヶ所めのダンジョンの爆誕である。
ダンジョンボスは恐れていた通り、ルシウスが油断している間に取り込まれた神人カーナの息子の亡骸だ。
中に別の魔物か何かの魂が入り込んで、そのままダンジョンの主となってしまったようだ。
「弟よ。お尻ぺんぺん、されたいの?」
悪戯する子にはお仕置きしないとね。
にっこり笑う姉、神人ジューアの笑顔が怖かった。
→第四章「出現! 難易度SSSの新ダンジョン」へ続く。今度こそ!
逃げてルシウス様w
※次章、鮭の人がついに……!
師匠の魔術師フリーダヤと聖女ロータスのファミリーが勢揃いの夢だ。
末席のほうには旅に出ているはずのカズンの姿も見える。
「ルシウス様、何やってるのですか……?」
呆れた顔をされてしまった。
一方、薄緑色の長い髪と瞳のローブ姿の優男、魔術師フリーダヤは大きく両手を広げて宣言した。
「さあ、皆。祝おう、新たなハイヒューマンが己の陣地を得た今日という日を!」
「は? テリトリーだって?」
「正確にはダンジョン主かな」
「!?」
まだ報告書は書きかけなのに。
なぜ知っているのか、などと考えても仕方がない。夢だから。
カズンが端正な顔で厳かに頷いている。
「ルシウス様。つまりあなたは、新たなダンジョンを生み出したわけで」
「………………」
「結果、ダンジョンのラスボスとなったわけです」
「まさか、そんな」
とそこへ、ぽんっと軽くルシウスの肩を叩いてくる者がいた。
青銀の髪と湖面の水色の瞳。ルシウスとほとんど同じ麗しの容貌の若い青年だ。
「名実ともに〝魔王〟になりましたね。叔父様」
「ヨシュア!? お前がここにいるということは」
会えたのか。ついに、カズンに。
「ふふふ。オレだってやればできたんです。ね、〝大魔王〟様?」
麗しく笑う最愛の甥っ子を、それでも抱き締めてカズンとの再会を喜ぼうとしたとき、意識が暗転した。
「……ハッ!?」
翌朝、自宅の自室で目を覚ましたルシウスは、じっとりと濡れた寝間着の感触に、眉間に皺を寄せた。
頭がぼんやりとしている。
何やら大量の魔力を使った後のような虚脱感まであるではないか。
「だ、大魔王とはいったい……だ、だが、何か術を使われた感じではないな。夢だ、ただの夢!」
なぜならカズンはまだ旅の途中だし、アイシャたちが〝鮭の人〟と呼んで崇め奉っている甥っ子はそのカズンに全然追いつけておらず、再会できたとの報告もない。
だが、その夢が正夢だったことはすぐ判明した。
ルシウスのミスで王城地下に発生したダンジョンは、至急冒険者ギルドが調査したところ、Sランクであることが判明した。
カーナ王国に三ヶ所めのダンジョンの爆誕である。
ダンジョンボスは恐れていた通り、ルシウスが油断している間に取り込まれた神人カーナの息子の亡骸だ。
中に別の魔物か何かの魂が入り込んで、そのままダンジョンの主となってしまったようだ。
「弟よ。お尻ぺんぺん、されたいの?」
悪戯する子にはお仕置きしないとね。
にっこり笑う姉、神人ジューアの笑顔が怖かった。
→第四章「出現! 難易度SSSの新ダンジョン」へ続く。今度こそ!
逃げてルシウス様w
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