138 / 292
第三章 カーナ王国の混迷
カーナ王国建国期
しおりを挟む
乾燥した岩地の高台に小さな祠と祭壇がある。
手前の台には盆に載った花や菓子、果物、お茶など飲み物が供物として捧げられていた。
その前で、ラベンダー色の長い髪の女が膝をついて祈りを捧げている。
『ん? ロータスではないか』
女の姿を見たルシウスが声を上げた。
『えっ、まさか聖女ロータス様?』
『円環大陸最強の聖女がなぜここに……』
環使いファミリーの中核人物でもある。
まだアイシャとトオンは会ったことがなかったが、ルシウスは知り合いのようだ。
聖女ロータスの少し後ろに、同じ姿勢で祈っている黒髪の大柄な女性がいた。
『お袋……』
聖女エイリーだ。もっともまだカーナ王国が建国される前ならば、この時点では見習いに過ぎなかったはずだ。
彼女が聖女に覚醒したのはカーナ王国の建国後、そして夫だったはずの国王から家臣へ下げ渡された後のことになる。
祈り終わった頃、新鮮な桃の香りに似た芳香を漂わせて、どこからともなく十代半ばほどに見える少女が現れた。
少年のように短い黒髪と琥珀の瞳の、優美な面立ちの少女だ。
虹色を帯びた真珠色の魔力で全身がほのかに発光している。
「二人とも、トオンに祈りをありがとう」
『えっ、“トオン”って……』
『カーナ様の息子の名前だ。トオンの名前はエイリーが彼から取ったのだろうな』
そんな彼女たちを隠れて窺っている者たちがいる。
彼らのうち、リーダー格の一族の、まだ子供だった少年がやがて成長し、聖女エイリーに求婚した。
金髪と紫の瞳の非常に美しい青年だ。そんな彼からの求婚に、男慣れしていないエイリーはすっかり浮かれてしまっている。
彼とその一族はエイリーを説得して、穢れ地を人の住める土地にするため国を作ることに同意させた。
『これが建国の経緯か。ほとんどお袋を騙して協力させたようなものじゃないか』
トオンが忌々しげに呟く。
聖女見習いで人生を修行に捧げていたエイリーは、美男子から口説かれてすっかり骨抜きだ。
そして当の相手は陰でそんなエイリーを「ちょろいな」と嘲笑っている。
これが自分の祖先かと思うとトオンは堪らない気持ちだった。
『それが彼らの手口よ。私が王家と契約させられたときだって、酷いものだったわ』
アイシャの場合はまだ子供だった頃に王都に連れて来られて、高級な菓子をだしにして誤魔化しと騙しを織り混ぜながら契約を結ばされている。
エイリーは慕っていた聖女ロータスに、国を興したいと願う男から求婚されたことを相談するが、一言〝忠告〟を受けた。
「あの男はやめたほうがいいわ。誠意のない者の目をしている」
だがまだ未熟な聖女見習いだったエイリーは美しい男からの求婚に舞い上がってしまって、興奮したまま、後にカーナ王国始祖となる男と結婚してしまった。
そして聖女ロータスはエイリーと、新国家カーナ王国に見切りをつけて、以後はカーナ王国に来ることはなかった。
カーナ王国の美しき建国王はエイリーと土地の穢れを浄化する契約を改めて結び直している。
かつてエイリーが聖女ロータスと祈りを捧げていた、あのカーナ姫の息子が放つ穢れ処理のために。
だがそれは一方的にエイリーを使い潰すための賎民呪法だった。
建国王は穢れが自分たち王族に及ぶことを厭い、エイリーを名ばかりの王妃にしてその実、婚姻は結ばず王統譜にも載せなかった。
しかし、さすがに聖女を一方的に利用し、その力を搾取することは世界の理が許さなかったと見える。
聖女エイリーの処理の限度を超えたときは、自動的に溢れた分の穢れがカーナ王族に逆流するようになった。
だがそれから何年もかけてカーナ王族が試行錯誤した結果、少しでも聖なる魔力を持つ者がいれば賎民呪法の生贄の〝予備〟にして、エイリーと王族との間の緩衝材にすることに成功する。
調べるとカーナ王国の土地には元々穢れの強い地域だけあって、浄化のために聖なる魔力の持ち主が生まれることがわかった。
彼らを確保するため、国内に誘致した教会組織と結託して、聖なる魔力の持ち主たちを幼いうちから発見させて王都に連れてくるよう促した。
カーナ王族たちは賎民呪法の魔導具の台座に、聖女エイリーや彼女に続く聖なる魔力の持ち主たちの魔力を保存した。
新しく生まれる聖女や聖者たちをスクリーニングする機能を追加し、速やかに賎民呪法の生贄とするための手順を整備していった。
建国王は更に、聖女エイリーの力を利用して、カーナ王国の国境に外界から魔物や魔獣が入り込めないよう、強固な結界を張らせていった。
結果、神獣とはいえ獣人の一種だったカーナ姫は結界に阻まれ、カーナ王国の中に入れなくなってしまった。
あの高台の祠に供えるつもりなのだろう。花を咥えた仔馬サイズの雌の一角獣が空を飛んでいる。
『あれ、この一角獣、カーナ姫と同じ魔力の色だね』
神人は魔力に虹色を帯びるという。カーナ姫は真珠色の魔力を持っていた。
『カーナ様は竜人族の王族だが、母親が一角獣の獣人だ。母方の血を利用して一角獣にもなれたんだ』
だがもはや岩地の高台は整地されて王城の建設が進んでおり、祠も祭壇も撤去されてしまっている。
一角獣が地上に降り立とうとしたとき、空中の一定の高さで弾かれてしまった。
それでも一角獣は何度も何度も試すのだが、どうしても内部に入れない。
白い体毛が焼け焦げて縮れ、咥えていた花も枯れていく様子に、アイシャたちは胸が塞がれるような気分を味わった。
「か、カーナ様。ごめんなさい、ごめんなさい。あたしが愚かだったばかりにこんなことになってしまった!」
結界ギリギリまで近づいて、一角獣から人の姿に戻ったカーナ姫に、中から聖女エイリーが必死で地に伏せて謝っている。
カーナ姫は艶やかな黒髪や装束の端っこが結界に弾かれたときの余波で焦げて縮れていたが、優美な姿は変わらない。
それでも困ったように苦笑いしていた。
「エイリー。大丈夫、君を責めてるわけじゃない。こんな穢れ地に国を建てたのは大した功績だ。私は評価する」
「でも、王が! 王はあなたのご子息様の遺骸を使って邪法の媒体にしてしまった!」
賎民呪法のことだろう。
「エイリー。君のような純朴な女ではあの手の狡猾な者たちには勝てない。さあ、そこを越えて。国の結界の外に出さえすれば、君を絡め取った邪法も無効化されるから」
「行けません。あたしが逃げたらあの人はまた次の生贄を探して犠牲にしてしまう。それにご子息様をこれ以上辱めさせるわけにはいきません……」
「頑固な子だ。それが君の選択なら尊重しよう。聖女エイリーよ」
カーナ姫と別れた後しばらくして、聖女エイリーは建国王から呆気なく捨てられ、臣下に下げ渡された。
だがこれ幸いにと、元夫だった建国王が建てた王城に下女として忍び込み、地下の古代生物の化石への入口を中心に庭園を作って、結界を張ってカーナ王族が入れないようにした。
「ご子息様。いつかもっと力のある者が供養するまで、せめてこの庭に花を絶やさぬよう、この聖女エイリーがお側におります」
この庭園は今も旧王城内にある。
※カーナが登場したということは、次回ついにあのお方が
手前の台には盆に載った花や菓子、果物、お茶など飲み物が供物として捧げられていた。
その前で、ラベンダー色の長い髪の女が膝をついて祈りを捧げている。
『ん? ロータスではないか』
女の姿を見たルシウスが声を上げた。
『えっ、まさか聖女ロータス様?』
『円環大陸最強の聖女がなぜここに……』
環使いファミリーの中核人物でもある。
まだアイシャとトオンは会ったことがなかったが、ルシウスは知り合いのようだ。
聖女ロータスの少し後ろに、同じ姿勢で祈っている黒髪の大柄な女性がいた。
『お袋……』
聖女エイリーだ。もっともまだカーナ王国が建国される前ならば、この時点では見習いに過ぎなかったはずだ。
彼女が聖女に覚醒したのはカーナ王国の建国後、そして夫だったはずの国王から家臣へ下げ渡された後のことになる。
祈り終わった頃、新鮮な桃の香りに似た芳香を漂わせて、どこからともなく十代半ばほどに見える少女が現れた。
少年のように短い黒髪と琥珀の瞳の、優美な面立ちの少女だ。
虹色を帯びた真珠色の魔力で全身がほのかに発光している。
「二人とも、トオンに祈りをありがとう」
『えっ、“トオン”って……』
『カーナ様の息子の名前だ。トオンの名前はエイリーが彼から取ったのだろうな』
そんな彼女たちを隠れて窺っている者たちがいる。
彼らのうち、リーダー格の一族の、まだ子供だった少年がやがて成長し、聖女エイリーに求婚した。
金髪と紫の瞳の非常に美しい青年だ。そんな彼からの求婚に、男慣れしていないエイリーはすっかり浮かれてしまっている。
彼とその一族はエイリーを説得して、穢れ地を人の住める土地にするため国を作ることに同意させた。
『これが建国の経緯か。ほとんどお袋を騙して協力させたようなものじゃないか』
トオンが忌々しげに呟く。
聖女見習いで人生を修行に捧げていたエイリーは、美男子から口説かれてすっかり骨抜きだ。
そして当の相手は陰でそんなエイリーを「ちょろいな」と嘲笑っている。
これが自分の祖先かと思うとトオンは堪らない気持ちだった。
『それが彼らの手口よ。私が王家と契約させられたときだって、酷いものだったわ』
アイシャの場合はまだ子供だった頃に王都に連れて来られて、高級な菓子をだしにして誤魔化しと騙しを織り混ぜながら契約を結ばされている。
エイリーは慕っていた聖女ロータスに、国を興したいと願う男から求婚されたことを相談するが、一言〝忠告〟を受けた。
「あの男はやめたほうがいいわ。誠意のない者の目をしている」
だがまだ未熟な聖女見習いだったエイリーは美しい男からの求婚に舞い上がってしまって、興奮したまま、後にカーナ王国始祖となる男と結婚してしまった。
そして聖女ロータスはエイリーと、新国家カーナ王国に見切りをつけて、以後はカーナ王国に来ることはなかった。
カーナ王国の美しき建国王はエイリーと土地の穢れを浄化する契約を改めて結び直している。
かつてエイリーが聖女ロータスと祈りを捧げていた、あのカーナ姫の息子が放つ穢れ処理のために。
だがそれは一方的にエイリーを使い潰すための賎民呪法だった。
建国王は穢れが自分たち王族に及ぶことを厭い、エイリーを名ばかりの王妃にしてその実、婚姻は結ばず王統譜にも載せなかった。
しかし、さすがに聖女を一方的に利用し、その力を搾取することは世界の理が許さなかったと見える。
聖女エイリーの処理の限度を超えたときは、自動的に溢れた分の穢れがカーナ王族に逆流するようになった。
だがそれから何年もかけてカーナ王族が試行錯誤した結果、少しでも聖なる魔力を持つ者がいれば賎民呪法の生贄の〝予備〟にして、エイリーと王族との間の緩衝材にすることに成功する。
調べるとカーナ王国の土地には元々穢れの強い地域だけあって、浄化のために聖なる魔力の持ち主が生まれることがわかった。
彼らを確保するため、国内に誘致した教会組織と結託して、聖なる魔力の持ち主たちを幼いうちから発見させて王都に連れてくるよう促した。
カーナ王族たちは賎民呪法の魔導具の台座に、聖女エイリーや彼女に続く聖なる魔力の持ち主たちの魔力を保存した。
新しく生まれる聖女や聖者たちをスクリーニングする機能を追加し、速やかに賎民呪法の生贄とするための手順を整備していった。
建国王は更に、聖女エイリーの力を利用して、カーナ王国の国境に外界から魔物や魔獣が入り込めないよう、強固な結界を張らせていった。
結果、神獣とはいえ獣人の一種だったカーナ姫は結界に阻まれ、カーナ王国の中に入れなくなってしまった。
あの高台の祠に供えるつもりなのだろう。花を咥えた仔馬サイズの雌の一角獣が空を飛んでいる。
『あれ、この一角獣、カーナ姫と同じ魔力の色だね』
神人は魔力に虹色を帯びるという。カーナ姫は真珠色の魔力を持っていた。
『カーナ様は竜人族の王族だが、母親が一角獣の獣人だ。母方の血を利用して一角獣にもなれたんだ』
だがもはや岩地の高台は整地されて王城の建設が進んでおり、祠も祭壇も撤去されてしまっている。
一角獣が地上に降り立とうとしたとき、空中の一定の高さで弾かれてしまった。
それでも一角獣は何度も何度も試すのだが、どうしても内部に入れない。
白い体毛が焼け焦げて縮れ、咥えていた花も枯れていく様子に、アイシャたちは胸が塞がれるような気分を味わった。
「か、カーナ様。ごめんなさい、ごめんなさい。あたしが愚かだったばかりにこんなことになってしまった!」
結界ギリギリまで近づいて、一角獣から人の姿に戻ったカーナ姫に、中から聖女エイリーが必死で地に伏せて謝っている。
カーナ姫は艶やかな黒髪や装束の端っこが結界に弾かれたときの余波で焦げて縮れていたが、優美な姿は変わらない。
それでも困ったように苦笑いしていた。
「エイリー。大丈夫、君を責めてるわけじゃない。こんな穢れ地に国を建てたのは大した功績だ。私は評価する」
「でも、王が! 王はあなたのご子息様の遺骸を使って邪法の媒体にしてしまった!」
賎民呪法のことだろう。
「エイリー。君のような純朴な女ではあの手の狡猾な者たちには勝てない。さあ、そこを越えて。国の結界の外に出さえすれば、君を絡め取った邪法も無効化されるから」
「行けません。あたしが逃げたらあの人はまた次の生贄を探して犠牲にしてしまう。それにご子息様をこれ以上辱めさせるわけにはいきません……」
「頑固な子だ。それが君の選択なら尊重しよう。聖女エイリーよ」
カーナ姫と別れた後しばらくして、聖女エイリーは建国王から呆気なく捨てられ、臣下に下げ渡された。
だがこれ幸いにと、元夫だった建国王が建てた王城に下女として忍び込み、地下の古代生物の化石への入口を中心に庭園を作って、結界を張ってカーナ王族が入れないようにした。
「ご子息様。いつかもっと力のある者が供養するまで、せめてこの庭に花を絶やさぬよう、この聖女エイリーがお側におります」
この庭園は今も旧王城内にある。
※カーナが登場したということは、次回ついにあのお方が
12
お気に入りに追加
3,950
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】魅了が解けたあと。
乙
恋愛
国を魔物から救った英雄。
元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。
その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。
あれから何十年___。
仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、
とうとう聖女が病で倒れてしまう。
そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。
彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。
それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・
※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。
______________________
少し回りくどいかも。
でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
破壊のオデット
真義あさひ
恋愛
麗しのリースト伯爵令嬢オデットは、その美貌を狙われ、奴隷商人に拐われる。
他国でオークションにかけられ純潔を穢されるというまさにそのとき、魔法の大家だった実家の秘術「魔法樹脂」が発動し、透明な樹脂の中に封じ込められ貞操の危機を逃れた。
それから百年後。
魔法樹脂が解凍され、親しい者が誰もいなくなった時代に麗しのオデットは復活する。
そして学園に復学したオデットには生徒たちからの虐めという過酷な体験が待っていた。
しかしオデットは負けずに立ち向かう。
※思春期の女の子たちの、ほんのり百合要素あり。
「王弟カズンの冒険前夜」のその後、
「聖女投稿」第一章から第二章の間に起こった出来事です。
自分の完璧に応えられない妻を売った伯爵の末路
めぐめぐ
恋愛
伯爵である彼――ボルグ・ヒルス・ユーバンクは常に、自分にとっての完璧を求めていた。
全てが自分の思い通りでなければ気が済まなかったが、周囲がそれに応えていた。
たった一人、妻アメリアを除いては。
彼の完璧に応えられない妻に苛立ち、小さなことで責め立てる日々。
セーラという愛人が出来てからは、アメリアのことが益々疎ましくなっていく。
しかし離縁するには、それ相応の理由が必要なため、どうにかセーラを本妻に出来ないかと、ボルグは頭を悩ませていた。
そんな時、彼にとって思いも寄らないチャンスが訪れて――
※1万字程。書き終えてます。
※元娼婦が本妻になれるような世界観ですので、設定に関しては頭空っぽでお願いしますm(_ _"m)
※ごゆるりとお楽しみください♪
〖完結〗私は旦那様には必要ないようですので国へ帰ります。
藍川みいな
恋愛
辺境伯のセバス・ブライト侯爵に嫁いだミーシャは優秀な聖女だった。セバスに嫁いで3年、セバスは愛人を次から次へと作り、やりたい放題だった。
そんなセバスに我慢の限界を迎え、離縁する事を決意したミーシャ。
私がいなければ、あなたはおしまいです。
国境を無事に守れていたのは、聖女ミーシャのおかげだった。ミーシャが守るのをやめた時、セバスは破滅する事になる…。
設定はゆるゆるです。
本編8話で完結になります。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。