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第二章 お師匠様がやってきた
最強聖女爆誕
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翌朝、トオンとルシウスはフラフラになって帰ってきたかと思えば、ふたりして盛大に吐いて項垂れていた。
どうやら夜通し店を変え続けて飲んでいたらしい。
ふたりを連れ帰ってくれたパン屋のミーシャおばさんが事情を説明してくれた。
「参っちゃうよ。朝起きたら居間で全員、素っ裸で転がってるんだもん。うちのお母ちゃん、もうカンカンよ? あ、ルシウスさんとトオンはいいもの見せてもらったわ。アイシャちゃん、ごめんねー?」
「……いいのよ。ふふ、私もお説教しなきゃね」
微笑んではいたが、アイシャの飴のような茶色の目はすっかり据わっていた。
食堂で、対面の席に青ざめながらも神妙な顔つきのトオンとルシウスを二人並べて座らせた。
アイシャは如何に飲み過ぎが身体に良くないことか、また連絡もなく外泊して帰って来なかったふたりをどれだけ自分が心配したかをお説教した。
そしてアイシャのステータスには『説法』スキルが生えた。
「もう。ふたりとも約束してね? お酒はダメよ?」
「……はい」
トオンは素直によい子のお返事だったのだが、ルシウスは抵抗した。
「い、いや、私は約束などしないぞ、我が故郷はウイスキーの産地でもある! 酒の酩酊のない人生など、」
「ルシウスさん?」
往生際が悪い。
「ハッ! そ、そうだ、そもそも何も準備せず深酒したのが良くなかったのだ。悪酔いせぬよう、専用ポーションを用意しておけば次からこのような醜態は」
「ルシウスさん?」
アイシャは圧力を弱めなかった。
「………………申し訳ない。もう二度と迷惑かけるような深酒をしないよう心がけます」
アイシャに向けて深く深く頭を下げたルシウスだった。負けた。
だが譲れないところは引かなかった。酒を止めるとは決して言わない。そこはさすがだ。
「ルシウスさんに頭下げさせたか……俺の彼女、すごくない?」
二日酔いでぐったりしているふたりは普通の食事が取れなかったので、アイシャは彼らのために喉越しの良いフルーツゼリーを作った。
ココナッツウォーターにピューレ状にした完熟マンゴーを混ぜてゼラチンで固めただけのシンプルゼリーだ。
ココナッツの実から取れるココナッツウォーターは、カーナ王国では水分補給のため日常的によく飲まれているものだ。
街路樹に生えている樹木からなら、誰でも自由に取って食用にできる。
マンゴーは昨日の夕方、商店街まで出かけて八百屋で購入してきたものを使った。
ゼリーは材料さえあれば簡単に作れるし、氷の魔石を上手く使えば短時間で固めることが可能だった。
本当なら昨晩の夕食後のデザートにするつもりが、同居人の男たち二人は朝帰り。
結果として二日酔い二人のご飯になってしまった。
「……美味い」
「酒で荒れた胃に染みるなあ……」
二日酔いの男どもに好評だった。
だがこのふたり、食べ終えて休んでもまったく使いものにならないのだ。
古書店も臨時休業の札を出して、プリプリ怒りながらも世話をするアイシャだった。
「ルシウスさん。どう? このゼリー」
アイシャがミーシャおばさんから貰ったゼリーのレシピでは、ココナッツミルクで作る濃厚タイプだった。
ただ、アイシャの今の同居人のトオンとルシウスは男性なので、もっと爽やかであっさり食べやすいものがいいなと思って工夫したのが今回作ったココナッツ風味のマンゴーゼリーだった。
「合格! これなら調理スキルを充分使いこなしていると言えよう! ……うっ」
良い笑顔で親指をぐっと立ててくれたルシウスだが、直後、自分の声で頭痛に沈んだ。
何ともダメなお師匠様であった。
その後、トオンがこの出来事を書いた手紙を環経由でカズンに送ると、ものの数分でアイシャ宛のメモが返ってきた。
『我が友アイシャ、お前こそが最強だ(笑)』
「ほんと、俺の彼女、最強。最高」
トオンが母親に対して抱いていた思いへのコメントは特になかった。
そういう気遣いがカズンは抜群に上手い。
夕方になる頃にはトオンもルシウスも何とか二日酔いから回復していた。
というより、ルシウスが自分の手持ちの二日酔いポーションを出してきて飲んでようやく、といったところだ。
夕食後、ハーブティーを飲みながら食堂でカズンから返ってきたアイシャ最強認定メモで盛り上がり、ふと話が途切れたところで、ぽつりとトオンが小さく呟いた。
「……お袋は俺にとっては素敵な母親だったよ。働き者で思いやりがあって、飯は不味いけど手先は器用だ。だけど聖女としてはダメ女だった。そういうことだ」
「カーナ王国の聖女でさえなければねえ」
アイシャも嘆息するしかない。
あまりにも非道だったカーナ王家ももう解体されてしまったわけで、文句を言うべき初代国王も、先代国王らももういない。
「仮定の話をしても仕方がない。これから先をどう生きていくかだ」
ひとまず、と前置きしてルシウスはアイシャとトオンをじっと見つめた。
特にトオンだ。
(良い顔になった。母親を受け入れて、ぼんやりしていた輪郭が定まったようだな)
これまでも、美形で知られたカーナ王族の血筋だけあって美しく整った顔立ちの青年だったが、どこか影の薄さがあった。
今は顔つきもはっきり引き締まっていて、蛍石の薄緑色の瞳にも力がある。
本人の魔力も安定している。これなら環の使いこなしも、もう問題はないだろう。
そんなトオンを見て、ルシウスの決意が固まった。
「師匠としての私の役目に一区切りつけたいと思う。明日の朝、私はここを出ようと思う」
「「えっ!?」」
ルシウスがここカーナ王国の王都にやってきたのは八月の下旬だ。
修行を受けて、美味しいごはんを食べさせてもらい、途中からトオンが新聞社に聖女投稿の続編を投稿しているうちにあっという間に九月は過ぎ去ってしまった。
気づいたらもう十月に入っている。
まだ二ヶ月ほどしか滞在していないのに、もう行ってしまうのか?
「アイシャは調理スキルを獲得し、お前たちももう安定して環を使えるだろう。ならば私の役目も一区切りついたわけだ」
「えっ。帰っちゃうんですかルシウスさん!?」
アケロニア王国に。
「いや、北東地区に荷物を置いてある家があっただろう。あそこに移ることにする」
ルシウスがカーナ王国にやってきたとき、馬車五台分の荷物を携えていた。
その荷物を仮置きしている庭と倉庫付きの小さな家のことだ。
「永遠の国から正式に、この王都地下の古代生物の化石の調査をするよう依頼を受けていてな。まだしばらくはカーナ王国にいる予定だ」
もちろん、アイシャとトオンはいつでも訪ねてきて良いし、ダンジョン探索の際は声をかけてほしいとも。
それにまだ魔力使いとしてレクチャーしたいことは山ほどある。
「じゃあ、定期的にダンジョン探索で合流するときに、またいろいろ教えてほしいです」
「そうね。週一か週二ぐらいの間隔で」
まだ王都にいてくれるなら安心だ。
何だかんだいって、彼が保護者として側にいてくれる安心感は強い。
「最後に、ここを出ていく前にお前たちに話しておくことがある」
そう言ってルシウスが自分の環の中のアイテムボックスからあるものを取り出した。
どうやら夜通し店を変え続けて飲んでいたらしい。
ふたりを連れ帰ってくれたパン屋のミーシャおばさんが事情を説明してくれた。
「参っちゃうよ。朝起きたら居間で全員、素っ裸で転がってるんだもん。うちのお母ちゃん、もうカンカンよ? あ、ルシウスさんとトオンはいいもの見せてもらったわ。アイシャちゃん、ごめんねー?」
「……いいのよ。ふふ、私もお説教しなきゃね」
微笑んではいたが、アイシャの飴のような茶色の目はすっかり据わっていた。
食堂で、対面の席に青ざめながらも神妙な顔つきのトオンとルシウスを二人並べて座らせた。
アイシャは如何に飲み過ぎが身体に良くないことか、また連絡もなく外泊して帰って来なかったふたりをどれだけ自分が心配したかをお説教した。
そしてアイシャのステータスには『説法』スキルが生えた。
「もう。ふたりとも約束してね? お酒はダメよ?」
「……はい」
トオンは素直によい子のお返事だったのだが、ルシウスは抵抗した。
「い、いや、私は約束などしないぞ、我が故郷はウイスキーの産地でもある! 酒の酩酊のない人生など、」
「ルシウスさん?」
往生際が悪い。
「ハッ! そ、そうだ、そもそも何も準備せず深酒したのが良くなかったのだ。悪酔いせぬよう、専用ポーションを用意しておけば次からこのような醜態は」
「ルシウスさん?」
アイシャは圧力を弱めなかった。
「………………申し訳ない。もう二度と迷惑かけるような深酒をしないよう心がけます」
アイシャに向けて深く深く頭を下げたルシウスだった。負けた。
だが譲れないところは引かなかった。酒を止めるとは決して言わない。そこはさすがだ。
「ルシウスさんに頭下げさせたか……俺の彼女、すごくない?」
二日酔いでぐったりしているふたりは普通の食事が取れなかったので、アイシャは彼らのために喉越しの良いフルーツゼリーを作った。
ココナッツウォーターにピューレ状にした完熟マンゴーを混ぜてゼラチンで固めただけのシンプルゼリーだ。
ココナッツの実から取れるココナッツウォーターは、カーナ王国では水分補給のため日常的によく飲まれているものだ。
街路樹に生えている樹木からなら、誰でも自由に取って食用にできる。
マンゴーは昨日の夕方、商店街まで出かけて八百屋で購入してきたものを使った。
ゼリーは材料さえあれば簡単に作れるし、氷の魔石を上手く使えば短時間で固めることが可能だった。
本当なら昨晩の夕食後のデザートにするつもりが、同居人の男たち二人は朝帰り。
結果として二日酔い二人のご飯になってしまった。
「……美味い」
「酒で荒れた胃に染みるなあ……」
二日酔いの男どもに好評だった。
だがこのふたり、食べ終えて休んでもまったく使いものにならないのだ。
古書店も臨時休業の札を出して、プリプリ怒りながらも世話をするアイシャだった。
「ルシウスさん。どう? このゼリー」
アイシャがミーシャおばさんから貰ったゼリーのレシピでは、ココナッツミルクで作る濃厚タイプだった。
ただ、アイシャの今の同居人のトオンとルシウスは男性なので、もっと爽やかであっさり食べやすいものがいいなと思って工夫したのが今回作ったココナッツ風味のマンゴーゼリーだった。
「合格! これなら調理スキルを充分使いこなしていると言えよう! ……うっ」
良い笑顔で親指をぐっと立ててくれたルシウスだが、直後、自分の声で頭痛に沈んだ。
何ともダメなお師匠様であった。
その後、トオンがこの出来事を書いた手紙を環経由でカズンに送ると、ものの数分でアイシャ宛のメモが返ってきた。
『我が友アイシャ、お前こそが最強だ(笑)』
「ほんと、俺の彼女、最強。最高」
トオンが母親に対して抱いていた思いへのコメントは特になかった。
そういう気遣いがカズンは抜群に上手い。
夕方になる頃にはトオンもルシウスも何とか二日酔いから回復していた。
というより、ルシウスが自分の手持ちの二日酔いポーションを出してきて飲んでようやく、といったところだ。
夕食後、ハーブティーを飲みながら食堂でカズンから返ってきたアイシャ最強認定メモで盛り上がり、ふと話が途切れたところで、ぽつりとトオンが小さく呟いた。
「……お袋は俺にとっては素敵な母親だったよ。働き者で思いやりがあって、飯は不味いけど手先は器用だ。だけど聖女としてはダメ女だった。そういうことだ」
「カーナ王国の聖女でさえなければねえ」
アイシャも嘆息するしかない。
あまりにも非道だったカーナ王家ももう解体されてしまったわけで、文句を言うべき初代国王も、先代国王らももういない。
「仮定の話をしても仕方がない。これから先をどう生きていくかだ」
ひとまず、と前置きしてルシウスはアイシャとトオンをじっと見つめた。
特にトオンだ。
(良い顔になった。母親を受け入れて、ぼんやりしていた輪郭が定まったようだな)
これまでも、美形で知られたカーナ王族の血筋だけあって美しく整った顔立ちの青年だったが、どこか影の薄さがあった。
今は顔つきもはっきり引き締まっていて、蛍石の薄緑色の瞳にも力がある。
本人の魔力も安定している。これなら環の使いこなしも、もう問題はないだろう。
そんなトオンを見て、ルシウスの決意が固まった。
「師匠としての私の役目に一区切りつけたいと思う。明日の朝、私はここを出ようと思う」
「「えっ!?」」
ルシウスがここカーナ王国の王都にやってきたのは八月の下旬だ。
修行を受けて、美味しいごはんを食べさせてもらい、途中からトオンが新聞社に聖女投稿の続編を投稿しているうちにあっという間に九月は過ぎ去ってしまった。
気づいたらもう十月に入っている。
まだ二ヶ月ほどしか滞在していないのに、もう行ってしまうのか?
「アイシャは調理スキルを獲得し、お前たちももう安定して環を使えるだろう。ならば私の役目も一区切りついたわけだ」
「えっ。帰っちゃうんですかルシウスさん!?」
アケロニア王国に。
「いや、北東地区に荷物を置いてある家があっただろう。あそこに移ることにする」
ルシウスがカーナ王国にやってきたとき、馬車五台分の荷物を携えていた。
その荷物を仮置きしている庭と倉庫付きの小さな家のことだ。
「永遠の国から正式に、この王都地下の古代生物の化石の調査をするよう依頼を受けていてな。まだしばらくはカーナ王国にいる予定だ」
もちろん、アイシャとトオンはいつでも訪ねてきて良いし、ダンジョン探索の際は声をかけてほしいとも。
それにまだ魔力使いとしてレクチャーしたいことは山ほどある。
「じゃあ、定期的にダンジョン探索で合流するときに、またいろいろ教えてほしいです」
「そうね。週一か週二ぐらいの間隔で」
まだ王都にいてくれるなら安心だ。
何だかんだいって、彼が保護者として側にいてくれる安心感は強い。
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