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第二章 お師匠様がやってきた
ファミリー世代解説とカズンからの手紙
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「うちのファミリーだと、お前たちの世代から見て祖父母がフリーダヤとロータスになる。彼らの子世代になる親世代になると、そのうちのひとりが私だな」
「親世代って他にどんな魔力使いがいるの?」
魔術師フリーダヤと聖女ロータスは円環大陸で最も有名な魔力使いだ。
そのファミリーたちもよく知られていたが、ファミリー内での序列までは世間に広まっていない。
「今残っているのは……数はそう多くない。お前たちの知る教会大司祭の聖者ビクトリノも親世代だ」
他の有名どころでは、魔術師フリーダヤの後継者と言われる黒髪の魔女メルセデス。
酒好きで男好きだが、子供好きで面倒見が良い。
姉妹でフリーダヤの弟子となったガブリエラと占い師ハスミン。
彼女たちは元は資産家の娘だ。
妹ハスミンは金髪で派手好きの買い物好き、酒好き、男好き。
対する藍色の髪の姉ガブリエラは才色兼備で男嫌い。いつも鬱屈した顔つきの影のある女だ。
ポーション開発の名手、薬師リコ。彼は聖女ロータスの直弟子と言われている。
人好きのする恰幅の良い赤ら顔の老年の男で、薬師として腕が良いから大陸中で引っ張りだこだ。
「他は魔力使いとして活動しているか定かでない道化師ファウストや、他の魔力使いの執事をしているハビエルという男がいる。……こうして挙げてみると、やはり数は少ないな」
魔術師フリーダヤがいまだ現役で動き回っている理由でもある。
ついでにいえば、フリーダヤとロータスのファミリーが、仲間の勧誘に積極的な理由でもあった。何をするにも人数が足りない。
“時を壊す”を果たした者はやはり少なく、ファミリーに加入しても数十年で寿命が来れば自然脱退だ。それは仕方がない。
「お前たちは子世代だな。他は魔術師カズンと彼の親友の剣豪ライル。彼らの後輩で最近環に目覚めた魔導具師カレン。三人ともアケロニア王国出身だ」
他の子世代は円環大陸中に散らばっている。
「北部でファミリー所有の屋敷の管理人をしているのが、北の悪女セレサ。彼女の他には男女のペアで三対。彼らは皆、魔女メルセデスの弟子筋にあたる」
将来的には、ファミリー全員と面通ししておくのが良いというのが、ルシウスの意見だった。
「甥っ子は……誰が師匠になるのが良いのだろうな。私以外の選択肢が数えるほどしかないのが何とも」
「一番穏当なのは良識派のビクトリノ様じゃないかしら」
「ビクトリノの正論を聞くかと言われれば、微妙な気がする」
「フリーダヤ様は?」
「彼が何か話すたびに舌打ちする甥っ子の顔が浮かぶ。相性は最悪ではなかろうか」
本人とは、新国王と王妃として一度顔を合わせただけでほとんど会話もしていないのに、どんどん鮭の人に詳しくなっていくアイシャとトオンだ。
早くカズンに追いついて、彼と一緒にカーナ王国まで来てくれればいいのに。
その夜、トオンはカズンに手紙を書いた。
「俺もお前も飛んだときは玉ヒュンだったけど、ルシウスさんはさすがの貫禄。大喜びで飛んでましたよ、と」
実はトオンはちょっとだけ、自分やカズンのようにルシウスが取り乱す姿を期待していたのだ。
しかしあのお師匠様は残念ながらそんな可愛い“タマ”ではなかったようだ。
カズンもちょうど時間に余裕のあるときだったようで、返事はすぐに返ってきた。
『我が友トオンへ
実は僕も空中飛行の練習に励んでいる。』
よほど、アイシャに連れられて空中飛行した際の自分の取り乱しようが悔しかったものと見える。
「お前もかよ!」
突っ込み待ちのような返信であった。
なお、基本の魔力量が足りなくて、今はまだ木箱ひとつ分程度浮くのが精一杯らしい。
ちなみに、彼を追いかけている鮭の人についても尋ねてみた。
カズン本人のコメントはといえば。
『ヨシュアか。あいつ、何やってるんだろうな?
まだ環が使えてないとルシウス様から教えられてビックリした。
そんなに出来の悪いやつじゃないんだけど。
僕だって会いたいのに』
「鮭の人。カズンの感触、そんなに悪くないんじゃないか?」
早く会えたらいいですねと、カズンからの手紙を仕舞いながら祈るトオンなのだった。
「親世代って他にどんな魔力使いがいるの?」
魔術師フリーダヤと聖女ロータスは円環大陸で最も有名な魔力使いだ。
そのファミリーたちもよく知られていたが、ファミリー内での序列までは世間に広まっていない。
「今残っているのは……数はそう多くない。お前たちの知る教会大司祭の聖者ビクトリノも親世代だ」
他の有名どころでは、魔術師フリーダヤの後継者と言われる黒髪の魔女メルセデス。
酒好きで男好きだが、子供好きで面倒見が良い。
姉妹でフリーダヤの弟子となったガブリエラと占い師ハスミン。
彼女たちは元は資産家の娘だ。
妹ハスミンは金髪で派手好きの買い物好き、酒好き、男好き。
対する藍色の髪の姉ガブリエラは才色兼備で男嫌い。いつも鬱屈した顔つきの影のある女だ。
ポーション開発の名手、薬師リコ。彼は聖女ロータスの直弟子と言われている。
人好きのする恰幅の良い赤ら顔の老年の男で、薬師として腕が良いから大陸中で引っ張りだこだ。
「他は魔力使いとして活動しているか定かでない道化師ファウストや、他の魔力使いの執事をしているハビエルという男がいる。……こうして挙げてみると、やはり数は少ないな」
魔術師フリーダヤがいまだ現役で動き回っている理由でもある。
ついでにいえば、フリーダヤとロータスのファミリーが、仲間の勧誘に積極的な理由でもあった。何をするにも人数が足りない。
“時を壊す”を果たした者はやはり少なく、ファミリーに加入しても数十年で寿命が来れば自然脱退だ。それは仕方がない。
「お前たちは子世代だな。他は魔術師カズンと彼の親友の剣豪ライル。彼らの後輩で最近環に目覚めた魔導具師カレン。三人ともアケロニア王国出身だ」
他の子世代は円環大陸中に散らばっている。
「北部でファミリー所有の屋敷の管理人をしているのが、北の悪女セレサ。彼女の他には男女のペアで三対。彼らは皆、魔女メルセデスの弟子筋にあたる」
将来的には、ファミリー全員と面通ししておくのが良いというのが、ルシウスの意見だった。
「甥っ子は……誰が師匠になるのが良いのだろうな。私以外の選択肢が数えるほどしかないのが何とも」
「一番穏当なのは良識派のビクトリノ様じゃないかしら」
「ビクトリノの正論を聞くかと言われれば、微妙な気がする」
「フリーダヤ様は?」
「彼が何か話すたびに舌打ちする甥っ子の顔が浮かぶ。相性は最悪ではなかろうか」
本人とは、新国王と王妃として一度顔を合わせただけでほとんど会話もしていないのに、どんどん鮭の人に詳しくなっていくアイシャとトオンだ。
早くカズンに追いついて、彼と一緒にカーナ王国まで来てくれればいいのに。
その夜、トオンはカズンに手紙を書いた。
「俺もお前も飛んだときは玉ヒュンだったけど、ルシウスさんはさすがの貫禄。大喜びで飛んでましたよ、と」
実はトオンはちょっとだけ、自分やカズンのようにルシウスが取り乱す姿を期待していたのだ。
しかしあのお師匠様は残念ながらそんな可愛い“タマ”ではなかったようだ。
カズンもちょうど時間に余裕のあるときだったようで、返事はすぐに返ってきた。
『我が友トオンへ
実は僕も空中飛行の練習に励んでいる。』
よほど、アイシャに連れられて空中飛行した際の自分の取り乱しようが悔しかったものと見える。
「お前もかよ!」
突っ込み待ちのような返信であった。
なお、基本の魔力量が足りなくて、今はまだ木箱ひとつ分程度浮くのが精一杯らしい。
ちなみに、彼を追いかけている鮭の人についても尋ねてみた。
カズン本人のコメントはといえば。
『ヨシュアか。あいつ、何やってるんだろうな?
まだ環が使えてないとルシウス様から教えられてビックリした。
そんなに出来の悪いやつじゃないんだけど。
僕だって会いたいのに』
「鮭の人。カズンの感触、そんなに悪くないんじゃないか?」
早く会えたらいいですねと、カズンからの手紙を仕舞いながら祈るトオンなのだった。
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