6 / 44
ど田舎者、お貴族様の一族になる(※ただし末端です)
しおりを挟む
ユキレラはルシウスの父、前リースト伯爵メガエリスの勧めで、人物鑑定を受けることになった。
この世界は、剣と魔法があり、ステータス・オープンと唱えると自分のステータスが読める世界だ。
だが読めるステータスは自分のものだけで、名前や出自、基本ステータス値と基本スキルの把握に留まる。
それも魔力持ちでなければ不可能だ。
詳細を知るには、専門の鑑定スキルの持ち主から鑑定。受ける必要がある。
鑑定スキルは主に人物鑑定、物品鑑定、魔力鑑定がある。
本人の出自や、どのようなスキルや適性を持つかは、人物鑑定で読み取ることが可能だった。
馬車に揺られてやってきたのは王立学園の高等部、学長室だった。
「あらっ、可愛い子が来たわねえ!」
ユキレラたちを出迎えてくれた墨色の礼装の学園長ライノール伯爵エルフィンは、エルフの血を引くハーフエルフだそうだ。
白い肌と髪に、ブルーグリーンの鮮やかな瞳のとてもきれいな人だ。
首の後ろでひとつにまとめている髪が長いこともあって、一見すると中性寄りのお姉さんにも見える。
だが声は立派な成人男子のものだ。
ちなみに、オネエ口調だがおね兄さんではなく、れっきとした男の人だそう。
そして、人物鑑定スキルの特級ランクの持ち主である。
彼がユキレラの詳細鑑定を行なってくれるようだ。
「外見から一族の血が入ってることは確実なんですけど、鑑定してちゃんとリースト伯爵家の血筋だって証明しろって言われました。出自の履歴を確認してもらえますか?」
既に先触れを出して、用件だけは伝えてあった。
改めて、ルシウスが来訪の目的を告げている。
「それはいいけど、鑑定した後でその子、どうするの? そこまでリースト伯爵家特有の容貌が出てると、普通のお仕事とか絶対無理よ?」
「ちゃんとお世話します! 使い物になるまで教え込みますもん」
「最後まで面倒見られるの? 在学中にあなたがよく拾ってきた仔犬や仔猫や野良フェンリルとは訳が違うのよ?」
なぜか捨てられた仔犬と同レベルの扱いを受けてて、ユキレラはちょっとだけ泣きたくなった。
そんで野良フェンリルなんか拾ってきてたんですかルシウス様。
あれ指定魔物じゃん。
それで実際、ユキレラにはちゃんとリースト一族の血が入っていた。
分家のひとつ、男爵家の係累の子孫だが、4代前なので現在のリースト男爵家とは縁遠い。
その後、エルフィン学園長のもとを辞してすぐまたリースト伯爵家に戻り、ルシウスの父の前伯爵様に鑑定結果を報告した。
そして後日、リースト伯爵家のお抱え弁護士立ち会いのもと、前当主メガエリスの後見でユキレラはリースト一族の一員に迎えられることになるのである。
この世界は、剣と魔法があり、ステータス・オープンと唱えると自分のステータスが読める世界だ。
だが読めるステータスは自分のものだけで、名前や出自、基本ステータス値と基本スキルの把握に留まる。
それも魔力持ちでなければ不可能だ。
詳細を知るには、専門の鑑定スキルの持ち主から鑑定。受ける必要がある。
鑑定スキルは主に人物鑑定、物品鑑定、魔力鑑定がある。
本人の出自や、どのようなスキルや適性を持つかは、人物鑑定で読み取ることが可能だった。
馬車に揺られてやってきたのは王立学園の高等部、学長室だった。
「あらっ、可愛い子が来たわねえ!」
ユキレラたちを出迎えてくれた墨色の礼装の学園長ライノール伯爵エルフィンは、エルフの血を引くハーフエルフだそうだ。
白い肌と髪に、ブルーグリーンの鮮やかな瞳のとてもきれいな人だ。
首の後ろでひとつにまとめている髪が長いこともあって、一見すると中性寄りのお姉さんにも見える。
だが声は立派な成人男子のものだ。
ちなみに、オネエ口調だがおね兄さんではなく、れっきとした男の人だそう。
そして、人物鑑定スキルの特級ランクの持ち主である。
彼がユキレラの詳細鑑定を行なってくれるようだ。
「外見から一族の血が入ってることは確実なんですけど、鑑定してちゃんとリースト伯爵家の血筋だって証明しろって言われました。出自の履歴を確認してもらえますか?」
既に先触れを出して、用件だけは伝えてあった。
改めて、ルシウスが来訪の目的を告げている。
「それはいいけど、鑑定した後でその子、どうするの? そこまでリースト伯爵家特有の容貌が出てると、普通のお仕事とか絶対無理よ?」
「ちゃんとお世話します! 使い物になるまで教え込みますもん」
「最後まで面倒見られるの? 在学中にあなたがよく拾ってきた仔犬や仔猫や野良フェンリルとは訳が違うのよ?」
なぜか捨てられた仔犬と同レベルの扱いを受けてて、ユキレラはちょっとだけ泣きたくなった。
そんで野良フェンリルなんか拾ってきてたんですかルシウス様。
あれ指定魔物じゃん。
それで実際、ユキレラにはちゃんとリースト一族の血が入っていた。
分家のひとつ、男爵家の係累の子孫だが、4代前なので現在のリースト男爵家とは縁遠い。
その後、エルフィン学園長のもとを辞してすぐまたリースト伯爵家に戻り、ルシウスの父の前伯爵様に鑑定結果を報告した。
そして後日、リースト伯爵家のお抱え弁護士立ち会いのもと、前当主メガエリスの後見でユキレラはリースト一族の一員に迎えられることになるのである。
29
お気に入りに追加
530
あなたにおすすめの小説
人生に脇役はいないと言うけれど。
月芝
BL
剣? そんなのただの街娘に必要なし。
魔法? 天性の才能に恵まれたごく一部の人だけしか使えないよ、こんちくしょー。
モンスター? 王都生まれの王都育ちの塀の中だから見たことない。
冒険者? あんなの気力体力精神力がズバ抜けた奇人変人マゾ超人のやる職業だ!
女神さま? 愛さえあれば同性異性なんでもござれ。おかげで世界に愛はいっぱいさ。
なのにこれっぽっちも回ってこないとは、これいかに?
剣と魔法のファンタジーなのに、それらに縁遠い宿屋の小娘が、姉が結婚したので
実家を半ば強制的に放出され、住み込みにて王城勤めになっちゃった。
でも煌びやかなイメージとは裏腹に色々あるある城の中。
わりとブラックな職場、わりと過激な上司、わりとしたたかな同僚らに囲まれて、
モミモミ揉まれまくって、さあ、たいへん!
やたらとイケメン揃いの騎士たち相手の食堂でお仕事に精を出していると、聞えてくるのは
あんなことやこんなこと……、おかげで微妙に仕事に集中できやしねえ。
ここにはヒロインもヒーローもいやしない。
それでもどっこい生きている。
噂話にまみれつつ毎日をエンジョイする女の子の伝聞恋愛ファンタジー。
婚約破棄が始まる前に、割と早急にざまぁが始まって終わる話(番外編あり)
雷尾
BL
魅了ダメ。ゼッタイ。という小話。
悪役令息もちゃんと悪役らしいところは悪役しています多分。
※番外編追加。前作の悪役があんまりにも気の毒だという人向け
学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
好きな人の婚約者を探しています
迷路を跳ぶ狐
BL
一族から捨てられた、常にネガティブな俺は、狼の王子に拾われた時から、王子に恋をしていた。絶対に叶うはずないし、手を出すつもりもない。完全に諦めていたのに……。口下手乱暴王子×超マイナス思考吸血鬼
*全12話+後日談1話
蔑まれ王子と愛され王子
あぎ
BL
蔑まれ王子と愛され王子
蔑まれ王子
顔が醜いからと城の別邸に幽閉されている。
基本的なことは1人でできる。
父と母にここ何年もあっていない
愛され王子
顔が美しく、次の国大使。
全属性を使える。光魔法も抜かりなく使える
兄として弟のために頑張らないと!と頑張っていたが弟がいなくなっていて病んだ
父と母はこの世界でいちばん大嫌い
※pixiv掲載小説※
自身の掲載小説のため、オリジナルです
冤罪で投獄された異世界で、脱獄からスローライフを手に入れろ!
風早 るう
BL
ある日突然異世界へ転移した25歳の青年学人(マナト)は、無実の罪で投獄されてしまう。
物騒な囚人達に囲まれた監獄生活は、平和な日本でサラリーマンをしていたマナトにとって当然過酷だった。
異世界転移したとはいえ、何の魔力もなく、標準的な日本人男性の体格しかないマナトは、囚人達から揶揄われ、性的な嫌がらせまで受ける始末。
失意のどん底に落ちた時、新しい囚人がやって来る。
その飛び抜けて綺麗な顔をした青年、グレイを見た他の囚人達は色めき立ち、彼をモノにしようとちょっかいをかけにいくが、彼はとんでもなく強かった。
とある罪で投獄されたが、仲間思いで弱い者を守ろうとするグレイに助けられ、マナトは急速に彼に惹かれていく。
しかし監獄の外では魔王が復活してしまい、マナトに隠された神秘の力が必要に…。
脱獄から魔王討伐し、異世界でスローライフを目指すお話です。
*異世界もの初挑戦で、かなりのご都合展開です。
*性描写はライトです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる