上 下
152 / 183
アリア編

152 大地神ヴェルミヘイル

しおりを挟む
「一般的に土魔法で信仰されている神と言ったら地神ウォーレン様よ。なので私が授かった加護も地神ウォーレンの加護になるわ」
「なるほど。名前的に大地神ヴェルミヘイルのほうが格が高そうだな」
「そうなのよね・・・。でもそんな強烈な加護を授かるのなら有名になっててもおかしくないのに、その名前を一度も聞いた事が無いのよ」
「照れ屋なんじゃね?」
「どこの神殿で授かったの?」
「神殿なんか一度も入ったことねーよ」
「は?」
「最初は加護なんか無かったのに、いつの間にか出現してたんだよ」
「なんで??」
「知らんわ!」

オレの女神シャルロットの加護もいつの間にか付いてたんだよな。
ホントいつの間にかだから条件なんてさっぱりわからん。

「レベッカは鉄のゴーレムを作れないのか?」
「うーん、鉄のゴーレムを作れるなんて噂にも聞いた事が無いから試したことも無いわね」
「試してみろよ」

アニキがテーブルの上に骨剣を置いた。

「なんで同じ剣をいっぱい持ってんのよ!まあいいわ、やってみる」

レベッカが自分のバッグから極小魔石を取り出して骨剣の上に置く。

そのまま数分粘ったが骨剣はウンともスンとも言わない。


「はあ、はあ、ダメね。魔力が全然入って行かない」
「あーそれは俺も毎回感じているとこだ。鉄はどうも魔力が馴染まない」
「ミスリルは?」
「ミスリルなんて高くて手が出ないわよ」

ミスリルの鎧とか剣なら持ってるんだけどグニャグニャにされちゃ敵わんな。
それより一つ聞きたいことがあったのを思い出した。

「神殿で加護を貰うにはどうやったらいいんだ?」
「毎日祈りを捧げるのよ。神殿にお布施とかもいいわね」
「毎日って何日くらい?」
「加護を授かるまでずっとよ。本人の信仰の深さが重要ね」
「すげーめんどくさそうだな。加護は持ってるけどオレに信仰心なんて無いぞ」
「よくそれで加護が消えないわね」
「あーわかった!全力でガチャ回してるお陰だな!」
「ガチャ?・・・あー、今流行りのシャルロット様の加護ね?」
「流行ってんのか?」
「毎日凄い行列が出来ているじゃない。まあみんな目的はガチャだけどね。でも少しでも恩恵を受けるために信者が急激に増加中らしいわよ」

神頼みになる気持ちはよくわかる。オレくらいになるとそこはすでに突破していて、今は無の極致を目指しているんだがな。

「ただ加護を得るのには、他の神との相性をしっかり調べないとね」
「なんだそりゃ?」
「そんな事も知らないの?加護は複数得ることが可能だけど、神同士の相性が悪いと元々あった加護が消えてしまうのよ」
「リスク高すぎだろ!」
「貴方みたいなレアな加護持ちならば要注意ね。相性を調べるにしても、誰も知らない神のことなんか知ってる人もいないでしょ?」
「完全に詰んでるな。例えばどれとどれが相性悪いんだ?」
「基本的には火と水が反発し、風と土も反発するわね。絶対では無いのだけれど、信仰する神同士が不仲ならば消滅するという噂よ」
「なるほど。世間一般に知られていない神の加護ならば、火と水が反発しない可能性もあるわけか」
「そうね。でも大地神ほどの加護になると消えたら取返しがつかないわよ」
「だな。気を付けよう」

加護いっぱい持ってると、それだけ消える可能性高くなるじゃん。付与魔法欲しかったんだけどリスクあるんじゃ悩むぞ。火はともかく時空魔法が消えたらショック死しそうだ。

「付与魔法って反発する?」
「あー・・・どうかしら。付与魔法で消えたって話しは聞いた事無い気はするけど、ちゃんと調べたことも無いから絶対とは言えないわ」
「そっかー。でも属性魔法系の加護よりは柔軟そうだな」

時空魔法の事は聞けないから自分で情報仕入れるしかあるまい。とは言えどっちにしろ時空魔法の事知ってる人がいても、相性までわかる人なんて存在しない気がするな。

「鉄のゴーレムは無理みたいだけど、私にも乗り物って作れないかしらね」
「アニキが最初作った岩バイクは一瞬で大破したな」
「岩バイクは細いパイプ部分がへし折れたのが失敗だったな。まあでも変な拘りさえ持たなきゃ行けるんでねーか?」
「あの車輪部分の黒いのは何?」
「あー、それがあったか・・・、タイヤだ。ゴムで重さや衝撃を吸収するんだよ」
「ゴム?」
「えーとな、ゴムの木の樹液に酸を加えて固まった物がゴムだ」
「ゴムの木なんて知らないわ」
「ゴムの木を傷付けた時に確か白いサラサラの樹液が出て来るハズだから、まずはそういう木を探す必要があるな」
「そんなのやってられないわよ!」
「まあな。ゴムの代用品になる物がありゃそれでいいんだが」

ゴムにまで詳しいアニキは一体何者なんだ?ゴム職人でも目指してたんか?

「いきなり言われても、さっぱりわからないわ。後でもう一回見せて」
「まあ構わんが、俺らに何のメリットもねーな」
「色々教えてあげたじゃない!お願いよ!」
「ふむ。この後何か予定入ってる訳でも無いから少し付き合ってやってもいいが、コテツもそれでいいか?」
「別に問題ねーぞ。面白い話しが聞けたしな」


というわけで、これからレベッカの乗り物作りに付き合うこととなった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生弁護士のクエスト同行記 ~冒険者用の契約書を作ることにしたらクエストの成功率が爆上がりしました~

昼から山猫
ファンタジー
異世界に降り立った元日本の弁護士が、冒険者ギルドの依頼で「クエスト契約書」を作成することに。出発前に役割分担を明文化し、報酬の配分や責任範囲を細かく決めると、パーティ同士の内輪揉めは激減し、クエスト成功率が劇的に上がる。そんな噂が広がり、冒険者は誰もが法律事務所に相談してから旅立つように。魔王討伐の最強パーティにも声をかけられ、彼の“契約書”は世界の運命を左右する重要要素となっていく。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!

ほむらさん
ファンタジー
ヘルメット、マスク、そして赤い軍服。 幸か不幸か、偶然この服を手に入れたことにより、波乱な人生が幕を開けた。 これは、異世界で赤い流星の衣装を一生涯着続けることになった男の物語。 ※服は話の流れで比較的序盤に手に入れますが、しばらくは作業着生活です。 ※主人公は凄腕付与魔法使いです。 ※多種多様なヒロインが数多く登場します。 ※戦って内政してガチャしてラッキースケベしてと、バラエティー豊かな作品です。 ☆祝・100万文字達成!皆様に心よりの感謝を! 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。  

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...