七人の愚か者 ー最難関のダンジョンで出会った小学生と暴走族が脱出するために最強を目指す!ー

ほむらさん

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アリア編

135 鍛冶屋の助手

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キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

他人が鍛冶してるの初めて見るけどすげー迫力だな。
熱気はムンムンだしなんか息が詰まりそうだ。


「ギルドの依頼で来たですぞ!」

聞こえるようにデカい声で話し掛ける。

「あ!?」

ヒゲのおっちゃんがやっとオレに気付いた。

「おーギルドからか!鍛冶の経験はあるのか?」
「鍛冶屋で働いたことは無いけど、我流でならやってたぞ」
「フム。まあ弟子になれという話しでも無いから大丈夫か」

弟子入りかー。それもアリっちゃアリだが1日働いてみて決めよう。

「体は細いが筋肉はあるな。よし、早速手伝ってもらうぞ」
「あいあいさー!」


・・・・・


最初は鉄の塊を運びまくった。そして次はヒゲのおっちゃんが炉で熱した鉄をハンマーで叩く係だ。同じ場所に振り下ろしてればいいらしい。剣の根元を持っているおっちゃんが勝手に調節してくれるので、ちゃんと引き伸ばされて行く。

それにしても本物の鍛冶屋はやっぱすげえ。その仕事っぷりを見ていると、前にテレビで刀鍛冶の職人特集やってたの思い出した。
刀の形になるまで鉄を叩いて伸ばした後、たしか鉄に泥を塗ってまた焼き入れをするんだよ。んですぐ水に入れてジュワーっと冷ます。その後機械で磨くんだけど、泥の塗り方によって刃文はもんが付くんだっけか。
オレも今度は刀でも作ってみっかな?

慣れた頃、ふいごをやらせてもらった。
炉に空気をシュコシュコ送って温度を上げるのだ。火を見てても今何度なのかはさっぱりわからんけど、おっちゃんには大体わかるそうだ。職人すげえな。

「上手くなったな。弟子にしてもいいくらいだぞ」
「弟子かー!すげー面白そうだけどアニキと相談しなきゃ決めれんなあ」
「アニキ?兄ちゃんがいるのか」
「いや、アニキって呼んでるけど兄ちゃんでは無いぞ」
「ほう。まあ弟子になるには覚悟が必要だ。一人前になるまで何年もかかるからな」
「何年もか~、んじゃ無理だな。もっと世界を見て回りたいし」
「世界をか。ドワーフの国へ行けば凄まじい鍛冶職人がわんさかいるぞ。一度行ってみるといい」
「ドワーフ!なんか聞いたことあるぞ」
「陽気なヤツらよ。ほぼ全員が酒好きだから酒を持って行くと喜ばれるぞ」
「酒かー。なるほど」


・・・・・


いい時間になったので助手の仕事は終了した。

「一つ質問があるのだけど」
「ん、何だ?」
「武器を鑑定すると、斬撃強化とか衝撃耐性とか色々付いてるのがあるんだけど、こういうのってどうやって付けるのん?」
「それは付与魔法だな。ウチみたいな貧乏鍛冶屋では雇えないが、有名な鍛冶屋は付与魔法の使い手と契約して武器を作るんだ。付与魔法ってのは完成品に魔法を一つずつかけて行くのだが、強力な効果を付与するには当然付与師の実力が重要となる」
「付与魔法かー!それってどうやったら使えるんだ?」
「そりゃもちろん神殿で加護をもらう必要があるな」
「加護って神殿でもらえるのか!」
「そうなんだが、残念ながらこの街にはセラフィーナ様の神殿が無いので無理だ」
「セラフィーナ?どこに行けばその神殿があるん?」
「はて・・・、そこまではワシにもわからん。ただ、付与師はドワーフの国に何人もいるハズだ。優れた鍛冶屋ってのは大半がドワーフだからな」
「なるほど、ドワーフを探す必要アリか」

オレのミスリルソードに付与魔法かけたいんだよなー!

アイテムボックスから黒槍を取り出し、おっちゃんに見せる。

「これがオレの武器だ」
「ぬ!?今どこから出したんだ?」

あ、やべっ。
さり気なくマジックバッグを取り出す。

「マジックバッグだぞ」

「マ、マジックバッグ持ちだと!?驚いたな」
「それよりも黒槍を鑑定してみて」
「ああ、わかった」

鍛冶屋のおっちゃんが目をカッと見開いた。

「な、なんだこの凄まじい槍は・・・、素早さアップに自動修復だと!?」
「やっぱスゲーのか?それ」
「凄いも何も、こんな強力な付与魔法かけられる奴が存在するのか・・・?斬撃強化(中)とかなら上位の魔剣に付いてたりするらしいが、自動修復なんてのは初めて見たぞ」
「へーー。ガチャで当たり引けば、自動修復付いてるの結構あるぞ」
「ガチャか!最近流行ってるようだが、そんなに凄い物が出るとは」
「でもこの黒槍はガチャじゃないぞ。スゲー強いボス倒して手に入れたのだ」

「バフォメットって書いてるがコレのことか?」
「うむ。ダンジョンのボスだ。黒山羊のモンスターだぞ!」
「ダンジョンか。相当高難度の所じゃ無いとここまでの武器は手に入るまい。アンタ強かったんだな」
「アニキと二人でなら大抵の事はなんとかなる!」
「いつかそのアニキってのにも会ってみたいものだ」
「今度暇な時にでもアニキに言ってみるよ」
「んじゃ今日は助かったよ。またよろしくな!」


最後は長話しをしてしまったが、鍛冶屋での仕事は達成となった。
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