七人の愚か者 ー最難関のダンジョンで出会った小学生と暴走族が脱出するために最強を目指す!ー

ほむらさん

文字の大きさ
上 下
122 / 183
アリア編

122 盲点

しおりを挟む
「大金持ちになったはいいが、まだドラゴン素材とかもあるんだよな」
「あーそっか!オレたちが持ってても使い道あんのかな?」
「もし使えるとしてもだ。着ている服はすでに最強、武器もまあ最強、正直ドラゴンの入る余地ナシだよなこれ」

ドラゴン素材ってのは鎧とか作るのに良さそうって感じだと思うから、装備が充実してるオレらには無意味としか思えん。今さら鎧なんか重くて着てらんないし。

「もう金いらんけどやっぱ売ろう。持ってても意味無さそうだし」
「でもよ、急いでこの街で売る必要も無いっちゃ無いから、とりあえず素材の価値がどれほどなのか調べまくって、ここぞというタイミングで売るのはどうだ?」
「まあオレら今セレブだしな」
「ぷっ、ハハハッ!まあセレブっちゃセレブか。でも本来セレブってのは有名人の事を指すらしいぞ。日本では金持ちってニュアンスで使われてるけどな」
「ほーーー」


話しながら歩いてたら暗くなってきたので宿屋に戻ることにした。


・・・・・


夕食は普通に定食って感じで美味かった。
そして金の山分けと今後の相談のため、オレの部屋に大集合した。二人だけど。

「今にして思えば大失敗だ」
「え?」
「大白金貨399枚と金貨100枚ってきっちり山分け出来ねえ!」
「ああああああああ!!」
「しゃーないからコテツに大白金貨199枚と金貨100枚渡して、俺は明日またどこかで金貨に両替するわ」
「わかったー」

あの状況じゃ山分けのことまで考えつかなくてもしゃーないよな。いきなりの大金でテンパってたし。むしろ金貨100枚に両替しただけでもグッジョブなくらいだ。

「んで山分け以外にも話したい事が一つあってよ。ギルドで登録した時のこと憶えてるか?」
「あー!文字わからん言われた!」
「そう、それよ。んで理由を考えてみたんだが、ステータス見てみろ」

ステータスを開いた。

「問題なのは固有スキルの所にある、異世界言語:自動翻訳だ」
「あー、これかあ」
「俺の予想ではまず、この世界の文字が自動で翻訳されるから、何を書いてるのか俺らにも読めると考えた。そして俺らの会話もきっと自動でこの世界の言語に変換されて相手に聞こえるのだろう」

自動翻訳ってくらいだからな。そういうことなのかもしれん。

「しかし俺らが書いた文字は日本語だ。この世界の人が自動翻訳を持って無ければ、日本語は読めないと思わんか?」
「あーーーーー!そういうことだったんか!」
「会話は翻訳されて相手にも伝わるのに文字は翻訳されないってのは不思議な所だが、十中八九、これが正解だと思う」

なるほどなー。普通に外人と会話出来たのは勝手に翻訳されてたのか。

「しかしその自動翻訳ってのが逆によろしくない場合もある」
「こっちが書いた字を相手が読めないってことだな!?」
「そういうわけだ。俺は字が書けない人のまま暮らすのが勘弁ならねえ!」
「んーーーまあ書いてもらうのはちょっと恥ずかしいかもなー」
「日本人の識字率ってのは、ほぼ100%なんだよ。赤ちゃん以外の全員が字を書けるし読める。すなわち俺らは今赤ちゃんなんだよ!」
「なんてこったーーーーー!!!」
「こんなの許せねえだろ!?日本人として字が書けないなんてこたぁあっちゃならねえんだ」
「もちろんだ!よし、字の勉強するぞ!」

なんてこったい!赤ちゃんからせめて3歳児くらいにはならんとな!

「ところがだ。恐ろしい事に字の勉強するのも不可能なんだよ」
「なんで?」
「誰かに字を教わろうとするだろ?その先生が紙にゴブリンと書いたとするだろ?するとだ・・・、自動で翻訳されてしまってゴブリンと読めてしまうわけだ」
「フムフム」
「どうやって字を覚える?」
「ガッデーーーーーーーーーム!」

あかん、無理だ。自動翻訳の罠だ。高性能ゆえの盲点じゃん。いい機能を付けてくれたのはありがたいけど、ちゃんと完成したのを搭載して欲しかった。文字だけ伝わらないとかさあ・・・。

「自動翻訳がまさか障害になってしまうとはな・・・」
「ダメじゃんこれ!もう赤ちゃんとして生きていくしかねえのか!」
「悲しいが俺らはもう赤ちゃんとしてハイハイで歩き回るしか無さそうだ」


とてつもない悲しみにオレとアニキは涙で枕を濡らして朝を迎えた。





************************************************************





宿屋の1階で朝食をとりながら昨日のことを考える。オレもアニキも無言だ。

自動翻訳ってのは素晴らしい機能だとは思う。
でも自動ってのがダメなんだよ。これが手動だったらなあ・・・。
せめてスイッチオフに出来ればいいのにさ。

・・・・・・出来ねえのか?

ステータスを開き、固有スキルの自動翻訳を見ながら『オフになれ!』と願う。


【固有スキル】
異世界言語:自動翻訳〈オフ〉


「ブフォッッッッ!!」
「うわ!なんだいきなり!?」

「ア、アニキ!自動翻訳、オフに出来た!!!」
「な・・んだと!?」

「うおおおおおおおおおおおお!!!問題が解決した!!ナイスだコテツ!」

「hpsカんdyめウ@zへ?」

あっ、女将さんが何か言ってるが意味不明だ・・・。翻訳オンにせんと。
強く意識するだけでオンオフは簡単に切り替えることが出来た。

「アニキ、問題は完全に解決だな!」
「よし、今日は文字を教えてくれる先生を探すぞ!」


今日の予定は急遽、文字を覚えることに決定した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!

ほむらさん
ファンタジー
ヘルメット、マスク、そして赤い軍服。 幸か不幸か、偶然この服を手に入れたことにより、波乱な人生が幕を開けた。 これは、異世界で赤い流星の衣装を一生涯着続けることになった男の物語。 ※服は話の流れで比較的序盤に手に入れますが、しばらくは作業着生活です。 ※主人公は凄腕付与魔法使いです。 ※多種多様なヒロインが数多く登場します。 ※戦って内政してガチャしてラッキースケベしてと、バラエティー豊かな作品です。 ☆祝・100万文字達成!皆様に心よりの感謝を! 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。  

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ウィンドウと共にレベルアップ

アリス
ファンタジー
50年前、世界中に突如現れた天にまで登る巨大な塔。その日を境にゲートとダンジョンが大量に発生した。 モンスターと戦うため人類の1割が覚醒者となり、ハンターとして人類を救うための戦いが始まった。 小さい頃ハンターに助けられた花王実(かおうみのる)は、その日からハンターになることを夢見ていた。 夢が叶いハンターになれたが、一般人と大して変わらない一番下のE級。 それでも憧れの人に少しでも近づければと思い、毎日鍛錬を続けモンスターと戦う日々を過ごした。 ある日、協会からの応募でD級ダンジョンを調査することになった。 そこで仲間に裏切られ生け贄にされてしまう。 死ぬ直前にダンジョンに隠されたシークレットミッションをクリアし新たな能力を手に入れた。 実にだけ与えられるミッション。 それにクリアすれば新たな力を手に入れられる。 ウィンドウの指示に従い力を手に入れた実は一体どこまでレベルアップできるのか……? 最弱ハンターの成り上がりが今始まる!!カクヨム・小説家になろう、開催中。

処理中です...