110 / 183
アリア編
110 最北端の村
しおりを挟む
「いい景色だなー」
「道を歩くのがこんなに快適だったという事に感動すら覚えるわ」
五人組を追加し七人となったパーティーは村への道を歩いていた。
「見えた!アレが俺らの村です!」
「おーーー村だ!」
「門とかは無いんだな」
「まあ、村ですからね。でも見張りはいますよ」
コテツとアニキは長い旅路の末、とうとう人の集落へ辿り着いたのだ。
「お?お前ら帰って来れたようだな!森には入ったのか?」
見張りをしていたおっちゃんがカールたちに話し掛けて来た。
「ええ。全員死にかけましたよ・・・」
「なんだと!?」
「この二人に偶然助けてもらったのよ!」
レイラがオレらのことをおっちゃんに報告した。
「こいつらを助けてもらって感謝する!アホな奴らだが、こんなでも魔物に殺されたとあっちゃ夢見が悪い」
「アホとは失礼ね!」
「アホだろうが!魔の森は行くなとあれほど忠告したのに、『俺達ならそろそろ大丈夫だ。深くまで入るつもりは無い』だのデカい口叩きおって」
「い、行けると思ったのよ!ただちょっと運が悪く、ブラックウルフの大群に囲まれてしまっただけで」
「あの森はな、普通の森とはワケが違うんだ!少しでも奥に入ろうモノなら魔物の大群に囲まれるなんて事は珍しい事でも何でも無いわ!」
「う、ううー・・・」
「まあでも無事に帰って来られたんだ。今回の事を頭に刻み込んで二度と無茶はするなよ?あんたらも本当にありがとうな!」
「なあに、偶然通りかかっただけのことよ。彼らにゃ運があった。生きてりゃ体を鍛えまくっていつか森にリベンジも出来るだろうよ」
「おっと、あんまりヤツらを焚きつけないでくれよ?」
「ハハッ!それもそうだな」
「あう~、二人とも本当にありがとう!いつか恩返しが出来るように頑張ります」
このおっちゃん面倒見のいい人だな。さすが第一村人だけのことはある。
「ところでオレら二人が泊まれるとこってあるか?」
「なら俺ん家にでも泊まっていってくれ。汚い家だが」
「いや、それは悪い。あと旅の宿ってのにも興味があるんでな」
「この村に宿は一軒しか無いが、そこでいいか?」
「ああ。そこを紹介してくれ」
「宿ってお金いくらくらいするんだ?」
「えーと・・・町なら2000ギランくらいだと思うんだが・・・レイラ、ここはいくらだ?」
「1000ギランくらいじゃない?わかんないけど」
ギラン??円みたいなもんか?
「そのギランって何だ?ここの通貨単位か?」
「ギランも知らんって、あんたらどこから来たんだ?」
「そういえば雪原を越えて来たって言ってたわね」
「なっ!雪原を越えただと!?」
「えーとね、1000ギランで銀貨1枚よ」
「銀貨か。金貨しか持ってねーんだが」
アイテムボックスから金貨を取り出し手渡す。
「なんだ?この金貨は?見たことねえぞ」
「何これ!!綺麗な金貨ね!」
「別の大陸の金貨だろうか?悪いがこれは使えんなあ」
「とても珍しい金貨だし、町で換金したら金貨以上の値打ちが付くんじゃない?」
「そうだな。大手の商会に見せれば何かわかるかもしれん」
んーー、ここだと使えんのか。町で換金せんとダメくさいな。
「んじゃどうする?素材でも売る?」
「それしかねーよな。ここってドラゴン売るのは可能か?」
「は!?ドラゴンだあ???」
「ドラゴンなんてこの村で買い取れるわけないでしょう!」
「ぐぬぬ。んじゃこれは?」
マンティコアを出してみる。
「ひいいいぃぃ!!」
「な、なんだこりゃ!?人の顔した獣って・・・」
「これもダメなのかーーー!」
「コテツ、もっと普通のがいいんでねえか?」
「普通・・・普通って何だ?」
「森にいた極小魔石くらいのヤツ」
「そんなの金になるんか?」
森で最初に倒した茶色のクマとでっかい蜘蛛と、なんとなくいつもの骨剣を出した。
「ガストベアーとドレッドスパイダーか。よくこんなの倒したな」
「このショートソードもなかなか良い剣よ」
「魔物の素材は街のギルドで売った方が金になるぞ?ここにゃ加工出来るのなんてトングのじーさんくらいなもんだ。それに金もそんなに出せない。このショートソードなら武器屋で買い取って貰える筈だ」
「この剣なら私が欲しいくらいね」
「ほう。その剣を売ったら宿屋に泊まれるんか?」
「そうね。5000ギラン以上にはなると思う」
「おっしゃ!これで一泊出来るな!」
「んじゃその武器屋に案内頼めるか?」
「こっちよ。付いて来て」
「おっと、言うのが遅くなったが最北の村へようこそ!ここは大陸の一番北にあるからそう呼ばれているんだ。んじゃレイラ、ロマインによろしく言っといてくれよー」
「はーい」
「オーイ!私ちょっと武器屋に行って来るから、みんな適当に時間潰しててね」
「あ、ちょっと待った!レイラもこっち来て」
四人が談笑してるとこに移動し、クマと黒い狼を大量に出した。
「カールたちの取り分だぞ」
「「え!?」」
「いや、受け取れません!俺達は助けられたのに」
「オウルベアーなんて倒したのアナタたちじゃない!」
「命懸けで倒したのに収穫ナシじゃ報われないじゃん。いいから持ってきな。クマもプレゼントだ」
「「ありがとう!」」
すごく遠慮されたけど、最後にはなんとか受け取ってくれた。
「道を歩くのがこんなに快適だったという事に感動すら覚えるわ」
五人組を追加し七人となったパーティーは村への道を歩いていた。
「見えた!アレが俺らの村です!」
「おーーー村だ!」
「門とかは無いんだな」
「まあ、村ですからね。でも見張りはいますよ」
コテツとアニキは長い旅路の末、とうとう人の集落へ辿り着いたのだ。
「お?お前ら帰って来れたようだな!森には入ったのか?」
見張りをしていたおっちゃんがカールたちに話し掛けて来た。
「ええ。全員死にかけましたよ・・・」
「なんだと!?」
「この二人に偶然助けてもらったのよ!」
レイラがオレらのことをおっちゃんに報告した。
「こいつらを助けてもらって感謝する!アホな奴らだが、こんなでも魔物に殺されたとあっちゃ夢見が悪い」
「アホとは失礼ね!」
「アホだろうが!魔の森は行くなとあれほど忠告したのに、『俺達ならそろそろ大丈夫だ。深くまで入るつもりは無い』だのデカい口叩きおって」
「い、行けると思ったのよ!ただちょっと運が悪く、ブラックウルフの大群に囲まれてしまっただけで」
「あの森はな、普通の森とはワケが違うんだ!少しでも奥に入ろうモノなら魔物の大群に囲まれるなんて事は珍しい事でも何でも無いわ!」
「う、ううー・・・」
「まあでも無事に帰って来られたんだ。今回の事を頭に刻み込んで二度と無茶はするなよ?あんたらも本当にありがとうな!」
「なあに、偶然通りかかっただけのことよ。彼らにゃ運があった。生きてりゃ体を鍛えまくっていつか森にリベンジも出来るだろうよ」
「おっと、あんまりヤツらを焚きつけないでくれよ?」
「ハハッ!それもそうだな」
「あう~、二人とも本当にありがとう!いつか恩返しが出来るように頑張ります」
このおっちゃん面倒見のいい人だな。さすが第一村人だけのことはある。
「ところでオレら二人が泊まれるとこってあるか?」
「なら俺ん家にでも泊まっていってくれ。汚い家だが」
「いや、それは悪い。あと旅の宿ってのにも興味があるんでな」
「この村に宿は一軒しか無いが、そこでいいか?」
「ああ。そこを紹介してくれ」
「宿ってお金いくらくらいするんだ?」
「えーと・・・町なら2000ギランくらいだと思うんだが・・・レイラ、ここはいくらだ?」
「1000ギランくらいじゃない?わかんないけど」
ギラン??円みたいなもんか?
「そのギランって何だ?ここの通貨単位か?」
「ギランも知らんって、あんたらどこから来たんだ?」
「そういえば雪原を越えて来たって言ってたわね」
「なっ!雪原を越えただと!?」
「えーとね、1000ギランで銀貨1枚よ」
「銀貨か。金貨しか持ってねーんだが」
アイテムボックスから金貨を取り出し手渡す。
「なんだ?この金貨は?見たことねえぞ」
「何これ!!綺麗な金貨ね!」
「別の大陸の金貨だろうか?悪いがこれは使えんなあ」
「とても珍しい金貨だし、町で換金したら金貨以上の値打ちが付くんじゃない?」
「そうだな。大手の商会に見せれば何かわかるかもしれん」
んーー、ここだと使えんのか。町で換金せんとダメくさいな。
「んじゃどうする?素材でも売る?」
「それしかねーよな。ここってドラゴン売るのは可能か?」
「は!?ドラゴンだあ???」
「ドラゴンなんてこの村で買い取れるわけないでしょう!」
「ぐぬぬ。んじゃこれは?」
マンティコアを出してみる。
「ひいいいぃぃ!!」
「な、なんだこりゃ!?人の顔した獣って・・・」
「これもダメなのかーーー!」
「コテツ、もっと普通のがいいんでねえか?」
「普通・・・普通って何だ?」
「森にいた極小魔石くらいのヤツ」
「そんなの金になるんか?」
森で最初に倒した茶色のクマとでっかい蜘蛛と、なんとなくいつもの骨剣を出した。
「ガストベアーとドレッドスパイダーか。よくこんなの倒したな」
「このショートソードもなかなか良い剣よ」
「魔物の素材は街のギルドで売った方が金になるぞ?ここにゃ加工出来るのなんてトングのじーさんくらいなもんだ。それに金もそんなに出せない。このショートソードなら武器屋で買い取って貰える筈だ」
「この剣なら私が欲しいくらいね」
「ほう。その剣を売ったら宿屋に泊まれるんか?」
「そうね。5000ギラン以上にはなると思う」
「おっしゃ!これで一泊出来るな!」
「んじゃその武器屋に案内頼めるか?」
「こっちよ。付いて来て」
「おっと、言うのが遅くなったが最北の村へようこそ!ここは大陸の一番北にあるからそう呼ばれているんだ。んじゃレイラ、ロマインによろしく言っといてくれよー」
「はーい」
「オーイ!私ちょっと武器屋に行って来るから、みんな適当に時間潰しててね」
「あ、ちょっと待った!レイラもこっち来て」
四人が談笑してるとこに移動し、クマと黒い狼を大量に出した。
「カールたちの取り分だぞ」
「「え!?」」
「いや、受け取れません!俺達は助けられたのに」
「オウルベアーなんて倒したのアナタたちじゃない!」
「命懸けで倒したのに収穫ナシじゃ報われないじゃん。いいから持ってきな。クマもプレゼントだ」
「「ありがとう!」」
すごく遠慮されたけど、最後にはなんとか受け取ってくれた。
2
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説

赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!
ほむらさん
ファンタジー
ヘルメット、マスク、そして赤い軍服。
幸か不幸か、偶然この服を手に入れたことにより、波乱な人生が幕を開けた。
これは、異世界で赤い流星の衣装を一生涯着続けることになった男の物語。
※服は話の流れで比較的序盤に手に入れますが、しばらくは作業着生活です。
※主人公は凄腕付与魔法使いです。
※多種多様なヒロインが数多く登場します。
※戦って内政してガチャしてラッキースケベしてと、バラエティー豊かな作品です。
☆祝・100万文字達成!皆様に心よりの感謝を!
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。


ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる