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ダンジョン編

69 レジェンド(3回目)

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「そうそう!アニキに言うの忘れてたけど、作戦に一つ穴があったぞ」
「なんだと!?」
「赤結界のあと銀結界張ってそのタイミングでマジックポーション飲むって奴」

「ん??そこまでは単純な話しだと思うが、どこに穴があるんだ?」

「結界が邪魔でマジックポーション飲めなかった!!!」

アニキがそのシーンを想像し理解する。

「あーーー!!確かにその通りだ!スマン!なんというイージーミス」
「わははは!まあマジックポーションは、次に銀結界張る前に飲んでなんとかなったよ」
「くそう!次から作戦練る時は、一度実践するか、しっかり場面を想定して考えなきゃいかんな」
「気付かなかったのはオレも一緒だし、次からはちゃんと想定して考えよう」

精密でミスが許されない作戦だったので、作戦段階で間違うと全てが崩壊する恐れがある。

「そっか、だから落下のあと2本飲んでたのか」
「足怪我してたから一緒に飲んだ。結構すぐMP回復してくれて助かったよ。ライフポーション無くなったけど、ポーションのビンはすぐ開けられるから代わりに聖水入れとこうかな」
「それはいいアイデアだ。俺も一本持っとくか」

会話しながら階段を降りて来た。

「なんかやけにジメジメしてんなココ」
「4階も狩場向きじゃないかもなあ・・・」
「まあどっちみち4階の探索は次回だ。戻ってガチャんべ」
「レジェンドだ!燃えてきたぞ!」

「んじゃ転移!」


・・・・・


気高く聳え立つレジェンドガチャ。挑むのはこれで3回目か。
話し合いで、順番に回すことになっているから次はオレの番だ。

ガチャの前で目を閉じ深呼吸。そして魔石(大)をセット。レバーが光る。

肉体的なコンディションに不安はあるが、精神力はむしろ漲っている。
回すならやはりボスを撃破した今がベストだろう。

落ち着け。欲を捨てろ。そして宇宙を感じろ。
思考を遮断し、心を研ぎ澄ませ。

青空を流れる雲のような心でレバーを回す。


ガチャコン!キュピン!


「よしッ!銀だ!!!」
「来たか!大物が!」

銀のカプセルを開け、中のカードを見る。書かれている文字は【服】

なにィ!?服だと!?アニキの目も光を放つ。


[黒衣セット]
:漆黒の衣。製作者のセンスが光る自信作。評価S
:上着、ズボン、ブーツ、マント、指抜きグローブ、眼帯の6点セット。
:フル装備で全パラメータ5%アップ
:斬撃耐性+ 衝撃耐性+ 魔法耐性+ 炎耐性+ 熱耐性+ 冷気耐性+ 汚れ耐性+ 
:自動修復(大)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能


「・・・・・・」
「・・・・・・」

正直な感想を言おう。・・・むっちゃカッコイイ!

ただ真っ黒な服ってわけじゃなく、胸元が開いているのを、みぞおち辺りで白いフワッとした紐で結んでいて、素材はわかんないけど銀色のボタンも下まで付いている。
腰には白いベルトを使い、ズボンもとても品のあるデザイン。買うと高そうな黒いブーツ。
そしてマントは普通の黒いマントではなく、袖の無いコートみたいな感じで、首周りから足元まで、そして肩の部分に細くて赤いラインが入っている。
耐性も全部+付きで自動修復も(大)だ。・・・アレ?聖女の杖って(強)だったよな?何が違うんだろ?
・・・まあいいや。とにかくスゲー良い物を手に入れてしまった。

「なんという中二病全開な服だ・・・、しかしヘヴィメタルっぽくて実に格好いい!特攻服が無かったら、俺が着たいほどの完璧なデザインだ!良かったなコテツ、大当たりだ!」

「むっちゃ格好いい!!!製作者のセンスが光るって、誰だよ製作者!?名前書いてないじゃん!まあいいんだけどさ」

フル装備で全パラメータ5%アップかー!・・・え?眼帯も付けなきゃダメなん!?

「ウーム・・・ちょっと着替えてみる」

ってことでとりあえず鎧とかレギンスを脱いで、黒衣に着替えてみた。


「ハハハハッ!!中二病全開だな!!!」
「中二病ってなんだっけ?・・・でさ、フル装備しなきゃ全パラメータ5%上がらないみたいなんだけど、問題はこの眼帯なんだよねー」
「マジかよ!片目見えないのは流石に厳しいぞ?」
「5%アップより両目見えたほうが絶対いいよなー。・・・まあ試しに装着してみる」

眼帯もやけに気合入った出来で、黒いだけじゃなく薄っすら謎の模様が入っている。

「おお!?なんか普通にちゃんと両目とも見えるぞ?何だコレ」
「マジか!?どう見ても片目塞がってるぞ?」
「なんでだろ?何も着けてないみたい。触るとちゃんと眼帯あるのに」
「わけわからんな。魔物いっぱいで魔法もある所だし、まあそういうのもアリなんだろ」

とにかくこれで全パラメータ5%アップになったか。確認すると確かに+されている。

「着替える時、毎回無駄に眼帯付けなきゃならんのめんどいなー」
「ハハッ!確かにな。でも前見えるんなら問題ないだろ」
「そうなんだけどさ」


こうして世に一人、中二病全開野郎が放たれたのだった。
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