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ダンジョン編

62 強敵

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やっぱ読まれてたか!

転移からの不意打ちは、もう何度も当たり前のように使ってるのでアニキには避けられる。というかむしろ逆にカウンターくらうんだよな。
今回も剣を横薙ぎにした直後、真上から大剣が来てギリギリ避けたところだ。

「流石に何度もやられてるから気配でわかるようになったぜ」
「左後ろじゃなくて右後ろにすればよかった!」

一番反撃しにくい位置だからこそ、逆に読まれやすいのかもしれない。

「んじゃ今度はこっちから行くぜ!」

何のフェイントもなくアニキが正面から攻撃してきた。
ずいぶん普通に来たなーと思いながら横に回避。

ゴギン!

壁にぶち当たった。

グシャッ!

しかも剣が振り下ろされたから結界が半壊。
よく見ると左右後ろが壁に囲まれている。

完全にしてやられた!

「転移!」

距離を取ってとりあえずの危機を乗り切る。

「あぶねーーー!!!いつの間にか壁に囲まれていたとは!!」

「フハハハハハハ!あと一撃でアウトだぜ!?」

くっそー!いきなりピンチだ。攻撃当てたいけどアニキに隙が無いんだよなあ・・・。
オレが勝ってる部分はスピードだけ。怒涛の連撃で行くしかねえ!

「小細工はナシ!正面からやってやんぜい!」

シュタタタタタ


なーんてね。

「チビ結界!チビ結界!チビ結界!チビ結界!・・・(ごにょ)ちびけっかい

アニキの壁のパクリだ。左右と後ろ、そして視界を隠すように正面にも結界を出す。


「そう来たか!だがそれはもう効かぬ!」

アニキが屈んだところで足元を狙い剣を一閃。
気付いたアニキがすかさずジャンプで避ける。

ドゴン!

「え?」

バスタードソードを叩きこむ!
アニキの結界も半壊した。

「な、なんだとお!?結界は4つのハズ・・・なぜ上にもあるんだ!?」

退避しながらアニキが不思議がる。

「小っちゃい声で上にも出しといた!!!」
「クソっ!声に出すのを逆にフェイントで使って来るとは」

よし!なんとかイーブンに持ち込んだぞ。これでどっちもあと一撃で終わる。



「アニキ・・・もはや次の一撃が、我らの最後の攻撃となろう」

「よかろう、ならば砕いてみせよう。この剣に我が生涯の全てを込めて!」



壁やチビ結界の無い広い場所に移動し、最大の強敵ア ニ キと対峙する。
ここからは本当に小細工ナシだ。先生に学んだ剣の全てを叩き込むのみ。

コテツから攻撃を仕掛けた。腰を落とし、振りはシャープに最短軌道で。
剣と剣がぶつかり火花を散らす。お化け結界を使用中なので、ガントレットの防御は使えない。戦いの後に剣が痛んでしまうが、それはもうしょうがない。後で修理すればいいだけのこと。

アニキはパワー、コテツはスピード、攻撃スタイルに違いはあるが、互いの剣技に差はほとんど無い。違いがあるとしたらそれはスタミナ。そして経験の差。
次第にコテツが圧され出す。パワー負けでスタミナがガンガン減っていくのだ。

「互いにリザード流剣術を身に纏った今、他の剣術は武器にはならぬ!」

くそー!アニキが何か言ってるが、とにかくこのままじゃ負ける!何か無いか!?スピードが取り得なのに、そのスピードで翻弄することが出来ない。ならばどうする!?・・・やっぱスピードだ。これじゃあ足りない!もっと速く動け!体よ加速しろ!

結界が光りだす。


「クッ!来やがったか!」

コテツの動きが明らかに変わった。捌いていた剣撃が目で追えないほどに速くなって行く。もう体がその速さに付いて行けず、軌道予測で対処するしか無い。

そして3連撃の最後の突きがアニキの結界を破壊した。



「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」
「はあっ、はあッ、ハアッ、ハーーーーッ!よし、勝ったーーーーー!!!」

「ハアーっ、クッソやられたわ!最後のスピードは何だよアレ?いくらなんでも付いて行けねーぞ」

極たまーにしか発動しない加速、やっと意味がわかった。

「アニキ!加速のやり方やっとわかったぞ!」
「なに!?とうとう判明したのか!」

「自分を速くするというよりも、お化け結界に加速の魔法かける感じで行けた!」
「へーーー!なるほど・・・、結界のほうに秘密があったのか」
「たださ、加速すると2倍疲れる。長い間加速しっぱなしとかはたぶん無理」
「それはまあ・・・、速くなる分、倍動くわけだもんな。なるほどそうなのかもしれん。・・・ん?結界に魔法をかけるってことは俺にも使えるのか?それ」

「たぶん出来るぞ!」
「マジかよ!ちょっとやってみてくれ!」

たぶん出来るよな?えーと・・・MPはまだ大丈夫だ。

「アニキにお化け結界白!んでもって加速!」

「んじゃどれ!一発試してみっか」


アニキが剣を構えて連撃を始める。・・・うおおおおお!速い!!オレあんなことになってたんか!
そりゃあアニキが苦戦するわけだ・・・。やべえ、加速マジすげー!

「ふーーーっ。こいつぁヤベエわ・・・。とんでもねえ魔法だぞコレ!ボス戦で確実に切り札となるだろうな。時空魔法、確かに紛れもなくレジェンドだ」


問題は加速によるスタミナ消費か。これから毎日走りまくって体力付けなきゃいかんな。
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