上 下
790 / 798

790 嫌な師弟コンビが爆誕してしまう

しおりを挟む
 ディグダム中央にある迷子センターで待っていたメタルヒーローちゃん達だったが、なぜか迎えに来たレミィお母さんによってボコボコにされた。


「あれがレミィお母さんなのかしら?」
「全身鋼鉄の子供を四人も育てるなんて凄いわね~」
「でも大暴れしてるぞ?」
「きっと親子の愛情にも色々あるのよ」


 街のど真ん中でドタバタやっていたので、街の住民達がたくさん集まって来て、暴れてるのがレミィお母さんだって気付いたもよう。

 すごく注目を浴びている事に気付いた彼女が、ようやく暴れるのを止めてくれた。恥ずかしくなったみたいで、顔を赤くしている。


「あなた達のせいで大恥かいたじゃないの!」
「旅の恥はかき捨てと言うだろ!」
「巻き込まれて恥をかかされる身にもなってみなさいよ!!」
「街に残った人達がどこに寝泊りしてるのか聞いてなかったからさ~」
「他の三人も街の北側にいるのか?」
「うん。魔王とケン坊は昨日レザルド軍の施設に入って行ったけど、そういえばセイヤの姿は見てない気がする」
「私も見てないかな?」
「ほーん。まあとりあえずその施設に向かってみるか」


 清光さんが土魔法を使って迷子センターを土に戻してくれたので、街の北に向かってゾロゾロと歩いて行く。

 しばらく進むと、道端で立ち話をしているケンちゃんとセイヤを発見した。


「セイヤ、こんな所にいたのかよ!探したじゃねえか!」
「いや~、モテてしゃーない」
「あ”?」
「焼き肉大会で仲良くなったルーザさんってお姉さんが未亡人でさ~、子供もいないし寂しいって言うんで、まあ、家にお呼ばれされたわけですよ!」
「マジかよ!!」
「でな!夕方くらいにルーザさんの友達のお姉さんが2人来てさ、あの激戦の話をしたらメチャメチャ盛り上がってよ~!そのままお泊りってわけだ!!」
「なっ・・・んだと!?」
「いや~、マジで凄かったぜェ!?こうやってお尻を三つ並べてだな」

「あっ!」

 ケンちゃんがこっちに気付き、レナの顔を見て慌てだした。

「おい聞いてんのか!?・・・ん?どこ見て・・・」


 腰を前後にカクカク振っていたセイヤが、後ろを振り向いてフリーズした。
 レミィとレナに白い目で見られている事にようやく気付いたらしい。


「へ~~~、お尻を三つ並べて?それで?」
「不潔・・・」

 変なポーズで固まったまま、セイヤの顔面は蒼白である。

「ケンに変な話しないでもらえるかな?」
「いや、その・・・違うんだ!」
「お、俺は無実だからな!!こいつが勝手に変な話をし始めただけで!!」

 ツカツカツカツカ

「痛てててててててて!いや、だから違うんだって!!」
「ほら、シャキシャキ歩く!」


 耳を引っ張られたケンちゃんが、レナに連れて行かれた。


「ケン悪りぃ!成仏してくれ!」

 うん。
 ありゃ~完全に尻に敷かれるな。


「で、その女性達は?」
「あ、えーと、まだ家で寝てるかと・・・」

 セイヤがすぐ目の前の家を指差した。

「まあ遊ぶのはいいけど、無責任に孕ませてポイってのはダメだからね?」
「いや、そんな半端な気持ちじゃないっスから!ちゃんと責任は取るつもりです!近江・・・、いや越前かもだけど、城を獲ったら絶対連れて行くつもりなんで!」
「悲しませないって覚悟があるなら好きにしなさい。沢山のお嫁さんを囲うのも男の甲斐性と言えるしね。この赤い男なんかお嫁さんが100人いるんだよ?」

 飛び火ーーーーーーーーーーーーーーー!!

「エエッ!?嫁さんが100人も!?冗談じゃなくて?」
「いや、108人らしいぞ」
「信じられないだろうがマジだ。なにしろ結婚式に呼ばれたからな」
「ハーレムを作るつもりなら、この赤いのに相談すりゃ間違いねえな」

 残った全員が俺を見た。

「嫁が多いと大変だぞ?生半可な覚悟でやるもんじゃあない」
「嫁さんが100人超えとか凄すぎる!!師匠と呼ばせて下さい!!」
「師匠ならもういるだろ!」
「それはそれ、これはこれっスよ!」

 ナンパ師みたいな弟子いらないんですけど!!

「まあとにかくそろそろ出発するから、その彼女達に一声掛けてこい。俺達は先にゼーレネイマスの所に行ってる」
「はい!後で巨大ハーレムの話を聞かせて下さい!」


 そう言って、セイヤは家の中に飛び込んで行った。
 つーか、巨大ハーレムとか言うのやめてもらえませんかね?





 ************************************************************





 街の北で大魔王と合流した後、ようやく次の街目指して出発した。

 セイヤの嫁さん候補のお姉さん3人が眠い目をこすりながら見送りしてくれたんだけど、やっぱり30代~40代って年齢で、セイヤの恐ろしさに震えた。

 『近い内に絶対帰って来るから!』と手を振っているセイヤを見て、遊びじゃなく本気なんだな~と、レミィと一緒にウンウン頷いた。


 ―――――ただそこからセイヤが半端なくウザかった。


 嫁が100人超えの俺を心の底から尊敬しているようで、いつもはケンちゃんと並んで歩いていたのに、俺にベッタリなのだ。


「嫁が多いってことはすなわち無限夜伽なんだよ。もう自由なんて無いからな?夕食の後は速やかに風呂に入って夜伽に備える。そして嫁とのバトルが始まる。これが永久に続くんだぞ!」
「最高の毎日じゃないっスか!」
「夜伽をなめんな!独りよがりの夜伽なんかしてたら、裏で嫁軍団に何て言われるかわかったもんじゃない。必ず満足させなければならないのだ。迅速に嫁を撃破し、少しでも睡眠時間を確保する。それが出来なければ半日消え去る」
「そ、そうか!時間との戦いでもあるんですね!」
「目覚めてすぐ『昨夜はどうだったか』と一人で感想戦を行い、反省点をしっかり心に刻み込んで、必ず次の夜伽に生かすんだ。それを怠れば喰われるぞ?」
「なるほど・・・、嫁さんも成長していきますもんね」


 夜伽の凄まじさをセイヤに熱く語っていると、親父達の声が聞こえてきた。


「こいつら馬鹿だろ?」
「いや、シャアリバーンの言うことには説得力があるぞ!」
「嫁が100人超えともなると、それくらいの覚悟が必要なのかもな」
「深く考えたことなんて無かったけど、お嫁さんは子供が欲しいわけだから、全員本気で向かって来るもんね。確かに男の立場だと大変だ!」
「いや、そもそも嫁を108人も娶ったこいつが悪い!」
「聞けば聞くほど、こうはなりたくねえって思うよな・・・」
「ハーレムなんてのは夢だからいいんだ。実現させるもんじゃねえな」


 ごもっとも!!

 嫁が妊娠すれば少しは楽になると思うだろ?
 しかし100人いるとならねーんだよ!次の嫁が待ってるんだよ!

 たとえ全員に子供を産ませることに成功したとしても、今度は二人目の子供を欲しがるわけです。夜伽に終わりは無いのだ。

 なんか苦労を分かち合えそうな仲間が誕生しそうで、セイヤを応援したくなってきたかもしれん・・・。
 
しおりを挟む
感想 418

あなたにおすすめの小説

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。 女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。 ※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。 修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。 雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。 更新も不定期になります。 ※小説家になろうと同じ内容を公開してます。 週末にまとめて更新致します。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

処理中です...