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756 ルシオの強運が炸裂

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 どうやら男連中は女性まみれ生活で揉まれたおかげかレディーファーストを心得ているようで、ピピン隊が全員終わるまで待つ構えだ。

 もちろん俺もミスフィート軍で長いこと過ごしているので、彼らと同じ状況でもまったく同じ行動をとるだろう。

 それこそが、数少ない男性陣がミスフィート軍で生き残る極意だからだ。

 女の子達に好かれたい気持ちがあるのも事実だが、それ以上に悪評が立つのを恐れている面もある。

 まあ、好かれなくとも、嫌われないようにする方法はそう難しくはない。

 女性達の邪魔をしないこと。清潔にすること。
 この二点だけ気を付ければいい。

 そしてモテたいならば、強くなるだけじゃなく出世しなければならない。
 ボヤッキーにお色気ムンムンな彼女がいるのは、仕事が出来る男だからなのだ。

 おっと!ミスフィート軍における男性の処世術を考察してる間に、ピピン隊のガチャが終わったようだ。


 ・ピピン→ウェディングドレス
 ・エレン→お姫様風の豪華なベッド
 ・キャンディ→黄色いストライプのパジャマ
 ・オリビア→鳥小屋みたいな可愛い鳩時計
 ・ビアンカ→ゴスロリメイド服


 うん。全員当たりだな!

 ビアンカは修道服を着ているので、突然のゴスロリメイド服ゲットにすごく狼狽えてたけど、嬉しさが顔に出てるのを見抜かれて、他のメンバーに今すぐ着替えるよう急かされている。

 でも服の強化がまだだしこの後男性陣のガチャもあるので、とりあえず俺が最低限の付与を施してる間にルシオ達のガチャを見守るってことにして、その後で着替えることになった。

 っていうか、服の強化はいいんだけど、鳩時計がめっちゃ羨ましい!
 使いやすい時計ではないけど、これを欲しがる人はかなり多いんじゃないか?


「僕からなんですか!?」
「そこにいる嫁さん達は、お前のガチャが見たいんだよ!」
「彼女らの期待する目を見てみろ!アレが俺達に向けられてると思うか?」
「女性陣の視線がキツ過ぎて今やったら失敗しそうだ。ルシオ殿から挑戦すれば丸く収まる!」
「皆に勢いをつける為にも、格好良い所を見せて下さい!」
「確かに僕からやった方がいいのか・・・。うわ~、緊張するなあ」


 ルシオは二度目のアリアダンジョンなんだけど、前回はなぜか清光さん虎徹さんからガチャを禁じられていたので、初めての挑戦なのである。

 俺の後を継いでミスフィート軍を勝利に導いた功労者なんだけど、自分が考えた作戦で味方に死者が出てしまった時の辛さは俺が一番よく分かっている。

 そんな辛い経験をしてきたルシオには、それ相応のご褒美が必要なのだ!

 まあガチャってのは自分で運命を切り開くモノなので、俺が手伝えることはほとんど無いんだけどさ、とにかく全力で応援するぞ!

 魔石を10個投入してレバーを光らせたルシオが目を閉じた。

 嫁さん達は声を出して応援したくてたまらないだろうけど、魔石投入後は精神集中の邪魔をしないよう強く言ってあるので、皆固唾を飲んで見守っている。


 ―――――次の瞬間、ルシオにガチャの女神が微笑んだような気がした。


 ガチャコン! キュピピピン!


「うわっ!」

「「きたああああああああああーーーーーーーーーーーーーーー!!」」

「今のは金カプセルの音だ!ルシオの奴、ガチャと友達になる選択をしたか!」
「なんスかそれ!?」
「ガチャと友達に??」
「うん。意味が分かりませんね・・・」


 ルシオが金のカプセルを開けた。


「あっ!カードに【服】って書いてあります!」

「「おおっ!」」


 カプセルがポフッと変化し、ルシオの手には白い服が乗っていた。


「わっ、真っ白だ!汚さないように注意しなきゃ・・・」


 ルシオが慎重に服を広げると、それはやたらと格好良い軍服だった。

 おそらくアニメかゲームに出てくるキャラクターが着ていた服なんじゃないかと予想するが、残念ながら元ネタがわからん。


「男性用の白い軍服じゃないか!大当たりだ。おめでとう!」
「めちゃくちゃカッケーーーーーーーーーー!!」
「やっぱ男性服って出るんだな!」
「金髪のルシオ殿に良く似合いそうな服ですな!」
「恐ろしい程の強運ですね!おめでとうございます!」

「あ、ありがとうございます!!」


 なんか静かだなーと思ったら、ピピン隊全員の目がハートマークになっていて、ルシオに飛び掛かる寸前だった。


「ピピン隊ちょっと待った!今、ルシオを揉みくちゃにすると、あの白い服が汚れてしまう!」

 それを聞き、彼女らは寸前で思い止まってくれた。

「小烏丸!早くあの服を強化して!」
「私の服は後でいいから、まずはあの白い服をお願い!」

 イカン!全員、目が血走っておる。

「ルシオ!ピピン隊は長くは持たない。急いで強化するから服を渡してくれ!」
「うぇええええ!?よく分かりませんがお願いします!」


 ルシオから白い軍服を受け取った。


「次は誰がいく?」
「ヒューリックからやっていいぞ!俺は最後でいいや」
「ぬう、我の出番か・・・」
「小烏丸様に一つ質問があるのですが!」
「ん?何だ?」
「先程、ガチャと友達になるとか言ってましたよね?アレは一体どういう意味なのでしょうか?」

 ああ、ジルから質問なんて珍しいと思ったけど、そこが引っ掛かってたのか。

「えーとな、まず心を空にして精神を限界まで研ぎ澄ませるんだ。ここから先はそれぞれやり方が違うので絶対は無いのだが、『ガチャと友達になる』『ガチャと一体となり呼吸を読む』『気迫でガチャを凌駕する』など、自分に合った方法を見つけ出せ!そこまでやるのが精神統一だ」

「なんかすげー難しくなったし!!」
「ふ、深すぎる・・・」
「それでルシオ殿は、『ガチャと友達になる』を選択したのですね!小烏丸様はどのやり方を選択しているのですか?」
「俺か?昔は気迫で凌駕するタイプだったが、最近はガチャの呼吸を読むようになったな。ただ呼吸を読むのは何年もガチャと向き合った者でないと難しいかもだ」
「なるほど・・・」
「ということは、残るは『気迫』か『友達』の二択ですな・・・」
「いや、二択ってわけではない。それ以外の方法もあるハズだぞ!」
「ほうほう!とにかく色々やってみるしかなさそうですな!」


 ヒューリックはどう攻めるかな?
 意外と温厚な性格だから、友達を選択するのも悪くないと思う。

 ピピンみたいに『それ以外のナニカ』って手もあるので、その辺は精神集中しながら自分で見つけ出してくれ!
 
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