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654 犯人は・・・俺じゃねえか!

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 一刻も早く教科書を作らなきゃならんのに、ゴーレム教室が面白過ぎて、もうまったく集中出来ません!!


 ・・・ちょっと整理してみよう。


 ・ゴーレムを作る時は、土の上に魔石を乗せた状態で土魔法を発動させる。
 ・ゴーレムを動かすには関節を作ってあげる必要がある。
 ・魔石融合とは、魔石を融合させる工程を指す。
 ・融合魔石とは、それによって合体し光り輝いている状態のモノを指す。
 ・放っておくと魔力が漏洩するので、急いで次の工程へ進む必要がある。
 ・融合魔石をゴーレムで包むと結晶化してゴーレムの核となる。
 ・融合魔石を魔力漏れさせずに保存しておく手段は今の所無い。
 ・ゴーレムの核を抜き取っても、それはもう魔石ではないので砕け散る。
 ・融合する魔石の属性を統一することでゴーレムの性能が上がる。
 ・土属性の魔石で作られたゴーレムが一番強い。


 よく考えたらゴーレム科の教科書も必要だから、俺全然サボってないじゃん!
 むしろちゃんと聞いておかなきゃダメなヤツや!

 パメラに教科書作りを頼めばいいだけなんだけど、彼女も先生をやったりとメチャメチャ忙しいからな~。

 とりあえず俺目線で要点を纏めたモノをパメラに見せて、生徒達が内容を把握しているかどうかの目安にしてもらおう。

 本当に教え方が上手だから、ただのお節介かもしれんけどな。
 まあ教科書を作るにしても、こういうモノがあった方がサクサク進むだろう。


 ルル達は魔石の融合を始めたけど、やはりそう簡単なモノではないようで、何人かは初日に成功させたが、半数以上の人は次の日に持ち越しとなった。





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「ゴーレムちゃんが死んじゃった・・・」


 何人ものゴーレムが機能を停止し、教室はお通夜ムードだ。


「最初に作ったゴーレムちゃんが全然動かないのです!」
「寝る前は元気だったのに、朝起きたらぐったりしていて・・・」
「ベッドの下に落ちていたから、打ち所が悪かったのかなあ・・・」


 お前ら、もしかしてゴーレムと一緒に寝ていたのか!?


「いえ、死んではいませんよ?」


 パメラ先生のその一言で、深く沈んでいたルル達の瞳に輝きが戻った。


「ゴーレムを作る時に小さな魔石を一つ使いましたが、それが核となりゴーレムちゃんが誕生しました。小さなゴーレムくらいならば、『ゴーレムの核』に蓄積されていたエネルギーでしばらくは元気なのですが、そのエネルギーが無くなってしまうとゴーレムは動けなくなります」

 よほどショックだったのだろう。生徒達は真剣にパメラ先生の話を聞いている。

「簡単に説明しますと、動かなくなったのは食事を与えなかったのが原因です」

 その言葉を聞き、生徒達はまたもやショックを受けた。

「あーーーーーっ!そうだ、ご飯あげてない!!」
「しまったーーーーー!口を作ってないよ!」
「ハンバーグとか食べるかなあ?」
「食事って、どうやってあげればいいのです!?」

 なんだかすごく微笑ましい光景ですな~。
 学校で子供達に勉強を教えている時も、こんなほんわかした感じなんだろな。

「ふふっ!ゴーレムは肉も魚も食べられません。ゴーレムの食事はコレです!」

 パメラが親指と人差し指で摘まんでいるのは、もちろん魔石だ。

「魔石?」
「えーと・・・、どこから食べさせるんだろ?」

「小烏丸が作る魔道具も魔石が動力源になっていますよね?構造はアレとまったく一緒です。背中に魔石を入れる部屋を作って、そこにセットした魔石からエネルギーを吸い取れるようにしてあげるの」

「「おおおおおおおおおお~~~~~~~~~~!」」

「大事なのは、その部屋からゴーレムの核まで魔力が通る道を敷く作業ですね。穴を掘るのではなく魔力の糸を通すような感じなのですが、言ってる意味が分かるまで少し難しいかもしれません。でも土魔法使いなら大丈夫です。魔石の融合に成功している人は挑戦してみましょう!」

「「はい!」」


 これは俺が魔道具作りでやっている事と大体一緒だ。
 物理的に道を作るか、土魔法で道を作るかの違いってだけだ。

 でも感覚を掴むまでかなり苦戦しそうだな。

 ゴーレムの目とモニター画面を繋げたりするのにも応用する技術だろうから、避けては通れない重要なテクニックと言えるだろう。皆ガンバレ!





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 ガチャッ


 ・・・な、なんだと!?


「今日の夜伽の相手ってミュルモだったのか!」


 バタン


 夕食時にチェリンが今夜の対戦相手の部屋を伝えてくれたんだけど、なぜか名前を教えてくれなくて訝しんでたんだが、予想外な人物のせいだったのか・・・。

 有能で貴重な斥候の一人だから、城で一度も見かけなくてさ、その存在すら完全に忘れてたな。マジですまん!!


「今日やっと帰って来たにゅ」
「ミュルモが帰還したってことは、ヴォルフも戻ったのかな?」
「一緒に摂津の国から帰って来たにゅ。ヴェンダーはまだみたいにゅ」
「そうか、本当にお疲れさん!仕事の話は明日にでも聞かせてくれ。しかしミュルモまでもが嫁候補だったとは知らなかったよ」
「お嫁に行けない体にされたから、もう小烏丸と結婚するしかないにゅ」


 なんだと!?


「ちょっと待て!お嫁に行けない体って、一体何があった!?」


「・・・丸洗いされたにゅ」


 はあ?丸洗い??

 ・・・そんなことする奴なんて、俺くらいしかいないじゃないか!!


「あの~、それってもしかして、シロネコ城で防衛戦をしていた時の話か?」
「にゅ!」
「なるほど。確かにミュルモを丸洗いをした記憶がある」

 だって斥候帰りで野生の香りがしてたんだもの!!

「だから結婚するにゅ」
「いや、いいのか?そんなんで・・・」
「問題ないにゅ。じゃあそろそろ始めるにゅ!」
「あ、ああ、わかった!」


 あれ?何か重大なことを忘れているような・・・。


「何だっけ?」


 あ、しまった!彼女って獣人じゃ、


 ミュルモから濃厚なフェロモンが放出され、理性が吹き飛んだ。


「フォオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!」
「にゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 ―――――当然ながら、ミュルモが気絶するまで我に返ることはなかった。


 
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