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651 ミスフィート軍・第1回ゴーレム教室

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「ふぅ、実に手強い嫁だった・・・」


 ギリギリ倒すことは出来たものの、アイヴィーの好奇心はとどまることを知らず、持てる技の全てを出し尽くすまで満足してくれなかったのだ。

 おかげで1時間くらいしか眠れなかったし!

 今日も魔法部隊をゴーレムに乗せなきゃならないんだけど、旅の仲間達に教官を任せて、俺は何時間が寝させてもらおうと思う。

 じゃないと夜伽に差し支えてしまうから、今夜の嫁に申し訳ないことになる。

 身分とか一切関係なく、お嫁さんは平等に愛さなければならないから、今日くらいいいだろうって甘い考えは絶対許されないのだ。

 まあでもとりあえず、この城に集まっている嫁の中でも強敵と思われる人物との夜伽は大体終わらせることが出来たかな?

 各城に散らばる城主達も実力者揃いなので気を引き締めなければならないが、とりあえず一安心と考えていいと思う。

 魔王もやばかったけど獣人も非常に手ごわい相手だったので、やはりそこを全て突破したってのが大きいな。

 子供が出来ていなければ2週目もあるわけだけど、まあその時はその時だ!
 とにかく一つの大きな山を越えたことを喜ぼうじゃないか。


 今日はミスフィートさん達が出発する日なんだけど、魔法部隊にゴーレムを作ってもらう為に動き始めたと報告すると、『見送りはいいから魔法部隊を頼むぞ!』と言われたので、すごく気にはなったけど今生の別れってわけでもないので、『久しぶりの帰郷を楽しんで来て下さい!』とだけ言って、俺は学校へと向かった。

 そしてニャルル達に教官役を任せて昼過ぎまで爆睡。目覚めてから俺も教官になって、何とか魔法部隊の全員をゴーレムに乗せることが出来た。


 ―――――翌日。


 しっかり眠れたのもあり、学校で教科書を作る仕事をしようと思ったけど、今日はパメラによる『ミスフィート軍・第1回ゴーレム教室』が開かれる事になっていたので、仕事の前にちょっと見学することにした。


「まずは目の前にある土の上に魔石を乗せて、小さなゴーレムを作りましょう!魔石というのは人間の心臓と一緒で、ゴーレムにとって一番重要な動力源です。土魔法使いが魔石を中心に土が集まるよう念じることで、そこにゴーレムとしての魂が宿るのです!物に命を吹き込むなんて初めての試みでしょうけど、土魔法使いなら大丈夫です。みなさん頑張って下さい!」

「「ハイ!!」」


 おお~~~、パメラの教え方ってすげー分かりやすいな!!
 正直、マミちゃん先生はもっとテキトーな教え方だった気がするぞ?

 物に命を吹き込むって、よく考えたら凄いことだよな・・・。

 ある意味、神様が人間を創造するような感じだろう?
 それってとても神秘的だよな。土魔法使いって、地味なようで一番凄くね!?


「あっ!土が固まってきましたです!」

「土が硬化し始めたらあと一息という状態です。ゴーレムというのは必ずしも人型である必要は無いので、自分の思い描くゴーレムの形にしていいですからね!」


 でもココに集まったメンバーは、完成された格好良いゴーレムを操縦した後なので、どうしてもあのイメージに引っ張られてしまうだろな~。

 チャミィやメメのように最初から個性的なゴーレムを作る人がいたら、その人は天才肌かもしれないので要チェックだ!

 ちなみに俺は教科書を作りながらの見学だから、別に仕事をサボってるわけじゃないからな!


 皆がウンウン唸りながらミニゴーレムを作り始めて2時間ほどが経過。
 数人のエルフが、ミニゴーレムを作ることに成功した。


「先生!ゴーレムの形にはなってると思うんだけど、全然動きません!!」

「フムフム。何人かが惜しい所までいっているので次の段階に進みましょうか。では自分の腕を見て下さい。そして肘を曲げたり伸ばしたりしてみて下さい」


 言われた通りに自分の右腕を曲げたルルが、『ハッ!』と気が付いた。


「関節だ!」

「正解です!関節というのは肘だけじゃなく肩にも指にもあります。ちゃんと腕や足が動くように関節を作ってあげないと、ゴーレムは動く事が出来ません」

「「なるほど!!」」

 そして関節を作ろうとしたルルが、頭に『?』を浮かべた。

「えーと、カチカチの腕が曲がるようにするのって、どうすればいいですか?」
「自分の腕の関節って外から見えないよね?骨からちゃんと作るの!?」

 自分も最初そこで躓いた経験があるのだろう。パメラがニコッと笑った。

「ゴーレムは人間じゃないので骨は必要ありませんよ。実際に目で見て確認した方が早いので、あの青いゴーレムをしっかり見て勉強しましょう」


 教室の窓際に外へ出るドアがあるので、そこから外に出て数歩の場所にパメラが青いゴーレムを立たせた。

 生徒達が青いゴーレムに近寄り、今度はしっかりと細部まで注視する。


「なるほど!こうなっていたですか!!」
「凄いわ!ここまでしっかり考えて作っていたなんて・・・」
「操縦した時はただただ凄いとしか思わなかったけど、実際に自分で作ろうとしてから見ると、その緻密さに感動しますね!」
「パメラ先生凄すぎだよ!!」


 これにはパメラも鼻高々だ。
 本当にこのゴーレムはよく考えて作られているからな。

 簡単に説明するとロボットアーム風なんだが、クレーン車の関節部分のアレに近い感じかな?

 甲斐ゴーレムの関節はもっと複雑だったけど正直無駄も多かったので、俺の知識とパメラの閃きで、高機動を生み出す完璧な関節を完成させたのだ。

 まあ三河のゴーレムもパーフェクト関節だったけどな!

 とにかく動く実物を見たことで、生徒達のゴーレムも動くようになるだろう。
 しかし、初ゴーレムでいきなり逆関節を作ったチャミィって半端ねぇな・・・。
 
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