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623 人形の中身を回収しよう!

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 泊まり込みでダンジョンを攻略するという、長く辛い禁欲生活の直後だったのもあり、持てる全ての技を繰り出して朝までソフィアを蹂躙し尽くした。

 正直まだ眠くないし、あと半日くらい闘えそうな気もするんだが、何日も寝食を共にした31階層攻略メンバーの80人全員がダンジョンに行きたいハズなので、今日も2台の大型バスを定員オーバー状態で走らせなきゃだからこの辺で切り上げよう。

 絶対に人様にお見せ出来ない状態になってしまったソフィアを、タオルでキレイに拭いてからそっと毛布を被せた。


 バタン


 ソフィアの部屋を出て、真っ直ぐ王室ゾーンの風呂場に入ってシャワーだけ浴び、シャッキリした状態で玉座の間に入った。


「小烏丸、おはよう!」
「おはようございます!ミスフィートさん」
「しかしまあ、玉座の間がエライ混沌としてしまいましたね~」
「賑やかで私は凄く気に入ってるぞ!」
「ははははっ!ガチョピンとモックは玉座の横に並べたんですね」
「うむ!釣り合いをとる為に、ゴブ夫側にサンダー大佐を置いたんだぞ!」
「何となく言いたいことはわかります!」

 変なモノが大好きなミスフィートさんのことだから、玉座周辺がこうなる予感はしてましたとも!

「それにしても、立たせた瞬間ガチョピンの目が開いたのには驚きましたね!」
「寝かせると目を閉じる仕様だったとはな。モックの方は目が飛び出たままだが」
「サンダー大佐も目を開いたり閉じたりするタイプですね。ただこの人形達はリアル過ぎて、いきなり動き出さないかちょっと心配だったりしますけど」
「此処で動き出したなら斬るしかあるまい」
「せっかく集めた貴重品ですし、大人しくしていてくれるといいのですが」


 ビクッ

 玉座の前の階段を降りると、その両サイドに人形がずらっと並んでいるのだが、食い倒れ野郎を見た瞬間、つい警戒態勢をとってしまった。


「やっぱりコイツは嫌いだ!でもコレクション的に必要なんだよな・・・」


 そして食い倒れ野郎の横に立っているのがスパイダー男爵だ。

 なんと、お嬢が最後の大決戦の時にタイマンで撃破していたのだ!
 俺と闘った方は丸焦げになってしまったので、正直もう手に入らんと思ってた。

 しかも心臓への一突きで倒してるから、綺麗なスパイダー男爵なんだよ!
 思わず感激してお嬢を抱きしめたら、すごく恥ずかしがってたな。


 ギギギギッ

 入口の大きな扉が開いたので目を向けると、入って来たのは親父とグミだった。


「まだ出発するには早い時間だけど、人形を見に来たのか?」

「もちろんだ!昨日は皆疲れていたから、調べるまでいかなかったしな」
「ポコポコちゃんの中に、練乳がギッシリ詰まってるんだよね!?」
「いや、絶対とは限らんからな?練乳確率は99%くらいだ」
「ほとんど100%じゃない!」

 ビクッ

 俺の側まで歩いてきた親父が、食い倒れ野郎を見て固まった。

「くっ、トラウマが・・・。マジでコイツ大っ嫌いだ!!」
「わかるぜ親父。俺も飛び上がりそうになった」
「タマタマ大丈夫?」
「俺はもう復活したけど、親父は3発くらってるからな・・・」
「危うく死にかけたが、魔法で癒してもらってギリギリ助かったぞ!」
「よかったねーーー!」

 そんな会話をしながら、ポコポコちゃんの前に移動した。

「ん?股間の大砲は?」
「ああ、昨日並べた時に気付いてさ、見苦しかったんで押したら引っ込んだ」
「機能が停止してても簡単に引っ込むんだな」
「隣のペロペロちゃんなんか全部開いてたからな~。元の可愛らしい姿に戻って良かったよ」
「でもどこから練乳を取り出すの?」
「そこまで考えてなかった」

 三人でポコポコちゃんを調べてみると、背中に四角い扉を発見したので、とりあえずうつ伏せに寝かせてみた。

「何で寝かせたの?」
「開けた途端に練乳がドバっと出て来るかもしれんだろ」
「あ、そっか!」

 扉のすぐ右下に小さなボタンがあるのを発見したので、ポチっと押してみた。

 パカッ

「お、開いた!!」


 ―――――中は真っ白だった。


「すごくミルク臭くなった。もしかしてこの白いのって全部練乳なのか!?」
「上までギッシリじゃねえか!うつ伏せにして正解だったな!」
「練乳キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 グミが食堂から持って来たスプーンを差し込み、白くてドロッとした液体を掬って、躊躇なくパクっといった。

 もう匂いからして練乳だし、大丈夫だろう。


「あっまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!」


 この喜び様からいって練乳で間違いないな。
 人形1体分の練乳ゲットだぜ!!


「昨日舐めた練乳と同じ味ってことだよな?」
「うん!!」
「よっしゃ!これだけの量の練乳を手に入れられたのはデカいぞ!!」
「さて、どうやって回収しようか・・・」


 床に大きな箱を置いて、その上にポコポコちゃんを仰向けにセットし、背中の扉を開ける作戦でいくか。

 念の為、マジックバッグから特大の箱を取り出した。
 俺は箱なんかを汚いまま収納するのが嫌いだから、練乳を入れても問題ないハズ。

 親父に手伝ってもらって、ポコポコちゃんを箱の上にセットした。


「ポチっとな」


 ドロ~~~ッ

 ポコポコちゃんの背中からゆっくりと練乳が出てきた。


「よし、あとは最後の一滴まで出尽くすのを見守るだけだ」
「ドロドロしてるから、少し時間かかりそう」
「この粘度じゃ人形の中に結構残っちまうんじゃねえか?何か道具を使ってかき集めないと」
「まあそれはその時考えよう。さてと・・・、ただ待ってるのもアレなんで、俺は佐藤ちゃんから風邪薬を発掘してくる!」
「風邪薬だと!?」
「いや、見た目は風邪薬なんだけど、たぶんアレはお菓子だと思う」
「お菓子なのかよ!」
「えーーーーー!そっちも気になる!!」
「こっちも心配なんで、グミは練乳を見張っててくれないか?お菓子を回収したら持って来てやるから」
「了解!」


 親父と一緒に、ケロケロちゃん&佐藤ちゃんの前に移動した。


「どう見ても薬屋のマスコットだな。悪いヤツに破壊された跡があるが」
「すみません!俺が壊しました。親には内緒にして下さい!」
「すでに親にバレてるんだが!まあ冗談はこれくらいにして中身を回収すっか」
「んじゃ親父はケロケロちゃんの方を頼む!」
「背中に扉があれば簡単なんだけどな。・・・って扉があるじゃねえか!」
「ブハッ!佐藤ちゃんの背中にも扉があるし!」


 パカッ

 佐藤ちゃんをうつ伏せにして扉を開けると、やはり風邪薬がゴッソリ入っていた。
 でも長い鼻からマシンガンのように撃っていたので、量が少し減っていた。


「戦闘で使った分が減ってたーーー!でも結構な量が入ってるぞ!」


 親父の反応が無いので見てみると、扉を開けたまま唸っていた。


「カラフルな粒がギッシリなんだが、これってもしかしてチョコレートか?」

「な、なんだってーーーーーーーーーー!?」


 急いで親父の方に駆け寄ると、確かにそれっぽいのがケロケロちゃんの中にギッシリ詰まっていた。

 ソフィアから返してもらった聖水が手元にあるので、躊躇なく口に入れてみた。


「うおおおおお、マジでチョコレートだ!円盤だか眼鏡だか分からん入れ物で売ってた、あのマーベラスなチョコだ!!」

「やっぱりチョコレートだったか!」


 やべえことになったぞ!このままでは女の子達が争奪戦を繰り広げてしまう!

 ・・・いや、こっちは練乳並みに詰まってるから、しばらく楽しめるか。
 
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