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621 思わぬラッキーに親父が驚愕する

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 周りを見渡してみても命の危険があるほど苦戦している人が見当たらなかったので、俺達はチャンピオンベルトを腰に巻いたまま、それぞれが闘ったボスの強さを語り合いながら盛り上がっていた。


「・・・ム!小烏丸の顔が少し腫れているな?」
「最後にデンプシーロールをくらいましたからね。あの拳は強烈でした」
「デンプシーロールまで使って来たのか!ガチョピンやべえな!」
「どれ、魔法で癒してやろう」


 ホワ~~~~~ン


 ミスフィートさんが晴れた部分に右手を翳すと、手の平から優しい光が放出され、痛みが和らいでいくのを感じた。


「おお~!すごく気持ちいいです。昔より回復魔法が上達してる!?」
「小烏丸が魔道具で遠くに飛ばされた後、魔法の練習を始めたのだ!」
「そうだったのですか!役に立たない魔法なんてありませんから、魔法のレベル上げは大事です!あっ、それなら・・・」

 マジックバッグから、[光属性魔法強化の指輪][水属性魔法強化の指輪][魔力増幅の指輪][MP消費軽減の指輪]を取り出し、ミスフィートさんの指にスポスポと嵌めていった。

「こ、これは結婚指輪!?・・・にしては数が多いな」
「結婚指輪ならこんな場所で渡しませんよ!これらはすべて、魔法の威力を強化する指輪です」

 ミスフィートさんに、それぞれの指輪の効果について説明した。

「素晴らしいではないか!どれ、違いを確かめてみよう!」


 ホワ~~~~~ン


 光は優しいままだけど、明らかにその威力が跳ね上がっていた。


「痛みが消え去りました!本当にありがとうございます」
「もう腫れが引いただと!?何なのだこの威力は!!」
「ミスフィート軍の魔法部隊って、みんなバカみたいに強いじゃないですか。あの強さは指輪の効果も関係していたんですよ」
「そうだったのだな!」
「ミスフィートさんにも渡したのに、『魔法なんか使わんからいらん!』って返されましたもんね・・・」

 それを聞いたミスフィートさんが目を逸らした。
 今になって、若さ故の過ちに気付いたのだろう。

「でも魔法の重要性に気付いたのならば、その指輪は大きな力となってくれるハズです。今からでも全然遅くはないので、毎日魔法の練習を続けましょうね」
「う、うむ!小烏丸にはいつも貰ってばかりだ。必ず強い子を産んでお返しするからな!指輪は有難く使わせてもらうぞ!」
「こ、子供ですか!?それはもちろん楽しみですけど、恥ずかしいですね・・・」

「あっ!カーラが人形を倒したよ!」


 グミの声を聞き指差す方向を見ると、カーラが大きなライオンみたいな人形を倒した所だった。

 アレにも名前があるのかもしれないけど、俺は別に人形マニアとかじゃないので、知らない人形もいっぱいあるのだ。


「よし!ある程度落ち着いてきたから、人形の回収を始めよう」
「ですね。しかし練乳ゾーンの人形はどうすっかな・・・」
「ペロペロちゃんは回収しなきゃダメだろ!」
「勝手に憤慨して滅んだから傷ついてないハズだよな?練乳まみれってだけで」
「そうだ!ポコポコちゃんは練乳を出す前に倒したぞ!中身をそっくりそのまま回収出来るんじゃねえか?」
「思い出した!佐藤ちゃんとかも中に何か入ってるかもしれん!」
「美味しい物は全部回収するよーーーーーーーーーーーーーーー!」


 というわけで、大広場に転がっている人形らをどんどん回収していった。

 どうせ後で、31階層の大自然フロアの湖でベトベトの身体を洗うつもりだから、練乳まみれの人形も一緒に洗おう。





 ************************************************************





「31階層にとうちゃーーーーーく!!」


 練乳まみれだってのにグミは元気だな~と思いつつ、猫水晶ねこすいしょうが置かれていることを確認。間違いなくココは31階層だ!


「もう午後3時過ぎか。予想以上に時間が掛かってしまったな・・・」
「あれだけの数の人形が相手だったのですから、むしろワタクシ達は頑張った方だと思いますわよ?」
「とにかくアタシは早く身体を洗いたい!とっとと大自然フロアに行こうよ!」
「一応全員猫水晶にタッチだけしておこう。わざわざ1階まで行って戻って来る必要はないけど、万が一ってことがあるからな」

 そう言いながら猫水晶に触れた。

「そうだな!じゃあ1人ずつ猫水晶に触れるのだ」

「「はーーーーーーーーーーい!」」


 そして全員が猫水晶に触れたのを確認後、ミスフィートさんを先頭に大自然フロアへ続く階段を上がって行った。


「おお!見た感じ21階層の大自然フロアとほとんど同じだな!」
「あっちに湖があった!」
「よっしゃ!こんな時に限って凶悪な魔物とかいなきゃいいが・・・」
「考え過ぎじゃなくって?」
「こうして見ると、練乳の被害者が結構いるな~」
「もうずっとベトベトで最悪だよ・・・」


 そんな会話をしつつ、ようやく湖へと到着した。


「パッと見た感じでは、魔物の姿は無いかな?」
「大丈夫じゃね?皆つえーんだし」
「まあな」
「よーーーし!練乳組、飛び込めーーーーーーーーーー!!」


 バッシャーーーーーーーーーーン!


 30名近くの被害者が湖に飛び込み、瞬く間に水が白く濁った。


「ダメだ。服を脱がんと気持ち悪い」
「・・・って、オーーーーーーーーーーイ!!すでに女の子達が脱いでるんだが!!男が二人混ざってるのにいいのか!?おっぱい見えてるぞ!!」
「俺はなぜか許されてるんだけど、今日は親父も一緒なんだよな・・・」

 ジャバッ

「男といっても小烏丸のお父さんなんだし、アタシは気にしないよ!」

「なるほど!俺の父親だから許された感じか。しかし親父といえど、嫁の裸を見られるのは複雑な気分ではあるな」
「なんかスマン!しかしその前に小烏丸が許されてるのが解せん。女の子達に羞恥心は無いのか!?」
「俺も最初はビックリしたんだが、尾張っ子は大体こんな感じだぞ。でも今日は俺の親父補正で許されただけだから勘違いしないように!その辺の男がここに現れたら間違いなく袋叩きにされる」
「親父補正って、すなわちお前が許されてるからってことだろ?過去に何を成し遂げたのかは知らんが、裸を見る許可を与えられるとは、お前すげえな!」

「小烏丸がいなかったら、もうとっくにアタシら全員死んでるからね~」

「何だって!?」
「まあ今度ゆっくりミスフィート軍の成り立ちを説明するよ」


 というわけで、最後は親父のラッキースケベ回となったのだった。
 まあ今日は頑張ったのだから、ご褒美ゲットってことでいいでしょう!
 
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