589 / 726
589 21階層の赤い奴
しおりを挟む
本日のチョロ嫁を討伐し、体調が万全の状態で、今日も意気揚々とダンジョン21階層大自然フロアにやって来た。
当然昨日の攻略メンバーは全員来たんだけど、トウモロコシの美味しさに感銘を受けた11階層組が『21階層まで進みたい』と言い出したので、今日は2台のバスに超満員という限界ギリギリの状態で緊張しながらの運転だった。
でも所詮は20階層までの攻略に過ぎないので、歴戦の猛者達なら全然余裕と判断し、ダンジョンマップだけ渡して21階層を目指してもらうことにした。
子供達も次の遊び場を確保するためについて来たので、パメラだけは子供達を守りながら11階層組と共にもう一周だ。彼女に任せておけば心配無いだろう。
子供達が来ているということは、もちろんマリアナも同行しているのだが、これだけの人数なのでたぶん大丈夫だ。思った以上に強いみたいだしな!
ともかく21階層の猫水晶にタッチさえすれば、この先何度でも遊びに来ることが出来るわけだから、面倒臭い事はとっとと終わらせてしまった方がいいのは間違いない。これだけ人が集まったのはそういう理由からだ。
そしてミスフィートさんが11階層組を班分けし、総人数をしっかり確認した後、ダンジョンの攻略がスタートした。
11階層組が全員出発したのを見届けてから、俺達は21階層へと移動。
階段を上がって大自然フロアへと入った。
「こう大人数だと、やはり来るまでに時間が掛かってしまったな!」
「それはしょうがありませんね。とにかく一度でも来てしまえばもう苦労することがなくなるのですから、全員の考えが一致したのでしょう」
「気持ちはわかるよ!本当にトウモロコシ美味しかったもん!」
「他にどんな美味しい食材があるのか楽しみですわね~!」
「こがにゃん!こがにゃん!先に湖へ行って、釣りセットを出して欲しいにゃ!」
「あ~、そうだな。今日は何人が釣りをするんだ?手を上げてくれ!」
手を上げたのは、ニャルルとゴマちゃんだけだった。
「あれ?今日は2人だけなのか。シャイナは?」
「ボクはトウモロコシに集中するから!」
「お、おう、凄い気合入ってんな・・・。でもヒゲがこげ茶色になっていなかったら、夕方近くまで収穫出来ないぞ?」
「えええええええええええええええええええええええ!?」
「ヒゲの色が薄いとね、実が育ちきってないから粒が小さいし、たぶん味もイマイチだと思う」
「そ、そんな~~~~~~~~~~~~~~~!」
「でもまだ実際に見るまでわかんないよ?」
「トウモロコシ畑があった場所って、湖に向かう途中だったよな?まずは進もう!」
「「は~~~~~~~~~~い!」」
そしてトウモロコシ畑までやって来たのだが、やっぱりまだ薄茶色って感じで、ヒゲに緑色の部分が残っており、収穫するには少し早い段階だった。
「でも敢えて一本収穫するよ!」
ボキッ
「うぇえええええええええええええええええええ!?」
「違いがわからなかったらずっとヤキモキするでしょ?だから一度比べてみた方がいいと思って、昨日収穫したトウモロコシを一本持って来たの!」
和泉が背中のリュックからトウモロコシを一本取り出した。
こげ茶色のヒゲを生やした、パーフェクトトウモロコシだ!
そして皮を剥き、皆にその違いを見せた。
「こっちは色が白い!粒も小さい!」
「うん。でも今収穫した方もそれなりに美味しいとは思うよ。『すごく美味しい』まで行ってないからもったいないってだけで」
「そっか~、でも違いを見せてくれてスッキリした。ありがとー!」
「いえいえ~。これも料理班の勉強のためだからからね!」
「じゃあシャイナは夕方まで釣り班に入るか?」
「うん。そうする」
湖まで移動し、マジックバッグから釣りセットを3人分出した。
「ついでにコンロと水生成機と小さなお鍋を出してもらっていい?」
「ん?わかった」
何をするのかと思ったら、和泉が指導しながらシャイナ自ら鍋に水を入れて、2本のトウモロコシを茹でた。
これは新たな弟子の誕生か!?トウモロコシ専用機っぽいけど。
「釣りをしながらでも食べ比べしてみて!」
「うん!本当に色々ありがとーーーーー!」
おそらく、シャイナのトウモロコシにかける情熱に心を打たれたのだろう。
和泉の指導は丁寧で細かく、そして優しさに満ち溢れていた。
湖に来るまでの間に時間が掛かってしまったので、少し急ぎめで次の食材探しに出発する。
森が大きくなっているということは、おそらく21階層の大自然フロアは森の中にお宝が眠っているハズだ!
「オイ!あの赤いのってもしかして・・・」
気になる正面の森に気を取られていたんだけど、親父が指差す方向は右側だった。
「トマトだーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
なにィ!?
「おお、本当にトマトだ!」
「お宝じゃねえか!行くぞ!」
急いでトマト畑に駆け寄ると、おそらく食べ頃と思われるトマトが視界いっぱいに広がっていた。
目の前のトマトを一つもぎ取り、かぶりつく。
「う、美味え・・・」
「コレだよコレ!俺はしいたけの次にトマトが大好物なんだ!!」
「私もトマト大好き!!みんなも食べてみなよ!」
様子を伺っていた皆もトマトにかぶりついた。
「少し青臭いが、これは私も好きな味だぞ!」
「うっ!わたしはちょっと苦手かも・・・」
「美味しいですけど、水分がすごいですわね!口の周りがベタベタですわ~」
あ、そうだ。
マジックバッグから塩を取り出し、トマトに振りかけた。
「おーーーーー、やっぱトマトには塩だな!」
「ちょっと塩を貸せ!」
「あっ、ずるい!私も!!」
トマトは賛否が分かれる野菜なので、美味しそうに食べてる人と顔をしかめてる人がいた。
とりあえず全員のトマトに塩を振って回ったけど、嫌いな人に無理強いするつもりは無いので、塩を振りかけても無理って人のトマトは、スタッフが美味しく頂きました!女の子の食べかけトマトとかご褒美でしかないので。
「塩で更にトマトが美味しくなった!」
「うん!そのまま食べるより、少ししょっぱい方が美味しい!」
「もう一個食べていい?」
「こんだけ大量にあるのだから、好きなだけ食って構わんだろ!」
「でも大量過ぎて収穫が大変そうですわね~」
「トマトうめーーーーーーーーーー!!」
「『トマトが赤くなると医者が青くなる』って言葉があるんだよ?」
「どういう意味?」
「トマトは栄養たっぷりの野菜だから、みんな健康になって、仕事が減ってしまった医者が青くなるんだってさ!」
「あははははははは!そんなに栄養があるなんて、凄いねトマト!」
それ聞いたことあるぞ!確か外国のことわざじゃなかったかな?
「さてと、そろそろ収穫して次に行かないと、すぐ帰る時間になってしまうぞ!」
「だね!さあみんな、トマトの収穫がんばろーーーーー!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
いきなりトマトやトウモロコシという大物を手に入れてしまったので、なかなか探索が進まんな。
サクッとトマトの収穫を終わらせて、次こそは森を攻めるぞーーーーー!!
当然昨日の攻略メンバーは全員来たんだけど、トウモロコシの美味しさに感銘を受けた11階層組が『21階層まで進みたい』と言い出したので、今日は2台のバスに超満員という限界ギリギリの状態で緊張しながらの運転だった。
でも所詮は20階層までの攻略に過ぎないので、歴戦の猛者達なら全然余裕と判断し、ダンジョンマップだけ渡して21階層を目指してもらうことにした。
子供達も次の遊び場を確保するためについて来たので、パメラだけは子供達を守りながら11階層組と共にもう一周だ。彼女に任せておけば心配無いだろう。
子供達が来ているということは、もちろんマリアナも同行しているのだが、これだけの人数なのでたぶん大丈夫だ。思った以上に強いみたいだしな!
ともかく21階層の猫水晶にタッチさえすれば、この先何度でも遊びに来ることが出来るわけだから、面倒臭い事はとっとと終わらせてしまった方がいいのは間違いない。これだけ人が集まったのはそういう理由からだ。
そしてミスフィートさんが11階層組を班分けし、総人数をしっかり確認した後、ダンジョンの攻略がスタートした。
11階層組が全員出発したのを見届けてから、俺達は21階層へと移動。
階段を上がって大自然フロアへと入った。
「こう大人数だと、やはり来るまでに時間が掛かってしまったな!」
「それはしょうがありませんね。とにかく一度でも来てしまえばもう苦労することがなくなるのですから、全員の考えが一致したのでしょう」
「気持ちはわかるよ!本当にトウモロコシ美味しかったもん!」
「他にどんな美味しい食材があるのか楽しみですわね~!」
「こがにゃん!こがにゃん!先に湖へ行って、釣りセットを出して欲しいにゃ!」
「あ~、そうだな。今日は何人が釣りをするんだ?手を上げてくれ!」
手を上げたのは、ニャルルとゴマちゃんだけだった。
「あれ?今日は2人だけなのか。シャイナは?」
「ボクはトウモロコシに集中するから!」
「お、おう、凄い気合入ってんな・・・。でもヒゲがこげ茶色になっていなかったら、夕方近くまで収穫出来ないぞ?」
「えええええええええええええええええええええええ!?」
「ヒゲの色が薄いとね、実が育ちきってないから粒が小さいし、たぶん味もイマイチだと思う」
「そ、そんな~~~~~~~~~~~~~~~!」
「でもまだ実際に見るまでわかんないよ?」
「トウモロコシ畑があった場所って、湖に向かう途中だったよな?まずは進もう!」
「「は~~~~~~~~~~い!」」
そしてトウモロコシ畑までやって来たのだが、やっぱりまだ薄茶色って感じで、ヒゲに緑色の部分が残っており、収穫するには少し早い段階だった。
「でも敢えて一本収穫するよ!」
ボキッ
「うぇえええええええええええええええええええ!?」
「違いがわからなかったらずっとヤキモキするでしょ?だから一度比べてみた方がいいと思って、昨日収穫したトウモロコシを一本持って来たの!」
和泉が背中のリュックからトウモロコシを一本取り出した。
こげ茶色のヒゲを生やした、パーフェクトトウモロコシだ!
そして皮を剥き、皆にその違いを見せた。
「こっちは色が白い!粒も小さい!」
「うん。でも今収穫した方もそれなりに美味しいとは思うよ。『すごく美味しい』まで行ってないからもったいないってだけで」
「そっか~、でも違いを見せてくれてスッキリした。ありがとー!」
「いえいえ~。これも料理班の勉強のためだからからね!」
「じゃあシャイナは夕方まで釣り班に入るか?」
「うん。そうする」
湖まで移動し、マジックバッグから釣りセットを3人分出した。
「ついでにコンロと水生成機と小さなお鍋を出してもらっていい?」
「ん?わかった」
何をするのかと思ったら、和泉が指導しながらシャイナ自ら鍋に水を入れて、2本のトウモロコシを茹でた。
これは新たな弟子の誕生か!?トウモロコシ専用機っぽいけど。
「釣りをしながらでも食べ比べしてみて!」
「うん!本当に色々ありがとーーーーー!」
おそらく、シャイナのトウモロコシにかける情熱に心を打たれたのだろう。
和泉の指導は丁寧で細かく、そして優しさに満ち溢れていた。
湖に来るまでの間に時間が掛かってしまったので、少し急ぎめで次の食材探しに出発する。
森が大きくなっているということは、おそらく21階層の大自然フロアは森の中にお宝が眠っているハズだ!
「オイ!あの赤いのってもしかして・・・」
気になる正面の森に気を取られていたんだけど、親父が指差す方向は右側だった。
「トマトだーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
なにィ!?
「おお、本当にトマトだ!」
「お宝じゃねえか!行くぞ!」
急いでトマト畑に駆け寄ると、おそらく食べ頃と思われるトマトが視界いっぱいに広がっていた。
目の前のトマトを一つもぎ取り、かぶりつく。
「う、美味え・・・」
「コレだよコレ!俺はしいたけの次にトマトが大好物なんだ!!」
「私もトマト大好き!!みんなも食べてみなよ!」
様子を伺っていた皆もトマトにかぶりついた。
「少し青臭いが、これは私も好きな味だぞ!」
「うっ!わたしはちょっと苦手かも・・・」
「美味しいですけど、水分がすごいですわね!口の周りがベタベタですわ~」
あ、そうだ。
マジックバッグから塩を取り出し、トマトに振りかけた。
「おーーーーー、やっぱトマトには塩だな!」
「ちょっと塩を貸せ!」
「あっ、ずるい!私も!!」
トマトは賛否が分かれる野菜なので、美味しそうに食べてる人と顔をしかめてる人がいた。
とりあえず全員のトマトに塩を振って回ったけど、嫌いな人に無理強いするつもりは無いので、塩を振りかけても無理って人のトマトは、スタッフが美味しく頂きました!女の子の食べかけトマトとかご褒美でしかないので。
「塩で更にトマトが美味しくなった!」
「うん!そのまま食べるより、少ししょっぱい方が美味しい!」
「もう一個食べていい?」
「こんだけ大量にあるのだから、好きなだけ食って構わんだろ!」
「でも大量過ぎて収穫が大変そうですわね~」
「トマトうめーーーーーーーーーー!!」
「『トマトが赤くなると医者が青くなる』って言葉があるんだよ?」
「どういう意味?」
「トマトは栄養たっぷりの野菜だから、みんな健康になって、仕事が減ってしまった医者が青くなるんだってさ!」
「あははははははは!そんなに栄養があるなんて、凄いねトマト!」
それ聞いたことあるぞ!確か外国のことわざじゃなかったかな?
「さてと、そろそろ収穫して次に行かないと、すぐ帰る時間になってしまうぞ!」
「だね!さあみんな、トマトの収穫がんばろーーーーー!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
いきなりトマトやトウモロコシという大物を手に入れてしまったので、なかなか探索が進まんな。
サクッとトマトの収穫を終わらせて、次こそは森を攻めるぞーーーーー!!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,200
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる