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588 ダンジョン21階層の大自然フロア

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 今回はダンジョンマップありで進むだけとはいえ、11階層から20階層までの攻略に丸三日かかるほど広くなっているわけだから、モタモタしていたらダンジョンに一泊する事態になり兼ねない。

 もちろんそんなことになると、今夜の夜伽のために精神統一までしている嫁が悲しむことになるし、料理班が一人もいない城に残された人達が飢え死にしてしまうかもしれんしな!・・・まあ冗談だけど。

 とにかく何としても日帰りしたかったダンジョン攻略班は、俺・ミスフィートさん・カーラ・お嬢を中心に、超ハイペースで最短距離を進んで行った。





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「よし、これで全ての討伐が完了だ!」

「「お疲れ様ーーーーーーーーーー!!」」


 15階層にいた中ボスはまさかのコカトリスで、鳥肉や羽毛、そして大きな卵をゲットすることが出来た!

 20階層のボスはブルーオーガだ。取り巻きに普通のオーガも10体いたので、重量感のあるバトルを楽しんだ戦闘班達はとても満足そうだ。親父もオーガを1体倒したので、すごく良い経験になったと思う。


「あとは階段を降りるだけで猫水晶がある21階層に到着だな!まだ午後4時過ぎだから、1時間ほど大自然フロアの探索が出来るぞ!」
「そっか!料理班が全員来ちゃったから、少し早めに帰らなきゃいけないのか」
「15階層でコカトリスを発見したのが大きいですわね!」
「毎日回収すれば、思う存分タマゴ料理を作ることが出来るよ!」
「久々にプリンが食べられるーーーーーーーーーー!!」

 レイリア城に居た頃は尾張からタマゴを届けてもらってたんだけど、京の都まで来てしまうと、尾張から物を運ぶのに何日もかかってしまうから無理だったのだ。

 大広場を抜けて奥の部屋に入るとやはり宝箱があったので、しっかり中身を回収してから俺達は21階層へと進んだ。


「みんな猫水晶に触れたな?」

「「はーーーーーーーーーーい!!」」


 念の為に11階層に移動してから1階層に移動し、外に出てダンジョン入り口だというのを確認してから、また21階層まで戻って来た。


「11階層に寄ってから1階層に移動して、しかも外に出て確認して来ましたので、間違いなくココは21階層ですね!っていうか、よく見ると猫水晶の台座に21って書いてありますし!」
「・・・あっ、ホントだ!!」
「11階層にも書いてあったのかな?11だと模様に見えたのかもね~」
「たぶんそれだな!」
「よし、では大自然フロアに移動するぞ!」

「「オーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 全員が新たに出現していた階段を上がると、11階層の大自然フロアとは少し違った景色が見えた。


「なんかちょっと違う!」
「湖が11階層の反対側にあるな。あと森がデカくなってないか?」
「此処にはふきのとうが無いな」
「それって逆に言うと、違う食べ物が手に入るってことじゃない?」
「それだ!こいつは期待出来るぞ!」


 会話をしながら歩き始めたんだけど、視界に湖が入っていると、そっち側へ吸い寄せられる現象が発生するということがわかった。


「あーーーーーーーーーーーっ!トウモロコシ畑だ!!」


「「なんだって!?」」


 和泉が指差す方向を見ると、生い茂った葉っぱとしか認識していなかった植物が、実は全部トウモロコシだったことに気が付いた。


「うおおおおおおおおおお!こりゃデケーぞ!!」
「これ全部トウモロコシじゃねえか!!」
「トウモロコシ?それって美味いのか?」
「めちゃうまですよ!茹でてから、皮を剝いてそのままかぶりつくのが単純で美味いですね!」
「バター醤油で焼いたトウモロコシも最高に美味いぞ!」
「ほらほら!話してる暇なんか無いよ!」

 おっとそうだった!1時間で採り尽くさねば!!

「やった!ヒゲがこげ茶色だ!」
「ヒゲ?」
「この部分だよ!ココがこげ茶色になった時が一番良い収穫時期なの!でね、こうやってヒゲの下の辺りを掴んで横にポキッて折るの!」

 流石は和泉だ。俺が知らない知識まで全部頭に入っているのが凄い。

「すなわち、トウモロコシは夕方頃に収穫するのが良いのかもな~。朝来た時すでにヒゲがこげ茶色になっているのかもしれんけど」
「そうかもだね~!明日の朝チェックしてみよう!」


 全員参加で、トウモロコシを根こそぎ収穫した。
 どうせ明日になったらリポップしてるから、残す必要なんて無いのだ。


「よーし次ィ!・・・って言いたい所だけど、もうあまり時間が無いね」
「21階層まで来るのに結構時間かかったしな。お宝探しは明日にして、今日はもう城に帰ろう」
「う~~~!湖のさかにゃが気ににゃるけど、明日の楽しみにするにゃ」
「悪いなニャルル、帰ったら和泉に頼んでトウモロコシを茹でてもらうんで、今日の所はそれで我慢してくれ」
「美味いにゃ?」
「間違いなく美味い!」

 とは言ったものの、魚好きのニャルルがトウモロコシを好きになるかどうかは結構微妙かもしれんな~。


 とりあえず今日の所は十分満足したので、これにて探索終了!





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 そして城に帰還した一行は、そのまま食堂に向かってダンジョンの話をしながら、トウモロコシが茹で上がるのを待っていた。

 夕食前の腹が減っている状態で一本食いたかったからだ。


「できたよー!」


 食堂は混雑していたが、余裕で全員に行き渡るだけの収穫量があったので、ちゃんと皮が剥かれた状態の実のギッシリ詰まったトウモロコシが、それぞれのテーブルに置かれていった。


「初回サービスの大盤振る舞いだな!一人につき2本食えるぞ!」
「もし余っても色んな料理に使えるからね~!はい、お義父さんには焼きトウモロコシだよ!」
「おお、ありがてえ!この匂いはバター醤油だな!!」

 早速トウモロコシにかぶりついた。

「すんげー甘い!最高のトウモロコシじゃん」
「うめーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「あははは!私も食べてみよっと!」

 そんな会話をしながらニャルルのいるテーブルに目を向けると、シャイナがすくっと立ち上がったのが見えた。


「見つけた!!ボクが長年求め続けていた食べ物はこれだ!!」


 なにィ!?ニャルルじゃなくてシャイナにヒットしたのか!


「確かに美味ぇな!」
「甘くて美味いにゃ!ウチもこれ好きにゃ!」
「だよね!?でも違うの!美味しいの二段階上なの!!もう一生トウモロコシだけでいいってくらい大好きなの!!」
「お、おう・・・。あたいのトウモロコシ一本やるよ」
「シャイにゃんの気迫が半端にゃいにゃ・・・、ウチのも一本あげるにゃ」
「ありがとーーーーーーーーーー!!二人は最高の親友だよ!!」


 なんかスッゲー珍しい光景を目撃してしまった。
 なるほど・・・、シャイナを喜ばせるにはトウモロコシな?覚えておこう!
 
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