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569 攻略するには打撃武器も必要らしい
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先頭集団に追いついたところで、先程ゴマちゃん達に話した内容をもう一度皆に説明した。
「素晴らしいダンジョンではないか!」
「帰るために必要な時間を一切考えずに、どんどん先へ進めるのね!?」
「尾張ダンジョンと違い過ぎる・・・」
「コカトリスの卵と羽毛を、簡単に入手出来るようになるんじゃない?」
「イズミが聞いたら喜ぶね!」
「大人数ってのもあるけど、ダンジョンが明るいから全然怖くないよ!!」
当然ながら皆大興奮だ。
尾張ダンジョンは帰り道の心配しながら攻略していたので、探索がなかなか思うように進まなかったんだよね。
しかも真っ暗なダンジョンにずっといると、精神も不安定になってくるんだよ。
ひたすら暗闇の中での戦闘だから、ある程度進むと無性に帰りたくなる。
・・・単純に怖くなってくるのだ。
それほど尾張ダンジョンを攻めていなかった俺がそう思うくらいなんだから、結構深くまで潜ってた人達は、常に不安と恐怖に圧し潰されそうになってたに違いない。
それと比べて京の都ダンジョンは、明るいし帰還ポイントはあるしで、もう天国としか言いようがないだろう。
「あ、そうだ!猫水晶のある場所に寛ぎスペースを作ったら最高じゃない?テーブルやソファーなんかを置いてさ、あとトイレなんかも設置して~」
「それだ!!どうせなら食堂や売店などもあるともっと便利だぞ!」
「ぷっ、何よそれ!楽しくてダンジョンに住み着いちゃうじゃない」
「あはははははははは!じゃあお風呂も必要ね!」
なるほど、ダンジョンの居心地を良くするのはアリかもしれん。
そこが楽しければ攻略も捗るだろうから。
「でも本人が深層まで攻略しないとそこまで瞬間移動することが出来ないから、深層の寛ぎスペースで盛り上がるには、大勢の人達が攻略を進めんとな」
「みんな強いから大丈夫じゃない?でも弱い人が強い人に深層に連れて行ってもらうのはやめた方がいいかもね。無茶して命を落としてもバカみたいだし」
「その通りだ。実力が同じくらいの者同士で組んで攻略を進めるべきだろう。何も急ぐことはない」
そんな会話をしながらも俺達はどんどん深層へと進んで行き、階層ボスがいると猫ちゃんが言っていた5階層までやって来た。
「話では5階層ごとにフロアボスがいるらしいのですが、そのボスに大勢で挑むと報酬が少なくなってしまうそうです」
「ほう。ならば危険も考慮して5名ほどで挑むとするか」
「そうですね。所詮は5階層のボスですので雑魚だとは思いますが、侮ったばかりに死人が出てしまっては洒落になってませんからね」
とは言っても100階層以上ある内の5階層ボスだからな。
ここにいる精鋭達が不覚を取るとも思えないので、五つのチームに振り分け、俺・ミスフィートさん・カーラ・お嬢・ゼーレネイマスをそれぞれのリーダーとし、ボスを見つけたチームがそれを倒す権利を得ることに決まった。
そしてチームリーダーに小型の拡声器を持たせて、下へ降りる階段を見つけたら、それを使って皆を呼び寄せる作戦に変更。
ミスフィートチームが右の通路に入って行ったので、俺のチームは左の通路を攻めてみることにした。
「うわ、トレントが出やがった」
「えーーーーーー!?そんなの斬ったら刀が折れちゃうよ!」
「そうだよな~、ダンジョンにはこういうトレントやゴーレムみたいな硬い魔物もいたりするから、刀だけじゃなく打撃武器も所持する必要があったんだ」
拡声器を取り出した。
「トレントが出た。刀じゃ倒すのが厳しいから、皆スタート地点に戻ってくれ!」
まだ通路に入ったばかりだから、全員に声が届いたハズ。
「んじゃ一旦戻るぞ」
「はいは~い」
そして戻って来た全員にメイスを手渡した。
「このメイスならば大剣ほど嵩張らないし、たとえゴーレムが出たとしても粉砕出来ると思う。ついでに棒術かなんかのスキルレベルも上がるから、硬い魔物や雑魚相手にはメイスで戦って練習しておくと良いかもな~」
「そういえばダンジョンには硬い魔物もいるのだったな!」
「メイスって大剣よりも軽くていいね!そのくせめっちゃ破壊力がありそう!」
「美濃大名のリッチモンドがメイスの使い手でしたわよ?力で敵を粉砕する激しい戦闘はとても豪快でしたわ~!」
そういえば大名にしては珍しく、メイスの使い手だったんだよな!
あれ?お嬢ってリッチモンドとドワンゴさんとの決闘を見てないよな?
ああ、それ以前の戦でリッチモンドの戦闘シーンを見たんだな。
「じゃあ気を取り直して、今度こそダンジョン5階層の攻略開始だ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
再び左の通路に入り、チーム全員でトレントをタコ殴りにした。
「よし!これなら楽勝だ」
「メイス結構好きかもしれない!」
「でも対人戦は絶対刀の方が有利だから、使うのはダンジョン限定にした方がいいかもな。それでもスキルレベルが育たないと深層の魔物には通用しないだろう」
「しばらくこれで頑張るよ!」
この階層にはトレント以外にもクッソ硬い魔物しかおらず、とにかく5階層を攻略するには破壊力のある武器を所持していなければ厳しいらしい。
そしてしばらく進むと、そこそこ広い部屋に出た。
「おお、出やがったなゴーレム!」
「3体もいるし!!」
「もう硬いのばっか叩き過ぎて、手が痛いんですけど?」
「どちらにせよ、俺達がやることはただ一つ。タコ殴りだ!!」
「硬いのめんどくさあああああああああ!」
バギン ドゴーーーン ガギーーーン
殴ること十数分、やっとゴーレムが動かなくなった。
ゴーレムの残骸から採取できるモノも無く、魔石だけ回収して奥の部屋に入る。
「あっ!宝箱があるよ」
「下に降りる階段もあるね」
「ってことは、あのゴーレムが5階層のボスだったみたいだな」
「よーし、宝箱を開けてみようよ!」
「報酬の宝箱に罠を仕掛ける意味がないから、ただの杞憂なのかもしれんけど、防御力のある手袋を着けている俺が開けよう」
やはり宝箱に罠は仕掛けられておらず、中には金貨が25枚と小さな宝石が10個、そして鉄のメイスが一本入っていた。
「おーーーーーーーーーーー!5階層のボスにしては豪華じゃない?」
「一人金貨5枚と宝石2個か~。見た瞬間は結構すごいお宝に感じたけど、皆で分けるとそうでもない感じ?」
「メイスはいらないねえ。小烏丸に貸してもらったヤツの方が絶対強いし」
「まあでも放置しとくのも忍びないから一応持ってくか・・・」
「それより他の人達を呼び寄せなきゃ!」
「おっと、そうだったな!」
結局5階層のボスは、運良く俺達が仕留めることに成功した。
おそらくダンジョン初心者に向けて、打撃武器も必要だってことを教えてくれる階層だったのだろう。
猫ちゃんの本気ってのは、ダンジョンで冒険者を育てるように計算された、目に見えない部分を含めた総合的なことを指しているのかもしれないな。
深層に行くほど難易度もヤバくなってくのだろうけど、完成度にも注目だぞ!
「素晴らしいダンジョンではないか!」
「帰るために必要な時間を一切考えずに、どんどん先へ進めるのね!?」
「尾張ダンジョンと違い過ぎる・・・」
「コカトリスの卵と羽毛を、簡単に入手出来るようになるんじゃない?」
「イズミが聞いたら喜ぶね!」
「大人数ってのもあるけど、ダンジョンが明るいから全然怖くないよ!!」
当然ながら皆大興奮だ。
尾張ダンジョンは帰り道の心配しながら攻略していたので、探索がなかなか思うように進まなかったんだよね。
しかも真っ暗なダンジョンにずっといると、精神も不安定になってくるんだよ。
ひたすら暗闇の中での戦闘だから、ある程度進むと無性に帰りたくなる。
・・・単純に怖くなってくるのだ。
それほど尾張ダンジョンを攻めていなかった俺がそう思うくらいなんだから、結構深くまで潜ってた人達は、常に不安と恐怖に圧し潰されそうになってたに違いない。
それと比べて京の都ダンジョンは、明るいし帰還ポイントはあるしで、もう天国としか言いようがないだろう。
「あ、そうだ!猫水晶のある場所に寛ぎスペースを作ったら最高じゃない?テーブルやソファーなんかを置いてさ、あとトイレなんかも設置して~」
「それだ!!どうせなら食堂や売店などもあるともっと便利だぞ!」
「ぷっ、何よそれ!楽しくてダンジョンに住み着いちゃうじゃない」
「あはははははははは!じゃあお風呂も必要ね!」
なるほど、ダンジョンの居心地を良くするのはアリかもしれん。
そこが楽しければ攻略も捗るだろうから。
「でも本人が深層まで攻略しないとそこまで瞬間移動することが出来ないから、深層の寛ぎスペースで盛り上がるには、大勢の人達が攻略を進めんとな」
「みんな強いから大丈夫じゃない?でも弱い人が強い人に深層に連れて行ってもらうのはやめた方がいいかもね。無茶して命を落としてもバカみたいだし」
「その通りだ。実力が同じくらいの者同士で組んで攻略を進めるべきだろう。何も急ぐことはない」
そんな会話をしながらも俺達はどんどん深層へと進んで行き、階層ボスがいると猫ちゃんが言っていた5階層までやって来た。
「話では5階層ごとにフロアボスがいるらしいのですが、そのボスに大勢で挑むと報酬が少なくなってしまうそうです」
「ほう。ならば危険も考慮して5名ほどで挑むとするか」
「そうですね。所詮は5階層のボスですので雑魚だとは思いますが、侮ったばかりに死人が出てしまっては洒落になってませんからね」
とは言っても100階層以上ある内の5階層ボスだからな。
ここにいる精鋭達が不覚を取るとも思えないので、五つのチームに振り分け、俺・ミスフィートさん・カーラ・お嬢・ゼーレネイマスをそれぞれのリーダーとし、ボスを見つけたチームがそれを倒す権利を得ることに決まった。
そしてチームリーダーに小型の拡声器を持たせて、下へ降りる階段を見つけたら、それを使って皆を呼び寄せる作戦に変更。
ミスフィートチームが右の通路に入って行ったので、俺のチームは左の通路を攻めてみることにした。
「うわ、トレントが出やがった」
「えーーーーーー!?そんなの斬ったら刀が折れちゃうよ!」
「そうだよな~、ダンジョンにはこういうトレントやゴーレムみたいな硬い魔物もいたりするから、刀だけじゃなく打撃武器も所持する必要があったんだ」
拡声器を取り出した。
「トレントが出た。刀じゃ倒すのが厳しいから、皆スタート地点に戻ってくれ!」
まだ通路に入ったばかりだから、全員に声が届いたハズ。
「んじゃ一旦戻るぞ」
「はいは~い」
そして戻って来た全員にメイスを手渡した。
「このメイスならば大剣ほど嵩張らないし、たとえゴーレムが出たとしても粉砕出来ると思う。ついでに棒術かなんかのスキルレベルも上がるから、硬い魔物や雑魚相手にはメイスで戦って練習しておくと良いかもな~」
「そういえばダンジョンには硬い魔物もいるのだったな!」
「メイスって大剣よりも軽くていいね!そのくせめっちゃ破壊力がありそう!」
「美濃大名のリッチモンドがメイスの使い手でしたわよ?力で敵を粉砕する激しい戦闘はとても豪快でしたわ~!」
そういえば大名にしては珍しく、メイスの使い手だったんだよな!
あれ?お嬢ってリッチモンドとドワンゴさんとの決闘を見てないよな?
ああ、それ以前の戦でリッチモンドの戦闘シーンを見たんだな。
「じゃあ気を取り直して、今度こそダンジョン5階層の攻略開始だ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
再び左の通路に入り、チーム全員でトレントをタコ殴りにした。
「よし!これなら楽勝だ」
「メイス結構好きかもしれない!」
「でも対人戦は絶対刀の方が有利だから、使うのはダンジョン限定にした方がいいかもな。それでもスキルレベルが育たないと深層の魔物には通用しないだろう」
「しばらくこれで頑張るよ!」
この階層にはトレント以外にもクッソ硬い魔物しかおらず、とにかく5階層を攻略するには破壊力のある武器を所持していなければ厳しいらしい。
そしてしばらく進むと、そこそこ広い部屋に出た。
「おお、出やがったなゴーレム!」
「3体もいるし!!」
「もう硬いのばっか叩き過ぎて、手が痛いんですけど?」
「どちらにせよ、俺達がやることはただ一つ。タコ殴りだ!!」
「硬いのめんどくさあああああああああ!」
バギン ドゴーーーン ガギーーーン
殴ること十数分、やっとゴーレムが動かなくなった。
ゴーレムの残骸から採取できるモノも無く、魔石だけ回収して奥の部屋に入る。
「あっ!宝箱があるよ」
「下に降りる階段もあるね」
「ってことは、あのゴーレムが5階層のボスだったみたいだな」
「よーし、宝箱を開けてみようよ!」
「報酬の宝箱に罠を仕掛ける意味がないから、ただの杞憂なのかもしれんけど、防御力のある手袋を着けている俺が開けよう」
やはり宝箱に罠は仕掛けられておらず、中には金貨が25枚と小さな宝石が10個、そして鉄のメイスが一本入っていた。
「おーーーーーーーーーーー!5階層のボスにしては豪華じゃない?」
「一人金貨5枚と宝石2個か~。見た瞬間は結構すごいお宝に感じたけど、皆で分けるとそうでもない感じ?」
「メイスはいらないねえ。小烏丸に貸してもらったヤツの方が絶対強いし」
「まあでも放置しとくのも忍びないから一応持ってくか・・・」
「それより他の人達を呼び寄せなきゃ!」
「おっと、そうだったな!」
結局5階層のボスは、運良く俺達が仕留めることに成功した。
おそらくダンジョン初心者に向けて、打撃武器も必要だってことを教えてくれる階層だったのだろう。
猫ちゃんの本気ってのは、ダンジョンで冒険者を育てるように計算された、目に見えない部分を含めた総合的なことを指しているのかもしれないな。
深層に行くほど難易度もヤバくなってくのだろうけど、完成度にも注目だぞ!
応援ありがとうございます!
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