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550 嫁ラッシュ
しおりを挟む「嫁だぞ!」
「嫁です」
「嫁よ」
「嫁なのじゃ」
「嫁ですわ!」
「よめ?」
「よめーーーーー!」
たった今親父を連れてミケネコ城に帰還したわけだが、街に繰り出していた仲間達も帰って来てたので、皆を親父に紹介した途端、辺り一面嫁だらけになった。
「・・・おい小烏丸、お前一体何人嫁がいんだよ!?」
「俺は独身だって言ってるだろ!それによく見ろ、幼女も二人混ざってるし!」
「見た感じ5歳くらいか?さすがにこの年齢の嫁は犯罪だろ・・・。再会して間もなくまた離れ離れになるのは少し寂しいが仕方がない。自首しろ」
「年齢における守備範囲は広い方だと思うが、俺はロリコンじゃねえぞ!」
クソガー――ーーーーーーー!
なぜ女性関係になると、とことんドツボに嵌って行くのか!?
彼女らの悪乗りはいつものことだけど、俺の親父が出現したと思ったら全員嫁とか言い出しやがったし!なぜかチャミィとメメも結構やらかしてくれるんだよなあ。
とりあえず蛍屋であった出来事を仲間達に説明した。
日本の話にまで広がると収拾がつかなくなるので、少し誤魔化しながらだけどね。
「なるほどな~!でも確かにこがっちに似てるぞ!」
「どっちも男前にゃ!」
「背はこがにゃんさんの方が少し高いんだね」
「小烏丸が年をとったら、こんな感じになるのね・・・」
比べるのマジでヤメて!
身内が登場すると必ず発生する悶絶イベントじゃないか!
「ご主人様、そろそろ腹が減ったぞ!」
「あ、そうだ!とっとと魚を捌かんと、その分夕飯が遠のいてしまうな」
「思えば、三人は漁へ行っていたのじゃったな」
「そうにゃ!これは緊急事態にゃ!」
嫁騒動で忘れてたけど、ニャルルをずっと待たせてたんだよね。
「漁?お前、船なんか持ってるのか」
「リュックに入ってるぞ?」
「いや、そのリュック絶対おかしいだろ!」
ユリには漁に出ることを報告してあったので、今日の夕飯は獲って来た魚を刺身にして食べることになっている。
でもニャルルが海鮮丼が食べたいと言ったので、いつだったかのように自分が食べたい魚を自分で捌く方式にして、皆でワイワイと切り身を量産していった。
当然俺はいつものようにマグロの解体だ。
解体専用の包丁を使ってプロのようなテクを披露すると、親父が感心していたぞ。
そして実食。
ほとんどの人が海鮮丼を作って舌鼓を打っていたんだけど、俺と親父は普通に刺身で食べることにした。
「相変わらずうめーーーーー!」
「美味いな!!」
しかしなぜだ?いつもより美味しいような気がする。
「昆布醤油か!こんなの雑貨屋に置いてなかったぞ。自作したんだな?」
「・・・は?」
昆布醤油だと!?
小皿から醤油だけ少し飲んでみた。
「・・・美味い。コレって昆布醤油の味なの?」
「なぜお前が知らんのだ?ああ、北海道に行っていたのだったか」
「ん?雑貨屋?もしかして今の尾張って、その辺の店で醤油が買えるのか?」
「普通に売ってるぞ?」
マジかよ!!ってことは、あの醤油工場で作られたヤツなんじゃないの?
和泉と作ったあの時の醤油が、いつの間にか完成していたんだ!!
「俺のいない間に醤油が完成していたとは!!昆布醤油のアイデアを出したのはおそらく和泉だな」
「その女性は料理が得意なのか~」
「あっ!もしかして味噌も売ってる?」
「売ってるぞ。おかげで毎日味噌汁が飲めるから、素晴らしい街だと思っていた」
「やっぱりか!どっちも大成功とは、さすが和泉だな!親父、明日一日ゆっくりできるから、醤油工場と味噌工場の見学に行くぞ!」
「工場見学か!そういや此処にはガラス工場もあるんだろ?」
「ある。つーか全部俺が作った工場だぞ。ついでだから工場全部見に行くか!」
「お前、地味に凄いことやってんな・・・」
当然ながら、醤油の美味さに気が付いたのは俺達だけではなかった。
「なあなあ!今日の海鮮丼って、やけに美味く感じねえか!?」
「何でだろ?絶対いつものより美味しいよね?」
「おそらく醤油にゃ・・・。にゃにか特別にゃ物を入れてあるにゃ!」
すげえ・・・、流石ニャルルだ。もうそこまで見抜いてるとはプロだな。
「ニャルル、美味さの秘訣は昆布だ!醤油に昆布を入れると、こんな味になるみたいだな」
「海に生えてるあのフニャフニャの昆布!?こがにゃんは天才にゃか!?」
「いや、作ったのは俺じゃないんだ。和泉という料理の達人が出した知恵だ」
「料理の達人!?そんな人がいるにゃか!!」
「和泉は本当にスゲーんだぞ?彼女のおかげで食事の美味さが跳ね上がったんだ」
まあそんなこんなで、昆布醤油のおかげでいつもより美味い刺身を堪能したぞ。
和泉と合流したら、何か美味いお菓子でも作ってもらおう!
そして飯の後は風呂なんだが、今日ばかりは親父を連れて男風呂へと行った。
久しぶりに背中を流してやったんだけど、鍛冶仕事だけじゃなく日々のトレーニングもやっていたようで、筋肉が衰えているなんてことは無かった。
むしろ俺よりも立派な筋肉してるんじゃなかろうか?
レベル上げの後に刀の稽古なんかやったら、マジで負ける可能性があるぞ・・・。
そして風呂の後、話したいことが山ほどあったので、俺の部屋に布団を持って来て一緒の部屋で寝ることにした。
おかげで睡眠時間が大幅に減ってしまったけど、昔の話やこの世界に来てからのことなど、明け方まで楽しく語り合ったのだった。
今日くらいはってことで、親子水入らずな状態にしてくれた仲間達には感謝!
応援ありがとうございます!
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