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537 脱出
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出発の日の朝、俺達はハーディス城の玉座の間へと来ていた。
「すべて我らに任せておけ!美濃から越後へ抜ける線路を最優先で作ろう。その後に信濃全域、そして甲斐の国にまで敷いて行っても構わんのだろう?」
「線路が越後へ繋がった後ならば自由にして構わん。足の代わりに車輪を付けたデカいゴーレムを作れば、迅速な輸送が可能となるだろう」
「ミスフィート領に行きたい場合はどうなる?」
「京の都から陸奥の最北端まで、機関車、いや、デカいゴーレムのようなモノが延々と往復し続ける予定だ。線路を二本敷く理由は、そのデカいゴーレムの衝突を避けるためなんだ。ゴーレムを何台走らせるかはまだ決めていないが、とりあえず1日1回、越後行きと美濃行きのゴーレムが信濃駅に停まるようにしたいと思っている」
「陸奥の最北端までか!一度は行ってみたいものだな!」
「何度だって行けばいいさ。そのゴーレム以外に輸送専用のゴーレムも走らせるだろうから、新鮮な海の魚を甲斐の国に届けることだって可能だ!」
「新鮮な海の魚だと!?」
俺とライオウの会話を静かに聞いていたハクロウが反応した。
「俺の魔道具は知ってるだろ?とある魔道具を使えば、室内を丸ごと冷やすことが出来るんだよ。だから内陸にも海の魚を届けることが出来るってわけ」
「素晴らしい!!」
「それは楽しみであるな!」
マジックバッグから、魔道具を二つとガラスのコップが5個入った箱を二つ取り出した。
「これは俺の仲間達に良くしてくれたお礼だ。二人に差し上げよう」
他にも渡したい人物が何人かいるんだけど、特に世話になった二人に。
「何だこれは?」
「そこのテーブルで教えるから、移動しよう」
テーブルに水生成機を二つ置いた。その両サイドにコップの箱も置く。
「どっちも中身は一緒だけど、ライオウは左、ハクロウは右の箱を開けてくれ」
当然ながら、箱を開けたライオウがコップを手に取って驚く。
ハクロウはパメラハウスで前に驚いたから、今回は少しだけ冷静だ。
「透明な器だと!?」
「あーーー!これはあの時の湯飲みか!!」
「コップという名称だ。それをこの魔道具の前に一つ置いてくれ」
二人にボタンを押してもらい、コップを冷たい水で満たしてもらう。
「水が出て来たぞ??」
「この道具の中には水が入っていたのか!」
「違うな。これは『水生成機』といい、何も無い所から水を作り出す魔道具だ」
「「なんだと!?」」
「まあとりあえず飲んでみな?」
こういうの久々だな~とか思いながら、二人が水を飲み干すのを見守った。
「キンキンに冷えているぞ!?」
「しかしまさかこのような・・・」
「ただこの魔道具には一つだけ問題があってだな・・・、空気中の水分をかき集めるから、窓を開けて使わないと室内の空気が乾燥してしまうんだよ。下手をするとそのせいで火事になってしまうから、水生成機を使う時は窓を全開にしてくれ。窓の側に置いて使えば安心だ」
「火事は怖いな。気を付けよう!」
「これは凄まじい魔道具だ!本当にいいのか?こんなお宝を貰ってしまって」
「礼だといったろ?野外活動なんかで重宝すると思うぜ?」
「心から感謝する!」
「有難く頂戴しよう!しかしコップといったか?実に美しい器だ!」
「ああ、言うのを忘れていた!お湯を入れたら割れるかもしれんから、湯飲みとしては使わないようにしてくれ。そいつはあまり熱にも衝撃にも強くないんだ」
「なぬっ!?わかった、この美しき器は優しく扱おうぞ。わっはっはっは!」
仲間も痺れを切らしてるだろうから、そろそろ話を切り上げるか。
「話が長くなってしまったな。ではそろそろ俺達は出発するとしよう」
「此処からだと尾張は近いが、旅の武運を祈っておるぞ!」
「美濃の戦で不覚を取らぬようにな!」
「戦でゴーレムを使うような真似はしないけど、どちらかと言えば俺達は生身の戦闘の方が得意なんだ。チャチャッと美濃を平定してみせるぜ!」
そしてようやく俺達一行は、ハーディス城を出て美濃へ向かって出発した。
************************************************************
ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!
「やっぱり軍用ゴーレムより遅いねー」
「しゃーない。パメラに作ってもらうには何日もかかってしまうから、ここから先は民間ゴーレムで移動するしかねえのよ」
「バスの方が良かったのじゃ」
「ゴーレムが増えたから、マジックバッグに全部入りきらんのだ。しかしまた民間ゴーレムを買うハメになるとはな・・・」
バスとゴーレムを並走させても良かったんだけど、『だったら全員ゴーレムに乗った方がいいだろ!』って結論になったわけです。
んで先程セイローガの街のゴーレム工房に寄って、ゴーレムを所持していない全員分のゴーレムを購入。民間ゴーレムにはモニター画面が無いので、コックピットを開けて会話しております。
ハクロウの城に乗り捨ててきた3機のゴーレムを返して下さい!!
まあ金はたっぷりあるんだけどさ。貧乏性ってヤツです。
―――ゴーレム集団は美濃に向かって西へ西へと進んで行く。
「まだ僕には帰れる所があるんだ。こんなに嬉しいことはない」
よし、赤い流星のセリフじゃないけどノルマ完了!!
「すべて我らに任せておけ!美濃から越後へ抜ける線路を最優先で作ろう。その後に信濃全域、そして甲斐の国にまで敷いて行っても構わんのだろう?」
「線路が越後へ繋がった後ならば自由にして構わん。足の代わりに車輪を付けたデカいゴーレムを作れば、迅速な輸送が可能となるだろう」
「ミスフィート領に行きたい場合はどうなる?」
「京の都から陸奥の最北端まで、機関車、いや、デカいゴーレムのようなモノが延々と往復し続ける予定だ。線路を二本敷く理由は、そのデカいゴーレムの衝突を避けるためなんだ。ゴーレムを何台走らせるかはまだ決めていないが、とりあえず1日1回、越後行きと美濃行きのゴーレムが信濃駅に停まるようにしたいと思っている」
「陸奥の最北端までか!一度は行ってみたいものだな!」
「何度だって行けばいいさ。そのゴーレム以外に輸送専用のゴーレムも走らせるだろうから、新鮮な海の魚を甲斐の国に届けることだって可能だ!」
「新鮮な海の魚だと!?」
俺とライオウの会話を静かに聞いていたハクロウが反応した。
「俺の魔道具は知ってるだろ?とある魔道具を使えば、室内を丸ごと冷やすことが出来るんだよ。だから内陸にも海の魚を届けることが出来るってわけ」
「素晴らしい!!」
「それは楽しみであるな!」
マジックバッグから、魔道具を二つとガラスのコップが5個入った箱を二つ取り出した。
「これは俺の仲間達に良くしてくれたお礼だ。二人に差し上げよう」
他にも渡したい人物が何人かいるんだけど、特に世話になった二人に。
「何だこれは?」
「そこのテーブルで教えるから、移動しよう」
テーブルに水生成機を二つ置いた。その両サイドにコップの箱も置く。
「どっちも中身は一緒だけど、ライオウは左、ハクロウは右の箱を開けてくれ」
当然ながら、箱を開けたライオウがコップを手に取って驚く。
ハクロウはパメラハウスで前に驚いたから、今回は少しだけ冷静だ。
「透明な器だと!?」
「あーーー!これはあの時の湯飲みか!!」
「コップという名称だ。それをこの魔道具の前に一つ置いてくれ」
二人にボタンを押してもらい、コップを冷たい水で満たしてもらう。
「水が出て来たぞ??」
「この道具の中には水が入っていたのか!」
「違うな。これは『水生成機』といい、何も無い所から水を作り出す魔道具だ」
「「なんだと!?」」
「まあとりあえず飲んでみな?」
こういうの久々だな~とか思いながら、二人が水を飲み干すのを見守った。
「キンキンに冷えているぞ!?」
「しかしまさかこのような・・・」
「ただこの魔道具には一つだけ問題があってだな・・・、空気中の水分をかき集めるから、窓を開けて使わないと室内の空気が乾燥してしまうんだよ。下手をするとそのせいで火事になってしまうから、水生成機を使う時は窓を全開にしてくれ。窓の側に置いて使えば安心だ」
「火事は怖いな。気を付けよう!」
「これは凄まじい魔道具だ!本当にいいのか?こんなお宝を貰ってしまって」
「礼だといったろ?野外活動なんかで重宝すると思うぜ?」
「心から感謝する!」
「有難く頂戴しよう!しかしコップといったか?実に美しい器だ!」
「ああ、言うのを忘れていた!お湯を入れたら割れるかもしれんから、湯飲みとしては使わないようにしてくれ。そいつはあまり熱にも衝撃にも強くないんだ」
「なぬっ!?わかった、この美しき器は優しく扱おうぞ。わっはっはっは!」
仲間も痺れを切らしてるだろうから、そろそろ話を切り上げるか。
「話が長くなってしまったな。ではそろそろ俺達は出発するとしよう」
「此処からだと尾張は近いが、旅の武運を祈っておるぞ!」
「美濃の戦で不覚を取らぬようにな!」
「戦でゴーレムを使うような真似はしないけど、どちらかと言えば俺達は生身の戦闘の方が得意なんだ。チャチャッと美濃を平定してみせるぜ!」
そしてようやく俺達一行は、ハーディス城を出て美濃へ向かって出発した。
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ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!
「やっぱり軍用ゴーレムより遅いねー」
「しゃーない。パメラに作ってもらうには何日もかかってしまうから、ここから先は民間ゴーレムで移動するしかねえのよ」
「バスの方が良かったのじゃ」
「ゴーレムが増えたから、マジックバッグに全部入りきらんのだ。しかしまた民間ゴーレムを買うハメになるとはな・・・」
バスとゴーレムを並走させても良かったんだけど、『だったら全員ゴーレムに乗った方がいいだろ!』って結論になったわけです。
んで先程セイローガの街のゴーレム工房に寄って、ゴーレムを所持していない全員分のゴーレムを購入。民間ゴーレムにはモニター画面が無いので、コックピットを開けて会話しております。
ハクロウの城に乗り捨ててきた3機のゴーレムを返して下さい!!
まあ金はたっぷりあるんだけどさ。貧乏性ってヤツです。
―――ゴーレム集団は美濃に向かって西へ西へと進んで行く。
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