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536 これにてロボット大戦、終幕

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 近くで戦闘をしていた全てのゴーレムが固まった。
 そして次の瞬間、戦場は歓喜の咆哮に包まれる。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


 俺達が勝ったのか?
 つーかあの場面だけ見ると、やったのはニャルル!?


『カハーーーーッ!完全にしてやたれたわ!!まさかライオウ機と重なって跳んでいたとはな!』

『ライにゃんの捨て身の攻撃あってこそにゃ!』

『天晴な攻撃であったぞ!儂の最後の一撃が勝利に結びついたのならば、助っ人の功績とはいえ我らの大勝利だ!!右腕を失うことにはなったがのう!』

『総力戦に敗れたのは三年ぶりか?くそう、また勝率を五分に戻されたか・・・。しかし今年も良いいくさだった!次は三河が勝つぜ!!』

『新ゴーレムのお陰で、熱く激しい戦闘が出来たな!次の総力戦までには全ての機体が最新型となろう。すでに今から楽しみである!わっはっはっはっはっは!!』

『じゃあ撤収だ!故障した機体を全て速やかに回収しろ!』

いくさはこれにて終了と全軍に伝えろ!久々の凱旋だ!!』


 ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!

 白いゴーレムが俺の近くまで歩いて来た。


『くっそおおおおおおおお!食い止めるのは猫型ゴーレムの方だったか!とはいえ小烏丸とのバトルも面白かったから、それはそれで最高のいくさではあったんだけどさ。戦ってるうちに何かに目覚たしな!』
『あ、虎徹さんも?俺も戦いの途中で敵がよく見えるようになったんですよね!それだけでも総力戦に参加して良かったと思っています!』
『成長するのは力や知恵だけじゃないってことだな!とにかくお疲れさん!総力戦も終わったし、すぐ尾張に帰るのか?』
『すぐ出発するつもりです。でも三河を抜けて尾張には行かず、信濃から美濃に入ろうと思ってるんですよ』
『美濃って確かまだミスフィート領じゃないよな?』
『仲間達がずっと戦ってるんで、それを手助けするつもりです』
『なるほど。軍師が復活したとなりゃ、味方の士気も爆上がりだな!』
『だといいんですけどね!じゃあそろそろ仲間達と合流します。手合わせありがとうございました!色々と落ち着いたらまた連絡しますね』
『おう、頑張れよ!オレもめっちゃ楽しかったぜ!!』

 めっちゃ聖水が欲しいんで、すぐにでもダンジョン交渉がしたかったんだけど、それはミスフィート軍と合流してからだ。

 虎徹さん達も聖水の価値をよく知ってるから、どうしても交渉が大事おおごとになってしまうんだよね。やはり状況をしっかり把握してから動くべきだろう。

 ガシャン!

 ・・・ん?虎徹さんがゴーレムを降りて歩いて来たぞ??

 ガシャン!

「どうしたんです?」
「受け取れ」

 パシッ

「・・・水筒?」
「もう聖水持ってねえんだろ?少ないがそれはサービスだ!」
「聖水だって!?」
「そんなもんじゃ全然足りないだろうけど、たっぷり欲しけりゃ本格的なダンジョン交渉でな!」
「ありがとうございます!これは本当に助かる!!いや~、さすがは虎徹さんだ!商売もうめえ!!」
「わはははははははははは!じゃあな!!」


 普通の水筒だからそんなに量は無いけど、とりあえずこれだけあれば十分だ!
 虎徹さんは神か何かですか!?こんなの感謝せずにはいられないって!

 しかしなんつー絶妙な量を渡して来るんだよ・・・。
 お試しパックで購買意欲を刺激するとは、ダンジョン交渉が怖いな!

 ブルッ

 貴重な聖水を持ってるのが怖くなって、すぐマジックバッグに収納した。


 ガシャン!

 右側からコックピットを開ける音が聞こえたので視線を向けると、ニャルルが猫型ゴーレムから降りて駆け寄って来るところだった。

 ピョン

「うおっ!」

 ニャルルが飛びついて来たので受け止めた。

「こがにゃん、やったにゃーーーーーーーー!大勝利にゃーーーーーーーー!!」
「おう、やったな!敵の総大将を撃破したのは見事だったぞ!!」

 はむはむはむ

 どうやらめっちゃ嬉しかったようで、ニャルルに首筋を甘噛みされている。

 しかし今回の主役は完全にニャルルだったもんな。
 ゴーレム戦に関してなら、間違いなくニャルルが俺達の中で最強だろう。
 自分が一番輝ける場所を見つけることが出来て、本当に良かったな!


 ガシャン!

 今度はゼーレネイマスがゴーレムから出て来た。


「これで信濃での遊びは全て終了か?」
「遊びって・・・、まあ遊びみたいなもんか!そうだな、今日はハーディス城のパメラハウスに一泊するけど、明日にでも美濃に向かって出発するぞ!」
「美濃は戦争中であったな?」
「そうだ。仲間達が戦ってるから参戦するつもりでいる」

 ゼーレネイマスがニヤリと笑った。

「そうこなくてはな!」
「でもゴーレムは使用禁止だからな?」
「当然だ。此処と違って相手は生身の人間なのだろう?」
「その通り。甲斐と三河の国以外でゴーレムを戦闘に使うことは無い」
「それはよいが、美濃に強い奴はいるのか?」
「知らん!でも大名は強いぞ。その国で一番強い人物が大名をやっていると思っていい。それ以外でも身分が侍大将以上ならば、皆それなりに強いだろう」
「楽しみであるな!」


 ホント戦闘狂だよなあ・・・。
 この分だと、食べかけの国じゃ満足しないかもしれんな。

 そして、それぞれの戦いを経て一皮剥けた仲間達が合流し、みんな笑顔のままハーディス城へと帰還したのだった。
 
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