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514 ハクロウに切り札を見せる
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チョビヒゲの男に案内された場所は、ベルピタンの西端にあるデカい城だった。
兵士に門を開けてもらい、チョビヒゲゴーレムの後ろについて行く。
「うぇっ!?ハクロウ様!!城内にいるとばかり思っていましたが、ゴーレムの整備中でしたか!」
その声を聞き、ゴーレムのコックピットに上半身を入れていた、40代くらいと思われる銀髪の男が振り向いた。
「ん?ジャガピか。後ろの者達が取引を持ち掛けてきたという?」
「はい!武器などは非所持でしたので、問題無いと判断しお連れしました!」
このチョビヒゲ、『ジャガピ』って名前なのか!
まあ武器は持ってないようで、実はすんごいのを持ってるんですけどね。
『ハクロウ』という名の男がこちらに近寄って来た。
そしてジャガピの頭をぶん殴った。
ボコッ!
「いだッ!!ファッ?一体なぜ」
「迂闊過ぎる!!武器もゴーレムも無くとも、他国には己の身一つで数百の兵を屠ることが出来る猛者が何人もおるのだ!この仮面の男、そしてその後ろにいる青い髪の男がまさにそれだ!!」
へ~~~~~~!
この一瞬で要注意人物を見抜いたのか!流石は武田二十四将だ!!
「だが取引きをするためにやって来たのだったな?まずは素性を言ってもらおう。話はそれからだ」
ジャガピも涙目になりながらこっちを見た。
「尾張ミスフィート軍軍師、小烏丸だ。またの名を『赤い流星』」
その名を出した途端、ハクロウの目が大きく開いた。
そしてジャガピは、顎が外れるほどあんぐりと口を開いた。
「尾張ミスフィート軍・・・。聖帝軍を撃破したというのは真実か?」
「本当だ。だが俺が信濃に来た理由は国同士のいざこざとは全くの無関係。同盟を結びたいわけでも敵対したいわけでもない。ただの通りすがりだ」
「通りすがりだと!?」
「ちょっと北国まで行っててな。越後を通って尾張に帰る途中なんだ。信濃ってその中間地点にあるだろ?」
「北国に!?いや、まあ越後から尾張に向かっているのならば、信濃を経由するのもわかるが・・・。ではなぜ真っ直ぐ帰らず、我らに取引きを持ち掛けた?」
「それな~、話すと長くなるんだよ。線路を敷きたいだけなんだが、まず『線路』の説明をしなきゃならんだろ?」
「センロ?初めて聞く単語だな。・・・もう一度確認するぞ?甲斐と敵対する気は一切無いのだな?」
「ない。むしろ友好的な関係でいたいと思っている」
「ならば城内で座って話をしよう。ついて来い」
そしてハクロウと一緒に会議室らしき部屋に移動し、線路の素晴らしさと利点について一生懸命熱弁した。
・・・・・
「なるほど。確かに迅速な移動・輸送が出来るというのは素晴らしいな。しかし我が国にとって移動手段は小さな問題だ。それはすでに理解していよう?」
「ゴーレムの国だからな。線路を使った方が速いのは間違いないが、無くても全然問題無いというのもわかる」
「それでもその『センロ』というモノを、どうしても我が国に敷きたいのか?」
「何がなんでも敷きたい。理由は一つ!ここに線路を敷けなければ、当初の計画が破綻するからだ」
「その計画は話せるか?」
・・・言っても問題無いよな?
「信濃に線路を敷くことが出来れば、陸奥から京の都まで繋がるんだよ!一ヶ月かからずに世界の最北端まで行くことが可能になるんだぞ!?あンただって京の都を見てみたいとは思わんか?」
「京の都か!そう言われてみると興味無くはないな!」
「それならば!」
「・・・・・・・・・・・・」
ハクロウが腕を組んで静かに目を閉じた。
「御屋形様次第だな・・・。ん?待てよ。そういや取引きと言っておったな?それは『センロ』を敷く為の取引きか?」
「そうだ。そして俺は取引きで小さな駆け引きなどしない。必ず首を縦に振らせる自信がある」
「ほう!言ったな?ならばまずは俺を納得させてみろ!!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた後、テーブルの上に魔石を並べていく。
「こ、これは、魔石(大)ではないか!」
その声を無視してどんどん魔石を並べていく。
そして10個を超えた時、ハクロウからストップがかかった。
「ちょ、ちょっと待て!いくつ持っているのだ!?これって魔石(大)だよな?」
「好きなのを手に取って、じっくり見て構わないぞ」
ハクロウが目をまん丸くさせて魔石を触っている。
「間違いない・・・本物だ。こんな貴重なモノを一体どこで・・・」
「コイツがあれば、すげえゴーレムが作れるんだろ?」
「その通りだ!!甲斐との交渉で一番喜ばれるのはまさにこれだ!しかし魔石(大)など、ダンジョンの相当深い場所まで潜らなければ手に入れることなど出来まい。いや、宝箱からも出る可能性はあるのか?」
やはりこの国の人間らしく、魔石の話になると誰もが饒舌になるんだな。
だが俺のターンはまだ終わっちゃいねえ!
「ちなみにそれはオマケだ」
ハクロウが顔を上げてこっちを見た。
「・・・は?」
マジックバッグから三つの指輪を取り出し、ハクロウの前に並べた。
取引き用として作った物なので、美しい装飾を施してある。
「指輪?」
「鑑定してみ」
指輪を鑑定するハクロウの指先が震えだした。
「何という代物なのだ!!これだ!これがあれば三河に一泡吹かせられるぞ!!」
賽は投げられましたよ?清光さん。
マジでどうなっても知りませんからね!
兵士に門を開けてもらい、チョビヒゲゴーレムの後ろについて行く。
「うぇっ!?ハクロウ様!!城内にいるとばかり思っていましたが、ゴーレムの整備中でしたか!」
その声を聞き、ゴーレムのコックピットに上半身を入れていた、40代くらいと思われる銀髪の男が振り向いた。
「ん?ジャガピか。後ろの者達が取引を持ち掛けてきたという?」
「はい!武器などは非所持でしたので、問題無いと判断しお連れしました!」
このチョビヒゲ、『ジャガピ』って名前なのか!
まあ武器は持ってないようで、実はすんごいのを持ってるんですけどね。
『ハクロウ』という名の男がこちらに近寄って来た。
そしてジャガピの頭をぶん殴った。
ボコッ!
「いだッ!!ファッ?一体なぜ」
「迂闊過ぎる!!武器もゴーレムも無くとも、他国には己の身一つで数百の兵を屠ることが出来る猛者が何人もおるのだ!この仮面の男、そしてその後ろにいる青い髪の男がまさにそれだ!!」
へ~~~~~~!
この一瞬で要注意人物を見抜いたのか!流石は武田二十四将だ!!
「だが取引きをするためにやって来たのだったな?まずは素性を言ってもらおう。話はそれからだ」
ジャガピも涙目になりながらこっちを見た。
「尾張ミスフィート軍軍師、小烏丸だ。またの名を『赤い流星』」
その名を出した途端、ハクロウの目が大きく開いた。
そしてジャガピは、顎が外れるほどあんぐりと口を開いた。
「尾張ミスフィート軍・・・。聖帝軍を撃破したというのは真実か?」
「本当だ。だが俺が信濃に来た理由は国同士のいざこざとは全くの無関係。同盟を結びたいわけでも敵対したいわけでもない。ただの通りすがりだ」
「通りすがりだと!?」
「ちょっと北国まで行っててな。越後を通って尾張に帰る途中なんだ。信濃ってその中間地点にあるだろ?」
「北国に!?いや、まあ越後から尾張に向かっているのならば、信濃を経由するのもわかるが・・・。ではなぜ真っ直ぐ帰らず、我らに取引きを持ち掛けた?」
「それな~、話すと長くなるんだよ。線路を敷きたいだけなんだが、まず『線路』の説明をしなきゃならんだろ?」
「センロ?初めて聞く単語だな。・・・もう一度確認するぞ?甲斐と敵対する気は一切無いのだな?」
「ない。むしろ友好的な関係でいたいと思っている」
「ならば城内で座って話をしよう。ついて来い」
そしてハクロウと一緒に会議室らしき部屋に移動し、線路の素晴らしさと利点について一生懸命熱弁した。
・・・・・
「なるほど。確かに迅速な移動・輸送が出来るというのは素晴らしいな。しかし我が国にとって移動手段は小さな問題だ。それはすでに理解していよう?」
「ゴーレムの国だからな。線路を使った方が速いのは間違いないが、無くても全然問題無いというのもわかる」
「それでもその『センロ』というモノを、どうしても我が国に敷きたいのか?」
「何がなんでも敷きたい。理由は一つ!ここに線路を敷けなければ、当初の計画が破綻するからだ」
「その計画は話せるか?」
・・・言っても問題無いよな?
「信濃に線路を敷くことが出来れば、陸奥から京の都まで繋がるんだよ!一ヶ月かからずに世界の最北端まで行くことが可能になるんだぞ!?あンただって京の都を見てみたいとは思わんか?」
「京の都か!そう言われてみると興味無くはないな!」
「それならば!」
「・・・・・・・・・・・・」
ハクロウが腕を組んで静かに目を閉じた。
「御屋形様次第だな・・・。ん?待てよ。そういや取引きと言っておったな?それは『センロ』を敷く為の取引きか?」
「そうだ。そして俺は取引きで小さな駆け引きなどしない。必ず首を縦に振らせる自信がある」
「ほう!言ったな?ならばまずは俺を納得させてみろ!!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた後、テーブルの上に魔石を並べていく。
「こ、これは、魔石(大)ではないか!」
その声を無視してどんどん魔石を並べていく。
そして10個を超えた時、ハクロウからストップがかかった。
「ちょ、ちょっと待て!いくつ持っているのだ!?これって魔石(大)だよな?」
「好きなのを手に取って、じっくり見て構わないぞ」
ハクロウが目をまん丸くさせて魔石を触っている。
「間違いない・・・本物だ。こんな貴重なモノを一体どこで・・・」
「コイツがあれば、すげえゴーレムが作れるんだろ?」
「その通りだ!!甲斐との交渉で一番喜ばれるのはまさにこれだ!しかし魔石(大)など、ダンジョンの相当深い場所まで潜らなければ手に入れることなど出来まい。いや、宝箱からも出る可能性はあるのか?」
やはりこの国の人間らしく、魔石の話になると誰もが饒舌になるんだな。
だが俺のターンはまだ終わっちゃいねえ!
「ちなみにそれはオマケだ」
ハクロウが顔を上げてこっちを見た。
「・・・は?」
マジックバッグから三つの指輪を取り出し、ハクロウの前に並べた。
取引き用として作った物なので、美しい装飾を施してある。
「指輪?」
「鑑定してみ」
指輪を鑑定するハクロウの指先が震えだした。
「何という代物なのだ!!これだ!これがあれば三河に一泡吹かせられるぞ!!」
賽は投げられましたよ?清光さん。
マジでどうなっても知りませんからね!
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