上 下
501 / 798

501 思わぬ報酬。そして旅立ち

しおりを挟む
 とうとう越後での仕事を全部終わらせることが出来た。
 しかし本当に色々やったので、10日ほど城に滞在してしまったよ・・・。

 まずは三国同盟の条約を決めてから、ガルザリアスの装備を強化・線路のサンプル作り・トロッコ作り・暮らしに役立つ魔道具作り・麻雀セット作り・トランプ作り・中型船のエンジン作り・イカサマ講座など、仕事はどんどん増えて行った。

 そして最後に頼まれたのがマチルダさんの装備の強化だ。

 付与に関しては俺の存在無くして不可能だというのはガルザリアスも承知の上での頼みごとなので、金銭以外で俺が喜びそうな物を提示して来た。


 なんと驚きの『マジックバッグ』である!


 まさかこの世界に未登録状態のマジックバッグがあるのには正直驚いた。

 思えば魔王達はアリアの世界出身なので、魔王ともなれば持っていても不思議じゃないんだよね。

 久々に心から喜べるモノを提示されたので、当然交渉は成立。
 マチルダさんの装備もガルザリアスと同様の国宝クラスへとパワーアップだ。

 金銭報酬も半端ない大金を渡されたので、みんなに給料を払う前よりも大富豪になってしまいました!

 あ、そういやまだトランプで大富豪をやってなかったな。
 人によっては大貧民って呼ぶみたいだけど、俺は大富豪と呼んでいた。

 今度皆に教えて盛り上がるしかないっしょ!

 信濃次第だけど、もし尾張と線路が開通されれば、ガラス貿易で更に稼ぐことも出来そうだ。

 まあこっちも越後から買いたい物が色々あるので、信濃の大名とも交渉することになるだろう。

 ただ三河と戦争してるらしいから同盟は無理かもしれん。

 しかし前に虎徹さんが、信濃の大名のことをめっちゃ強いって言ってた様な気がするぞ・・・。そんな相手と交渉なんて出来るんかなあ?

 まあ、ダメだったら越中方面の開拓も視野に入れるか・・・。


「これは通信機だ!ガルザリアスにも渡しておく。猫ちゃんにも渡したんだけど、佐渡ヶ島からこの城まで結構遠いからな」
「おおっ!ミスフィート殿やナルティア殿と会話をしていた魔道具だな?」
「それと同じ物だ。貴重だから絶対無くさないでくれよ?二度と手に入らんかもしれんヤツだから」
「・・・なるほど、強化してあるのだな。ならば陸奥に持って行っても大丈夫か」

 気になったのだろう。すぐに鑑定して確かめたようだ。

「あーでもその通信機でナルティアと直接通信は出来ないからな?俺が持っている通信機が親機となっているから、ナルティアと連絡が取りたい場合、俺を間に挟んでやり取りする必要がある」
「なにっ!?それは少し面倒臭いな。まあ他国の大名と頻繁にやり取りすることも無いだろうから、その時は宜しく頼む」


 ガルザリアスに通信機の仕組みや使い方を説明し、実際に使ってみせた。


「しかし便利だな・・・。これは小烏丸でも作ることは出来ないのか?」
「複雑すぎてダメだった。付与魔法使い目線だと尚更作るのが不可能に思える難解さなんだわ」
「そうか。神の手によって作られたモノなのかもしれぬな」

 正解です。
 女神シャルロット様が日本の服や道具をガンガン模造してる感じですな。

 俺に電波についての知識があれば、作ることが出来たかもしれんのになあ~。
 魔道具として作るのは一生かけても無理かもしれん。

「そうだ!話は変わるけど、陸奥最強のギャンブラーのことを教えといてやろう」
「お?そういや絶対勝てない奴がいるとか言っていたな?」
「名前は『リュウ』。俺が陸奥にいた頃はギャンブル創成期だったから完全にひら(イカサマ無し)で打ってたんだけど、ボッコボコにやられたよ」
「たまたまじゃないのか?」
「違うな。アイツは持って生まれた『運』が桁違いなんだ。恐らく100回やったら100回負ける自信がある。カンしたらほとんど全部がドラになるんだぞ?」
「はあ!?」
「俺が敗北した時にどんな和了あがられ方をしたか教えてやろう。カン→カン→嶺上開花とツモられ、嶺上開花タンヤオ三槓子ドラ8で12飜。親の三倍満だ」
「親の三倍満だと!?36000点じゃねえか!」

 今も無敗なのかどうかは知らんけど、また勝負してえな!

「おそらく『2の2』を連発しまくるような超絶汚い方法じゃないと勝てないんじゃないかなあ?」
「しねえよ!そんな最低な技!!」
「ハハハハッ!まあ実力をつけたら挑んでみるといいさ。もしリュウに会ったら宜しく言っといてくれ」
「伝えよう。・・・そうか、ならば最後の相手として取っておくか」
「他にもツエー奴はいっぱいいるからな。さて、俺達はそろそろ出発するぞ!」

 長いこと越後の城に居過ぎた。またミスフィートさんに叱られてしまう!

「色々と世話になったな。お前達との出会いは俺の環境を一変してくれた。本当に感謝するぞ!」
「俺にとっても素晴らしき出会いだった。此方こそ感謝している!猫ちゃんのこと宜しく頼むぞ!」
「当然だ。俺の命なんかよりも遥かに大事な女神ひとだからな」

 ガルザリアスと固い握手を交わした。


「よーーーし!皆準備はいいな?じゃあ信濃の国を目指して出発だ!!」

「「アイアイサーーーーー!!」」


 越後大名との邂逅は、とても重要な意味を持つモノとなった。
 何よりもナルティアの後ろ盾が出来たのが一番の収穫と言えよう!

 ちなみに城を出る前にマチルダさんに向かって敬礼をしたら、ガルザリアスの最後のツッコミが入りました!!
 
しおりを挟む
感想 418

あなたにおすすめの小説

ド底辺から始める下克上! 〜神に嫌われ無能力となった男。街を追放された末、理を外れた【超越】魔法に覚醒し、一大領主へ成り上がる。

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
この世界では、18の歳になると、創造神・ミーネより皆に魔力が授けられる。 捨て子だったハイネは教会に拾われたこともあり、どれだけ辛いことがあっても、ミーネを信奉し日々拝んできたが………   魔力付与式当日。 なぜかハイネにだけ、魔力が与えられることはなかった。日々の努力や信仰は全く報われなかったのだ。 ハイネは、大人たちの都合により、身体に『悪魔』を封印された忌み子でもあった。 そのため、 「能力を与えられなかったのは、呪われているからだ」 と決めつけられ、領主であるマルテ伯爵に街を追放されてしまう。 その夜、山で魔物に襲われ死にかけるハイネ。 そのとき、『悪魔』を封印していた首輪が切れ、身体に眠る力が目覚めた。 実は、封印されていたのは悪魔ではなく、別世界を司る女神だったのだ。 今は、ハイネと完全に同化していると言う。 ハイネはその女神の力を使い、この世には本来存在しない魔法・『超越』魔法で窮地を切り抜ける。 さらに、この『超越』魔法の規格外っぷりは恐ろしく…… 戦闘で並外れた魔法を発動できるのはもちろん、生産面でも、この世の常識を飛び越えたアイテムを量産できるのだ。 この力を使い、まずは小さな村を悪徳代官たちから救うハイネ。 本人は気づくよしもない。 それが、元底辺聖職者の一大両者は成り上がる第一歩だとは。 ◇  一方、そんなハイネを追放した街では……。 領主であるマルテ伯爵が、窮地に追い込まれていた。 彼は、ハイネを『呪われた底辺聖職者』と厄介者扱いしていたが、実はそのハイネの作る護符により街は魔物の侵略を免れていたのだ。 また、マルテ伯爵の娘は、ハイネに密かな思いを寄せており…… 父に愛想を尽かし、家を出奔し、ハイネを探す旅に出てしまう。 そうして、民や娘からの信頼を失い続けた伯爵は、人生崩壊の一途を辿るのであった。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...