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436 ラビラビ亭
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従業員達が餅をペッタンペッタンつき始めた所まで確認してから建物を出た。
何日もこの街にいるつもりはないんだけども、とりあえず今日は適当な宿に一泊し、出来上がった分を明日受け取りに来て、さらにもう一日かけて大福を大量に作ってもらうことになった。
明日受け取りに来る理由は、すぐマジックバッグに入れれば劣化が止まるからだ。
なぜもう一日かけてまで大量に作らせたかと言うと、ミスフィート軍の皆へのお土産にしようと思ったから。
ドラゴン肉も大量にあるけど、俺らにとってドラゴンって別に目新しいモノではないんだよね。その点大福は確実に目新しいお菓子だ。もち米が無いのだから和泉にも作ることが出来ないわけですよ。
「本番は明日だけど、さっき買った高級大福を食ってみようぜ」
俺の一言に全員が目を輝かせた。
「その台詞を待っていた!!」
「建物で作ってる姿を見て、すごく楽しみだったんだ!」
「やったにゃああああああああああああ!!」
「ここで立ったまま食べるのかしら?」
「立ち食いってのも乙なもんだぞ。でも落とすなよ?」
マジックバッグから箱を取り出して、皆に大福を一個ずつ配った。
「うわあ~~~!高級大福なんて食べるの久しぶりだよ!!」
「ワタシもいつ以来だろ?」
地元民のマイコとチャコでも、高級大福は滅多に食べられないみたいだな。
「そういや果物の大福はいくらで買えるんだ?」
「100ギランから150ギランの間くらいだよ」
「中の果物で値段が違うの」
「なるほど。そっちはお手頃価格なんだな」
大福にかぶりついた。
「お~~~~~~!なかなかイケるな!!」
「「美味しい!!」」
日本で売っている大福とほとんど一緒だ。
白い砂糖に驚いていたからおそらく不純物の残った砂糖を使ってるのだろうけど、餡子と混ざっているからさっぱり違いがわからん。
一瞬で食べ終わってしまった。
もう一個食いたいとこだが、口の中が甘々なんで飲み物が欲しいな。
皆も一瞬で食べ終わってしまい、俺に2個目の催促的な目線を向けていた。
「しゃーねえな・・・、おかわりいくか!でもお茶とか飲みたいから座って食おうぜ。パメラ、俺はお茶を用意するからその辺に椅子とテーブルを作ってくれ」
「わかったわ」
「「やったーーーーーーーーーー!!」」
簡易厨房を出そうと思ったけど場所が狭かったので、道具だけ出してちゃっちゃと全員分のお茶を作った。俺の手に掛かれば、お湯生成機と高温魔法で一瞬なのだ。
「やっぱ甘い物にはお茶だよな~」
「ダイフクとめちゃめちゃ合うね!」
「にょーんってのびるの!」
「これおもしろいね!!」
チャミィとメメも実に楽しそうだ。良い思い出になったかな?
特にメメは今まで本当に苦労して生きて来た分、幸せになって欲しいものだ。
チャミィという同い年くらいの女の子が同行していたのも良かった。
ああ、そっか!チャミィもずっと病気で苦しんできたわけだから、同じように苦労してきた者同士で不幸を語り合うことも出来るんだな。
片方だけが辛い人生を歩んで来た場合、もう片方は自分の幸せに少し引け目を感じてしまう所があるんだけど、どっちも辛い経験をしてるのだから変な亀裂も入らない。
―――これも運命だったのだろう。
メメが倒れていたあの場所を俺達がバスで通ることなんて、もう本当に有り得ないくらいの低確率なのだから、実はとんでもない強運の持ち主なのかもしれないな。
・・・・・
おやつタイムが終了し、今晩の宿を探すことになった。
「なあ二人とも、近くに良い宿とか無いか?」
「地元の人は宿になんか泊まらないから本当に良いかどうかはわかんないけど、評判の良い宿屋なら知ってるよ!」
「そんなとこあった??」
「ラビラビ亭!!」
「あ~、トモちゃんのとこか!」
「友達の親御さんが経営してる宿屋とか?」
「正解!!」
「じゃあ案内するよ!」
マイコとチャコの中学生的なノリで今晩の宿が決定した。
いや、空室があるのかわからんからまだ決まったわけではないのか。
二人に案内されて到着した場所は、なかなかお洒落な感じの宿屋だった。
「あら、マイコちゃんにチャコちゃん!トモに用事かしら?」
「ハズレーーー!今日はお客さんを連れて来たんだよ!」
「団体客よ!」
「まあっ!!えーと・・・、其方にいる全員かしら?」
「どうも!3部屋借りたいのだが空いてるだろうか?」
「1人1部屋泊まれるほど空いてますよ!その分お高くなりますが。オホホホホホ!」
「なんと!?しかし子供達は一緒の方がいいよなあ・・・」
「お客様、冗談ですよ!!えーと、殿方が1人部屋で3人部屋が二つかしらね?」
アウチ!女将さんの冗談を真に受けてしまった。
「それで頼む。ああ、明日も一泊したいんだけど」
「えーと・・・、食事はどうされますか?今日の夕食と明日の朝夕、そちらの部屋でご用意出来ますが」
「食事アリで頼む」
「は~い!料金はこうなってますが問題ありませんか?」
一泊1人5000円ってとこか。このクラスの宿ならば全然悪くない。
「大丈夫だ。ん?マイコ、あれって友達じゃないのか?」
「あっ!トモちゃん、やっほーーーーー!!」
「オッス!!」
トモちゃんとやらがこっちに気付いて駆け寄って来た。
「え??二人でどうしたの?私に用事?」
「ううん、今日はお客さん連れて来たんだ」
「トモちゃんは相変わらず宿の手伝いか~」
あ、そうだ。お友達にもあげっか。
「女将さん、これ家族でどうぞ」
残った大福の箱をカウンターに置いた。
「あらあら!一体何かしら?・・・ええっ!?高級大福!!」
「うそッ!高級大福!?」
「お、お客様!さすがにこんなに頂けません!!」
「気にしなくていいぞ。さっきマイコやチャコ達と一緒に食った余り物みたいなもんだから。娘さんだけ食べられないのも可哀相だろう?」
「えええ!!マイコ達こんな美味しい物を食べてたの!?」
「にひひ~~~!」
「めっちゃ美味しかったよーーー!!」
トモちゃんはもう目の前の高級大福に夢中だけど、女将さんは困惑している様子。
「まあそんなわけだから素直に受け取ってくれ。そろそろ部屋に入って休みたい」
「ああ!えーと、有難う御座います!じゃあトモ、お客様を部屋に案内して!」
「は~~~い!」
まあそんなわけで、すんなりと今日の宿が決まった。
明日一日何をしようかな~?
何日もこの街にいるつもりはないんだけども、とりあえず今日は適当な宿に一泊し、出来上がった分を明日受け取りに来て、さらにもう一日かけて大福を大量に作ってもらうことになった。
明日受け取りに来る理由は、すぐマジックバッグに入れれば劣化が止まるからだ。
なぜもう一日かけてまで大量に作らせたかと言うと、ミスフィート軍の皆へのお土産にしようと思ったから。
ドラゴン肉も大量にあるけど、俺らにとってドラゴンって別に目新しいモノではないんだよね。その点大福は確実に目新しいお菓子だ。もち米が無いのだから和泉にも作ることが出来ないわけですよ。
「本番は明日だけど、さっき買った高級大福を食ってみようぜ」
俺の一言に全員が目を輝かせた。
「その台詞を待っていた!!」
「建物で作ってる姿を見て、すごく楽しみだったんだ!」
「やったにゃああああああああああああ!!」
「ここで立ったまま食べるのかしら?」
「立ち食いってのも乙なもんだぞ。でも落とすなよ?」
マジックバッグから箱を取り出して、皆に大福を一個ずつ配った。
「うわあ~~~!高級大福なんて食べるの久しぶりだよ!!」
「ワタシもいつ以来だろ?」
地元民のマイコとチャコでも、高級大福は滅多に食べられないみたいだな。
「そういや果物の大福はいくらで買えるんだ?」
「100ギランから150ギランの間くらいだよ」
「中の果物で値段が違うの」
「なるほど。そっちはお手頃価格なんだな」
大福にかぶりついた。
「お~~~~~~!なかなかイケるな!!」
「「美味しい!!」」
日本で売っている大福とほとんど一緒だ。
白い砂糖に驚いていたからおそらく不純物の残った砂糖を使ってるのだろうけど、餡子と混ざっているからさっぱり違いがわからん。
一瞬で食べ終わってしまった。
もう一個食いたいとこだが、口の中が甘々なんで飲み物が欲しいな。
皆も一瞬で食べ終わってしまい、俺に2個目の催促的な目線を向けていた。
「しゃーねえな・・・、おかわりいくか!でもお茶とか飲みたいから座って食おうぜ。パメラ、俺はお茶を用意するからその辺に椅子とテーブルを作ってくれ」
「わかったわ」
「「やったーーーーーーーーーー!!」」
簡易厨房を出そうと思ったけど場所が狭かったので、道具だけ出してちゃっちゃと全員分のお茶を作った。俺の手に掛かれば、お湯生成機と高温魔法で一瞬なのだ。
「やっぱ甘い物にはお茶だよな~」
「ダイフクとめちゃめちゃ合うね!」
「にょーんってのびるの!」
「これおもしろいね!!」
チャミィとメメも実に楽しそうだ。良い思い出になったかな?
特にメメは今まで本当に苦労して生きて来た分、幸せになって欲しいものだ。
チャミィという同い年くらいの女の子が同行していたのも良かった。
ああ、そっか!チャミィもずっと病気で苦しんできたわけだから、同じように苦労してきた者同士で不幸を語り合うことも出来るんだな。
片方だけが辛い人生を歩んで来た場合、もう片方は自分の幸せに少し引け目を感じてしまう所があるんだけど、どっちも辛い経験をしてるのだから変な亀裂も入らない。
―――これも運命だったのだろう。
メメが倒れていたあの場所を俺達がバスで通ることなんて、もう本当に有り得ないくらいの低確率なのだから、実はとんでもない強運の持ち主なのかもしれないな。
・・・・・
おやつタイムが終了し、今晩の宿を探すことになった。
「なあ二人とも、近くに良い宿とか無いか?」
「地元の人は宿になんか泊まらないから本当に良いかどうかはわかんないけど、評判の良い宿屋なら知ってるよ!」
「そんなとこあった??」
「ラビラビ亭!!」
「あ~、トモちゃんのとこか!」
「友達の親御さんが経営してる宿屋とか?」
「正解!!」
「じゃあ案内するよ!」
マイコとチャコの中学生的なノリで今晩の宿が決定した。
いや、空室があるのかわからんからまだ決まったわけではないのか。
二人に案内されて到着した場所は、なかなかお洒落な感じの宿屋だった。
「あら、マイコちゃんにチャコちゃん!トモに用事かしら?」
「ハズレーーー!今日はお客さんを連れて来たんだよ!」
「団体客よ!」
「まあっ!!えーと・・・、其方にいる全員かしら?」
「どうも!3部屋借りたいのだが空いてるだろうか?」
「1人1部屋泊まれるほど空いてますよ!その分お高くなりますが。オホホホホホ!」
「なんと!?しかし子供達は一緒の方がいいよなあ・・・」
「お客様、冗談ですよ!!えーと、殿方が1人部屋で3人部屋が二つかしらね?」
アウチ!女将さんの冗談を真に受けてしまった。
「それで頼む。ああ、明日も一泊したいんだけど」
「えーと・・・、食事はどうされますか?今日の夕食と明日の朝夕、そちらの部屋でご用意出来ますが」
「食事アリで頼む」
「は~い!料金はこうなってますが問題ありませんか?」
一泊1人5000円ってとこか。このクラスの宿ならば全然悪くない。
「大丈夫だ。ん?マイコ、あれって友達じゃないのか?」
「あっ!トモちゃん、やっほーーーーー!!」
「オッス!!」
トモちゃんとやらがこっちに気付いて駆け寄って来た。
「え??二人でどうしたの?私に用事?」
「ううん、今日はお客さん連れて来たんだ」
「トモちゃんは相変わらず宿の手伝いか~」
あ、そうだ。お友達にもあげっか。
「女将さん、これ家族でどうぞ」
残った大福の箱をカウンターに置いた。
「あらあら!一体何かしら?・・・ええっ!?高級大福!!」
「うそッ!高級大福!?」
「お、お客様!さすがにこんなに頂けません!!」
「気にしなくていいぞ。さっきマイコやチャコ達と一緒に食った余り物みたいなもんだから。娘さんだけ食べられないのも可哀相だろう?」
「えええ!!マイコ達こんな美味しい物を食べてたの!?」
「にひひ~~~!」
「めっちゃ美味しかったよーーー!!」
トモちゃんはもう目の前の高級大福に夢中だけど、女将さんは困惑している様子。
「まあそんなわけだから素直に受け取ってくれ。そろそろ部屋に入って休みたい」
「ああ!えーと、有難う御座います!じゃあトモ、お客様を部屋に案内して!」
「は~~~い!」
まあそんなわけで、すんなりと今日の宿が決まった。
明日一日何をしようかな~?
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