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433 六道椿

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 ―――――六道椿リクドウツバキ6代目総長テツオ視点―――――



「・・・テメェら何だそのツラは?あ”?」


 俺の不機嫌な態度に5人共ブルってやがる。ホント使えねえ奴らだ・・・。


「「ス、スミマセンでした!!」」

爆炎一夜バクエンのケンだ。アイツにやられた・・・」
「あの野郎、テッちゃんを殺すとか言ってたんだぜ!?許せねえよ!!」
「糞がよおおおおおおおおおッッッ!!」


「・・・俺を殺すだあ?」


 ビクッ


 この馬鹿共はそれを伝えに戻って来たんか?仕返しもせずに尻尾を巻いて?


「このバカタレがああああああッッッ!!」


 ドガッ! グシャッ!


「ゲハッッ!!」「あ、アガっ・・・」


「・・・ケンはどこ行った?」

「「ヒイッ!!」」

「どこ行ったかって聞いてんだろが!!」

「ひ、わ、わかりません!俺ら気を失ってて・・・」
「ジュノーラじゃないっスかね?や、奴らの溜まり場の」


 ジュノーラ?・・・ああ、東門とこにある飲み屋か。


「行くぞ」


「「へ!?」」

六道椿リクドーがナメられたんだぞコラ!!とっとと人数集めんかい!!」

「「ハ、ハイッッ!!」」


 チッ!東門に近いってのが厄介だな・・・。
 兵士に見つかれば牢屋行きだ。

 まあ頭同士のタイマンってだけなら1週間程で出られるとは思うが、チームの抗争となればそれ以上の刑罰になるかもしれねえ。

 東門の衛兵は賄賂も通用しねえよな・・・。


「あああああああ!糞がよッッ!!」


 ドガッ!


 とにかくケンの野郎だきゃあ許さねえ!
 二度とデカい口叩けないように徹底的に潰してやる!!





 ************************************************************



 ―――――小烏丸視点―――――



 残念ながらこの国にもコーヒーは売ってなかった。

 まあ北海道にしか無いような予感もしていたから別にショックってほどでもないんだけど、手持ちの『コーヒーノキ』の重要性が増々高まってしまった。

 喧嘩に巻き込まれて木をダメにされたら、冗談じゃなくマジで俺はキレるかもしれない。理性を失うほどキレたのは、聖帝に『ミスフィートさんを殺す』と言われた時が初めてだが、おそらくあの時と同じくらいキレる自信がある。

『コーヒーノキ』だけは命に代えてでも守り通さねばならん!



 ―――雑貨屋を出た時、ショートカットの娘が目の前を横切って行った。



 中学生くらいかな?
 この娘が近い将来、ケバい化粧をしてパーマをかけないよう祈るばかりだ。


「おーーーい、そこの女の子!ちょっと聞きたいことがあるんだ」

 ん?ゴマちゃんが女の子に話し掛けたぞ?

「なに?アタシ急いでるんだけど!」

爆炎一夜バクエンイチヤって何か知ってるか?」

「ちょっ!声が大きいよ!ここらでその名前を叫んでたら殺されるよ!?」

 女の子が慌てて近寄って来た。

「知ってんのか?」
「東門の辺りで最近暴れてるチームさ。10代目のケンが所構わず喧嘩売ってるから、最近は街もピリピリしてんだ。あンた達も気を付けなさいよ?」
「10代目??」
爆炎一夜バクエン10代目総長ケン。9代目のコージと幹部連を1人で倒して10代目に就任した男だよ。最近はあの六道椿リクドーにも喧嘩売ってるんだってさ!!」

 なんだよその10代目総長とかって!暴走族みたいな奴らだな!

「リクドー?」
「うぇえええええ??六道椿リクドウツバキ知らないの!?」
「知らねえよ!あたい達はさっきこの街に来たばっかだかんね」
「へーーーーーーーー!観光で来たの?」
「いんや、ただの通りすがりだな!」
「お姉さん達、派手な恰好してるから気をつけた方がいいよ?今言った2チーム以外だと、地獄の道標ジゴクのミチシルベ、通称、地獄の道標ジゴルベも関わっちゃダメ。所属メンバーが300人とかいるから、わらわら集まって来るよ」

 ジゴルベって、日本の暴走族には無かった感じの名前だな。
 しかしバイクに乗ってる奴なんてまだ見てないし、この国の暴走族って完全に喧嘩チームなんだろか?

「300かよ!そりゃ面倒臭いことになりそうだぜ・・・。あ、爆炎一夜バクエンって全部でどれくらいいるんだ?さっき何人かボコったんだよな~」
「はあああああああああああああああああああああ!?」
「そういや『ケンちゃん呼んで来い!』とか言ってたな。ああ!そいつが10代目総長とかいうヤツか?」
「な、なんてことを・・・、え?もしかしてアタシって今危険なんじゃ!?」
「安心しな!迷惑はかけねえって!!」


 しかしこのお嬢さんは街の状勢にやたらと詳しいな。情報通ってヤツか?

 一般的な中学生でも暴走族に詳しいヤツとかいたけど、女の子でもそういう情報通がいるって所がこの世界らしい所か。

 ・・・ん?なんか金髪の女の子がこっちに走って来てるな。


「マイコ遅いっ!!急がないと売り切れちゃうじゃない!」

「・・・あっ!ごめんチャコ!今このお姉さんに呼び止められてさ、色々教えてたとこなんだ!」

「あ、どもッス」

 チャコという友達がなぜかゴマちゃんに軽く頭を下げた。
 俺はずっと一緒にいるから気にならんけど、たしかにゴマちゃんって、女から見たら怖い先輩って感じなのかもしれんな。

「じゃあアタシは用事があるんで、そろそろ行くね!」
「おう!情報助かったぜ!!」


「「いたあああああああああああああああああッッッッ!」」


 む?

 見ると、ツッパリが10人くらい走り寄って来ていた。
 さっきゴマちゃん達がぶっちめた何人かも一緒に走っている。

 包帯を巻いて、逆に凶悪さが増してるな。


「いたぞッッ!コイツらだ!!」
「後ろに植物マスクもいる!ゼッテー間違いねえ!!」


 ・・・植物男ならまだしも植物マスクだとお!?変な具合に進化させんなや!
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