上 下
427 / 803

427 城とカジノが完成!

しおりを挟む
 陸奥の国は広大だ。

 俺が北海道から上陸したのは最北端の青森県だったけど、ゼネトス軍を滅ぼしたことでナルティア軍は、青森県・岩手県・宮城県・福島県という四県をも支配することになったのだ。

 ゼネトスの居城は福島県にあった。

 ほぼ最前線に居城があった理由はおそらく、他国を侵略するのと他国からの侵略を防ぐ両方の狙いがあったと推測される。

 しかしこれは、陸奥の左側に位置する出羽の国を無視したような戦略だ。

 出羽の大名を軽視していたのか、同盟を結んでいたのか、理由はさっぱりわからないけど、さすがにその位置は攻めすぎだろうということで、ナルティアの居城は宮城県に建てることが決定した。

 ゼネトスの居城だった『チワワ城』も、城門を吹き飛ばした程度のダメージで落とすことが出来たので、重臣の誰かを城主に据えて、そのまま南への防衛に使うつもりだ。

 しかし『チワワ城』って・・・。

 城の名前を聞いた時は、思わずジャバルグの『トラネコ城』を思い出してしまったよ。しかしこの世界にはチワワという種類の犬はいないらしいので、新城を犬みたいにするのはやめといた。

 なので城の名前をどうするかナルティア達に相談した所、「「小烏丸城!」」とかふざけたこと抜かしおったので、そんなのは当然却下した。

 話合いの結果、新城の名前は『ルクセリア城』に決定した。
 ナルティア軍の始まりの街であり、俺達が出会った街の名前でもある。

 陸奥最北の地にもルクセリアの街があるからちょっと紛らわしいんだけども、『まあ別にいいんでない?』と軽い感じでスルーされた。

 その流れで、城下街の名前をどうすんだ?って聞いたら命名を頼まれてしまったんだけど、巨大カジノを建設中だったこともあってギャンブルの街しか連想出来なくなり、『ベガス』と呟いたらそれに決定してしまった。



 ―――そしてとうとうベガスの街に、巨大カジノが誕生した。





 ************************************************************





「なんか、やりすぎてしまったような気がする・・・」


 街の中央に聳え立つ、4階建ての巨大カジノ。

 さすがにルクセリア城よりは背が低いが、やるなら徹底的にやっちまえ!という意気込みから、凄まじい数の照明によって建物はギンギラギンに光り輝いている。

 中に入ると、1階にあるのはまさかの健康ランドだ。

 もちろん大浴場やプールを使用することができ、風呂の後は食堂・売店・マッサージ店などで夢のひと時を味わえる桃源郷。
 ギャンブルに興味が無い人でも、ここを目的に人が集まるのは確実だ。

 そして階段を上がると目の前に広がるのは、この施設のメインでもあるカジノだ。

 2階では、カードゲームやビリヤード、そしてルーレットなどで、ディーラー相手に華やかなゲームを楽しむことが出来るのだ。


 だが問題なのは3階。
 本物のギャンブラーにとってはここが主戦場となる。


 ここにディーラーなどはいない。
 もくもくと煙草の煙が充満する中で、客と客でガチの真剣勝負が繰り広げられるのだ。

 凶器の持ち込みや、麻雀牌やトランプなどを持ち逃げされないように、入場時と退出時にボディーチェックはあるが、基本的にここは無法地帯だ。

 場所代さえ払えば、後は好きにやってもらう。

 基本は麻雀・トランプ・チンチロリンだが、強制するわけではないので、客同士の話し合いでどんな賭け事をやろうが構わない。
 死人が出ない様に警備員は配備してあるが、客同士の揉め事に店は一切介入しない。

 まあ軍の兵士が真っ先に常連になるだろうから、最悪のケースにはならないようそれぞれが目を光らせておけとは言ってある。

 開店前から無法地帯を用意してる俺の感性もどうかと思うが、予め目の届く場所に裏の世界を作っておくってのは、逆転の発想でアリだと思うんだよね。

 やるなら見えない所でやらずに、ここでやってくれってわけです。


 そして4階なんだけど、ここは宿泊施設となっている。

 金持ちや大勝ちした人が狙いなので、全室が豪華な部屋で宿泊料も高い。
 ガラスの窓があれば、部屋からベガスの街を見下ろすことが出来るんだけど、今は残念ながら無理だ。

 ここを仕上げるために、尾張に帰ってガラスを持って来るという目標が出来た。

 正直この国の未来が気になってしょうがないので、俺は間違いなく陸奥へ戻って来るだろうな。しかもその時はきっと清光さんと虎徹さんも一緒だ。あの二人がこんな面白い国に興味を持たないわけがない!というか俺が自慢する!!

 清光さんはともかく、虎徹さんさえ一度連れて来ることが出来れば、転移魔法で簡単に行き来できるようになるのが大きい。そしてこの国にさえ来てしまえば北海道も目と鼻の先なのだ。あの二人にとってもメリットしかないだろう。

 問題なのは信濃の国か・・・。

 たしか三河は信濃とドンパチやってるって話だったと思う。
 三河から信濃を通らずに陸奥まで行くのって、実は結構大変かもしれん・・・。

 うーむ、まあその辺の話は尾張に帰ってからゆっくり考えよう。


「おーーーい!小烏丸!!」


 お?やっと来たか。
 んじゃ陸奥を出発する前に、皆でパーーーッと遊ぶとしますか!!
しおりを挟む
感想 419

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

処理中です...