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424 激突!ゼネトス軍vsナルティア軍

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 決戦の地は陸奥国の真ん中よりちょい上。
 日本で言うと場所は岩手県、平泉の草原だ。

 そこにナルティア軍は陣を敷き、ゼネトス軍の到着を待った。

 もちろんアホみたいにただ待ち惚けていたのではなく、戦が有利になるように別動隊が隠れるための地下室を作り、本陣の両隣には弓隊を生かすための建物を配置した。

 しかし防壁はあえて作らなかった。

 なぜならビームライフルによる先制攻撃の後、そのまま敵陣に斬り込む作戦だからだ。奴らが来るのをこの地でずっと待っていたけど、これは防衛戦ではなく、あくまで攻撃的布陣なのだ。



『反乱軍のクズどもが!!コソコソと隠れながら陸奥北部を落としたようだが、俺様が来たからにはお前らの命もこれまでだ!!』



 おお!アイツらも声を増幅する魔法が使えるのか!

 そういや一体何の魔法なんだろう?付与魔法・・・ではないよな。ん-ーー、支援魔法っぽいか?ルルは知らないって言ってたけど、エルフに伝わってないだけなのかもしれん。

 ナルティアが拡声器を持って立ち上がった。


「ゼネトス!!平泉までノコノコと首を落とされにやって来たか!反乱軍の総大将ナルティアだ!陸奥を平和な国にする為にあたしは立ち上がった!民を虫けらとしか思ってない貴様はこの国には不要だ!あたし自らの手で必ず貴様の息の根を止めてやるからな!!」


『なんだとコラ!テメエぶち殺してやる!!開戦だ!!!』


 ぷっ!なんて気の短い野郎だ。会話による応酬もせずにブチキレやがった。

 ちなみに俺がいる場所は本陣の左にある建物の上だ。
 この高さからビームライフルを撃ち込めば、おそらく1500ほど削ることが出来るだろう。
 絶対とは言えないからナルティアには敵兵を1000削るって言ってあるけどな。

 ナルティアがこっちを見たので右手を上げて合図を送った。


 さーて・・・、いっちょ頑張りますかね!!


 ゼネトス軍はどうやら中央が先頭に立って突撃する魚鱗の陣のようだ。
 かなり攻撃的な性格のようだし、あんまり後先を考えてない気がする。

 今にして思えば、聖帝軍の陣形は本当に隙の無い完璧な配置だったな。
 兵法に詳しくないから何の陣形だったのかはわからんけど、魚鱗の陣や鶴翼の陣みたいな在り来たりなヤツではなかった。

 おっと!今考えることじゃねえな。
 ゼネトス軍が魚鱗の陣ならば、狙いは当然ど真ん中だ!

 一番効果の大きそうな所に照準を合わせる。


「お手並みは拝見させていただく!」


 今回は主役じゃないので、控えめな名セリフを言ってからトリガーを引いた。



 ドガーーーーーーーーーーーーーーン!!



 狙い違わず、ゼネトス軍の前方に配備されていた突撃部隊を吹き飛ばした。

 突然の出来事にゼネトス兵達が呆然としている。


 待て、もう少しだ・・・・・・、よし!

 右手を上げてから大きく前方に振り下ろし、ナルティアに総攻撃の合図を送った。

 ビームライフルの凄まじさに唖然としていたナルティアだが、俺の合図に気付き、こちらを見てニッコリと微笑んだ。そしてすぐに勇ましい表情へと変化する。


「全軍、突撃だーーーーーーーーー!!」

「攻撃力上昇!防御力上昇!魔法防御力上昇!精神力上昇!身体能力上昇!」


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」


 支援魔法に包まれたナルティア軍が突撃を開始し、左右の建物にいる弓部隊と魔法部隊も攻撃を開始した。

 俺も予定通りに建物を降りて、地下室に潜む伏兵部隊の元へと走る。

 ちなみに伏兵部隊は、俺やニャルル達が率いる助っ人組だ。
 この戦はナルティア達の力で成し遂げねばならないことで、もうすぐ陸奥を去る尾張の軍師はあくまでも助っ人選手でなければならない。

 でも仲良くなった兵士達には死んで欲しくないから、サポート役を全力で頑張るぞ!赤い流星は援護力にも定評があるんでね!



 ・・・・・



 鎧を脱ぎ、武器が強化されたナルティア軍は、やはりめちゃくちゃ強かった。
 1対1の鍔迫り合いになれば、ほぼ負けることがない。

 そしてギャンブル王国となったことが、思わぬ相乗効果を生み出した。
 なんか、みんなやたらと勘が良いのである。

 弓で狙われればそれに気付くし、見えない角度からの斬撃でも回避する。
 勘も鋭いし危険察知能力も上がっていて、危ないと思ったら熱くならずに一旦引くことが出来るのだ。


「まさかギャンブルにこんな効能があるとはな・・・」


 殺られそうになっている味方の兵士を助けながら敵軍の横を駆け抜けているんだけど、まさかの現象に目から鱗である。

 とはいえ、ミスフィート軍の兵士をギャンブル狂に育てるのもな~。
 強さと引き換えに借金漬けとか、さすがにちょっと笑えない。

 いや、ナルティア軍の兵士達はもうすでに手遅れ状態なんですけどね!!
 国が裕福になったら、コイツらは間違いなく大金が飛び交う勝負をすると思う。

 うん。もう過ぎてしまったことを後悔してもしゃーないな!
 ギャンブル狂にだって幸せな未来はあるハズ!!

 俺に出来ることは、最後に巨大カジノ施設を作ることだけだ・・・。


 ラスベガスみたいなった未来の陸奥の国を思い浮かべながら、伏兵部隊のいる地下室の扉を開けた。
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