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418 とんでもない男が現れた

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「ぶえーーーーっくしょい!!」


 うぃ~~~、誰かが俺の噂でもしてるんかのう?

 ってか誰がエロ魔王じゃ!!!
 ・・・ん?俺は一体誰に怒っているのだろう?


「・・・おい」

 ん?

 見ると、コーヒー濡れになったゴマちゃんがそこにいた。

「ずぶ濡れじゃないか!一体誰がこんな酷いことを!?」

「いや、小烏丸の盛大なクシャミの被害者だと思うが」
「ぷぷっ!にゃははははははははは!」
「コーヒー中にクシャミするなんてマナーがなってないわね」

 俺・ゴマちゃん・ナルティア・ニャルル・パメラの五人でコーヒータイムをしていたのだが、悲劇というものは突然起こるモノなのです。

 怒りに震えるゴマちゃんがピコピコハンマーを手に取った。


「待て!これには深い理由わけがあるんだ。一旦落ち着こう」


 ピコーーーーーーーーーーン!ピコンピコンピコンピコンピコン!


「いってェ!!いや、マジやめて!すぐ丸洗いするからご容赦を!!」


 ゴマちゃんにフルボッコされた後、誠心誠意の丸洗いでようやく許してもらえた。なぜかナルティアもお風呂について来たので一緒に丸洗いしてやった。





 ************************************************************





 領地を増やしたナルティア軍であるが、圧倒的善政が功を奏してどんどん戦力を拡大し、兵士数も1500を超える規模となった。

 ゼネトス軍を一掃したので魔物を自由に狩れるようになったのも大きいが、船も3隻増やしたので、ナルティア軍の兵士達が毎日漁に出て食料を大量確保。
 領民が飢えないように惜しげも無くガンガン食料を配布し、その代わりに労働力(兵士)を得るという流れが出来上がった。

 大盤振る舞いは結果的にWIN-WINなのである。

 しかし春までの短い間に戦える戦士として育成しなければならないので、三つの街の司令本部の訓練場にて日々訓練に明け暮れている。
 兵士達も大変だが俺も結構大変だ。兵士が増え続けるということはその分の装備品の強化をしなければならないわけで、皆に指示を出しながら毎日ウンウン唸っている。

 そして毎日の厳しい訓練の後は、レクリエーションルームで賭け事をして遊ぶ。

 ぶっちゃけこの時間を毎日楽しみにしている兵士ばかりだったりする。
 本当にそれで良いのか?って気持ちもあるけど、室内に籠りがちな雪国の場合、賭け事が異常なほど盛り上がるのだ。


 なんか、俺は意図せずギャンブル王国を作ってしまったような気が・・・。



 ・・・・・



 とある日の夜。

 恐ろしく強い男が現れたという噂を聞き、創始者として一度勝負せねばならないと思い、レクリエーションルームへとやって来た。


「アイツにゃ」


 見ると顔色の悪い瘦せ型の男がチンチロリンをやっていた。
 顔色が悪いというか、青白くてまるで生気を感じないのだが・・・。


「なにィ!!シゴロだと!?」


 サイの目は確かに456だ。しかもどうやらあの青白い男が親のようだ。
 ルールにより場に着いていた5人は即負けとなり、456で倍となったチップは全て青白い男のモノとなった。

「クソッ!もうオケラだ。俺は抜けるぞ」
「俺もだよ」
「リュウがいたんじゃ勝てねえよ!この場は解散だな」


 青白い男はリュウって名前なのか・・・。
 なんか滅茶苦茶ギャンブルに強そうな名前だな。しかし良いタイミングだ!勝負を挑んでみるか。


「リュウといったな?俺とポーカーで勝負しないか?」


 リュウが俺を見上げた後、ニヤリと笑った。


「なにィ!?小烏丸さんとリュウの一騎打ちだと!?」
「うおおおおおおおおおお!!」
「いや、でも小烏丸さんってポーカー強いのか?」
「知らん。ほとんどコッチに来ないからな」


 正直俺も、自分がどれほどのレベルなのかさっぱりわからん。

 仲間内のメンバー内では俺が一番強いけど、このレクリエーションルームの方が人数が多い分レベルが高いだろうからな。


 そして俺とリュウによるポーカー対決が幕を開けた。



 ・・・・・



 配られた5枚のカードを見ると、すでにスリーカードが完成していた。
 思わず顔が綻びそうになるが、即座にポーカーフェイスで感情を隠す。

「2枚チェンジだ」

 ディーラー役のニャルルがカードを2枚寄越した。

 よしッ!『9』『9』『9』『J』『J』でフルハウスの完成だ!!
 ココは攻め時だが、相手もそれなりの手じゃないと降りられてしまうからベットする枚数も肝心だぞ!

 リュウは配られた5枚のカードを一瞥すると、そのまま重ねてそっと伏せた。

「ん?5枚交換するにゃ?」
「交換はしない」

「「なんだってーーー!?」」

 俺とギャラリーの『なんだってーーー!?』がかぶった。

 しかし交換しないと来たか・・・。

 となると、一発でもの凄い手札を引き当てたかハッタリかの二択ということになる。いきなり仕掛けてくるとは恐ろしい奴だ・・・。ならば様子見する必要など無い!

「ベット」

 チップを全て前に出した。

「「な、なんだってーーー!?」」

「ふっ」

 リュウもチップを全て前に出した。

 来やがったか!!一発勝負に乗って来たということは、良い手を引き当てていたということだ。しかしコッチはフルハウス。俺に負けは無い!!

「今、アンちゃん鼻でフッと笑わなかったかいの?ハッタリとでも思ったか!」

 カードを開いて床に叩きつけた。

「フルハウスだ!!」

「「オオオオオオオオオッッ!!」」


「ふっ」


 リュウが一枚一枚カードをめくって行く。

『K』『K』『K』『J』・・・いや、まさかな。『J』は俺の手札に2枚あるんだぞ?

 そして最後にめくったカードは『K』だった。

『K』『K』『K』『K』『J』のフォーカード。


「な・・・・・・、んだと!?」

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


 勝負はなんとたったの1回で終わってしまった。
 チップは全てリュウの手元に・・・。


 ―――こうして小烏丸vsリュウの一騎打ちは、リュウの圧勝で終わった。


 一瞬でオケラにされた俺は、泣きながらレクリエーションルームから逃げ去った。


「パメラ!」

「なによ。ん?なんで泣いてるわけ?」

「麻雀牌を作るぞ!陸奥の地に伝説のギャンブラーが誕生した!!」

「・・・はい?」


 あんな凄い男にチンチロリンなんてさせていてはいけない。彼が一番実力を発揮できる麻雀をやらせなければならぬのだ!!

 ちなみに彼は初期からナルティア軍にいるけど、武力は最弱らしい。
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