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416 北国の冬は遊ぶモノが必要なのです
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司令本部3号店が完成し、風呂上りに皆で遊んだあのゲーム。
名前は決めてなかったんだけど、いつの間にか『大名と軍師ゲーム』という名で定着し、俺達の中でブームとなった。
相変わらずピコピコハンマーを使った遊びとなるとナルティアが一番強く、それは『大名と軍師ゲーム』でも変わらなかった。おそらく動体視力や気配察知能力が優れているのだろう。パメラ・ゴマちゃん・スカーレットなんかも鋭い読みで大名と軍師の両方を探し当てる。
そして当然ながら最弱はニャルルだ。
大名になるたびに大笑いするし、あの時の恨みなのか、軍師になると必ずゴマちゃんを指名するから、その後いつもゴマちゃんにしばかれるのが定番ギャグと化している。
悲しいことにニャルルと同様に雑魚と認識されているのがこの俺だ!
『K』か『J』を引き当ててむくっと起き上がると、なぜか相棒がほとんどニャルルなんだよ!そしてニャルルの大爆笑に毎度巻き込まれる。彼女が軍師の時は何とか笑いを我慢できることもあるんだけど、確実にゴマちゃんを指名して、俺が殴った瞬間大爆笑して道連れとなる。
もう最近は頭を上げて俺の顔を見た瞬間噴き出す始末で、完全に負の連鎖に陥ってる状態だ。
『また性懲りもなく、アホアホコンビがしばかれてるわ』
そしてこのセリフを吐かれるのである。
違うんだ!俺一人ならもっと上手くやれるんだ!『アホアホコンビ』と一括りにしないでくれたまえ!
・・・・・
「できた!これ大成功じゃない?」
「お?どれどれ・・・」
パメラが作ったカードを見てみると、カードの絵柄がクッキリと表示されていた。触るとツルツルしているし、無造作に床に放り投げても問題なし。
「良いね!清光さんが作ったカードに相当近づいたぞ!もう少し薄く出来れば文句無しだけど、これでも十分及第点だ」
「そのキヨミツさんって人が凄すぎよ!どうやったらこの状態から更に薄く出来るのよ・・・」
「あの人は正真正銘の化け物だからな~。とにかく作り続けていればそのうちコツとか掴めるんじゃね?とりあえずそれで十分だから、トランプの量産は任せた!俺はピコピコハンマーの方に集中する」
「枚数が多いから大変なのよね~、リンダが成長してくれれば手伝わせるのに」
「リンダが戦力になるのは数ヶ月先だな。俺達がこの国から去るまでに作れるようになれば御の字だろう。陸奥がトランプ王国になるかどうかは、すべて彼女の成長にかかっているのだ」
―――北国の冬は長い。
当然外は雪が積もっているせいで寒いから、基本的に引き篭もりがデフォなのだ。となると、仕事や訓練をしていない時間を持て余すことになるわけで、そんな時に最適なのがゲームや賭け事だ。
そこで俺達と一緒にゲームを楽しんでいたナルティアから、『他の兵士達にも遊ばせてやりたい』と言われたのだが、手持ちのトランプを貸してしまうと俺達が遊べなくなってしまうので、じゃあ作ろうかって話になったのだ。
何か手伝えることはないかと聞かれたので、ナルティア達三人にはトランプの絵を描いてもらっている。
チリーーーン
「っしゃーーー!!ピンゾロきたーーーーーーーーーーー!!」
「な、なんだってーーー!?」
「にゃ、にゃんだってーーー!?」
「ゴマおねえちゃんすごい!!」
見本としてトランプを取り上げられたニャルル・ゴマちゃん・シャイナ・チャミィの四人は、代わりに即席で作ってやったサイコロでチンチロリンをやっている。
賭け事を覚えさせると破滅しそうなメンツだが、チンチロリンなんて賭けなきゃ何も面白くないので、チップとなる青色のコイン100枚を渡して遊ばせてみた。いつか使うと思って船旅の間に何となく作ってあったヤツだ。
最終的に、このチップ1枚でポテチ1枚と交換することができるのだ。
ちなみにポテチを作って食べさせたのは昨日の風呂上がりが初めてで、ラッコの街でジャガイモを仕入れることが出来たおかげだ。もう皆が大絶賛したのは言うまでもなかろう。
そういう流れもあり、ポテチを賭けた真剣勝負は白熱したモノとなっている。
このまま行くと、陸奥の国ではポテチを使った賭け事が大流行するかもしれんね。大きな金が動くことなく、それでいて新作のお菓子という結構な報酬が貰えるから、丁度いいバランスなのではなかろうか?
「ねえ小烏丸」
「ん?」
パメラが作業の手を止めて話し掛けてきた。そしてチンチロ組を指差す。
「もうアッチが気になってしょうがないんですけど!」
「奇遇だな。俺もだ」
「私もサイコロやりたい!こっちにも作って!!」
「サイコロはすぐ作れるけど、チップが手間なんだよな~。少ないとすぐ勝負が終わってしまうから、それなりの量を用意せんといかん」
「塗料を乾かさなきゃいけないしね~」
フレイアもサイコロが気になってたようで、話に加わって来た。
「アレってチップが無くなったら、報酬のポテチは無しなの?」
「今回ニャルル達がやってるルールでは、最下位になった人にも最低保証でポテチ10枚貰えるぞ。厳しい設定にして楽しむならば最低保証を無しにして、その分1位の報酬に上乗せするとかだな」
「なるほど・・・、たしかに何も無しは辛いから最低保証は必要ね」
「しかしあの盛り上がり様、トランプよりも流行る可能性があるな・・・」
「トランプにも賭け事を楽しめるようなゲームは無いの?」
「ある。めっちゃいっぱいある」
「本当に!?」
「ってことで、まずは作っちまおうぜ。俺達が遊ぶのはそれからだ」
「はーーーーい!」
そんなこんなで、トランプ・ピコピコハンマー・サイコロ&チップが何セットも作られ、それらは軍の兵士達が風呂上がりなどで寛ぐために作ったレクリエーションルームに置かれることとなった。
名前は決めてなかったんだけど、いつの間にか『大名と軍師ゲーム』という名で定着し、俺達の中でブームとなった。
相変わらずピコピコハンマーを使った遊びとなるとナルティアが一番強く、それは『大名と軍師ゲーム』でも変わらなかった。おそらく動体視力や気配察知能力が優れているのだろう。パメラ・ゴマちゃん・スカーレットなんかも鋭い読みで大名と軍師の両方を探し当てる。
そして当然ながら最弱はニャルルだ。
大名になるたびに大笑いするし、あの時の恨みなのか、軍師になると必ずゴマちゃんを指名するから、その後いつもゴマちゃんにしばかれるのが定番ギャグと化している。
悲しいことにニャルルと同様に雑魚と認識されているのがこの俺だ!
『K』か『J』を引き当ててむくっと起き上がると、なぜか相棒がほとんどニャルルなんだよ!そしてニャルルの大爆笑に毎度巻き込まれる。彼女が軍師の時は何とか笑いを我慢できることもあるんだけど、確実にゴマちゃんを指名して、俺が殴った瞬間大爆笑して道連れとなる。
もう最近は頭を上げて俺の顔を見た瞬間噴き出す始末で、完全に負の連鎖に陥ってる状態だ。
『また性懲りもなく、アホアホコンビがしばかれてるわ』
そしてこのセリフを吐かれるのである。
違うんだ!俺一人ならもっと上手くやれるんだ!『アホアホコンビ』と一括りにしないでくれたまえ!
・・・・・
「できた!これ大成功じゃない?」
「お?どれどれ・・・」
パメラが作ったカードを見てみると、カードの絵柄がクッキリと表示されていた。触るとツルツルしているし、無造作に床に放り投げても問題なし。
「良いね!清光さんが作ったカードに相当近づいたぞ!もう少し薄く出来れば文句無しだけど、これでも十分及第点だ」
「そのキヨミツさんって人が凄すぎよ!どうやったらこの状態から更に薄く出来るのよ・・・」
「あの人は正真正銘の化け物だからな~。とにかく作り続けていればそのうちコツとか掴めるんじゃね?とりあえずそれで十分だから、トランプの量産は任せた!俺はピコピコハンマーの方に集中する」
「枚数が多いから大変なのよね~、リンダが成長してくれれば手伝わせるのに」
「リンダが戦力になるのは数ヶ月先だな。俺達がこの国から去るまでに作れるようになれば御の字だろう。陸奥がトランプ王国になるかどうかは、すべて彼女の成長にかかっているのだ」
―――北国の冬は長い。
当然外は雪が積もっているせいで寒いから、基本的に引き篭もりがデフォなのだ。となると、仕事や訓練をしていない時間を持て余すことになるわけで、そんな時に最適なのがゲームや賭け事だ。
そこで俺達と一緒にゲームを楽しんでいたナルティアから、『他の兵士達にも遊ばせてやりたい』と言われたのだが、手持ちのトランプを貸してしまうと俺達が遊べなくなってしまうので、じゃあ作ろうかって話になったのだ。
何か手伝えることはないかと聞かれたので、ナルティア達三人にはトランプの絵を描いてもらっている。
チリーーーン
「っしゃーーー!!ピンゾロきたーーーーーーーーーーー!!」
「な、なんだってーーー!?」
「にゃ、にゃんだってーーー!?」
「ゴマおねえちゃんすごい!!」
見本としてトランプを取り上げられたニャルル・ゴマちゃん・シャイナ・チャミィの四人は、代わりに即席で作ってやったサイコロでチンチロリンをやっている。
賭け事を覚えさせると破滅しそうなメンツだが、チンチロリンなんて賭けなきゃ何も面白くないので、チップとなる青色のコイン100枚を渡して遊ばせてみた。いつか使うと思って船旅の間に何となく作ってあったヤツだ。
最終的に、このチップ1枚でポテチ1枚と交換することができるのだ。
ちなみにポテチを作って食べさせたのは昨日の風呂上がりが初めてで、ラッコの街でジャガイモを仕入れることが出来たおかげだ。もう皆が大絶賛したのは言うまでもなかろう。
そういう流れもあり、ポテチを賭けた真剣勝負は白熱したモノとなっている。
このまま行くと、陸奥の国ではポテチを使った賭け事が大流行するかもしれんね。大きな金が動くことなく、それでいて新作のお菓子という結構な報酬が貰えるから、丁度いいバランスなのではなかろうか?
「ねえ小烏丸」
「ん?」
パメラが作業の手を止めて話し掛けてきた。そしてチンチロ組を指差す。
「もうアッチが気になってしょうがないんですけど!」
「奇遇だな。俺もだ」
「私もサイコロやりたい!こっちにも作って!!」
「サイコロはすぐ作れるけど、チップが手間なんだよな~。少ないとすぐ勝負が終わってしまうから、それなりの量を用意せんといかん」
「塗料を乾かさなきゃいけないしね~」
フレイアもサイコロが気になってたようで、話に加わって来た。
「アレってチップが無くなったら、報酬のポテチは無しなの?」
「今回ニャルル達がやってるルールでは、最下位になった人にも最低保証でポテチ10枚貰えるぞ。厳しい設定にして楽しむならば最低保証を無しにして、その分1位の報酬に上乗せするとかだな」
「なるほど・・・、たしかに何も無しは辛いから最低保証は必要ね」
「しかしあの盛り上がり様、トランプよりも流行る可能性があるな・・・」
「トランプにも賭け事を楽しめるようなゲームは無いの?」
「ある。めっちゃいっぱいある」
「本当に!?」
「ってことで、まずは作っちまおうぜ。俺達が遊ぶのはそれからだ」
「はーーーーい!」
そんなこんなで、トランプ・ピコピコハンマー・サイコロ&チップが何セットも作られ、それらは軍の兵士達が風呂上がりなどで寛ぐために作ったレクリエーションルームに置かれることとなった。
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