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404 ナルティアの頼みごと

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 最大規模となる何人もの丸洗いで、結構時間がかかってしまった。
 照明の無い普通の一般人ならば、もう眠くなるような時間だ。

 しかし俺達の居住区だけは大量の照明のおかげで昼間のような明るさだし、船旅の間も当たり前のようにみんな夜更かししていたので、お風呂の後はコーヒーを飲みながらトランプをして遊ぶのが暮らしの基本ルーチンだ。

 なので、初めてのお洒落で興奮しているナルティア達三人をリビングに連れて行き、一緒にトランプで遊ぶことにした。


「「あまーーーーーーーーーーーーい!!」」


 基本的に極貧生活な反乱軍が砂糖なんか手に入れられるわけがないので、甘味に飢えているだろうと思い、ゴマちゃん仕様の『砂糖たっぷり激うまコーヒー』を作ってあげた。

 ちなみにニャルル仕様の『砂糖超激盛りクソ甘コーヒー』は現在禁止されている。


「この様な美味しい飲み物がこの世に存在するとは・・・」
「すごく濁ってたから、最初は泥水かと思ったし!!」
「私はこがらすまる様を信じてました!」

 なんかスカーレットが、さっきから様付けしてくるんだよな・・・。
 丸洗いが効きすぎて信者みたいになってしまった。

「しかしもう夜のハズなのにこの明るさとか、まるで別世界に来たみたいだ!」
「そうそう!ランプの明かりとは全然違うよね!!」
「尾張ではこれが普通なのかな?」

「いや、一般家庭ではまだ普通のランプを使ってるぞ。でも城は快適に過ごせるよう大量の照明が設置されている。風呂なんてとんでもないデカさで圧巻だぞ」

 それを聞いたナルティアが、顎に手を当てて考えている。

「こがらすまる!返せるモノが何も無いから図々しいお願いなのだが、あたし達にもお風呂を作ってもらえないだろうか?いや、あたし達というか反乱軍の皆で使えるモノを作って欲しいのだ!」

 ほほお?早速丸洗い効果が出たかな?

「フム・・・、俺が土魔法使いならば引き受けても良いんだけど、この区画を作ったのはパメラなんだよ。頼むなら彼女の方だ」

 皆の視線がババ抜きをしているパメラに行った。
 ちなみにドライヤー後の交流で、すでに名前と顔が一致するほど皆仲良しになったぞ。

「ん~、お風呂を作るのは構わないけど、沢山の魔道具が必要なんだから小烏丸の力の方が大変だと思うわよ?」

 あ、それもそうか。魔道具は俺にしか作れないもんな。

「たしかに魔道具のことがあったな~。んじゃ明日にでも訓練場の反対側に頼むよ。一応男湯と女湯に分けて作ってくれ」

「反乱軍って全部で300人とかだったかしら?かなり大きめのを作る必要があるわね。お風呂って皆一斉に入るの?それだと浴槽もかなり大きいのが必要になるけど」

 お風呂初心者のナルティアには想像もつかないだろうから俺が決めるか。

「定員50名くらいにして時間を分けて使用するようにしよう。朝でも昼でも夜でも好きな時間に入れるようにすれば人も分散されるだろう。ナルティア、それで構わないか?」
「よく分からないからそれでいいぞ!」

「わかったわ。じゃあ浴槽は20人ほど入れる大きさにするわね」

「人がごちゃごちゃして落ち着かないのが嫌だったら、ここにいる三人はこっちの風呂を使っても良いからな。ただし俺も使う風呂だから、それでも構わんのならって話だけど」

「こがらすまると、い、一緒に!?」
「私はこっちのお風呂がいい!」
「私もこっちで!!」

 ん?なんか三人共丸洗いを想像してそうだ。

「丸洗いサービスは今日だけだぞ?明日からは皆普通に自分で洗うんだからな!」
「そ、そうか!」
「「エエエエエエエエーーーーーー!?」」

 ショックを受けるほど丸洗いが気に入ってくれたのは嬉しいけど、さすがに毎日は俺が面倒臭いわ!

「そういやこの辺って泡草とか生えてる?」
「ん?泡草ならその辺にいっぱい生えてるぞ」
「そうか!それならシャンプーとか自作出来そうだな」
「シャンプー?」
「丸洗いの時に頭を洗ってたヌルヌルした液体のことだ。まあ作り方は簡単なんで、明日にでも皆に作り方を教えるよ」

 三人共思い出したようで、目がキラキラし始めた。

「あ~~~!あの良い香りがするヤツか!」
「自分で作れるの!?」
「今まで嗅いだことのない匂いだったよね?」
「アレと同じ匂いのモノは作れないけど、好きな花の香りのシャンプーを作れるから、きっとシャンプー作りを楽しめると思うぞ」

 ゼネトス兵が邪魔をしなければの話だけどな。

「よし、話はこれくらいにしてトランプで遊ぼうぜ!そこでニャルル達が手に持ってるのがトランプだ」
「遊ぶ?・・・何をしてるのかと思ってたけど、あれは遊んでいたのか!」
「しかも三河の大名が直々に作ったヤツなんだぞ?あ、ひょっとするとパメラなら土魔法でトランプを作れるかもしれんな。色を塗らなきゃダメだけど」


 極薄のカードを何枚も作るには、土魔法をかなり精密操作する必要があるだろう。清光さんは手で触っても剥がれない高等テクで色までつけているけど、一体どうやってるんだろな?

 まあそこまでトランプ作りに時間かけてらんないし、凹みを作って色を塗ってく原始的な方法しかないか・・・。

 いや待てよ?もしかして、紙に絵を描いて透けるほど薄いモノで挟むんじゃないのか!?・・・きっとそうだ、うおおおおお!謎は全て解けた!!

 いや、どちらにしても時間に余裕があればってとこだな。

 ちなみにナルティア達が参加したババ抜きは、すごく盛り上がったぞ!
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