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403 美しく生まれ変わった三人
しおりを挟むブオーーー
ナルティアの赤い髪を、ドライヤーで乾かしながらブラッシングしていく。
腰まで届くほどの長い髪の毛なので、地味にちょっと大変だったりもする。
「これは気持ち良いな~!」
「尾張でも大好評だった『ドライヤー』という髪を乾かすための魔道具だ。ブラシを上手く使うことで、髪型を少し変化させることが出来るんだぞ?」
ブラシを使って、前髪を良い感じにセットしていく。
整髪料を使ってないから、すぐ元に戻るだろうけどね。
ちなみに今いる場所は脱衣所なんだが、ストーブを稼働させているのでとても快適な空間となっている。
髪を乾かし終わったので、マジックバッグから下着を取り出した。
「よし!じゃあ服に着替えるぞ。まずは下着からだ」
「・・・え?服もこがらすまるに着せられるのか!?」
「初めて見るタイプの服だろうから、着方なんてわからないよな?下着にしても同様だ」
「うっ、たしかにその通りではあるが・・・」
顔を真っ赤にしているナルティアだが、俺ほどのベテランになると、こういう状況など数えきれないほど経験しているので安心して欲しい。
ブラジャーを着けていると、当然ながら不思議そうな顔になる。
「これは??」
「ブラジャーという女性専用の下着だ。胸を隠すためのモノだけど、加齢と共に垂れてしまわないよう美しい形を維持する効果もあるんだ。尾張の女性達は皆着用しているんだぞ」
素早く胸を寄せて上げる。
「ひゃっ!!い、今、胸を触ったよな!?」
「こうして寄せて上げることで胸の谷間が強調され、通常よりも大きく見せることが出来るという、ブラジャーを使った裏技なんだ」
「な、なるほど・・・」
そしてパンティーも履かせた後、先程出したナルティアの服を手に取った。
[ヴィジュアル系パンクファッション(ゴスロリ)]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
:斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性+++ 魔法耐性+++ 炎耐性++
熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
:自動修復(中)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能
黒いジャケット+黒の逆十字がプリントされた白い上着+赤いチェックのミニスカート+ハイソックスという組み合わせのパンク服だ。
気になったのは、黒い逆十字が入った白のチェーンラグTシャツ。これは肘だけが露出しているシャツなんだけど、俺が知ってるチェーンラグTシャツは黒ばかりだったので、少し珍しく感じた。
なぜこの服が今まで残っていたのかというと、パンク服が他にも何着かあったせいだ。論功行賞で3着ほど放出したので、ミスフィート軍にはパンクファッションが三人いる状態ってわけですよ。
でも今にして思えば、ナルティアのパンク服が1番センスが光ってるかもしれんな。俺の趣味の問題だから優劣なんてモノはないけど。
ちなみに先程の大盤振る舞い中の時間を使って、特に大事な部分だけ強化値を上げてある。総大将の服なので、防御力が足りないと思ったんだ。結局半端になったから後で完璧に仕上げなきゃだけど。
服を着せた後、脱衣所に設置してある鏡で本人に確認してもらった。
「うわー、うわー、うわーーー!!これがあたしなのか!?」
「隊長めっちゃ綺麗!!!」
「いいなーーー!私も早く貰った服を着てみたい!!」
いつまでも裸じゃ可哀相だ。残る二人もとっとと服を着せてやらんとな。
「よし、んじゃ次はフレイアだ。まずは髪を乾かすぞ~」
「やったーーー!!」
そして残る二人も同じように、下着を履かせてから三河服を着せた。
ダンジョン服ほど洗練された服ではないけども、尾張よりも数年先の技術力がある三河産の服だけあって、この世界の人々が着ている服なんかとはまるでレベルが違うのだ。
センス溢れる衣装を纏った二人は、当然ながら目をキラキラさせながら鏡の前で大喜びしている。
「二人共すごく綺麗になったぞ!本当に見違えるほど美しくなったな!!」
「お洒落がこんなに楽しいだなんて夢にも思わなかった!!」
「なんて綺麗な服なんだろう・・・。こがらすまる様!本当にありがとう!!」
『様』ですと!?
そこまで感謝されることは、いや、それほどまでに嬉しいんだろな。
「そう喜んでもらえると渡した方も嬉しくなるな。さて、次はゴマちゃん達だ」
自分らで乾かせばいいものを、なぜか誰も自分でドライヤーを使おうとしていない。どうも丸洗いは全て俺の仕上げを待つ流れが出来上がってしまっている感じだ。
チャミィからドライヤーで毛並みを整えていき、一人ずつ服を着せてから、ナルティア達の方へと送り込んで行く。
ブオー
「そうそう、ニャルル!」
「にゃ?」
「昼間の会話の中でさ、『フナムシみたいにゃ奴らにゃ!』って言っただろ?」
「ん?・・・あ~、言ったようにゃ気がするにゃね」
そう、たしかに言ったんだよ!
「俺は今まで、ニャルルが『な』って発声するのを聞いたことが無かった。絶対に『にゃ』になってたハズなんだ。何でフナムシだけは『な』になってるんだ?」
普通の人ならばこんなのスルー案件だろう。だか俺は聞き逃さない!
「あんにゃキモい奴らに『にゃ』はもったいにゃいにゃ!だから頑張って特訓したにゃ」
「・・・え?『にゃ』って上級の文字だったのか!!」
「『フナムシ』と言えるようににゃるまで苦労したにゃ・・・。たぶん1年くらい特訓したにゃ」
猫獣人にとっては地獄のような修行だった模様。
「そ、そうか・・・。たしかにキモいもんなアイツら」
「最悪にゃ!うじゃうじゃ湧いた時にゃんか鳥肌が立つにゃ!!」
とまあ、ニャルルと比較的どーでもいい話をしながら、本日の丸洗いが全て終了した。明日はフレイアとスカーレットに武器を渡さなきゃだな。
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