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397 ミスフィートさんの助言
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あまり人が多い場所で尾張の大事な切り札ともいえる魔道具を見せるわけにはいかないので、ナルティアの部屋に移動することになった。
ただ反乱軍としても、自分らの総大将を今日出会ったばかりの人物と二人きりにするなんて有り得ないわけで、ナルティアが特に信頼している二人の部下の帯同を認めた。
部屋に向かう途中、俺はさっきまでの一連の流れのことを考えていた。
瞬間的に追い詰められた結果、ついミスフィートさんに助けを求めてしまったんだけど、冷静に考えたら俺にとって悪い方向に行くような気がしてきたぞ・・・。
ギギッ
ナルティアがドアを開けると、いかにもアジトらしい軋んだ音が鳴った。
ミスフィートさんの部屋のドアもこんなんだったなーと、懐かしい気持ちになる。
「狭い部屋だが、適当に座ってくれ」
ベッドに座るわけにもいかんので、床の適当な場所で胡坐をかいて、マジックバッグから通信機を取り出した。
「じゃあ早速ミスフィートさんに通信するけど、彼女が忙しかったら時間を置かなければならないんで、その辺は了承してくれ」
「よくわからんが了解した。しかし陸奥にいながら尾張にいる人と話が出来るなんて、とんでもない魔道具だな!」
「ああ、北海道に飛ばされた俺がミスフィート軍の現状を把握出来ているのは、この魔道具のお陰なんだ。じゃあ通信を始めるんで、少しの間しゃべらないでいてくれ」
ナルティアが頷いた。
返事はしてもよかったんだが・・・、まあいいや。
通信機の1番のボタンを押した。
『小烏丸!!どこまで来たのだ!?』
うおっ!出るのはやっ!!もしかして待ってたのかな?
魔道具から聞こえて来る女性の声を聞いて、ナルティアが目を大きくしている。
「えーと、何日かぶりです!ようやく海を越えて陸奥の国に上陸しましたよ!」
『おおおおおおおーーーー!!やったじゃないか!!!』
「まあ、ここからが大変だったりもするんですけどね~。尾張に辿り着くまでに何ヶ国も突破しなくちゃいけませんし」
『なるほど・・・、一人旅ならばバイクでかっ飛ばせるだろうが、何人かの同行者がいてはそうもいかんか』
ニャルル達のことは、すでに報告済みなのだ。
「道があればバスが使えますけど、それでもアレは目立ちますからねえ。ああ、それでですね、陸奥の国に入ってすぐに発生した出来事なのですが・・・」
もっと和やかに話をしていたかったんだけども、ナルティア達を待たせているので、まずは陸奥であった一連の騒動をミスフィートさんに細かく伝えた。
「・・・というわけで、ミスフィートさんに時間の余裕があるならば、ナルティアに助言をしてあげて欲しいのです」
『時間は全然問題無いぞ。しかし反乱軍とは懐かしいな!それじゃあ、えーと、ナルティア殿に代わってくれ!』
「じゃあ交代しますね。まあ、彼女は目の前にいるのですが」
ナルティアを手招きし、通信機の前に座ってもらった。
「初めましてミスフィート殿!あたしが陸奥の反乱軍を率いているナルティアだ!」
『尾張大名のミスフィートだ。私も尾張で反乱軍を指揮していたことがあるので、悩み事があるのならば助言くらいはしてやれると思うぞ!』
「同じ境遇にいた先人の話を聞けるというのは、本当に有難い限りだ!えーと、ではまずゼネトス軍の強さから説明していくので・・・」
俺とミスフィートさんが会話していた時に、ナルティアは聞きたいことなんかを頭の中で纏めていたようで、かなりスムーズに会話が始まった。
お互いの苦労話なんかもあって、俺も感心しながら横で聞いていた。
しかし、ナルティアが解決策を訪ねた時のミスフィートさんの答えは、俺にとって衝撃的なモノだった。
「その様な状況で、一体どうすれば我らは勝つことが出来るのだろうか?」
『無理だな』
「・・・・・・え?」
『普通に考えて、その戦力差を覆す方法など無い』
「そんな!!!そ、それじゃ我らは、このまま死ぬしかないのか!?」
『普通なら無理だ。しかし今、普通じゃないことが起きているだろう?』
「!?」
ちょっと待て。もしかしてそれって・・・。
『簡単な話だ。小烏丸がいれば勝てる』
「え!?」
『小烏丸が軍に入るまで、我らはずっと負け続けていたのだ。しかし小烏丸が軍に入ってからは、我らは一度も負けたことが無い。例えその相手が強大な聖帝軍だろうともな!』
ぬおあああああああ!貴女は何てことを言いますか!!!
ナルティアにそういう助言をしたってことは、すなわち彼女を助けてやれと!?
「たしかに彼は強かったけど、いや、しかし尾張の大切な軍師ではないか!」
『勘違いするな。小烏丸は絶対にやらんぞ?ゼネトスを倒すまでの期間ならば貸してやってもいい、という話だ。ただし小烏丸が承諾しなかった場合は諦めてもらうしかないが』
うおおおおおおおい!なんか勝手に貸し出されたぞーーーーーー!!
「え??いや・・・、え!?」
ナルティアが俺の顔を見て困惑している。
ハァ・・・。
どうやら陸奥の反乱軍に関わった瞬間から、俺の運命は決まっていたみたいだな。
「へいへい、わかりましたよ!!でも手伝うのは、ゼネトスを倒すまでだ。そこから先はナルティアの力だけで陸奥の国を支配すること!仕事が終わったら俺はとっとと帰る!」
まあ、一度でも関わった人には不幸になって欲しくないんで、ミスフィートさんに貸し出されなくても手伝ったような気はするけどね。
こうなったらしゃーねえ、国を一つ落としてから帰るとしますか。
ただ反乱軍としても、自分らの総大将を今日出会ったばかりの人物と二人きりにするなんて有り得ないわけで、ナルティアが特に信頼している二人の部下の帯同を認めた。
部屋に向かう途中、俺はさっきまでの一連の流れのことを考えていた。
瞬間的に追い詰められた結果、ついミスフィートさんに助けを求めてしまったんだけど、冷静に考えたら俺にとって悪い方向に行くような気がしてきたぞ・・・。
ギギッ
ナルティアがドアを開けると、いかにもアジトらしい軋んだ音が鳴った。
ミスフィートさんの部屋のドアもこんなんだったなーと、懐かしい気持ちになる。
「狭い部屋だが、適当に座ってくれ」
ベッドに座るわけにもいかんので、床の適当な場所で胡坐をかいて、マジックバッグから通信機を取り出した。
「じゃあ早速ミスフィートさんに通信するけど、彼女が忙しかったら時間を置かなければならないんで、その辺は了承してくれ」
「よくわからんが了解した。しかし陸奥にいながら尾張にいる人と話が出来るなんて、とんでもない魔道具だな!」
「ああ、北海道に飛ばされた俺がミスフィート軍の現状を把握出来ているのは、この魔道具のお陰なんだ。じゃあ通信を始めるんで、少しの間しゃべらないでいてくれ」
ナルティアが頷いた。
返事はしてもよかったんだが・・・、まあいいや。
通信機の1番のボタンを押した。
『小烏丸!!どこまで来たのだ!?』
うおっ!出るのはやっ!!もしかして待ってたのかな?
魔道具から聞こえて来る女性の声を聞いて、ナルティアが目を大きくしている。
「えーと、何日かぶりです!ようやく海を越えて陸奥の国に上陸しましたよ!」
『おおおおおおおーーーー!!やったじゃないか!!!』
「まあ、ここからが大変だったりもするんですけどね~。尾張に辿り着くまでに何ヶ国も突破しなくちゃいけませんし」
『なるほど・・・、一人旅ならばバイクでかっ飛ばせるだろうが、何人かの同行者がいてはそうもいかんか』
ニャルル達のことは、すでに報告済みなのだ。
「道があればバスが使えますけど、それでもアレは目立ちますからねえ。ああ、それでですね、陸奥の国に入ってすぐに発生した出来事なのですが・・・」
もっと和やかに話をしていたかったんだけども、ナルティア達を待たせているので、まずは陸奥であった一連の騒動をミスフィートさんに細かく伝えた。
「・・・というわけで、ミスフィートさんに時間の余裕があるならば、ナルティアに助言をしてあげて欲しいのです」
『時間は全然問題無いぞ。しかし反乱軍とは懐かしいな!それじゃあ、えーと、ナルティア殿に代わってくれ!』
「じゃあ交代しますね。まあ、彼女は目の前にいるのですが」
ナルティアを手招きし、通信機の前に座ってもらった。
「初めましてミスフィート殿!あたしが陸奥の反乱軍を率いているナルティアだ!」
『尾張大名のミスフィートだ。私も尾張で反乱軍を指揮していたことがあるので、悩み事があるのならば助言くらいはしてやれると思うぞ!』
「同じ境遇にいた先人の話を聞けるというのは、本当に有難い限りだ!えーと、ではまずゼネトス軍の強さから説明していくので・・・」
俺とミスフィートさんが会話していた時に、ナルティアは聞きたいことなんかを頭の中で纏めていたようで、かなりスムーズに会話が始まった。
お互いの苦労話なんかもあって、俺も感心しながら横で聞いていた。
しかし、ナルティアが解決策を訪ねた時のミスフィートさんの答えは、俺にとって衝撃的なモノだった。
「その様な状況で、一体どうすれば我らは勝つことが出来るのだろうか?」
『無理だな』
「・・・・・・え?」
『普通に考えて、その戦力差を覆す方法など無い』
「そんな!!!そ、それじゃ我らは、このまま死ぬしかないのか!?」
『普通なら無理だ。しかし今、普通じゃないことが起きているだろう?』
「!?」
ちょっと待て。もしかしてそれって・・・。
『簡単な話だ。小烏丸がいれば勝てる』
「え!?」
『小烏丸が軍に入るまで、我らはずっと負け続けていたのだ。しかし小烏丸が軍に入ってからは、我らは一度も負けたことが無い。例えその相手が強大な聖帝軍だろうともな!』
ぬおあああああああ!貴女は何てことを言いますか!!!
ナルティアにそういう助言をしたってことは、すなわち彼女を助けてやれと!?
「たしかに彼は強かったけど、いや、しかし尾張の大切な軍師ではないか!」
『勘違いするな。小烏丸は絶対にやらんぞ?ゼネトスを倒すまでの期間ならば貸してやってもいい、という話だ。ただし小烏丸が承諾しなかった場合は諦めてもらうしかないが』
うおおおおおおおい!なんか勝手に貸し出されたぞーーーーーー!!
「え??いや・・・、え!?」
ナルティアが俺の顔を見て困惑している。
ハァ・・・。
どうやら陸奥の反乱軍に関わった瞬間から、俺の運命は決まっていたみたいだな。
「へいへい、わかりましたよ!!でも手伝うのは、ゼネトスを倒すまでだ。そこから先はナルティアの力だけで陸奥の国を支配すること!仕事が終わったら俺はとっとと帰る!」
まあ、一度でも関わった人には不幸になって欲しくないんで、ミスフィートさんに貸し出されなくても手伝ったような気はするけどね。
こうなったらしゃーねえ、国を一つ落としてから帰るとしますか。
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