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396 決闘を申し込まれた
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勝負って・・・、手合わせのことだよな?
そういや俺も昔ミスフィートさんに挑んだっけな~。
勝つ為にではなく、現実を叩き込む必要性を感じたから。
「構わないぞ。武器はどうする?」
「剣で」
「わかった。ああ、一応理由を聞いておこうか」
ナルティアから感じる力の波動が強くなる。
「あたしの剣がゼネトスに通用するのかが知りたいのだ!聖帝と斬り合った男が目の前にいる。このような機会を逃すわけにはいかない!」
「ゼネトスってやっぱ強いのか?」
「そりゃあ大名だからな・・・。何ヶ国も攻め滅ぼした聖帝ほどではないのだろうけども、キミと闘えば大名の強さというものがわかると思ったんだ」
なるほど・・・。
ゼネトスと直接斬り合った場合、力が及ばなければそれは死を意味するが、俺が相手ならば殺し合いをせずに済む。
しかし本当に俺が相手で良いのかな?力の片鱗は見ることが出来るだろうけど、決してナルティアが想像している力と力のぶつかり合いにはならない。
俺がどの武器を使ったとしても、辛い現実を知ることになるだろう。
・・・しかし戦うにはちと狭くないか?
「正直狭いと思うんだが、ここでやるのか?」
「外で、・・・いや、戦闘音でゼネトス兵が寄って来てしまう可能性があるな。アジトの訓練場に移動しよう」
俺の素性を知ったからか、今度は部下達の反対は無かった。
そして反乱軍のアジトまで移動した。
************************************************************
ビュン!
ナルティアが剣を一振りする。
なるほど・・・、強いな。
剣を振った直後に隙も無いし、剣を構える姿勢もいい。
あの頃のミスフィートさんを思い出すよ。
―――だからこそ、絶対に負ける気がしない。
「一つ選択して欲しい」
「洗濯??いや、選択?」
「聖帝と戦った時の俺と、ゼネトス風の俺、どちらと戦いたい?」
「正直どちらとも戦いたいのだが!」
「ふむふむ、じゃあゼネトス風にしとくか。普段の俺だとたぶん何の参考にもならんだろうから」
マジックバッグから黒龍の大剣を取り出した。
ざわっ
闇を体現したような漆黒の大剣を見て、周囲にいるギャラリーたちが騒ぎ出す。
「な、なんだあの武器は・・・」
「黒い大剣・・・だと!?」
「見ただけでわかるぞ!ありゃあ国宝級の大業物だ」
「ま、待てよ!隊長が殺されちまう!」
「大丈夫だ!これは殺し合いではない!」
反乱軍の皆が騒いでいる中、対面するナルティアも冷や汗をかいていた。
「凄まじい大剣だな・・・」
「なかなか格好良いだろ?船旅の間に作った自慢の大剣だぞ!予備武器だけど」
「・・・はあ?これが予備武器だと!?」
「でもやっぱ武器を変えた方がいいな。よく考えたら、ゼネトスがこれ程の武器を持ってるとも思えん」
武器をしまおうとすると、待ったがかかった。
「いや、その武器でいい!ゼネトスだってオリハルコンの剣を持っているんだ。優れた武器の優位性も知っておきたい」
「いいのか?たぶんこの武器って、優位性がどうとかそんな生温いレベルじゃないぞ。・・・まあ、どっちにしろ結果にそこまでの差は無いか。よし、そろそろ開始しよう」
勝負を挑まれたからには負けるわけにはいかん。
しかし、ナルティアの心を折ってしまって大丈夫なのか?
ミスフィートさんの時は、全員の武器を刀に変えさせる狙いがあった。
しかし今回の俺は、尾張に帰る途中の通りすがりの人であり、ゼネトスに勝つ必要が全くないんだよね。後で心を折ったことに対するケアをしないと、彼女にとってマイナスにしかならないぞこれ。
ウーム、まあ少しくらいなら協力してやってもいいが・・・。
「はじめっ!」
審判役の掛け声の後、すぐにナルティアが突っ込んで来た。
ゴギンッ
彼女の攻撃を大剣で防ぐと、彼女の持ってた剣があっさり折れた。
「「・・・・・・・・・」」
そういや黒龍の大剣って、破壊強化(強)が付与してあったな。
ダメじゃん!これじゃあ戦いにならねえよ。
黒龍の大剣をマジックバッグに収納し、インフェルノゴブリンの大剣とチェンジした。
ゴギン
それでも結果は変わらない。
訓練場は静まり返り、ナルティアは涙目。
「うん、武器の差って大きいよな・・・」
「うわあああああああん!!あたしはゼネトスとどう戦えばいいんだ!!!」
しまった!ナルティアを泣かせてしまったぞ!?なんとかしねえと・・・。
ニャルル達の方に視線を送ると、全員に目を逸らされた。
クソがーーー!俺が悪いのか!?あ、そうだ!あのお方なら助けてくれる!!
「泣くなナルティア!今からミスフィートさんと通信するから、話を聞いてみるといい。実は彼女も反乱軍の隊長だったんだ。云わば君の先輩だ!必ず素晴らしい助言をしてくれるさ!」
それを聞いたナルティアが、目を潤ませながら顔を上げた。
「ミスフィート?・・・あっ、それって尾張の新大名じゃないか!?」
「俺が仕える主君。反乱軍から始まり、今や数ヶ国を支配する大大名にまで成り上がった人物だ!」
ナルティアの目に再び力が宿る。
同じ道を歩んで来た者同士だし、なんかナルティアってミスフィートさんの妹って感じの人だから、めちゃめちゃ話が弾みそうな気がするな。
そういや俺も昔ミスフィートさんに挑んだっけな~。
勝つ為にではなく、現実を叩き込む必要性を感じたから。
「構わないぞ。武器はどうする?」
「剣で」
「わかった。ああ、一応理由を聞いておこうか」
ナルティアから感じる力の波動が強くなる。
「あたしの剣がゼネトスに通用するのかが知りたいのだ!聖帝と斬り合った男が目の前にいる。このような機会を逃すわけにはいかない!」
「ゼネトスってやっぱ強いのか?」
「そりゃあ大名だからな・・・。何ヶ国も攻め滅ぼした聖帝ほどではないのだろうけども、キミと闘えば大名の強さというものがわかると思ったんだ」
なるほど・・・。
ゼネトスと直接斬り合った場合、力が及ばなければそれは死を意味するが、俺が相手ならば殺し合いをせずに済む。
しかし本当に俺が相手で良いのかな?力の片鱗は見ることが出来るだろうけど、決してナルティアが想像している力と力のぶつかり合いにはならない。
俺がどの武器を使ったとしても、辛い現実を知ることになるだろう。
・・・しかし戦うにはちと狭くないか?
「正直狭いと思うんだが、ここでやるのか?」
「外で、・・・いや、戦闘音でゼネトス兵が寄って来てしまう可能性があるな。アジトの訓練場に移動しよう」
俺の素性を知ったからか、今度は部下達の反対は無かった。
そして反乱軍のアジトまで移動した。
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ビュン!
ナルティアが剣を一振りする。
なるほど・・・、強いな。
剣を振った直後に隙も無いし、剣を構える姿勢もいい。
あの頃のミスフィートさんを思い出すよ。
―――だからこそ、絶対に負ける気がしない。
「一つ選択して欲しい」
「洗濯??いや、選択?」
「聖帝と戦った時の俺と、ゼネトス風の俺、どちらと戦いたい?」
「正直どちらとも戦いたいのだが!」
「ふむふむ、じゃあゼネトス風にしとくか。普段の俺だとたぶん何の参考にもならんだろうから」
マジックバッグから黒龍の大剣を取り出した。
ざわっ
闇を体現したような漆黒の大剣を見て、周囲にいるギャラリーたちが騒ぎ出す。
「な、なんだあの武器は・・・」
「黒い大剣・・・だと!?」
「見ただけでわかるぞ!ありゃあ国宝級の大業物だ」
「ま、待てよ!隊長が殺されちまう!」
「大丈夫だ!これは殺し合いではない!」
反乱軍の皆が騒いでいる中、対面するナルティアも冷や汗をかいていた。
「凄まじい大剣だな・・・」
「なかなか格好良いだろ?船旅の間に作った自慢の大剣だぞ!予備武器だけど」
「・・・はあ?これが予備武器だと!?」
「でもやっぱ武器を変えた方がいいな。よく考えたら、ゼネトスがこれ程の武器を持ってるとも思えん」
武器をしまおうとすると、待ったがかかった。
「いや、その武器でいい!ゼネトスだってオリハルコンの剣を持っているんだ。優れた武器の優位性も知っておきたい」
「いいのか?たぶんこの武器って、優位性がどうとかそんな生温いレベルじゃないぞ。・・・まあ、どっちにしろ結果にそこまでの差は無いか。よし、そろそろ開始しよう」
勝負を挑まれたからには負けるわけにはいかん。
しかし、ナルティアの心を折ってしまって大丈夫なのか?
ミスフィートさんの時は、全員の武器を刀に変えさせる狙いがあった。
しかし今回の俺は、尾張に帰る途中の通りすがりの人であり、ゼネトスに勝つ必要が全くないんだよね。後で心を折ったことに対するケアをしないと、彼女にとってマイナスにしかならないぞこれ。
ウーム、まあ少しくらいなら協力してやってもいいが・・・。
「はじめっ!」
審判役の掛け声の後、すぐにナルティアが突っ込んで来た。
ゴギンッ
彼女の攻撃を大剣で防ぐと、彼女の持ってた剣があっさり折れた。
「「・・・・・・・・・」」
そういや黒龍の大剣って、破壊強化(強)が付与してあったな。
ダメじゃん!これじゃあ戦いにならねえよ。
黒龍の大剣をマジックバッグに収納し、インフェルノゴブリンの大剣とチェンジした。
ゴギン
それでも結果は変わらない。
訓練場は静まり返り、ナルティアは涙目。
「うん、武器の差って大きいよな・・・」
「うわあああああああん!!あたしはゼネトスとどう戦えばいいんだ!!!」
しまった!ナルティアを泣かせてしまったぞ!?なんとかしねえと・・・。
ニャルル達の方に視線を送ると、全員に目を逸らされた。
クソがーーー!俺が悪いのか!?あ、そうだ!あのお方なら助けてくれる!!
「泣くなナルティア!今からミスフィートさんと通信するから、話を聞いてみるといい。実は彼女も反乱軍の隊長だったんだ。云わば君の先輩だ!必ず素晴らしい助言をしてくれるさ!」
それを聞いたナルティアが、目を潤ませながら顔を上げた。
「ミスフィート?・・・あっ、それって尾張の新大名じゃないか!?」
「俺が仕える主君。反乱軍から始まり、今や数ヶ国を支配する大大名にまで成り上がった人物だ!」
ナルティアの目に再び力が宿る。
同じ道を歩んで来た者同士だし、なんかナルティアってミスフィートさんの妹って感じの人だから、めちゃめちゃ話が弾みそうな気がするな。
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