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391 リヴァイアサン

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 至近距離から放たれたビームがリヴァイアサンを貫いた。


『ヴィアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』


「なにッ!?」


 ビームは確かにリヴァイアサンの顔の一部を削った。
 しかしコイツ、至近距離からのビームを寸前で避けやがった!!

 なんという反射神経なのか!

 危険察知能力も優れているのだろうけど、ビームなんて避けられるのもなのか!?
 俺にも慢心があったのかもしれない。たかがデカいだけのドラゴンだろうと。


「「きゃああああああーーーーーー!」」


 バキッ! ズズズズズズズズ


 激しく船が揺れる。

 血を流し、怒り狂ったリヴァイアサンが船に乗り上がって来やがった!


『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』


 マズイ!何とかしねえと船が沈んじまう!!
 しかしビームライフルのエネルギーはゼロだ。


「クソッ!白兵戦かよ・・・」


 む?これも赤い流星のセリフじゃないな。いや、そんなこと考えてる場合じゃねえ!アイツを倒さなきゃこのまま海の藻屑だ。


「みんな、攻撃を開始するぞ!ヤツを倒さなきゃ船が沈む!」

「うんっ!怖いけどやるしかないっ!」
「こんな所で死ぬわけにゃいかねえんだよ!!」
「チャミィの未来を奪わせてなるものですか!!」
「トランプの邪魔をするにゃあああああああ!!!」


 いやニャルルよ、怒るポイントが一人だけおかしいぞ!


「氷槍!」「氷槍!」「氷槍!」


 ギン ガシュッ ドシャッ!


 パメラの魔法がリヴァイアサンに突き刺さる。


「よしッ、今だ!突撃ーーーーー!!!」


 慣れてない大剣じゃ不安なので、天国あまくにを鞘から抜いて正面からリヴァイアサンに突っ込んだ。

 右からはシャイナとニャルルが、左からはゴマちゃんが攻撃を開始。


 ザシュッ! ズシャッ バギッ! シュッ


『ヴアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』


 ドガッ!! ガゴッ!!


 皆の攻撃は全てヒットしているが、なんせデカいドラゴンが相手なので、小さな裂傷を積み重ねて弱らせていく感じになる。

 効いてはいると思うが、船上での戦いなのもあって首を狙ったり出来ないのが厳しい。ヤツが船に這い上がって来た時にマストをへし折られたのが地味に痛い。
 アレも強化してあったのに、ドラゴンに殴られることまでは想定してなかったんだもんよ!


「シッ!」


「にゃんかウチの攻撃が効いてる感じがしにゃいにゃ!」
「ボクの攻撃もダメかも!短剣って大きな魔物に向いてないよ!!」


 あの二人の武器って爪と短剣なんだよな。確かに巨大ドラゴンじゃいくら何でも相性が悪すぎるか。

 俺の刀にしても効果はイマイチだし、まともに大きなダメージを与えられているのは、パメラとゴマちゃんの二人だ。


「シャイナ!ニャルル!これを使え!!」


 二人の後ろにインフェルノゴブリンの大剣を転がした。
 それに気付いた二人は、一旦後ろに下がって大剣に持ち替える。

 そして俺も刀から黒龍の大剣に持ち替え、リヴァイアサンに攻撃を再開する。


『ヴォオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!』


 リヴァイアサンが吐いた炎のブレスを、パメラの水壁で相殺する。
 今回の戦いに関しては、間違いなくパメラがMVPだ。


 ガシン! ゴシャッ! ドガガガガッ!


 その隙を逃さず、ゴマちゃんと大剣三人組がリヴァイアサンの脚部を攻撃。
 渾身のアタックは大きな傷を与え、堪らず怪物が前に倒れる。


 ドガシャッ!!!


「今だ!!全員、ヤツの首を狙え!!!」

「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」


 パメラの魔法が首に突き刺さり、ゴマちゃんの槍がリヴァイアサンの硬い鱗を斬り裂き、シャイナとニャルルの大剣がその傷を大きく抉る。



「ウオオオオオラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



 そして頭部を駆け上がり、飛躍した状態から大きく振り下ろした黒龍の大剣の一撃が、リヴァイアサンの首を切断した。





 ************************************************************





「よっしゃあああああああああああああああああ!!!」

「「勝ったあああああああああああああああああ!!!」」


 さすがに全員疲労困憊で、甲板に大の字に倒れ込んだ。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ~~~~~!!」


 息を整えた後、どう見ても生きているハズがないリヴァイアサンの死をもう一度しっかり確認すると、翼に大きな穴が開いていることがわかった。避けられたと思っていたビームライフルの一撃は、しっかりとその翼を貫いていたのだ。

 だからコイツは船に這い上がって来たのだろう。

 もっとも、飛べる状態だとしても襲い掛かって来た可能性は十分あるし、ビームライフル無しで飛んでるドラゴンと戦うのは相当厳しいだろうから、結果的にはラッキーだったのかもしれない。

 とにかく最大の窮地は乗り越えたのだ!


「みんな怪我は無いか?」

「私は遠くから魔法を撃っていただけだから大丈夫だけど、そっちの三人はボロボロね」

「ん-ー、擦り傷とか打撲くらいで、骨が折れたりはしてないぞ」
「同じような感じかな?大怪我はしてないよ」
「ウチも大丈夫にゃ!!」

「それなら良かった。しかし、うーむ・・・、残り少ない聖水を使うか迷うな」

「これくらいで使うのはもったいねえよ!」
「全然大丈夫だよ。二日三日休んでいれば治るだろうし」
「こんにゃ傷にゃんて怪我のうちに入らにゃいにゃ!」


 たしかに大怪我をしてないのならば聖水は温存すべきだよな。
 ・・・しかし甲板に倒れているリヴァイアサンの死体、マジでどうしよう?
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