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388 函館目指してバスの旅
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道が悪くてスピードは出せないが、バスは西へ西へと進んで行く。
竜の巣を越えた後はずっとプリンパの街に滞在していたので、他の街がどの方角にあってどれほどの距離があるのかとか、俺は全然知らなかったりする。そもそもプリンパが北海道の地図でいうとどの辺りに位置するのか、それすらもよくわからないままだった。
ニャルル達に聞いても『南の街にゃ!』と言われるだけで、西寄りなのか東寄りなのか、細かい所がさっぱり伝わって来ないのですよ。
なぜ近くに海があるのに函館を目指すのかというと、今いる場所から大海原なんかに出たら確実に遭難するからである。
日本地図を見れば一目瞭然なんだけど、本州最北端にある青森ってのは函館の真下にあるんだ。しかもそこからならば海の面積も少ないので、渡海に成功する確率がかなり高くなる。
もっとも通常の10倍以上の距離なんだけどね。
『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』という兵法書の一節があるけど、今の状況にもガッツリ当て嵌まってたりする。頭の中に日本地図はあるけど、自分の位置がわからなければ話にならんのですよ。
「こがにゃん」
「ん?」
「トイレに行きたいにゃ」
「ああ、もう長い間トイレ休憩をとってなかったな」
バスを停車した。
パメラに魔法で穴を掘ってもらい、その上に板を敷いて簡易トイレを乗せる。
スライムくんはいないけど、一度使用するだけならばこれで十分。
みんな我慢してたようで、結局全員が用を足した。
「いや~北海道は広いな。海を渡るどころか、まず函館に到着するのが大変だ」
「そのハコダテってどこにあるの?」
「北海道の南西だな。そこから航海を始めないと、船に何日も何日も乗る羽目になっちまうんだわ。海のど真ん中でどこに進めばいいのかわからなくなったら、もう完全にアウトだ」
「えええええーーーー!?船の中でなんか死にたくないよ!!」
シャイナが狼狽えているけど、そんなことにならんよう函館へ行くわけで。
「安心しろ!俺に限ってそんなヘマはしない。羅針盤なんて予備の予備まで用意してあるくらいだからな」
マジックバッグから羅針盤を取り出して、皆に見せてやる。
「にゃんにゃこれ?」
「中に針みたいのが入ってるわね」
「この白い針が指している方角が北だ。すなわち、針の黒い部分が指してる方向に進んで行けば、南に進んでいるということになるんだ」
「「へ~~~~~~~!!」」
「函館は南西にあるって言ったろ?どの方向へ向かえば函館に辿り着くことができるか指を差してみてくれ」
「にゃんて難しい問題にゃんにゃ・・・」
「いや、全然難しくないからね!!」
「えーと黒が南だから、こっちに進めばいいのか!」
「方角は合ってるけど、そっちへ進んだら海の中じゃない?」
なんかこういうのも面白いな!そろそろ答えを教えてやるか。
「ゴマちゃんが指した方向で正解だ。でも北海道の地形の問題もあって、残念ながら南西に直進することが出来ないんだよ」
地面に木の枝で北海道の絵を描いた。
もちろん、函館の辺りがなんか違う感満載の絵になった。
ちなみにチャミィは木陰でお昼寝中。
「函館は大体この辺りにあるんだ。んで、たぶんだけどプリンパの街があったのは襟裳の辺りだと思うんで、北海道の地図でいうとこのお尻っぽい場所だな」
「にゃはははは!ウチらはお尻から出てきたにゃか!!」
「へーーーーー!!もしかして南西っていうのは、今いる場所からって意味じゃなくて、北海道全体で見て南西ってこと?」
「正解!このお尻部分から函館に行くには、海を左手にしてずっと西へ向かえばいいんだ」
続けて、北海道の下に本州の絵を描いていく。
「この塗りつぶした部分が海な。んで、函館から船で真っ直ぐ南下することで、船に乗ってる時間をかなり短縮することが出来るんだよ。このお尻部分からだと、下の陸地に辿り着くまで距離がありすぎるだろ?」
「やっと意味がわかった!」
「そういうことだったのかーーー!」
「全然わかんにゃいにゃ!!」
「とにかく船に乗ってる時間が短いほうが安全ってことね。漁は楽しかったけど、何日もずっと船に乗ってるのってたぶん地獄よ?」
俺も航海士じゃないから、何日も船の上なんて今まで経験したことがない。
ああ、フェリーで一泊くらいならしたことあるけど、俺らがやろうとしてるのは、そんな生易しい航海じゃないからな。
かなりの速度で進む船は作ったけど、ボートレースのような無茶は出来ないし、なんつったって10倍以上の距離なのがキツイ。
でもキツイなんて言ってられん。俺は何が何でも絶対に尾張へ帰らなきゃならねえんだ!
「なぜ函館に向かってるのか、大体わかってもらえたかな?」
「すごく納得いったよ」
「わかんにゃいけどわかったにゃ!」
「そのハコダテって、街とかあんのかな?」
「あるといいわね。最後にそこで航海の為の食料を仕入れたいし」
まあ肉も野菜もたっぷりあるし、船には大量の水を積んであるから、航海中の食料は大丈夫だとは思うけど、珍しいモノとか売ってないか気になるんだよね。
北海道にはコーヒーみたいな掘り出し物がまだまだあるハズだ!函館に到着するまでに発見した街や村なんかは、全部チェックしながら行くぞ!
竜の巣を越えた後はずっとプリンパの街に滞在していたので、他の街がどの方角にあってどれほどの距離があるのかとか、俺は全然知らなかったりする。そもそもプリンパが北海道の地図でいうとどの辺りに位置するのか、それすらもよくわからないままだった。
ニャルル達に聞いても『南の街にゃ!』と言われるだけで、西寄りなのか東寄りなのか、細かい所がさっぱり伝わって来ないのですよ。
なぜ近くに海があるのに函館を目指すのかというと、今いる場所から大海原なんかに出たら確実に遭難するからである。
日本地図を見れば一目瞭然なんだけど、本州最北端にある青森ってのは函館の真下にあるんだ。しかもそこからならば海の面積も少ないので、渡海に成功する確率がかなり高くなる。
もっとも通常の10倍以上の距離なんだけどね。
『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』という兵法書の一節があるけど、今の状況にもガッツリ当て嵌まってたりする。頭の中に日本地図はあるけど、自分の位置がわからなければ話にならんのですよ。
「こがにゃん」
「ん?」
「トイレに行きたいにゃ」
「ああ、もう長い間トイレ休憩をとってなかったな」
バスを停車した。
パメラに魔法で穴を掘ってもらい、その上に板を敷いて簡易トイレを乗せる。
スライムくんはいないけど、一度使用するだけならばこれで十分。
みんな我慢してたようで、結局全員が用を足した。
「いや~北海道は広いな。海を渡るどころか、まず函館に到着するのが大変だ」
「そのハコダテってどこにあるの?」
「北海道の南西だな。そこから航海を始めないと、船に何日も何日も乗る羽目になっちまうんだわ。海のど真ん中でどこに進めばいいのかわからなくなったら、もう完全にアウトだ」
「えええええーーーー!?船の中でなんか死にたくないよ!!」
シャイナが狼狽えているけど、そんなことにならんよう函館へ行くわけで。
「安心しろ!俺に限ってそんなヘマはしない。羅針盤なんて予備の予備まで用意してあるくらいだからな」
マジックバッグから羅針盤を取り出して、皆に見せてやる。
「にゃんにゃこれ?」
「中に針みたいのが入ってるわね」
「この白い針が指している方角が北だ。すなわち、針の黒い部分が指してる方向に進んで行けば、南に進んでいるということになるんだ」
「「へ~~~~~~~!!」」
「函館は南西にあるって言ったろ?どの方向へ向かえば函館に辿り着くことができるか指を差してみてくれ」
「にゃんて難しい問題にゃんにゃ・・・」
「いや、全然難しくないからね!!」
「えーと黒が南だから、こっちに進めばいいのか!」
「方角は合ってるけど、そっちへ進んだら海の中じゃない?」
なんかこういうのも面白いな!そろそろ答えを教えてやるか。
「ゴマちゃんが指した方向で正解だ。でも北海道の地形の問題もあって、残念ながら南西に直進することが出来ないんだよ」
地面に木の枝で北海道の絵を描いた。
もちろん、函館の辺りがなんか違う感満載の絵になった。
ちなみにチャミィは木陰でお昼寝中。
「函館は大体この辺りにあるんだ。んで、たぶんだけどプリンパの街があったのは襟裳の辺りだと思うんで、北海道の地図でいうとこのお尻っぽい場所だな」
「にゃはははは!ウチらはお尻から出てきたにゃか!!」
「へーーーーー!!もしかして南西っていうのは、今いる場所からって意味じゃなくて、北海道全体で見て南西ってこと?」
「正解!このお尻部分から函館に行くには、海を左手にしてずっと西へ向かえばいいんだ」
続けて、北海道の下に本州の絵を描いていく。
「この塗りつぶした部分が海な。んで、函館から船で真っ直ぐ南下することで、船に乗ってる時間をかなり短縮することが出来るんだよ。このお尻部分からだと、下の陸地に辿り着くまで距離がありすぎるだろ?」
「やっと意味がわかった!」
「そういうことだったのかーーー!」
「全然わかんにゃいにゃ!!」
「とにかく船に乗ってる時間が短いほうが安全ってことね。漁は楽しかったけど、何日もずっと船に乗ってるのってたぶん地獄よ?」
俺も航海士じゃないから、何日も船の上なんて今まで経験したことがない。
ああ、フェリーで一泊くらいならしたことあるけど、俺らがやろうとしてるのは、そんな生易しい航海じゃないからな。
かなりの速度で進む船は作ったけど、ボートレースのような無茶は出来ないし、なんつったって10倍以上の距離なのがキツイ。
でもキツイなんて言ってられん。俺は何が何でも絶対に尾張へ帰らなきゃならねえんだ!
「なぜ函館に向かってるのか、大体わかってもらえたかな?」
「すごく納得いったよ」
「わかんにゃいけどわかったにゃ!」
「そのハコダテって、街とかあんのかな?」
「あるといいわね。最後にそこで航海の為の食料を仕入れたいし」
まあ肉も野菜もたっぷりあるし、船には大量の水を積んであるから、航海中の食料は大丈夫だとは思うけど、珍しいモノとか売ってないか気になるんだよね。
北海道にはコーヒーみたいな掘り出し物がまだまだあるハズだ!函館に到着するまでに発見した街や村なんかは、全部チェックしながら行くぞ!
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