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357 キレのいい受付嬢
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冒険者ギルドの受付のお姉さんが、白いニャルルを凝視している。
「丸洗いされたら白くにゃったにゃ」
「ぷっ!!丸洗いって何よ!?」
うん、こればっかりはニャルルの言ってることが正しいのだ。
俺も何度か丸洗いされたことがあるけど、アレは本当に効くんだよな~!
「こがにゃんは丸洗いのプロにゃ。そう言ってたにゃ」
「・・・こがにゃん??もうまったく言ってる意味がわからない!!」
うん、どうやらニャルルは説明するのが苦手っぽいな。
言葉足らずで相手を混乱に陥れるタイプのようだ。
「まあそれはいいわ。しかしゴーレムを丸ごと運んで来るなんて、どうやって持ち帰ったのよ?」
「がんばって運んだにゃ」
「いや、だからどうやって運んだのか聞いてんのよ!」
「がんばって運んだにゃ」
「だから、がんばって運べるような大きさじゃないでしょ!!」
「がんばって運んだにゃ」
受付のお姉さんが頭を抱えている。
見事だニャルルよ!アホの子には理屈など通用せんのだ!
あ、受付のお姉さんがこっちを見た。
「・・・あなた、見ない顔ね?もしかしてニャルルに関係してない?」
しまった!!
埒の明かないニャルルではなく俺に目を付けるとは、この受付嬢、できる!
「どうも初めましてヨロシクこんにちわ!冒険者ギルドに来たのは初めてなのですが、登録ってのはすぐ出来ますか?」
「え?ああ、すぐに出来ますよ。登録に金貨1枚が必要ですが」
よし、話のすり替えに成功だ!まあ別に聞かれた所で問題は無いんだけどね。
「にゃっ!こがにゃんもギルドに登録するにゃか!?」
「ん?こがにゃん??ハッ!この人がこがにゃんなのね!?」
うおーーーーーい!一瞬で話が元に戻っちまったじゃねえか!
「ふ~~~ん?何となくわかって来たわよ。ニャルルの変貌、現れるゴーレム、そして見た事のない人物。全てが一つに繋がったわ!!」
やはりこの女、できる!
「こがにゃん!全てあなたの仕業ね!!」
受付嬢がビシッ!と俺を指差した。
「関わってはいる。でもその前に一つ訂正させてくれ。ニャルルにはなぜか『こがにゃん』と呼ばれているが、俺の名前は小烏丸だ!」
みんなに『こがにゃん』って呼ばれることになったら、誰のセリフなのかさっぱりわからなくなるだろ!これは今すぐ訂正してもらわんと!
「コガラスマル?とても珍しい名前ね。なるほど、ニャルルが覚えられるわけ無いわ!」
「にゃにおう!?」
「で、結局どうやって運んだの?」
「がんばって運ん「あなたじゃなくてコガラスマルに聞いてんの!」にゃっ!?」
ぷっ! バフッ!
そう答えろとニャルルに言ったのは俺だが、このコントすげえ好きかも!!
「ハフーッ、ハフーッ、くふっ!・・・えーとな、確かに俺が手伝ったんだけど、運搬術は飯のタネでもあるんで、ちょっと大っぴらには言えないんだ」
「え~~~!?まあ、それを生業としているのならば無理には聞けないわね」
よし!
こう言えば深くは追求出来ないよな。別に悪いことしたワケじゃないんだし。
「えーと、じゃあこのゴーレムは全て売却で構わないわね?」
「こんにゃの持っててもしょうがにゃいにゃ。全部売るにゃ」
職員が裏から数人出て来て、ゴーレムを運んで行った。
普通のゴーレムって何に使うんだろな?これがもしアイアンゴーレムやミスリルゴーレムとかなら武器や防具になるだろうけどさ。
「少し欠けていたけど丸々一体の納品なので、買取額はこれくらいね」
「おお~~~!これにゃら家賃も払えるにゃ!!」
家賃滞納してたのかよ!ニャルルが不憫で泣けてくる。
どうやら取引が終わったようだ。
「お金が入ったからご飯食べに行くにゃ!」
「いや、さっき死ぬほど食っただろ!!」
「・・・ハッ!?そういえば腹減ってにゃいにゃ!」
やっぱ普通にアホの子じゃねえか!フリをするまでもなかった!!
たぶん仕事が終わったらメシってのが、いつもの行動パターンだったんだな。
「俺もギルドに用事があるから、ちょっと待っててくれ」
「わかったにゃ」
切れ味鋭い受付嬢の前に移動する。
「登録を頼みたいんだけど」
カウンターに金貨を一枚置いた。
「ああ!ごめんなさい、スッカリ忘れてたわ。えーと、この紙に血を一滴垂らして下さいね」
目の前に紙と針が置かれた。
・・・まてよ?ギルドに登録する時って、異世界モノのアニメでは自分の能力とかダダ洩れじゃなかったか!?それはちょっとイヤだぞ。
「もしかして、登録すると個人情報全部抜かれたりしません?」
「そんな高度な機能なんかないわよ。冒険者登録をすると、名前、性別、年齢、そして冒険者ランクがカードに記載されます。血は本人だという証明をするのに必要なのです」
なるほど。カードに必要最低限の表示しかされないのならば問題ないか。
裏でガッツリ情報を抜かれてる可能性は否定出来ないが、例えそうだったとしても要注意人物って思われるくらいだよな?
「なるほど。んじゃ登録をお願いします」
まず記入欄に名前などの必要項目を書き込む。
次に針を指に刺して、紙に血を一滴垂らした。
そのあと受付嬢がカードを持って来て、カードにも血を一滴垂らして登録完了だ。
「ほ~~~っ!」
カードには先程説明された項目が表示されており、冒険者ランクはFとなっていた。
「漢字の名前なんて初めて見たわ!『小烏丸』と書くのね!」
「やっぱそうなの?普通に漢字が使われているのに名前には一切使われていないのって、俺からしたら逆に不思議に思えるけどな~」
「ん~~~?名前はカタカナってのが常識だと思うけど、確かに漢字やひらがなの名前があっても良いわね」
本当に不思議なんだよなー。
人々に日本語を伝えたのは歴女女神様の仕業だと思うが、歴女ならば絶対人にも漢字の名前を付けたと思うんだ。なぜカタカナになってしまったのだろう?
まあ長い歴史の中で、そこだけ違う方向へ行ってしまったってことかな?
「丸洗いされたら白くにゃったにゃ」
「ぷっ!!丸洗いって何よ!?」
うん、こればっかりはニャルルの言ってることが正しいのだ。
俺も何度か丸洗いされたことがあるけど、アレは本当に効くんだよな~!
「こがにゃんは丸洗いのプロにゃ。そう言ってたにゃ」
「・・・こがにゃん??もうまったく言ってる意味がわからない!!」
うん、どうやらニャルルは説明するのが苦手っぽいな。
言葉足らずで相手を混乱に陥れるタイプのようだ。
「まあそれはいいわ。しかしゴーレムを丸ごと運んで来るなんて、どうやって持ち帰ったのよ?」
「がんばって運んだにゃ」
「いや、だからどうやって運んだのか聞いてんのよ!」
「がんばって運んだにゃ」
「だから、がんばって運べるような大きさじゃないでしょ!!」
「がんばって運んだにゃ」
受付のお姉さんが頭を抱えている。
見事だニャルルよ!アホの子には理屈など通用せんのだ!
あ、受付のお姉さんがこっちを見た。
「・・・あなた、見ない顔ね?もしかしてニャルルに関係してない?」
しまった!!
埒の明かないニャルルではなく俺に目を付けるとは、この受付嬢、できる!
「どうも初めましてヨロシクこんにちわ!冒険者ギルドに来たのは初めてなのですが、登録ってのはすぐ出来ますか?」
「え?ああ、すぐに出来ますよ。登録に金貨1枚が必要ですが」
よし、話のすり替えに成功だ!まあ別に聞かれた所で問題は無いんだけどね。
「にゃっ!こがにゃんもギルドに登録するにゃか!?」
「ん?こがにゃん??ハッ!この人がこがにゃんなのね!?」
うおーーーーーい!一瞬で話が元に戻っちまったじゃねえか!
「ふ~~~ん?何となくわかって来たわよ。ニャルルの変貌、現れるゴーレム、そして見た事のない人物。全てが一つに繋がったわ!!」
やはりこの女、できる!
「こがにゃん!全てあなたの仕業ね!!」
受付嬢がビシッ!と俺を指差した。
「関わってはいる。でもその前に一つ訂正させてくれ。ニャルルにはなぜか『こがにゃん』と呼ばれているが、俺の名前は小烏丸だ!」
みんなに『こがにゃん』って呼ばれることになったら、誰のセリフなのかさっぱりわからなくなるだろ!これは今すぐ訂正してもらわんと!
「コガラスマル?とても珍しい名前ね。なるほど、ニャルルが覚えられるわけ無いわ!」
「にゃにおう!?」
「で、結局どうやって運んだの?」
「がんばって運ん「あなたじゃなくてコガラスマルに聞いてんの!」にゃっ!?」
ぷっ! バフッ!
そう答えろとニャルルに言ったのは俺だが、このコントすげえ好きかも!!
「ハフーッ、ハフーッ、くふっ!・・・えーとな、確かに俺が手伝ったんだけど、運搬術は飯のタネでもあるんで、ちょっと大っぴらには言えないんだ」
「え~~~!?まあ、それを生業としているのならば無理には聞けないわね」
よし!
こう言えば深くは追求出来ないよな。別に悪いことしたワケじゃないんだし。
「えーと、じゃあこのゴーレムは全て売却で構わないわね?」
「こんにゃの持っててもしょうがにゃいにゃ。全部売るにゃ」
職員が裏から数人出て来て、ゴーレムを運んで行った。
普通のゴーレムって何に使うんだろな?これがもしアイアンゴーレムやミスリルゴーレムとかなら武器や防具になるだろうけどさ。
「少し欠けていたけど丸々一体の納品なので、買取額はこれくらいね」
「おお~~~!これにゃら家賃も払えるにゃ!!」
家賃滞納してたのかよ!ニャルルが不憫で泣けてくる。
どうやら取引が終わったようだ。
「お金が入ったからご飯食べに行くにゃ!」
「いや、さっき死ぬほど食っただろ!!」
「・・・ハッ!?そういえば腹減ってにゃいにゃ!」
やっぱ普通にアホの子じゃねえか!フリをするまでもなかった!!
たぶん仕事が終わったらメシってのが、いつもの行動パターンだったんだな。
「俺もギルドに用事があるから、ちょっと待っててくれ」
「わかったにゃ」
切れ味鋭い受付嬢の前に移動する。
「登録を頼みたいんだけど」
カウンターに金貨を一枚置いた。
「ああ!ごめんなさい、スッカリ忘れてたわ。えーと、この紙に血を一滴垂らして下さいね」
目の前に紙と針が置かれた。
・・・まてよ?ギルドに登録する時って、異世界モノのアニメでは自分の能力とかダダ洩れじゃなかったか!?それはちょっとイヤだぞ。
「もしかして、登録すると個人情報全部抜かれたりしません?」
「そんな高度な機能なんかないわよ。冒険者登録をすると、名前、性別、年齢、そして冒険者ランクがカードに記載されます。血は本人だという証明をするのに必要なのです」
なるほど。カードに必要最低限の表示しかされないのならば問題ないか。
裏でガッツリ情報を抜かれてる可能性は否定出来ないが、例えそうだったとしても要注意人物って思われるくらいだよな?
「なるほど。んじゃ登録をお願いします」
まず記入欄に名前などの必要項目を書き込む。
次に針を指に刺して、紙に血を一滴垂らした。
そのあと受付嬢がカードを持って来て、カードにも血を一滴垂らして登録完了だ。
「ほ~~~っ!」
カードには先程説明された項目が表示されており、冒険者ランクはFとなっていた。
「漢字の名前なんて初めて見たわ!『小烏丸』と書くのね!」
「やっぱそうなの?普通に漢字が使われているのに名前には一切使われていないのって、俺からしたら逆に不思議に思えるけどな~」
「ん~~~?名前はカタカナってのが常識だと思うけど、確かに漢字やひらがなの名前があっても良いわね」
本当に不思議なんだよなー。
人々に日本語を伝えたのは歴女女神様の仕業だと思うが、歴女ならば絶対人にも漢字の名前を付けたと思うんだ。なぜカタカナになってしまったのだろう?
まあ長い歴史の中で、そこだけ違う方向へ行ってしまったってことかな?
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