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355 街へ向かって出発進行!

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 クルクル回ったり俺の腰に抱きついて来たりと、ニャルルはとてもご機嫌だ。

 うん。もっと仲良くなって、街まで連れて行ってもらおうとは確かに思った。
 ・・・でもちょっと、仲良くなりすぎじゃないかい?

「ニャルルの友達がいる所ってのは、村なのか?それとも街なのか?」
「にゃ?プリンパの街にゃ」
「ほ~~~、なんか美味そうな名前の街だな~」

 なるほど、街ってことは人がいっぱい集まってるに違いない。
 今まで全く人に出会えなかったから、どれ程の規模なのか想像もつかないな。

 お風呂セットなどを全部片付けてから、街へと向かって歩き出した。


「ねえねえ、こがにゃん」
「ん?」
「にゃんでこがにゃんは変装してるにゃ?」

 変装?

 ああそっか!装着感が皆無だからヘルメットやマスクを着けていることを忘れがちで、まだニャルルに俺の素顔を晒してなかったな。

「えーとな、こんなマスク着けてるけど顔を隠してるワケじゃないんだ」

 ヘルメットとマスクを外した。

 俺の素顔を見たニャルルが目を大きくして凝視している。

「ふぉあ~~~、すごく男前にゃ!!なぜ隠すにゃ!?」

 なにッ!男前だと!?
 自分をブサイクだとは思ってなかったけど、面と向かってそう言われるとすげー照れるな!

「いや、だから隠してるワケじゃないんだって。この服とヘルメットとマスクはセット効果があってだな、合わせて着ることで自分の能力が上がるんだよ。いつ戦闘になるかわからない生活をしてるのだから、常日頃から万全な状態にしておきたいんだ」

「・・・にゃるほど。よくわからにゃいけどわかったにゃ!・・・ん?うちの服にも、にゃんか効果とかあるにゃ?」
「いや、ニャルルの服にセット効果は無いな。でもその服って実はかなり防御力が高いんだぞ?ああ、鑑定は使えるか?」
「にゃっ?この服強いにゃか!?鑑定はみんにゃ使えるにゃ」

 ニャルルが自分の服を鑑定する。

「・・・・・・・・・・・・」

 ん?なんか反応が無いな。北海道じゃ珍しくもない性能だったか・・・。

「めちゃくちゃ強いにゃ!!にゃにこれ!?ありえにゃいにゃ!!!」


[冒険者の服(女獣人用・緑)]
 :謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価S
 :斬撃耐性++ 刺突耐性++ 衝撃耐性++ 魔法耐性++ 炎耐性++
  熱耐性++ 冷気耐性++ 汚れ耐性++ 精神耐性++
 :自動修復(大)サイズ自動調節 防水機能 消臭脱臭機能


 だよな!!これで普通だったらちょっと凹むとこだったわ。

 俺の中じゃ、ダンジョン産の服ではこれが最低限の付与なんだけど、付与前のデフォルト状態でこれほどの性能を持った服や装備品は一度も見たことが無い。
 かなりの付与魔法使いが存在しないと、こんな性能にはならんのだ。

 ニャルルが服を脱ぎ出した。

「オイ!なんで脱いでるんだ!?」
「返すにゃ!白金貨100枚以上する服にゃんて無理にゃ!!」

 白金貨100枚っつーと・・・、日本円で1000万か?
 フム。確かにそれくらいの値段でもおかしくはないな。
 手に入れること自体がほぼ不可能なのだから、1億とか行く可能性すらある。

 ニャルルが脱ぎかけた服を、また着せ直した。

「返さんでいい!その服はもうニャルルのもんだ」
「こんにゃ凄いのもらえにゃいにゃ!」
「俺がニャルルのことを気に入ったからやったんだ。人の好意は素直に受け取っておけ。それに俺と一緒に海を渡るんだろ?ならば貧弱な装備で死んでもらっては困るな」

 それを聞いたニャルルが目に涙を浮かべた。

「うにゃ~~~ん!一生ついて行くにゃ!!!」

 ニャルルが泣きながら抱きついて来た。

「いや、一生はちょっと重すぎませんかね?テキトーでいいんだぞ?」
「こがにゃんと一緒にいたら、毎日楽しそうにゃ気がするにゃ」

 そういうことかい!!まあ自分でも面白い人生だとは思ってるけどな。


「おっ!?道があるぞ!!」

「うにゃ。街からここまでは道があるにゃ」
「ってことは、道なりに進めば街に辿り着くんだな?」
「そうにゃね」

 よっしゃ!!これでようやくバイクが使えるぜ!
 これまでの旅路で平原なんてのは無かったから、まったく出番がなかった。
 道路まみれだった日本もどうかと思うけど、ホント道が恋しかったのだ。

 マジックバッグからバイクを取り出した。

「にゃんにゃそれは!?」
「ん-そうだな・・・、馬みたいなもんだ」
「とても生きてるようにはみえにゃいにゃ」
「残念ながら生き物ではない」

 久々にバイクに跨ってみた。

「いいね!バイクに乗るのいつ以来だろ。ニャルル、後ろに跨ってくれ」
「わかったにゃ」
「結構なスピードが出るから、しっかり掴まっててくれ」
「にゃん」

 後ろに座ったニャルルが、ガッチリと俺の腰に手を回した。

「んじゃ、街に向かってしゅっぱーつ!!」

 ニャルルがビックリして飛び降りるかもしれないので、ゆっくり走らせる。

「にゃっ!ホントに馬みたいに走ってるにゃ!!」
「な?しかしまだ全然本気じゃないんだわ。少しスピードを上げるぞ」
「にゃんですと!?」

 舗装された道路じゃないからそこまでスピードは出せない。安全面も考慮して時速30kmくらいで走ることにした。

「ひょ~~~!めっちゃ速いにゃ!!!やっぱ、こがにゃんといると面白いにゃ!」
「はしゃぐのは構わんが、絶対落ちるんじゃねえぞ?」
「わかったにゃ!!」

 ニャンコを乗せたバイクが、プリンパの街へ向かって走り出した。
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