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348 竜の巣を越える

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 力尽きて横たわっている風竜3体を、マジックバッグに収納する。

「よし、全部入ったぞ!」

 ドラゴンステーキを捨てて行くなんて、有り得ない程とんでもない話だからな。

 ただこれ以上ドラゴンが出ても困るので、次またドラゴンを見つけても逃げを選択するつもり。
 貴重なドラゴンをただ殺して帰るなんてのは、女神は許しても俺が許さん!

 先程の様に地面に鉄の棒を突き刺して、腕力でよじ登って行く。


「うへっ!まだまだドラゴンがいるのかよ」


 出会わない様にルートを選択するしかねーな。
 倒そうと思えば全滅させることは可能だ。でもそんなアホなことはせん。
 それよりも水場に行きたい。倒したドラゴンを解体したいんだよね。
 ドラゴンも他の魔物もいない安全な場所でさ。

 うーむ・・・、見た所この辺にはねえな。
 しゃーない、ドラゴンを回避しながら進んで行くか。



 ・・・・・



「もう大丈夫だろ!」


 いや~、変に疲れたな。

 思った以上にドラゴンが大量で、気配を消しながら間をスルスルと通過したわけだが、竜の巣の範囲が予想以上に広大だった。
 倒すのはたぶん楽勝なんだろうけど、マジックバッグに入りきらんのに狩りまくって絶滅危惧種にしちまったんじゃ勿体なさすぎる。
 ダンジョン産ならば、無限に湧くから気にしなくてもいいんだけどな。


 目の前に川が流れている。
 さっき上空から川を見つけたんで、ココを目的地と定めて歩いて来たのだ。


 見た感じむっちゃ綺麗だから、たぶん飲めるとは思うんだが・・・。
 腹が痛くなったら聖水で治せるだろうし、まあいっちょ飲んでみっか!


 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ


「うんめえええええええ!!!」


 こんなん、もし腹が痛くなったとしても本望だろ!
 マジで女神の泉に匹敵する爽快感だ。

 よし!ココならば竜の解体も出来そうだな。

 たださ、もう夕暮れなのよね。
 やっぱ解体は明日にして、今日のところはマジックバッグに入れといた和泉特製弁当で腹を満たすとしよう。

 そういや、和泉も心配してるかもしれんなあ・・・。
 次に通信する時にでも和泉を呼んで来てもらって少し会話するか。


 マジックバッグから、アリアダンジョンで和泉にもらったテントを取り出し組み立てた。かなり最新式なヤツなのですごく簡単。固定するのがめんどいくらい。

 テントの中にシルバーウルフの毛皮を敷いてから弁当を食う。

「うめーーーーーー!!」

 流石は和泉の手作り弁当。まるで隙が無い!
 今日は激闘の連続だったので一気に平らげた。

 これでしばらく和泉の料理ともお別れか・・・。

 まあドラゴンの肉なら腐る程あるし、マジックバッグには米も入ってるから、質素な食生活ってワケじゃないんだけどね。

 時間的に水浴びはもう無理だな。
 むっちゃ汗かいたし流血もしたしで体を洗いたくてしゃーないけど、今日のところは我慢して寝よう。しかし毛皮いっぱい持っといて良かったわぁ~。

 ミスフィートさんへの通信も今日はもうやめとこう。向こうは身体的にも精神的にも大変な日だからな。せめてゆっくり寝させてあげたい。

 体の上に毛皮をかぶせてフッカフカ状態で眠りについた。





 ************************************************************





「っしゃーーーー!解体終了じゃい!!」


 いくら俺がドラゴン解体のプロとはいえ、今回のは流石に苦労した。
 といっても、やったのは風竜と黒龍を1体ずつ。
 残り2体はブラッディナイフで血抜きをしただけだ。

 ただ黒龍の血は貴重な素材の可能性があるので、マジックバッグに入ってたそこそこ大きな箱に入る分だけは保管し、その後ブラッディナイフで血抜きをした。
 全部吸わせた後に貴重品って言われたら取り返しがつかないからな。
 価値など無いってなったら捨てりゃいいだけだし。

 とにかく黒龍さんってばデカいし鱗は堅いしで、そりゃあもう大変だった。
 全ての素材が無茶苦茶価値がありそうなので、限りなく丁寧にやったぞ。

 んで解体が終わった後、ようやく水浴びをして体を洗うことが出来た。
 シャンプーや石鹸などを、使わずにずっと残してあった自分を褒めてやりたいね。


「うーむ・・・、どっちにすっかな~?」


 風竜にするか黒龍にするかの選択ですよ。
 考えるまでもねえか!今食いたいのは間違いなく黒龍の方だ!聖水で浄化してないから少し不安はあるけど、そんなの関係ねえ!
 俺は食うぞ!!腹が痛くなったら聖水を飲むだけの話よ。

 前に作っといた簡易厨房をマジックバッグから取り出し、調理を開始した。



 ・・・・・



「・・・・・・・・・・・・えぐっ、グスッ」


 気付いた時には泣いていた。

 ドラゴンステーキの美味さが☆☆☆だとしたら、黒龍は☆☆☆☆☆。
 まさかの2ランク上だ。美味さが天元突破しやがった!

 こいつはヤバイ。

 米を炊いといて本当に良かった。ステーキだけを焼いてたら、特大のを10枚くらいペロリと平らげてた自信がある。しかしそれでも4枚食ってしまった。これは絶対に軍の皆に食べさせてやりたいから、出来るだけお持ち帰りするつもり。

 マジックバッグといえど、レバーやホルモンはやはり痛むのも早いので、俺はそっちをメインで食うことにする。
 ステーキが食いたい場合は風竜の方だな。黒龍の肉は限界まで我慢!


 ・・・出来るのか!?


 大丈夫だよな?もうすでに依存症の初期症状が出てるけども!
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